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マークスの山
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【この小説が収録されている参考書籍】
マークスの山の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.77pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全178件 161~178 9/9ページ
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10年前の「マークスの山」は、リアルな警察小説だった。今回生まれ変わった「マークスの山」は哀しい男たちのドラマだ。「山」に拠って追う者も追われる者も、それぞれに人生の歯車が狂う。それはやがて、ある者の精神を蝕みつづけ、ある者は自死し、又ある者はひたすらに突き進むしかなくなる。哀しく救いの無いドラマだが、そこに幽かな光を差し込むのは水沢と真知子の切ない程の愛であり、そこにあり続ける北岳と富士という2つの「山」だけだ。 | ||||
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10年前の「マークスの山」は、リアルな警察小説だった。 今回生まれ変わった「マークスの山」は哀しい男たちのドラマだ。 「山」に拠って追う者も追われる者も、それぞれに人生の歯車が狂う。 それはやがて、ある者の精神を蝕みつづけ、ある者は自死し、又ある者はひたすらに突き進むしかなくなる。哀しく救いの無いドラマだが、そこに幽かな光を差し込むのは水沢と真知子の切ない程の愛であり、そこにあり続ける北岳と富士という2つの「山」だけだ。 | ||||
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ハードカバー版を最初に読んだのは3年ほど前だった。当時私は高村薫氏の他の著作品で論文を執筆していて、他の作品も参考にしようと思い手に取った。ハードカバー版では合田さんと加納さんの関係がギクシャクしているように見え、今回の文庫版ではそれがいくらか和やかなものへと変わっていたことに、正直驚かされた。新たに追加されたエピソードも多く、『李歐』が刊行された時に感じた<別の話>と言っても過言ではないと思う。文庫で上下巻、内容もページ数に匹敵し濃厚であるが、その文章量の多さから見ても、けして読みやすい部類に入らないと思う。それにも関わらず飽きることなく読むことが出来ると思う。読後、言葉に出来ない感情が残り、考えさせられた作品であった。 | ||||
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ハードカバー版を最初に読んだのは3年ほど前だった。 当時私は高村薫氏の他の著作品で論文を執筆していて、他の作品も参考にしようと思い手に取った。 ハードカバー版では合田さんと加納さんの関係がギクシャクしているように見え、今回の文庫版ではそれがいくらか和やかなものへと変わっていたことに、正直驚かされた。新たに追加されたエピソードも多く、『李歐』が刊行された時に感じた<別の話>と言っても過言ではないと思う。文庫で上下巻、内容もページ数に匹敵し濃厚であるが、その文章量の多さから見ても、けして読みやすい部類に入らないと思う。それにも関わらず飽きることなく読むことが出来ると思う。読後、言葉に出来ない感情が残り、考えさせられた作品であった。 | ||||
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高村氏の作品ははじめて読んだ。ありきたりの推理小説のつもりで(失礼!)長距離バスの友として読み飛ばすつもりで上巻を買ったがあまりに面白くて旅行先で下巻を買うため本屋を探して走り回る羽目になってしまった。読み応えや読後感はドストエフスキーの「罪と罰」や「悪霊」を読みきった後に似て、久々に「本格長編小説」読破の充実感を味わう事ができた。作品中にも「罪と罰」にちなんだ人物の名前が出てくるが高村氏はドストエフスキーの影響を強く受けているように思う。確かに詳細かつ膨大な人物描写やエピソードを積み上げながら物語と言う「山」の頂上に向けて確実に上っていく手法、人間の中に巣くう悪とそれに対抗しようする人々の葛藤というテーマの選び方など類似性を感じた。とにかくすごい作家だ。最後に極めて個人的な感想を述べさせてもらえば、物語の終盤からクライマックスへ至る部分が少々物足りない。例えば終盤マークスは完全な孤独と薄れ行く自意識の中で次々と凶行に走っていくが、このあたりからマークスのモノローグがなくなって彼が何を考えながらあのクライマックスへ至ったのかがわからなくなる。このあたりをもう少し彼の出生や彼を気遣う女への想いをからませながら描けば物語の悲劇性がもっと鮮明になったのではないか?マークスの犯行に至る動機や、警察や地検を振り回す「巨大な見えざる敵」の正体にしてもあれだけの大事件を起こすにしては弱いようにも感じられる。個人的には後半をもう少し丁寧に書いて上中下巻仕立てで出版してもよかったのではないかと思ってしまう。これはおそらく高村氏の物語の世界に少しでも長く浸っていたいという個人的な願望によるところが大きいのかもしれないが。 | ||||
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高村氏の作品ははじめて読んだ。ありきたりの推理小説のつもりで(失礼!)長距離バスの友として読み飛ばすつもりで上巻を買ったがあまりに面白くて旅行先で下巻を買うため本屋を探して走り回る羽目になってしまった。読み応えや読後感はドストエフスキーの「罪と罰」や「悪霊」を読みきった後に似て、久々に「本格長編小説」読破の充実感を味わう事ができた。作品中にも「罪と罰」にちなんだ人物の名前が出てくるが高村氏はドストエフスキーの影響を強く受けているように思う。確かに詳細かつ膨大な人物描写やエピソードを積み上げながら物語と言う「山」の頂上に向けて確実に上っていく手法、人間の中に巣くう悪とそれに対抗しようする人々の葛藤というテーマの選び方など類似性を感じた。とにかくすごい作家だ。最後に極めて個人的な感想を述べさせてもらえば、物語の終盤からクライマックスへ至る部分が少々物足りない。例えば終盤マークスは完全な孤独と薄れ行く自意識の中で次々と凶行に走っていくが、このあたりからマークスのモノローグがなくなって彼が何を考えながらあのクライマックスへ至ったのかがわからなくなる。このあたりをもう少し彼の出生や彼を気遣う女への想いをからませながら描けば物語の悲劇性がもっと鮮明になったのではないか?マークスの犯行に至る動機や、警察や地検を振り回す「巨大な見えざる敵」の正体にしてもあれだけの大事件を起こすにしては弱いようにも感じられる。個人的には後半をもう少し丁寧に書いて上中下巻仕立てで出版してもよかったのではないかと思ってしまう。これはおそらく高村氏の物語の世界に少しでも長く浸っていたいという個人的な願望によるところが大きいのかもしれないが。 | ||||
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高村薫の名前を知ったのは、崔洋一監督の映画「マークスの山」を観たときが最初であった。残念ながら傑作とは言い難い作品であった。何の前知識も無く観た私は、どうして警察組織の中の確執をこんなに執拗に描かなくてはならないのかわからなかったし、今が水沢なのか『彼』なのかはっきり演じていなくて、殺人動機がはっきりせず最後の行動が理解できなかった。また林原たちの殺人が全共闘の内ゲバに単純化されていて、どうしてマークスをあそこまで恐れるのか理解できなかった。要するにすべて中途半端な作品で、最後合田が『刑事は楽しい商売や…』と自嘲気味に歌いスニーカーを洗いながら終わるのだが、そこだけが印象に残った。予想した通り、原作は違った。マークスの殺人動機が今回はよくわかる。合田雄一郎たちの人間関係と、仕事への誇りと愛憎絡めた人間ドラマが再終盤にどう収斂していくのか、見守りたい。 | ||||
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一人の哀しい殺人者の見る『山』に振り回されて、刑事たちの打算と意地と誇りがぶつかり合い、現代社会の成功者たちの罪と罰と優しさがあらわになる。『山とはなんだろう…』合田は呟く。南アルプス北岳という山にこのドラマは収斂していった。当初この文庫は去年の夏に発行されるはずだった。しかしそれが半年延びた。きっと、高村薫のこだわりが随所に出ているのだろう。またいつかもう一度読みたいと思っている。分厚いハードカバーを傍らにおいて。そのときは作者がこの10年間に何を捨て、何を得たかも分かるかもしれない。 | ||||
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高村薫の名前を知ったのは、崔洋一監督の映画「マークスの山」を観たときが最初であった。残念ながら傑作とは言い難い作品であった。何の前知識も無く観た私は、どうして警察組織の中の確執をこんなに執拗に描かなくてはならないのかわからなかったし、今が水沢なのか『彼』なのかはっきり演じていなくて、殺人動機がはっきりせず最後の行動が理解できなかった。また林原たちの殺人が全共闘の内ゲバに単純化されていて、どうしてマークスをあそこまで恐れるのか理解できなかった。要するにすべて中途半端な作品で、最後合田が『刑事は楽しい商売や…』と自嘲気味に歌いスニーカーを洗いながら終わるのだが、そこだけが印象に残った。予想した通り、原作は違った。マークスの殺人動機が今回はよくわかる。合田雄一郎たちの人間関係と、仕事への誇りと愛憎絡めた人間ドラマが再終盤にどう収斂していくのか、見守りたい。 | ||||
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高村薫氏のことを、女王様、と呼ぶそうだ。なるほど、と思う。一度読んだら、一度彼女の世界にふれてしまったら、もう最後までついていくしか無い。かくいう私もほとんど病気のようなもので、ハードカバーと文庫の二種類を持っていなければ気が済まない。そりゃそうだ。我らが女王様は、加筆修正の鬼なのだ。文庫になるときの、恐ろしいくらいの全面改稿。彼女の本が文庫になるというのは、ほとんど新刊が読めると同義だ。そして。やはり泣いた。むしろ、ハードカバーよりも、泣いた。まったく新しい感動の涙だ。わかっているのに、懲りずに泣いた。これだから、”女王様”にはかなわない。 | ||||
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高村薫氏のことを、女王様、と呼ぶそうだ。なるほど、と思う。 一度読んだら、一度彼女の世界にふれてしまったら、 もう最後までついていくしか無い。 かくいう私もほとんど病気のようなもので、 ハードカバーと文庫の二種類を持っていなければ気が済まない。 そりゃそうだ。我らが女王様は、加筆修正の鬼なのだ。文庫になるときの、恐ろしいくらいの全面改稿。 彼女の本が文庫になるというのは、ほとんど新刊が読めると同義だ。そして。 やはり泣いた。むしろ、ハードカバーよりも、泣いた。 まったく新しい感動の涙だ。わかっているのに、懲りずに泣いた。これだから、”女王様”にはかなわない。 | ||||
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初めて読んだ時の衝撃は忘れられません。一気に読破してしまいました。高村薫は天才だ!とつくづく思いました。(初めは男性かと思ってました)文庫本では手直しがしてあるのでしょうか?もう一度じっくり読んでみたいです。「照柿」「レディジョーカー」もいいけど、本書の合田刑事がやはり一番新鮮で素敵だと思います。 | ||||
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初めて読んだ時の衝撃は忘れられません。一気に読破してしまいました。高村薫は天才だ!とつくづく思いました。(初めは男性かと思ってました)文庫本では手直しがしてあるのでしょうか?もう一度じっくり読んでみたいです。「照柿」「レディジョーカー」もいいけど、本書の合田刑事がやはり一番新鮮で素敵だと思います。 | ||||
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高村薫の代表作で、93年の直木賞受賞作の待望の文庫化です。日本の警察小説を代表する傑作であり、作者の筆力、作品の密度に圧倒されます。連続殺人犯「マークス」と、元組員、法務省の高官という、一見つながりのない被害者から犯人を追う合田警部補。それぞれの心の闇が、見事に描かれています。作者本人は、直木賞受賞の弁で、「この作品はミステリーではなく小説だ」とおっしゃっていますが、この作品を読まずして、ミステリーは語れないと思います。もしまだ読んでいない方は、是非読んでください。私個人の評価では星5個では足りません。初読から10年たっても、マイベストです。余談ですが、合田警部補の活躍は、翌年の(賛否が分かれた)「照柿」に続きます。 | ||||
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いわずとしれた、高村薫の代表作で、93年の直木賞受賞作です。この他、94年版このミスと93年の文春で第1位を獲得、週刊文春二十世紀傑作ミステリーベスト10(2001年)でも3位を獲得しました。連続殺人犯「マークス」と、つながりのない被害者から犯人を追う合田警部補らの活躍を描く警察小説の傑作で、著者の他の作品と同様、追う者・追われる者それぞれの心の闇が、見事に描かれています。すでに呼んだ人はもちろん、まだこの小説を読んだことがない方は、絶対に読むべきだと思います。作品の好きずきは人それぞれだと思いますが、この作品を読まずして、ミステリーは語れません。(もっとも、作者本人によると、この作品はミステリーではなく小説だそうですが・・・) | ||||
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いわずとしれた、高村薫の代表作で、93年の直木賞受賞作です。この他、94年版このミスと93年の文春で第1位を獲得、週刊文春二十世紀傑作ミステリーベスト10(2001年)でも3位を獲得しました。連続殺人犯「マークス」と、つながりのない被害者から犯人を追う合田警部補らの活躍を描く警察小説の傑作で、著者の他の作品と同様、追う者・追われる者それぞれの心の闇が、見事に描かれています。すでに呼んだ人はもちろん、まだこの小説を読んだことがない方は、絶対に読むべきだと思います。作品の好きずきは人それぞれだと思いますが、この作品を読まずして、ミステリーは語れません。(もっとも、作者本人によると、この作品はミステリーではなく小説だそうですが・・・) | ||||
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このジャンルの本を読むのは初めてだったが、著者の世界に簡単に引きずり込まれた。事件の見た目と真相に生じたずれ、警察内部での葛藤と競争、心理学的な切り口などに加え、合田刑事とその周りの人間関係がときには魅力的、ときには醜く描かれている。ページを先にめくりたい、という衝動を常に感じると同時に、複雑なストーリーに頭がついていかず、前のページに行きつ戻りつ。読んでいるうち、本の世界に完全に没頭してしまっていた。読みどころが満載で、魅力的なストーリーだ。 | ||||
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私が高村薫と出会ったのはこの本だった。彼女に囚われたのも。 最初から主人公マークスでさえも冷静に描く文章に惹かれた。情念たっぷりで、必要以上に登場人物を追い詰めているようなのに、硬質で乾いた触感。 そしてもう一人の主人公合田雄一郎の手でさらに、荒涼としていながらも切ないラストへと導かれる。文章一語一句を踏みしめて登りたい、困難であってもたどり着きたい、まさに険しい冬山のような作品だと思う。 | ||||
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