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神の火
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神の火の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.58pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全53件 41~53 3/3ページ
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主人公の島田は島田海運の御曹司。最先端の原子力発電の研究者でもあった。原子力研究所を辞めた島田は、小さな科学関係専門図書輸入販売会社に勤めている。島田の出生は思い枷のように圧し掛かり、埋め難い心の空洞を生み出した。島田が原研を辞めた理由。空洞に吹く風が、上巻を駆け抜けていく。神の火とは… 人間が手を出してはいけない業火であろうか。人間を浄化する火であろうか。建設中の原子力発電施設を軸に、原発の絶対神話の土台の危うさが明らかになって行く。そして、戦後日本の危うさも明らかになっていく。心の空洞を埋めるのは希望かもしれない。島田にとっては、些細な行動すら必然である。選択した行動である。島田の緑の目は何を見て、何を考え、どう行動するのか。高村氏の研ぎ澄まされた感覚と、莫大な資料を要したであろう傑作である。 | ||||
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始めて読んだのが中学一年のとき、東と西と北があるのにどうして南がないんだ!と思ったのを思い出します。 冷戦を知らない、ましてや原子炉の構造もそれを取り巻く情報の国際的な奪い合いも知るはずのないお馬鹿な子供でも夢中になって読みました。 専門用語がごろごろ出てくるし、長いし、重いし、理解できない部分のほうが多いくらいなのに、面白くてたまらない。 小説を読む醍醐味を教えてくれる作品だと思います。 何度読み返したか分かりませんが、そのたびに自分の人生のふがいなさにため息が出ます。 出てくる人皆格好良いこと! | ||||
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正直難しかった。ストーリーが、というより専門用語が多かった。最後の方はハラハラして一気に読めたが、中間部分を理解するのにちょっと手間取ってしまった。でも、ストーリー展開はさすが高村 薫!!と思うほど面白かった。 | ||||
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このように熱く生きてみたい気がする。島田も良も己の幸せよりも信念を持った生き方を選ぶがそこが潔く男らしくてたまらん。とにかく高村薫作品の男達は力強く格好良い。平成生まれよ昭和の力を見よ!!って感じだ。ちなみに過激派推進な訳ではなくマインドの話ですがね。 | ||||
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この著者の作品を読んだのは初めてである。女性著者による作品であるにもかかわらず、理系用語の多用や硬めの文体を意外に思ったのが最初の印象である。また、女性の場合、人間の内面の描き方が丁寧という印象を私は持っているのだが、この著者にはそれも当てはまらない。そして誰が何をしたいのかがよくわからないまま、上巻を読み終える。 (下巻のレビューに続く) | ||||
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主な登場人物島田浩二、江口彰彦、日野草介、高塚良の4人にはいずれも独特とした感じが発せられている。主人公は島田だが、良がいないとこの話は完結しない。4人のの人間模様が個々に描かれている。それが高村薫の見せ所である。 話の内容は江口にスパイにしたてられてしまった島田が「トロイ計画」に巻き込まれてしまう。あくまでも最終的には島田と日野の冒険物であり、そこが最大の魅力であるが、経過には不要な箇所もある。文庫化で加筆したから尚更なのだが、ストーリーには不要でも読者としてはおいしく受け取ったつもり。あくまでも日野と江口は対立しないといけないし、島田と日野は仲が良くないといけない。そして良はひたすら自分の目標を達成しなければならない。皆が入り組んだ関係にあって皆がただすることをするだけ。小説だから作れる人間ドラマはストーリーには不要だが、面白い物だと思う。 個人的には冒険小説は好きだし高村小説はこれを読んで更に好きになった。しかし一般受けするかどうかは分からない。不要な部分は不要だと切り捨てる人もいるだろうし、内容が固く下巻は重い部分もある。高村小説好きならば読めても最初から読めるものではない気もしないわけではない。そう言うわけで星5つにしたが、個人的評価と受け取って欲しい。 | ||||
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「リヴィエラを撃て」が星5つ、「黄金を抱いて翔べ」が星4つ、「照柿」が星3つと、読んだ順に自分の中の評価が落ちていたが、この作品で再び星5つに返り咲いた。神の火=原子力 への問題提起がテーマの一つなんだろうけれど、やはり作者の描く人物により強く引き付けられる。島田が主人公だったこの話もいいけれど、高塚良が主人公の物語もぜひ読みたいと思った。 | ||||
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はっきり言って長い。もう少し分量を圧縮できたんじゃないだろうか。スタンダールの『赤と黒』をむさぼるように読んで一日で完読した私が言うのだから間違いない。「これって、なくてもいいじゃん」という箇所がいくつか目立ったし。ちなみにストーリーとしてはまずまず。細かいディテールに気を配っていて男気をくすぐってくれる。ストーリーはありがちといえばありがちだが、変な違和感を感じない証拠でもあるから別にいいでしょう。長さの問題が解決されれば星4つなんですが、私は「無駄に長い」という評価を下しているので星3つと言うことにしておきました。通勤電車で読むのには最適な作品です。 | ||||
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初めに文庫版を購入し、途中で止められずに睡眠不足になりながら読み終えました。その後、絶版になった旧版を図書館で借りてきて読みましたが、文庫版とはまったく別物でした。特に、高塚良の性格が全く違い、こちらのほうが強気です。私は小説全体としては文庫版のほうが好きですが、高塚良に関しては旧版のほうが好みです。 「わが手に拳銃を」と「李歐」の吉田一彰についても言えることですが、高村薫の登場人物は旧版の方が強気のようです。 | ||||
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混血として生まれたがために鬱屈した少年時代を送った主人公が、日本海に面した巨大原子力発電所爆破に挑むテロサスペンスの傑作。北朝鮮に対峙する故に万全の防備を施した発電所の警備体制の隙を蟻の穴を探すがごとく、綿密な計画と調査で崩していく。元原発技術者がテロリストであるから敵としては最悪である。途中で友人が加わり、付け足しのように女も僅かにでてくる。爆弾の事細かな作り方や原発の専門用語が飛び交い、荒々しい男達の息づかいが聞こえてくる。目的はカネではない。臨界に達した原子炉圧力容器の加圧された蓋を無理矢理こじ開けて、中で燃えているウラン235の火(神の火)を見るのだ。大胆かつ危険な挑戦に命を懸ける物語。 | ||||
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筆者の特徴は、細部へのこだわりにある。 原子力発電所が大きなポイントになっているこの本では、徹底的に原発そのものにこだわった。読んだ電力会社の人間が「なぜここまで外部の人が知っているのか」と絶句したとか。 しかし、読ませるのは筆力だ。スパイの厳しく、哀しい世界を、リアリズムと重ねた時、この作品が生まれた。 きっと読み終えた時、登場人物の一人ひとりが、そばにいるかのように感じるだろう。 | ||||
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「1行で事足りる連絡用の手紙のために、書いては消し、書いては消し、するつもりなのだろうか。いったいこんなときに、君はなぜそこまで、生きることに誠実でいられるのかと思いながら、島田の胸はいっそう重苦しくなった。」(283P)騙し、騙されるスパイの世界を描きながら、人間の「誠実」さ、あるいは「理想」を唯一の拠り処として生命をかける登場人物達。まだ上巻しか読んでいないので、主な登場人物達は1人も死んでいない。けれどもすべての人達の命は風前の灯のように見える。果たして彼らは生きる事が出来るのか、あるいは満足して死んでいくことが出来るのか、見守って行きたい。高村薫の描く世界の男達は、どうしてこうも「もの哀しい」のだろうか。 | ||||
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鉛色の海に面した巨大な原子力発電所。複雑な制御回路と鉄壁の保安設備を誇るこのハイテク施設の爆破をもくろむ男がいた。彼の名は島田。元原子力技術者でUNIXシステムのエキスパートが自らの知性と体力でこの難問に取り組んでいく。彼の裏にちらつくのは電力潮流制御システムにハッキングを試みる謎の組織「プラトン」、アメリカの秘密組織、親友の日野。これらの人間関係が複雑に絡み合いながら目的に向かって島田は突き進んで行く。原子力理論の専門用語やunixシステムの知識、原発のセキュリティや爆発物の薬品名など専門書に匹敵する内容で読む者を圧倒する。はたして臨界に達した原子炉圧力容器の運命は。島田の命は。 | ||||
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