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神の火
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神の火の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.58pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全12件 1~12 1/1ページ
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高校生の頃ですから、90年代ですかね、この本、読んでいたのですが、再読してみました。完全に中身を忘れていました。 原発技術者にして、ソ連に極秘情報を流すスパイだった島田。島田はロシア系の混血児で、江口によりスパイの手ほどきを受けた。 今は諜報の世界からは足を洗い、小さな出版社でつつましく生活していたが、なぜか「トロイ計画」という原発襲撃計画の秘密を知ることになり、諜報の世界に巻き込まれてしまう。 幼なじみの無頼系キャラの日野、ソ連からの亡命者らしい弟の如き良、そういう連中もからみつつ、はたして島田は…? なんか、あまり大した情報じゃないのに、原発を扱っているのが新しいというか。 というか、福島第一原発が弾ける前に、これを書いていた高村薫の慧眼、というのは凄みを感じました。 | ||||
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良が攫われて、それを取り戻すために血眼になる島田。島田の握った情報をめぐり、CIA、KGB、北朝鮮、日本公安警察がバトル。しかし、良は死んで帰ってきた…。 虚しくなった島田は、日野とともに原発襲撃を実施する…ただ、「神の火」を見んがために…。 良奪還のために、なぜに島田が?とか、そういうのがあるのですが、良に対する島田の思いって、どこかホモっぽいところがあるというか、そういうのを感じました。 基本、後半は「黄金を抱いて翔べ」と同じというか、男同士のキズナとか、そういうのからの襲撃劇というパターンは、それこそ「黄金」の焼き直しという感じがしました。 というか、そもそもどうして原発襲撃すんのよ、という動機も、あまりはっきりとは書かれないのですが、ここはあまりはっきり書いちゃうと野暮というものではありますね。 ただ、原発襲撃して、原子炉開けて、沸騰水溢れさせて、それでどれだけのダメージがでるのか、ちょっといまいちよくわからないんですよね。 さすがに福島第一ほどではないにせよ、やはり廃炉ですかね。 とりあえず、この時代に、原発をネタに書いた高村薫さん、スゴイと思いましたが、ただ諜報戦がいまいち落合信彦っぽい安っぽさを感じてしまいました。 | ||||
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相変わらず硬質かつ重量級の文書で、読み進めるのに体力 が必要です。 全編を支配する重苦しい世界観は、表面上平和な現代日本 とは一線を画す、独特の雰囲気を醸し出しています。 然しながら、元ソ連のスパイという主人公の立ち位置、やや強引 ともいえる終盤の原発侵入における動機など、作者の肩に力が 入っている分、上滑りの印象を感じました。 | ||||
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旧版を図書館で借りて読み(原発をネタにした社会派小説でかなり難しかったのですが)日野のキャラクターがカッコよくて 何度も読み返し、あまり深く考えずに改訂版を購入しました。 正直、ここまで違うとは思っていませんでした。改訂版はスパイ小説でした。 旧版が書かれたころは冷戦が確実に社会情勢として存在していたので、その辺りも含めて大幅改稿されたのだと思います。 旧版では分かりにくかった主人公のスパイとしての活動や、黒幕の江口との関係も細かく書かれていて かなり分かりやすくなっていました。話としてはとても面白いと思います。 ただ、個人的に日野のキャラクターは旧版のほうが良かったです。 奥さんが殺された後の独白を読んでちょっとうるっと来たんですが、改訂版ではその部分がすっかりなくなっていました。 主役の島田も、旧版では初恋の人に似ているという理由で、必死にロシア人の青年を助けるという表現がなくなっていて 終始淡々としていた感じがします。 できれば旧版を再版して欲しいです・・・・! | ||||
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核技術をめぐる日本とその周辺国の陰謀に巻き込まれる主人公というと、 なんだか面白そうな雰囲気を感じさせるが、やれ中を読んでみるとひたすらうだうだと 過ごす主人公の生活をひたすら読まされるだけというなんともいえない作品 とにかくみんな主人公大好きで、何とか自分の陣営に引き込もうとするのだが、 主人公の凄みがさっぱり分からないままそういった描写が続くので、読んでいてなんとも もやもやさせられる そして終盤、おそらくこの作品の目玉であろう原発侵入だが、そもそも動機が不明瞭なまま 話が進んでいくし、それまでの展開との流れを感じさせないという点もいたい どうせなら盛大に被爆するつもりだとか、そういった理由が欲しかった 読めないほどつまらなくはないが、諜報物の作品としては期待しないほうがいいだろう | ||||
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評価はイマイチ、 今の時代ならこれより良い本も沢山有る筈です。 | ||||
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文体が難しい、読むのに手こずる。爆火煩悩、、瀑布煩悩。ここから始まる神の火だ | ||||
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原発やスパイなど、資料の読み込みやその(物語への)生かし方は凄いが、 小説として「これで良い」とは思えない。 読後に『レディ・ジョーカー』のような達成感が、ない。 「緻密」な描写も「缶詰1つ食った」とか「穴を掘って埋めた」とか、微に入り細に入りすぎ。不要なものが整理できていないように感じられた。 ★3つは、一応中間ということにはなるのだけれど、かなり否定的なニュアンスも込めた結果だ。 「翻弄された、それぞれの人生」を描いた小説の出来としては、褒められたものではないと思う。 とはいえ、 「福島」以来、『原子炉の蟹』など、原発絡みの本を幾つか読んでみたが、やはり、高村氏の知識・理解は飛び抜けている。 新聞などの識者談に登場する機会が多かったのも、納得。 この『神の火』は90年代の作品だが、こうした「告発」がありながら、僕らの社会は何も変えて来られなかった。 その結果としての「FUKUSHIMA」であることを、改めて認識させられた。 「神の火」がどの程度管理できるものか、 想像してみるには良いテキストであると思う。 その上で、原発が日本海側に林立している状態の恐ろしさを、認識してもらえれば… 発表から20年を経た今、世界情勢の変化もあり、事態は悪い方に向かっている。 たとえ稼働させずとも、原発は効果的な攻撃対象となり得る。 そんなことを考えながら読んだ。 『神の火』は今なお、一読する価値のある小説だと、僕は思う。 | ||||
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上巻の質感溢れる濃密な物語から、下巻に期待したが、期待外れだった。全体構想に問題があるのではないか。 下巻の前半は主人公の感傷が延々と語られる。"良"との偽装交換劇の後の展開は、更にセンチメンタリズムの嵐である。本作の結末が原子力発電所襲撃に収斂する事は誰の目にも最初から明らかだが、それを決行する主人公と友人の心理が不透明で感情移入できない。"良"の死から、いきなりの原子力発電所襲撃は展開の飛躍が過ぎよう。襲撃シーンを慌てて最後に詰め込んだかのようである。発電所の設備や襲撃計画の描写は相変わらず精緻で、「黄金を抱いて翔べ」を思わせるが、それが却って読む者に空疎感を与える。コンクリートで囲まれた原子炉の蓋の解放が物質社会への風刺に繋がり、それが主人公の心の解放の象徴となる意図は理解できるが、如何せん、襲撃計画が唐突過ぎて違和感が拭い切れない。 上巻の曖昧模糊としながらも濃密なサスペンス劇と下巻の性急過ぎる襲撃計画がアンマッチで、構想の混乱を感じさせる作品。 | ||||
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この著者の作品を読んだのは初めてである。女性著者による作品であるにもかかわらず、理系用語の多用や硬めの文体を意外に思ったのが最初の印象である。また、女性の場合、人間の内面の描き方が丁寧という印象を私は持っているのだが、この著者にはそれも当てはまらない。そして誰が何をしたいのかがよくわからないまま、上巻を読み終える。 (下巻のレビューに続く) | ||||
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はっきり言って長い。もう少し分量を圧縮できたんじゃないだろうか。スタンダールの『赤と黒』をむさぼるように読んで一日で完読した私が言うのだから間違いない。「これって、なくてもいいじゃん」という箇所がいくつか目立ったし。ちなみにストーリーとしてはまずまず。細かいディテールに気を配っていて男気をくすぐってくれる。ストーリーはありがちといえばありがちだが、変な違和感を感じない証拠でもあるから別にいいでしょう。長さの問題が解決されれば星4つなんですが、私は「無駄に長い」という評価を下しているので星3つと言うことにしておきました。通勤電車で読むのには最適な作品です。 | ||||
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初めに文庫版を購入し、途中で止められずに睡眠不足になりながら読み終えました。その後、絶版になった旧版を図書館で借りてきて読みましたが、文庫版とはまったく別物でした。特に、高塚良の性格が全く違い、こちらのほうが強気です。私は小説全体としては文庫版のほうが好きですが、高塚良に関しては旧版のほうが好みです。 「わが手に拳銃を」と「李歐」の吉田一彰についても言えることですが、高村薫の登場人物は旧版の方が強気のようです。 | ||||
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