解錠師
評判
解錠師の評価:
4.02/5点 レビュー 100件。 B ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全129件 121〜129 7/7ページ
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解錠師の評価:
4.02/5点 レビュー 100件。 B ランク
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聞き覚えがあるような無いような不思議な語感を持つタイトル。
インパクトのある赤い装丁に特徴的なフォント(恐らくオリジナル)で早川ポケミスの好調ぶりが伝わってまいります。
内容も上出来です。
刑務所に10年近く収監されていると思わしき主人公の回想でつづられる物語。
少年期の悲惨な出来事で家庭を失った主人公、マイクル。
ふとしたことから「錠前」の仕組みとその解放に取り憑かれたかのように血道を上げる日々、そしてその卓越した解錠能力がもたらした厄介ごととその渦中で出合った少女・アメリアへの想い。
彼女との出会いによってアウトサイダーとして生きてきた若者に訪ずれる青春の日々。
しかしマイクの解錠師としての卓越したセンスは予期せぬ運命を彼にもたらす事に…。
フリーランスの解錠師として様々な犯罪者たちと関わることとなったマイクはその能力と才覚だけを頼りに綱渡りを続けていく。
しかし自らの人生の軌道を修正すべく後戻りの効かない危険なヤマに一か八かの大きな賭けに打って出るのですが…。
主人公の解錠師としての能力が大きなカギとなった物語であり、さすがに微細に描写されるそのシーンは緊迫感がみなぎっております。
メカニカルな錠前の構造に関する知識はもちろんのこと最終的にマイクをプロ中のプロとならしめるのは一つ一つ異なる錠前のデリケートな個性を嗅ぎ取るセンス。
その点をマイクに教え込む老練の解錠師「ゴースト」との交流も本書の大きな読みどころ。
本音を言えばこの二人の子弟関係の交流部分をもう少し読みたかったですね。
マイクの解錠師としての能力に焦点が当てられてはおりますが、この主人公の特異性はそれにとどまらない。
別に隠されておりませんので書きますが、彼はある理由から「声」を失っております。
全編を通じて一度も彼の「会話」シーンは出てこないのだ。
解錠師としての能力、そして声を持たない境遇、これだけでお膳立ては十分なのだがさらにもう一点。
マイクは「絵」に対しても特筆すべき能力を持つ若者で、その能力が彼とアメリアの「会話」につながる展開も巧い。
しかし普通ならこれら3つの特異点を一人の主人公に付与するとなるとさすがにリアリティが失われそうなモノ。
しかし本作においてはマイクの心の声によって彼の揺れる心情や緊迫する犯罪状況などが詳細に活写されており上滑るようなことは無い。
もう少し軽い読み物にすることも十分可能だったとは思うのだがそのタッチは意外なくらいシリアスです。
二つの時系列を並行して描きながら、マイクが決定的な危機に見舞われるそのクライマックスに向かって収束して行く後半の盛り上げも中々に巧みだ。
一応「犯罪ミステリ」の体裁をとってはおりますが特異な能力を身に付けた若い犯罪者の物語であり、変則的な青春小説としても十分に堪能できる好篇です。