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地の果ての獄
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【この小説が収録されている参考書籍】
地の果ての獄の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.75pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全16件 1~16 1/1ページ
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下巻の最初の3章は上巻の最後の3章とダブってます これどうなの? | ||||
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上下巻を通しての感想。 明治時代の極寒の北海道の監獄を舞台に、多彩な人物(主にアウトロー)と彼らが織りなす多彩な物語が描かれる。 ストーリーに起伏があり、上下巻という長さをあまり感じず、良質な娯楽小説を読ませていただいたという読後感。 個人的な難を言えば、上巻に登場した印象深い囚人たちの内、クライマックスで再登場するのは牢屋小僧だけで、五寸釘の鉄と畑寺元巡査の出番がなかったこと。 もう一つは、主人公である有馬四郎助の見せ場があまりないことである。 いずれにしろ、歴史にさほど興味がなくても、アウトローが活躍する娯楽小説が好きならおススメの一篇です。 | ||||
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小生が申し上げるまでもなく、一品です。他の明治ものと併せて読みたいものですね。 | ||||
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山田風太郎は歴史上の人物の好き嫌いがはっきりしていて、この作品にも現れていて興味深く読んだ。 | ||||
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登場人物はほぼ(?)実在のようだが、エピソードは創作のようだ エピソードは創作でも、樺戸道路を作る際のことなどは実際だろう なるほど… 今は便利に使わせてもらっている樺戸道路だが、未だに囚人たちの歩く音がするという | ||||
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蝦夷地(北海道)に看守として就任する薩摩出身の若者、有馬四朗助が主人公。就任先の樺戸集治監で出逢う様々な人を教師、または反面教師としながら自らの生き方や自己を確立してゆく。明治という時代において看守たちが行う囚人達への理不尽な扱いや、まだほとんど未開の蝦夷地の雄大かつ厳しい自然の情景などを読者の頭に浮かべさせる筆致には圧巻させられる。 | ||||
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今まで、と読み継いできたが、いずれの作品もクライマックスの盛り上がりに鳥肌がたった。あと読者に親切だと感じたのは、ページをおいて久しぶりに登場してきた人物もさりげない筆致で読者に思い出させてくれるので忘れっぽい私には大変ありがたい。 | ||||
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風太郎の「明治もの」第3弾で、時代設定は明治19、20年、舞台は北海道・月形の樺戸(かばと)集治監(明治14年設置)。主人公は看守として着任した有馬四郎助。“愛の典獄”と呼ばれた実在の人で、その知られざる若き日の冒険を伝奇仕立てで描く。 四郎助にキリスト教の影響を与えた教悔師・原胤昭(たねあき)が冒頭に登場するが、原は「明治十手架」の主人公であり、本作はその続編でもある。 物語は、囚人と看守たちが娑婆にいたときの因縁話を短篇連作の形で展開していく。個々のストーリーでおもしろかったのは、西郷隆盛の死の真相をミステリー仕立てで扱った「西郷を撃った男」。 「飛騨忍法帖」にも益満休之助という薩摩藩士が出てくる。風太郎はここで、薩摩御用盗のリーダーとして活動した益満は、上野の彰義隊との戦争で戦死したことになっているが、実はその混乱に紛れて暗殺された。暗殺の指示を出したのは西郷で、御用盗が幕府の崩壊を早めたのは間違いないが、自らの恥部を隠蔽する必要もまた西郷にはあった、としている。 キリスト教というテーマが全体の通底音として鳴っているのだが、風太郎は囚人に、キリストは奇跡を行う一種の妖術師だと語らせている。 囚人の一人が聖書を読んでくれと四郎助に頼む場面、何で興味を持ったのか四郎助が訊くと、囚人は「幻術の奥義が書いてあるのじゃないか、それを知りてえ」と答える。この一節はまさに、キリスト教(そして仏教も)がなぜ広範囲に信者を獲得できたのか、その理由を述べている。 キリスト教も仏教も教えの内容はシンプルで常識的、どこまでも地味である(オリジナルは、ということだが)。それにも関わらず大量の信者獲得に成功したのは、隠し技として奇跡、超能力をアピールしたのではないか。 後半にはいって舞台が空知集治監に変わり、話の展開も過去の物語ではなく、四郎助自身が活躍する流れになる。 最終章「大奇跡」では原胤昭が再び登場して危機に陥り、それを四郎助たちが救出する。あの益満休之助が突然蘇るし、伴天連の妖術を目指した囚人が本当に奇跡を行ってしまう。あり得ない展開なのだが、上巻で巧みに張り巡らせておいた伏線が生きてきて、違和感を覚えない。 この最終章では、醜悪なる明治への呪詛が、この作家には珍しい激しい調子で書きつけられている。 | ||||
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下巻には短篇が5本、併載されている。 「斬奸状は馬車に乗って」。 「地の果ての獄」でも重要なモチーフになっている秩父困民党事件を、一人の血気にはやる若者の側から描いている。秩父に行けなかった彼が、仲間を検挙した刑事、放蕩を尽くす司法次官、秩父の民を絞り上げる高利貸しを殺そうとするが、意外な姿を見せつけられて敗北する。純粋だが浅薄なテロリストの心性の貧しさをえぐって、「明治暗黒星」に通じる内容だ。 「首の座」。非常に巧妙な構造を持たせたテクニカルな短篇。 土壇場になっても人はなかなか死なない、往生際が悪いという人間心理がテーマ。弾圧されても棄教しない幕末の切支丹リーダー、弾圧を加える九州総督・沢郷、その過去を暴く江藤新平と、対象をきれいに切り替えながら、同じテーマをそれぞれに投げかけていく。 江藤新平の最後の様子を初めて知った。佐賀の乱に敗れたあと、一ヶ月以上も逃走し、土佐で捕まっている。 「切腹禁止令」。 笑うに笑えぬ悲劇的で皮肉な滑稽譚で、風太郎のシニカルな一面がよく出ている好短篇。前半で描かれる切腹の実態は気分が悪くなるくらいリアルで、凄惨なもの。風太郎のグロテスク趣味の典型だろう。 「東京南町奉行」。 再読。内容はすっかり忘れていたが、やはり面白い。タイトルの付け方が秀逸。鳥居耀蔵の妖怪ぶり、頑迷ぶりは風太郎のほかの小説に出てくるテロリストと同じレベルだろう。しかし、仕事の意識がそれをさらに裏切るという風太郎の発想がすごい。 「おれは不知火」。 肥後熊本藩士で、フェンシングの突きの姿勢に似た特異な構えの剣法・不知火流を作った河上彦斎(げんさい)。幕末四大人斬りの一人だが、暗殺したことが確実にわかっているのは佐久間象山一人。 冒頭、その象山暗殺を描いているが、あとは象山の息子、恪二郎が父の仇を狙う話が延々と続く。幕末の混乱がそのまま反映した筋になっていて、風太郎好みの妖人が次々に登場し、彦斎というより佐久間恪二郎の異様な仇討ちの物語になっている。 象山は幕末の先見の明ある開国論者で、学問、書画、詩文、ことごとく一流の天才でありカリスマだったが、風太郎は優生学・遺伝学を振り回して女をはらませるエキセントリックな妖人として描いている。 | ||||
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書店で探すよりも早く入手することができたのでよかったですね。 | ||||
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書店で探すよりも早く入手することができたのでよかったですね。 | ||||
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久しぶりに山田風太郎を読んでみようと手に取った本。 基本的に忍法物だったり、戦国江戸時代物と思っていたのですが、 この時代設定のものも面白い。 この前に大泥棒 ―「忍びの弥三郎日記」に賊たちの技と人生を読むを読んでいたので、 ここに出てくる犯罪者達は奇天烈とは感じなかったんですよねえ。 確かに最後のクライマックスは山田節。 | ||||
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本作の主人公は有馬四郎助(ありま しろのすけ)。北海道樺戸集治監での看守募集に応募し、看守長兼書記となる。監獄改良と行刑制度の確立に務めた。 樺戸集治監が設置された経緯は、明治維新の動乱で多数の国事犯・重罪人がでたため、明治新政府は、収容する施設を早急に整備する必要に迫られたからである。 そこで、東京・宮城に続き全国で3番目、北海道で最初の集治監「樺戸集治監」が、収容者数約1,500人規模の「農事監獄」として始まったのである。 以上が歴史的事実で、ここまで揃えば、あとは風太郎翁に任せて物語を楽しめばよいのである。 | ||||
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「明治半ば、薩摩出身の有馬四郎助が看守として赴任した北海道月形の樺戸集治監は、12年以上の受刑者ばかりを集めた、まさに悪党どもが年貢を納めるにふさわしい地の果ての牢獄であった。正義感あふれる青年看守がそこで遭遇した奇怪な事件の数々を描きつつ、薩長閥政治の功罪を抉り、北海道開拓史の一齣を見事に切り開く圧巻。」 カバーの解説文より。 | ||||
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他作品に比べてやや閉塞感が漂う『地の果ての獄』だが、それは作品のスケールを損なわない。開拓地北海道の絶対的な自然の厳しさに対比し、人間の相対的な憐みと赦し、極限状況下での愛憎を描き込んだ壮大な歴史小説なのだから。 元新徴組剣客という残忍な性格の看守長ら獄吏に生殺与奪の権を握られ、過酷な開拓労働を強いられる樺戸集治監の囚人たちにとって、そこは炭鉱使役のある近隣の空知集治監と同じくこの世の生き地獄だった。 新任看守有馬四郎助(しろのすけ)は、やがて聖書を配って囚人の待遇改善を訴える教誨師原胤昭(たねあき)の熱意と人間性に魅せられ、野獣の群れ同然に眺めた囚人たちを人間として見つめるようになる。それは見えざる神の手による導きなのか。 飲んだくれの医師独休庵(ひとりきゅうあん)、新入りで牢名主に上る怪盗五寸釘の寅吉、不気味な一つ目囚人の牢屋小僧、アイヌ村の住人鴉仙(あせん)和尚こと細谷十太夫など強烈な個性の持ち主が次々と登場し、巻き起こる不思議な事件の裏に潜む錯綜した人間関係が炙り出される。 幕末堺事件の生き残りだという囚人が城山で西郷隆盛を狙撃した?!河井継之助との交渉を拒絶し戊辰北越戦争を泥沼化させた官軍の元軍監が北海道庁長官の実弟だった?!肺病を患う休庵医師の正体は?そして牢屋小僧が待ち望んだ奇蹟とは何か? 秩序第一に徹した鬼獄吏から、洗礼を受けてのち「愛の典獄」に生まれ変わった実在の人物がいたことを世間に知らしめることが、最後の二頁に有馬四郎助の略年譜を記した著者畢竟の目的であったように思える。 この刑務所長は恩赦で出獄する元囚人を友人として出迎え、自宅にお客さんとして連れ帰った逸話を持つ。英国には奴隷商人だった過去を悔い、聖職者に転じて有名な讃美歌「アメージング・グレイス」を作詞した人がいる。天啓を受けただろう人の生き方には、世の東西や時代の違いを超えて奇蹟と呼びたい何かがある。 | ||||
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山田風太郎といえば娯楽時代小説の大家。 近年は「甲賀忍法帖」が「バジリスク」のタイトルで漫画化・アニメ化したことでも記憶に新しい。 四郎助の赴任直後から監獄では度々不審な事件がおきる。 囚人が有り得ない不可能状況から脱走を図る。横暴な看守が変死を遂げる。 呑んだくれのアイヌ医者、人間の良心を信じ続ける神父。 それら多彩な人物に囲まれ囚人と触れ合ううちに、四郎助の心境にも徐徐に変化が芽生えていく。 なんといっても牢屋小僧がめちゃくちゃかっこいい。ほれます。野卑で狡猾、過酷な苦役と折檻にもめげず不敵な笑みを浮かべ続ける男。 そこはかとなく不気味な存在感で他を圧倒し、極悪人ぞろいの獄でも一目置かれる隻眼の囚人。 個性的な登場人物たちの中でも彼のキャラは異彩を放ってます。 収録作の中でいちばん好きなのは「邏卒報告書」。 元巡査の囚人・畑寺。根っから善良で真面目な畑寺が地の果ての獄で再会したのは、自分を騙し裏切り続けた親友・高戸。 同じ枷に繋がれた二人は元親友同士でありながら姑息な高戸は何度も畑寺をそそのかし、その友情に付け込んで美味い汁を啜っていた。 高戸の裏切りがもとで巡査の職と最愛の妻子までも失い、地の果ての獄に送られた畑寺を待っていたのは元部下で現看守の堂目の凄まじい虐待。 しかし根っからお人よしな畑寺はそこでも元親友を庇い続け…… 全部説明しちゃうとアレなんで、これはとにかく!読んで下さい。 騙され裏切られすべてを失った冴えない中年男、畑寺。 友人を破滅させておきながら反省の色はさっぱりなく、今また畑寺を踏み台に脱獄計画を練るこりない高戸。 最後の最後で畑寺が上げた台詞が、もうね……胸が熱くなる。涙がこみあげてくる。 あの台詞を叫ぶまで畑寺が経てきた人生が走馬灯のように過ぎって、活字がぼんやり滲む。 傑作です。おすすめです。 | ||||
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