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真夏の方程式
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真夏の方程式の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.86pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全225件 221~225 12/12ページ
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著者のガリレオ長編の第3作目である。 この長編のシリーズでは、必ずさまざまな形の“愛”がテーマになっている。 本作では男女の愛、親子の愛、そして子供の未来に対する大人の愛がテーマであり、ミステリを醸し出すキーとなっている。 なんとも美しい作品である。 夏の、海と太陽のもとで、ストーリーが進行する。 もちろんミステリなので、犯罪がある。 しかし、風景と同様に、人の心も美しいということが、如実に語られている。 ストーリーの中心は、ひとりの少年の夏休みの経験である。 避暑地の親戚の旅館でひとときを過ごすことになった少年を中心として、前半のストーリーは進行する。 湯川と恭平少年の交流は、なんとも微笑ましいものなのだか、実はここに、のちに重要なキーとなる事項が、伏線として鏤められている。 そして後半、さまざまなことが明らかになる。 それとともに、その真実がどのように恭平少年の人生に関わってくるのか、ということが、読んでいて大変気にかかる。 しかし、それと反比例するように、恭平少年の出番は、終盤に近づくにつれて少なくなっていく。 そして終盤で、少年は前半とは異なる成長した姿で登場する。 少年は自分の足で歩くことの痛みと、それを理解する大人が存在することを知る。 そう、本作は、ひと夏の少年の精神的な成長の物語といえるのである。 科学に興味のなかった、ある意味では依存性の強かった少年が、一歩大人に近づいたところで、本作は終了する。 この少年の成長が、湯川との邂逅によるところが、本作の読みどころであろう。 だから、少年に対する湯川の言葉や態度を見落とさないことである。 いつもの湯川とは、ちょっと違うのだ。 さて、ミステリとしては、動機がいまひとつ弱かったり、心情的に納得できない点(やらせるわけがない)など、不満なところは多々ある。 しかし、これはミステリの皮を被った愛情物語であり、少年の成長物語なのだ。 そして、少年を成長させるための湯川の手段は、愛情を背後に隠した、とてつもなく冷静かつ冷徹な科学者のものなのである。 中盤のあの場面、後半部分で詳しく描写されてこそいないが、恭平少年にとって、あの行為の意味とその意図は、とても半端な重さではないはずだ。 だが、ラストを読むかぎり、恭平少年はそれをまっすぐに受け止めたようである。 本作は、ぜひ映像化してほしい。 海、太陽、花火、そして自分を導いてくれる大人との邂逅という、これ以上ない夏を経験した少年の物語として。 そして、たとえフィクションであれ、未来のひとりの科学者のおそらくは誕生を、科学者のひとりとして心から喜びたい。 | ||||
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直木賞をとった『容疑者Xの献身』も『聖女の救済』も、こんなやついるかよって思いながら読んだので、トリックが秀逸でも釈然としなかった。短編とは違って科学の知識もいらないし。『真夏の方程式』も物理学者としての湯川が必要だとは思えず、そもそも凝ったトリックがあるわけでもない。しかし、とてもガリレオらしい作品になったと思う。その原因として、小学生を登場させたことがある。湯川と小学生のやりとりがとても愉快で好ましい。科学嫌いの小学生に湯川が科学のおもしろさを教えていくのだけれど、決して子供扱いはしないのだ。表現しにくいけれど、大人はかくありたいと思わせる。それでいて優しさもある。もちろん、この小学生は増量剤などではなく、重要な役割をもっている。読み進めていくと、人情話になってきて、加賀刑事の方がよいのではないかとも思ったのだが、ラストを読んでこれは湯川じゃなければだめだと納得した。一つ間違えれば暗い話をガリレオがさわやかなものに変えてくれる。普通の小説として良い作品だと思う。 | ||||
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で一番心うたれた作品。 個人的には東野圭吾さんの作品の中で「秘密」の次に感動した。 今作の湯川はいつものように実験も推理もあまりしていない…ような気がした いつものようにクールで理屈っぽいところはそのままだが、科学者としての湯川が今までの作品よりは影を ひそめていたように思う 湯川らしくないと思っていたのだが、読了後は今作の湯川の一面も魅力的に感じた 久しぶりに本を閉じ終えた後に心地よい余韻を味わえた。 文庫を待たずに今買って読む価値あり | ||||
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読んでいるときは淡々と… でも、本を閉じた後に、静かにジーンと余韻が残るお話でした。 次第に明らかになる2時間ドラマにありがちなドロドロした人間関係も、最後には幻想的な海底と、少年の輝かしい未来…そんな美しいモチーフで洗われて、さわやかな読後感。 夏休みに読みたかった。 物理的なトリックは弱くて、あまりそれ自体の推理の醍醐味はないし、フーダニットも対象が実質1人、もう終盤はお涙頂戴にまっしぐらなんだけど、相変わらずの湯川先生の科学者語り、警察官たちの様々な視点、人生イロイロ、定番の要素はバランスよく盛り込まれていて退屈しませんでした。 しかし、湯川先生、めちゃめちゃ人間臭くなりましたね。 これはこれで魅力的だし、まさに彼の言うところの「成長」なんじゃないかなーと思います。 シリーズ最高の一編!とは言いませんが、佳作と思います。 オススメ。 | ||||
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ガリレオシリーズは「容疑者Xの献身」以来、「ガリレオの苦悩」や「聖女の救済」等の作品が発刊されてきましたが、期待が常に高いせいか、読み応えに欠けるものがありました。三月に出版された麒麟の翼も、著者本人が傑作と認めたということもあり、かなり期待していたのですが、個人的に正直満足に欠けました。 そして、三連続刊行の第二弾として発刊された「真夏の方程式」ですが、科学的、物理的トリックの希薄さ、殺害の動機の不透明さや、ありがちな過去の秘密等々、気になる点はいくらかありましたが、今までのガリレオシリーズの中では、今回の作品はかなり読み応えがあると感じました。子供が元来苦手なはずの湯川の終始子供と関わるシーンが描かれていたりと、今までの作品とは違うガリレオワールドを味わえるかと思います。東野さんのお得意な、ただの推理物語だけに止まらず、物語全体を通して生まれた、深い人間味というか人間の温かさというものを最後に垣間見ることもできる、爽快な読後感を残す作品に仕上がっているとも感じました。今年の夏に持ってこいの傑作だと思われます。時間があれば、飽くことなく一気に読み上げることもできると思いますし、じっくり時間をかけて読んでいっても楽しめると思います。よって、買う価値ありとお薦めいたします。 | ||||
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