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自殺自由法
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自殺自由法の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.45pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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「嘔吐」とか「グロテスク」といったタイトルの小説があるから こういうタイトルもありなんだろうな――と、ふと手に取って 軽い気持ちで読み始めた私の眼の中から頭の中へと入り込んで、 ある時は上司が部下の胸ぐらを掴むその怒鳴り声のように、 またある時は銃声の様に、 かと思えば音もなく放たれた吹き矢に塗りつけられた毒の様に、 素早く駆け巡りかつ鈍く鳴り響き続ける文章が詰め込まれている作品でした。 言葉で表現しきれる限りの最上級に乱暴な、過激な表現をふんだんに用いて、です。 こんな小説があっていいのか。 初めて読んだ時は恐怖と戦慄で一杯でした。 締めに「本作脱稿直後筆者は鬱に陥りました」とある通り 私も暫くはこの世の全てが恐怖に満ちているようなモヤモヤした気分から 抜け出せませんでした。 が、それでも最後まで読んでしまいました。 なぜなら私が最も評価したい本作の文章のテンポの良さは、 次を読みたい次を読みたいという気持ちを掻き立たせてくれるものだったからです。 この作品の面白味は 一話完結のエピソードが続くそのテンポの良さで綴られる、普通の小説では絶対に出来ない 悲惨かつ残酷な展開の痛快さを味わう事にあるのだと思います。 それを痛快だと思えれば、ですが。 作中における死者の死因の大半は、自殺ではなく事故や他殺によるものが殆どです。 さらに自殺する人間の動機のうち半分以上は「他者からの強要によるもの」です。 特に後半はそれが顕著です。もはや自殺でもなければ自由でもありません。 ゆえに見る人にとってはある意味肩透かしな内容に感じるかと思います。 主題であるべき自殺自由法という法律の裏にある真実だとか、 それに纏わって出てくるべきであろう社会の暗部や人の命の意味といった核心に触れる描写というものは少ないです。 しかしそんな事は読む側にとっても書いた側にとっても、 ハナから問題には成り得ない事だろうな、と感じました。 余談ですが、私は文庫版と単行本版を両方購入しました。 どちらかと言うと単行本版の方が大きく読みやすい気がします。 | ||||
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政府公認で自殺ができる世界で、人間心理の闇を探る問題作という紹介がされていますが、そんな大層な印象は感じられませんでした。どうしてそのような法律が執行されたのか、自殺センター(作中では自逝センター)ではどのような事が行われているのかには一切触れられず、登場人物達がそこへ向かうまでの経過を綴った群像劇として描かれています。 何の理由があるわけでもなく、あったとしてもそれには触れられずに大前提として満15歳以上の日本国民は自由に自殺できることを認める自殺自由法が制定された世界が提供されます。恐らく、作者の視点はそのような世界での人々の心情や行動におかれているのだと推測しますが、個人的にはその社会状況や施設のほうに興味が行ってしまいます。 問題作と構えて読むのではなく、娯楽小説として軽く読み飛ばすのが正しい読み方でしょう。間違っても生と死の問題に思いを至らせるなことはないと思いますが、もしそうなってしまったら読み方が間違っているのかもしれません。とはいえ、読み方は人それぞれなんですが。 | ||||
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