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葦と百合
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葦と百合の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.67pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
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どうやら私は、この作者の文章と相性が良いらしい。冒頭を読んだだけで、文筆家にしか書けない美文だと感じ、読んでいて心地よいのだ。作者が影響を受けている、夏目漱石を読んでるみたいに感じた。 さて、処女長編らしいが、凝りに凝った構成で、随分と力が入っている。一応形としてはミステリーだけど、推理しようなどと無駄な試みはせず、美文を楽しみながら、ストーリーを追うことに専念。それで十分に面白く、作者らしい虚実織り交ぜた、幻想的ミステリーを堪能する事が出来たと思う。 ただ、終章は余計だったように思う。作者としては、全ての謎を解明する、ミステリーの解決編のつもりなのか知れないが、少なくとも、私には理解出来ない謎が沢山残った。開き直って、謎は謎のまま残せば良かったと思うのだが。 | ||||
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「かつての奥泉作品」は、単なるミステリーではなくて、メタフィクションと幻想文学が渾然一体となって、輝いていた。 いまのミステリーファンも推すような作品も勿論よろしいのですが、『シューマンの指』にうなった人には特にに読んでもらいたい傑作がこちらの作品。 こんなスゴイ作品が品切れなんてもったいなさすぎると思って、義侠心(?)で、レビューしました。 ラスト前の異常な迫力とシーン(状況)はなんともいいようがないです。 中井英夫の『虚無への供物』が好きな人には、その「90年代版」としておすすめできます。民俗学や、ドイツ詩句、庄内の森、昭和のコミューン思想と資本主義、等々、純文学の作家が駆使する思想的な味つけにも大いにひかれます。 個人的には、おなじく九十年代の『ねじまき鳥クロニクル』などよりもずっと革新的な作品だと思うのですが、向こうがちゃんといちおう着地するのに比べて、こちらはラストにブンガクしちゃっているところが、一般ウケしないのかなとも思う。 | ||||
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あらすじは「商品の説明」にあるので割愛させていただき、感想のみの記載で失礼させていただく。 この物語では、虚構と非虚構を対立関係から解き放っている。日頃は相容れない要素として捉えられがちな虚構と非虚構(とされるもの)のあり方について、考えさせられた。 ありえない、とされる構造の提示。話の構造全体が、語るという行為の比喩になっている、ともいえそうだ。 あらゆる現実は語られる行為を通じて、単一の事実から幾通りもの可能性を剥落させていく。それは、たとえば認識のゲシュタルトの揺るぎない人々にとっては、乾癬からはがれ落ちていく皮膚のかけらのようなものにすぎないかもしれない。痛みはおろか痒みすらほとんど自覚されないほど微細なレベルでの、絶え間なく乾き続ける死の堆積。だがある種の並行世界において、それらは現実より遙かに生々しく人に迫るのではないか。 「物語が現実を乗り越える」という「現実」がありうる……少なくとも、個人にとってのある特定の世界においては、物語がそれまでの日常と立場を逆転させてゆくような事態が出来しうる。そういうフィクショナルな現象を、身をもって示したフィクション、という印象。 人が異界に呑みこまれて生きる時間、物語が現実を乗り越えるという現象を、物語る行為によって示す――そこにフィクションの醍醐味があるのではと、気づかされた。 また、すぐれたフィクションはジャンルを問わないジャンル小説に向かうのではないかと、実感させられた。 | ||||
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語れば語るほど現実が異なる形を見せてゆくという奥泉お得意の展開が、本作品においては成功している。本格推理的な完全に割り切れるお話が好きな人にはオススメできないが、そのペダンティズムといい、実に濃密な出来栄え。 | ||||
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語れば語るほど現実が変化してゆくという奥泉得意の展開が本作品においては、成功している。本格推理的な完全に割り切れるお話が好きな人にはオススメできないが、そのペダンティズムといい、実に濃密な出来栄え。 | ||||
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昔の恋人が暮らす山奥のコミューンを訪れた主人公が、事件に遭遇する。現実と幻想が交錯しながら、推理小説っぽく話は展開していきます。しかし、後に芥川賞をとる著者の作品ですから、普通のミステリーではありません。「このミステリーがすごい」で上位に入った「グランド・ミステリー」より、私はこっちのほうが面白いと思う。 | ||||
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