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巴
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巴の評価:
| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt | ||||||||
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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| 隔月雑誌に1996年から24回連作したものを改稿した、作者にとって初めての長篇小説。3部構成の全27章だが、短篇27作品といった趣である。各章はおもしろく連続TVドラマを見るようだが、全体を通してみると一本調子。毛鉤、文京区界隈、東大生、宮仕えなどに一家言を吐いたり、官能場面を数多く散りばめたりして、エンタメ性で読者を引きずってゆこうとする。長篇としての成立過程の影響も多分にあろうが、状況の饒舌な描写と説明とがのたうちまわる文体でなされ、コトの進行が遅延し萎縮してしまっている。モノとコトとの按配がよろしくないともいえる。饒舌で緩慢なのは土俗性の故からだろうか、それとも時間の進行をも幻想化しようというのだろうか。どちらにしても過剰さはいただけない。気っぷのよさとは無縁、野暮天の仕業に堕してしまう。ブルーフィルム、シャブ中毒、怪しい洋館、過去の汚濁、とにかく雰囲気を立ち昇らせたいとみえる。劈頭からして、蔦の這うガラス温室での主人公と依頼主の老人との対峙とその指癖、白黒のハードボイルド映画で見たような場面である。作者の意図が何処にあれ、暴力溢れる展開には、これまでの短篇の読者は戸惑いを覚えるかもしれない。吉兆あるいは二組の男女の愛欲を表すことになった「まんじ」ではなく、武具に由縁する渦巻の印「ともえ」、作者と作品と読者とが円環をかたどることなく三竦みになっていると思う。 | ||||
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