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棟居刑事の殺人の隙間
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棟居刑事の殺人の隙間の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
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かなり前に読んだ作品だ。本書のストーリーはむろん、各章に付された独特の凝ったタイトルは読み前に読者を惹き付けるだろう。作家は「言葉のプロ」だが、「言葉負け」してはいけない。彼は言葉を自在に巧みに操り、森村ワールドへ誘う。「隙間(=スリット)」という言葉が端的に示すように、本書はスリットに零れ落ちた「人生の破片」を回収し再生する職業をもつ男とパートナーが事実上の主人公となり、事件の解明に挑む。最新刊『〜の恋人たちの聖地』でも(名前こそ違うが)同様のコンビが登場する。 本書で扱われる<事件>の展開性はなかなか面白く、大企業と政界の癒着という古くて新しいテーマを根底に置き、登場人物も多彩であるゆえ、相関関係をきちんと把握して読み進める必要がある。「隙間(=スリット)」をモチーフにする点も新鮮で、こうした職業のニーズは昨今のご時世に照らせば増しているのだろう。創作性は重要な要因だが、そこにもある種のリアリティがなければならない。森村氏がかつての『腐食の構造』(1973年)で本格社会派推理を大胆にみせてくれた、その余韻というべきものが本書から明確に感じられる。時代への鋭敏な嗅覚をもつ作家として森村氏は健在だ(ただ結末は些かインパクトに欠けるものだったと申し上げておこう。思わず「はっ」とするようなラストの衝撃を期待したが)。 すでに何度か書いているが、棟居刑事の登場がやはり遅い。事件捜査も警視庁一課ではなく「スリット」が当初は独自に開始するので、途中で「棟居刑事は本当に活躍するのか」と訝しげな心情に陥る。ただその彼が新宿西著の牛尾刑事とコンビを組むことが分かって安堵した(245頁)。逆説的だが、彼らの実質的な活躍(取り調べや推理の展開)が少ないぶんだけ、かえって精彩を放っているともいえようか。これは森村氏の戦略的な「演出」なのか。棟居シリーズはまだまだ続くだろうが、一ファンとして今後も注視していきたい。 | ||||
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かなり前に読んだ作品だ。本書のストーリーはむろん、各章に付された独特の凝ったタイトルは読み前に読者を惹き付けるだろう。作家は「言葉のプロ」だが、「言葉負け」してはいけない。彼は言葉を自在に巧みに操り、森村ワールドへ誘う。「隙間(=スリット)」という言葉が端的に示すように、本書はスリットに零れ落ちた「人生の破片」を回収し再生する職業をもつ男とパートナーが事実上の主人公となり、事件の解明に挑む。最新刊『〜の恋人たちの聖地』でも(名前こそ違うが)同様のコンビが登場する。 本書で扱われる<事件>の展開性はなかなか面白く、大企業と政界の癒着という古くて新しいテーマを根底に置き、登場人物も多彩であるゆえ、相関関係をきちんと把握して読み進める必要がある。「隙間(=スリット)」をモチーフにする点も新鮮で、こうした職業のニーズは昨今のご時世に照らせば増しているのだろう。創作性は重要な要因だが、そこにもある種のリアリティがなければならない。森村氏がかつての『腐食の構造』(1973年)で本格社会派推理を大胆にみせてくれた、その余韻というべきものが本書から明確に感じられる。時代への鋭敏な嗅覚をもつ作家として森村氏は健在だ(ただ結末は些かインパクトに欠けるものだったと申し上げておこう。思わず「はっ」とするようなラストの衝撃を期待したが)。 すでに何度か書いているが、棟居刑事の登場がやはり遅い。事件捜査も警視庁一課ではなく「スリット」が当初は独自に開始するので、途中で「棟居刑事は本当に活躍するのか」と訝しげな心情に陥る。ただその彼が新宿西著の牛尾刑事とコンビを組むことが分かって安堵した(245頁)。逆説的だが、彼らの実質的な活躍(取り調べや推理の展開)が少ないぶんだけ、かえって精彩を放っているともいえようか。これは森村氏の戦略的な「演出」なのか。棟居シリーズはまだまだ続くだろうが、一ファンとして今後も注視していきたい。 | ||||
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棟居刑事の殺人の隙間 (FUTABA・NOVELS) 森村氏の作品を初めて読まれる方にはおすすめです。衰えを見せぬ軽妙な文章で、一息に読むことができると思います。 ただし、森村氏の作品をかなり読破してきた私の場合、この作品を読み進めると、どうにも既視感が募りました。 「政財界の巨悪」「社奴からの脱出」「奇妙な縁」等々、森村作品には共通のキーワードが続きます。 今時、ステレオタイプな悪党政治家を描きたいというのは森村氏の政治的スタンスからくるものかもしれませんが、「社奴」という言葉も含め、時代遅れの感が拭えません。 主人公の生い立ちも他の作品にもっと悲惨なケースがあり、比較すると際立ったものではありません。 もっとも、最後の展開は少々肩すかし気味で、いつものパターンを破っているとも言えます。 森村氏が非常に多作のことを考えれば、その中に埋もれる凡作というのが、私の正直な感想です。 | ||||
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棟居刑事の殺人の隙間 (FUTABA・NOVELS) 森村氏の作品を初めて読まれる方にはおすすめです。衰えを見せぬ軽妙な文章で、一息に読むことができると思います。 ただし、森村氏の作品をかなり読破してきた私の場合、この作品を読み進めると、どうにも既視感が募りました。 「政財界の巨悪」「社奴からの脱出」「奇妙な縁」等々、森村作品には共通のキーワードが続きます。 今時、ステレオタイプな悪党政治家を描きたいというのは森村氏の政治的スタンスからくるものかもしれませんが、「社奴」という言葉も含め、時代遅れの感が拭えません。 主人公の生い立ちも他の作品にもっと悲惨なケースがあり、比較すると際立ったものではありません。 もっとも、最後の展開は少々肩すかし気味で、いつものパターンを破っているとも言えます。 森村氏が非常に多作のことを考えれば、その中に埋もれる凡作というのが、私の正直な感想です。 | ||||
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作者の社会派的モノローグを好む読者は別として、これが少なくなったので、ずいぶんと読みやすくなったと思う。探偵の誕生、魅力的な助手など、作風もミステリーの「約束ごと」を意識されてきたのかと思われた。往年には及ばずとも楽しめるレベルになってきた。芝田とのぞみのコンビであと2,3作は書いていただきたい。 | ||||
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作者の社会派的モノローグを好む読者は別として、これが少なくなったので、ずいぶんと読みやすくなったと思う。探偵の誕生、魅力的な助手など、作風もミステリーの「約束ごと」を意識されてきたのかと思われた。往年には及ばずとも楽しめるレベルになってきた。芝田とのぞみのコンビであと2,3作は書いていただきたい。 | ||||
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