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迷走パズル
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迷走パズルの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.22pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
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. ニューヨークの演劇プロデューサー、ピーター・ダルースは2年前に妻を失くして以来、アルコール依存症に陥っている。精神科病院に入院して治療に当たっているが、ある日、「ここから逃げろ、殺人が起こる」という声が聞こえる。どうやら病院内で変事が発生しつつあるようだ。するうち、第一の殺人が起き、ピーターは所長の依頼もあって素人探偵の任を任されることになるのだが……。 ----------------- 1936年にパトリック・クェンティンがスタートさせた〈ダルース・シリーズ(The Puzzle Series)〉の第1作『A Puzzle for Fools』を2012年に邦訳した文庫です。 様々な病を抱えた精神科の患者たちや、日勤・夜勤を問わず一癖も二癖もある医療スタッフが登場して、物語が進んでいきます。 物語の発端となった〈謎の声〉の真相や、重要物件が消えたり表れたりのからくりが少なからずご都合主義的で、合理性を伴っていない印象が拭えません。 のちのちシリーズの主要人物となっていくピーターとアイリスの馴れ初めも、短兵急な展開で、今ひとつ深みに欠ける気がするのは私だけでしょうか。 古き良き時代の本格謎解きミステリとしては楽しめないでもありませんが、物語が病棟の外には一歩も出ないため、あの、大恐慌によって社会が傷つき、なおかつ戦争が徐々に現実味を帯びつつある時代が醸す雰囲気も感じられない点にも物足りなさを覚えました。 ----------------- 翻訳でひとつ気になった点を記します。 *25頁:「ちなみに彼女はミス・ブラッシュが華やかなのと同じくらい地味だった」という訳文があります。「華やかなのと同じくらい地味」というのが日本語としてこなれていない感じがします。英語の原文を確認したところ、「Incidentally, she was as plain as Miss Brush was pretty」となっていました。日本語では「AとBは同じくらい華やかだ」とか「AとBは同じくらい地味だ」とは言いますが、「Aが華やかであるのと同じくらいBは地味だ」のように正反対の形容詞を「同等だ」とは言わないものです。 英語の〈as~ as〉は「同質性」を表す場合だけではなく、比較対象となる二者の「対照性」を表す場合もあります。以下、ネット上で拾った例文を記します。 (例)She is as brisk as he is shy. 「彼女は活発なのと対照的に、彼は照れ屋だ」 (例)The one is as proud as the other is modest.「甲は乙の謙遜と正反対に傲慢だ」 このように英語のasはあくまで〈同時性〉を表すものであるので、〈同質〉なものも〈異質〉なものも、〈同時〉に並列することが可能です。 上述の「she was as plain as Miss Brush was pretty」も〈異質〉なものを〈同時〉に並べて〈対称性〉を際立たせていると解釈すべきでしょう。訳文は、「ちなみに彼女は地味である一方、ミス・ブラッシュは華やかだった」とか「ちなみに彼女は地味だったが、ミス・ブラッシュはそれとは違って華やかだった」くらいにするのが適当だと思います。 . | ||||
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一種のクローズド・サークルもの(?)かもしれませんが、その環境が特殊なので、正直なところ臨場感にやや乏しい…でしょうか。 中盤から、「あいつとあいつは怪しいぞ、どちらかが犯人かも」と予測できたので、意外感もあまりなかったです。 テレビドラマとかにしたら案外面白そうな気がしますけど、恋愛的な場面が結構出てくるので、そういうのがあまり好きではワタクシにとりましては少々読みづらかった(主人公も犯人探しを外してしまうし…) | ||||
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パトリック・クェンティン著、白須清美訳『迷走パズル』(創元推理文庫)はアメリカのミステリーで、パズルシリーズの第一作目である。主人公は演劇プロデューサーであったピーター・ダルース。妻を亡くしてアルコール中毒になり、精神病院に入院して治療中である。そこで殺人事件に巻き込まれる。 精神病院が舞台となり、様々な精神病患者が登場する点がユニークである。主人公達は殺人を警告する声を聞く。それが精神病患者の妄想か、実在する声なのか、謎が深まる。 『迷走パズル』はシリーズ物の第一作目であるが、三作目の『人形パズル』を先に読んでいる(林田力『二子玉川ライズ反対運動9ブランズ二子玉川の複合被害』「『人形パズル』米国社会の精神風俗」)。『人形パズル』を「本が好き!」献本で読むことになり、興味を覚えて第一作目を読むことになった。 『迷走パズル』と『人形パズル』は大きく異なる作品である。主人公の立場が異なる。『迷走パズル』ではアルコール中毒の入院患者であったピーターは人形パズルでは立派な海軍将校になっている。『人形パズル』で活躍するアイリスは迷走パズルでは受け身のままである。共通点は主人公が探偵的に振る舞うものの、真相の説明者が別に存在する点である。 『迷走パズル』の時代は禁酒法制定とも遠くなく、WASP的な倫理観が高揚した時代であった。その時代にアルコール中毒患者を主人公とすることへの是非はあるだろう。現代日本で脱法ハーブ中毒者を主人公にするようなインパクトがある。後の『人形パズル』でも、どうしようもない酔っぱらいを登場させながら、ダメ人間として描いていない。 せめてもの救いは主人公のアルコール中毒設定が過去の設定になっており、主人公は最初から正常であることである。不幸に直面したからアルコール中毒に陥ったというだけで、主人公にアルコール中毒らしさの描写はない。日本社会には特殊日本的精神論やヤンキー的な気合主義、自己責任論で貧困に陥った人々に頑張ることを強制する愚かな傾向があるが、反貧困のセーフティネットで支えることが大切であると感じた。 | ||||
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他の方のレビューを参考に、購入してみましたが、本当に面白いです! 1936年に書かれた本ですが、全然違和感なく読めます!! 最近の推理小説は子どもの虐待場面が出てくるものが結構あって(ミレニアムにも出てきますよね・・・)、読むのが辛かったのですが、 これはそういうことを気にせず読めました。もちろん続刊もすぐに購入しました、お勧めです!!! | ||||
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いいね!!と致しましたが別名義の方も宜しく御願い致します!! ★評価は5。東京創元社御中!! 勿論全冊文庫化希望!! | ||||
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これは、楽しい。数時間で、読み切ってしまった。設定等は、聊か古いかと、後から気付いたが、それも、読後に、1936年の作と、知ってからのこと。個々、登場人物の振る舞いには、微塵も、古めかしさを感じない。話は、本格推理の王道とも謂える、孤立空間での神経戦なのだが、高級な神経系療養所という環境や、控え目に異常な登場人物達、軽妙な会話、軽いロマンス、それに、ちょっとオカルト風味の現象続発で、飽きる事無く、引き込んでくれる。そうした会話や、事象の中に、伏線が、網の目のように張られて、しっかりと、迷走させてくれる。主人公が、最後で、間違っているとは思ったのだが、どんでん返しの結末は、全然、外れてしまった。しっかり読める人は、わかっちゃうんだろなあと思うと、・・・悔しい。 ぎりぎりの所で、悔しい思いをさせられると、やっぱり、面白いと、実感できる。それに、フィルポッツの「闇からの声」なんかが、頭にあったろうかとか、「そして誰もいなくなった」に、影響しただろかとか、つまらん想像も湧くところが楽しい。 本シリーズの第2作も、販売開始との事で、いそいそ、予約してしまった。他に既訳もあるので、入手検討中である。 | ||||
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イギリス人作家(後年にアメリカに帰化)ウェッブとウィーラーの合作ペンネームである推理作家パトリック・クェンティン名義の第1作となる著者の代表作「ダルース夫妻」シリーズの第1弾です。本書が刊行されて改めて感じたのは東京創元社様のご努力に対する感嘆と感謝の念です。近年のヘレン・マクロイ作品「幽霊の2/3」他の復刊を初めとする絶版書の刊行には毎回驚かされ嬉しい喜びを味わっていますし、何より全てが新訳で非常に読み易いという点が特に素晴らしいと思います。今回の訳題「迷走パズル」はオールド・ファンの方には耳慣れず違和感を覚える部分もあるかも知れませんが、でも重々しくなく今風のライトな感覚で却って新鮮な魅力があって良いのではないかと思います。 妻の死のショックから2年間酒浸りの日々を送って来た演劇プロデューサーのピーター・ダルースは遂に療養所(実は精神病院)に入院する事となる。ある夜担当医から睡眠薬を禁じられベッドで悶々としていたダルースは、何と自分の声が語り掛けて来て殺人の予告をするのを聞いてしまう。所長の精神科医レンツ博士に相談すると最近似た様な変事が院内で起きているとの事で、ダルースは所長から密かに患者達を探って欲しいと調査を依頼されるのだった。 本書を読んでまず良いなと思ったのは、作中に精神を病んだ人々を多く登場させながらも個々の人間性を尊重して憐れみや暗さをほとんど感じさせない点です。その意味から終盤に降霊術に取り憑かれた青年と窃盗癖のある老婦人に犯人を罠に掛ける手助けとなる役柄を与える筋書きには感心しました。肝心の推理についても、盲点を突いた意外な犯人の隠し方が巧みで、犯行手順にも矛盾がなく全体的にスマートでまずまず上出来の部類だなと納得出来ました。特に終盤で犯人の名前を告げずに読者を散々焦らしておいて、最後に二重の意味でどんでん返しを演じる構成がお見事です。そして何と言っても本書のハイライトは、後に夫妻となるピーター・ダルースとアイリス・パティスンの恋が芽生えるロマンス・シーンで、真犯人に濡れ衣を着せられて逮捕目前となったアイリスを必死の思いで救おうと奮闘するピーターの活躍には(探偵の結果は全く関係なく)大きな感動を覚えました。それから厳しいのが当然の警察官なのに心優しくダルースの親身になって思いやりを見せてくれたクラーク刑事が私はとても大好きになりました。本書は今読んでも全く古めかしさを感じさせない良質のミステリーだと思いましたので少し甘いかも知れませんが私は評価を5つ星とさせて頂きます。 解説によると第2作の超希少で入手困難な名作「俳優パズル」の復刊が予告されておりまして、「ダルース夫妻」シリーズ全9作の内、第4作「悪女パズル」(扶桑社文庫)第5作「悪魔パズル」第6作「巡礼者パズル(近刊)」(論創社)の3冊はどうにか読む事が可能な見込みですので、残りの四冊(既訳3作と未訳1作)の紹介をぜひ実現して欲しいと熱望致します。 | ||||
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ミステリ・マニアの方は、よくご存知だと思いますが、パトリック・クェンティンというのは、リチャード・ウイルスン・ウエッブとヒュー・キャリンガム・ウィーラーとの合作時のぺン・ネームで本作が最初で以後女郎ぐもまで続きます。 物語は通常ありえない設定だと思いますが、ミステリだから許されるのかな?やり手の演劇プロデューサー、ピーター・ダルースは、劇場火災で妻をなくし、以後酒浸りの生活を続けます。そして、彼の身を案じた友人達に治療のため精神病院に入院させられます。病室で寝ていると彼の耳元で、何者かが殺人が起こるよ囁きます。ピーターは他の入院患者にもこの囁きを聞いたものがいることを知ります。ピーターは、院長のレンツ博士の協力の下調査を開始しますが、ついに拘束衣を着せられ窒息死させられるという不思議な状況での殺人が起こります・・・ パズル・シリーズの第一作です。美人の入院患者、アイリス・パティスンとのロマンスも絡み(以後のシリーズでは予想通り2人で活躍する事になります)、面白い展開になっていますが、肝心の謎解きは少しアンフェアな感じがしないでもありません。物語は一種のホームズ&ワトスン物として読めないこともありません。この場合、当然ワトスンは、ピーターですね! 以前はかなり出ていたパトリック・クェンティンそして、Q・パトリック(前者と後者では作風がかなり違います。それは、ウエッブと他の著者共作だからです)の作品はかなり少なくなりました。この作品が、再評価のきっかけになるよう願っています。 | ||||
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精神病院でアルコール中毒を療養中の元ハリウッドプロデューサーが 自分の声で「殺される」と幻聴が聞こえ、 また周りにも同様の幻聴が聞こえた人もいることから、 リハビリがてら試しに探偵を始めたところ殺人事件が起き、 しかも精神病院内で好みに思ってた女の子に容疑がかけられたため 頑張って解決するかといったストーリーです。 迷走パズルは過去に雑誌で翻訳されたものの、書籍にはなっていなかった作品 なのでミステリー好きなら是非とも抑えておく一品です。 特にクリスティ好きの人には楽しめると思います。 次作の俳優パズルは長らく絶版で、古書でも高価なものでもあり、 作者の最高傑作との評判なのでこちらも楽しみです | ||||
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