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マークスの山
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【この小説が収録されている参考書籍】
マークスの山の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.77pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全178件 81~100 5/9ページ
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高村薫は初めて読んだ作家だが、警察や地検の組織内部の描写や山の描写などは、ハードボイルドを思わせる冷静沈着ぶりで、女流作家なのに文体は非常に男性的(、というのが適当か分からないが、リアルで一部の隙もない感じ)で驚いた。 名門大学山岳部が過去に葬ったはずの「暗い山」が捜査当局の鋭いメスによって切り刻まれるあたりは背筋が凍りつくような感覚がし、先を読むのが怖くなるが、それでも一気に読めてしまう。 凶悪な事件の連続で救いもなく進行する物語のなかで、主人公合田刑事を筆頭に警視庁捜査一課七係の個性溢れる現場刑事たちが「暗い山」に挑んでいく姿勢、その潔さのみが救いだった。 また終盤は、山(に登る)とは何か、について改めて考えさせられる。 ぜひこの著者の他の作品も読んでみたい。 | ||||
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単行本でも1ページが2段作りで400ページ以上ある本作。 これほどの厚さの本を読むのは久しぶりだったが、非常に楽しく読書出来た。 狂気の連続殺人犯、マークス。社会の第一線で働く被害者。そしてその裏に潜むもう一つの犯罪。 山の影。 刑事モノだけれど、勧善懲悪ではなく描写も非常に細かいので、紹介文にもある通り圧倒的にリアル。そこが面白かったです。 ラストまで読み終わった時には、自分もこの本を通じて、一つの大きな山を登ったような気持ちになれました。 ミステリー、サスペンスが好きな方は是非。 | ||||
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雪山を舞台にした大変読み応えがあるおすすめ小説です。 雄大な自然の情景とは裏腹に、極めて複雑かつ単純な人間心理をうまく描写しております。 全ての謎が解かれたとき、辺り一面が一斉に雪融けした感じがしました。 | ||||
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雪山を舞台にした大変読み応えがあるおすすめ小説です。 雄大な自然の情景とは裏腹に、極めて複雑かつ単純な人間心理をうまく描写しております。 全ての謎が解かれたとき、辺り一面が一斉に雪融けした感じがしました。 | ||||
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3年周期で、曰く「明るい山」と「暗い山」の全く別の人格になってしまう精神障害を持つ「マークス」こと水沢裕之が犯す連続殺人、それを追いかける合田警部補。 水沢裕之が狙うのは、全て暁成大学OBでしかも蛍雪山岳会と何らかの関係を持っている。 違う時期に起きた事件との関連性は? 暁成大学OBが守ろうとしている秘密は? ストーリー、情景描写、人物描写も優れており、ぐいぐい惹き込まれていきます。 非常に優れた作品であることに間違いは無いのですが、敢えて難を言うとすれば、暁成大学OBが、守ろうとしていた秘密−その事件−の動機に必然性が感じられないことです。 尚、「マークス」(MARKS)とは、暁成大学の登山仲間5人組みの頭文字を取ったものですが、「R」が林原(リンバラ)から来ているというのが違和感が有りました。 確かに「R」で始まる苗字は少ないでしょうが、例えば「力石」の方が一般的にはポピュラーです。 作者が敢えて特殊な苗字を選択したのかもしれませんが...。 | ||||
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3年周期で、曰く「明るい山」と「暗い山」の全く別の人格になってしまう精神障害を持つ「マークス」こと水沢裕之が犯す連続殺人、それを追いかける合田警部補。 水沢裕之が狙うのは、全て暁成大学OBでしかも蛍雪山岳会と何らかの関係を持っている。 違う時期に起きた事件との関連性は? 暁成大学OBが守ろうとしている秘密は? ストーリー、情景描写、人物描写も優れており、ぐいぐい惹き込まれていきます。 非常に優れた作品であることに間違いは無いのですが、敢えて難を言うとすれば、暁成大学OBが、守ろうとしていた秘密−その事件−の動機に必然性が感じられないことです。 尚、「マークス」(MARKS)とは、暁成大学の登山仲間5人組みの頭文字を取ったものですが、「R」が林原(リンバラ)から来ているというのが違和感が有りました。 確かに「R」で始まる苗字は少ないでしょうが、例えば「力石」の方が一般的にはポピュラーです。 作者が敢えて特殊な苗字を選択したのかもしれませんが...。 | ||||
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警察小説の金字塔と言われていたので手に取った。 警察内部の動きなど、詳細に描かれているあたり 相当取材もし、作りこんでいるものと思われる。 「マークス」とはそもそも何なのか? クライマックスではこれが明らかになるが、 うーん、そういう設定で「マークス」か。それもありか? とちょっと腑に落ちない感じは残る。 無論、ストーリー展開は全体的に 殺人犯マークスの動きが非常に怖くてハラハラどきどきするし、 マークスに殺される人やマークスに関わる人間もまた奇妙な人が多いので 読み始めてストーリーに入っていけば、やはり面白い。 あっという間に読めるといえば読める。 最後の最後、マークスの凍った瞳に流れ落ちる雫の意味に どうにもやるせなくなるあたり、それまでの男っぽい文体から 女性作家らしいエンディングになっている。 難点は、あまりに硬く細かく長すぎる人物の描写。 途中でそこに疲れてしまう。そういう意味で根気がいります。 | ||||
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警察小説の金字塔と言われていたので手に取った。 警察内部の動きなど、詳細に描かれているあたり 相当取材もし、作りこんでいるものと思われる。 「マークス」とはそもそも何なのか? クライマックスではこれが明らかになるが、 うーん、そういう設定で「マークス」か。それもありか? とちょっと腑に落ちない感じは残る。 無論、ストーリー展開は全体的に 殺人犯マークスの動きが非常に怖くてハラハラどきどきするし、 マークスに殺される人やマークスに関わる人間もまた奇妙な人が多いので 読み始めてストーリーに入っていけば、やはり面白い。 あっという間に読めるといえば読める。 最後の最後、マークスの凍った瞳に流れ落ちる雫の意味に どうにもやるせなくなるあたり、それまでの男っぽい文体から 女性作家らしいエンディングになっている。 難点は、あまりに硬く細かく長すぎる人物の描写。 途中でそこに疲れてしまう。そういう意味で根気がいります。 | ||||
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最初に出版されたもの、改訂版、両方読みましたが、この文庫の方が断然いい。前のより、水沢の台詞がすごく少なく、精神の荒廃ぶりがとてもリアルに描けていると思う。私は真知子に感情移入し過ぎてしまい、水沢が自分の身近にいたらきっと真知子の様に愛してしまっただろうと思った。ラストは泣ける。連続殺人犯の死をこんなに悲しいと思ったことはない。水沢の遺体を見た時の戸部刑事の言葉がまた泣ける(この台詞も文庫の方が圧倒的に良い)。最初に出版された方のラストの1ページが削除されていたのも良い。あれは書かなくても読者は容易に想像できるから。 | ||||
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最初に出版されたもの、改訂版、両方読みましたが、この文庫の方が断然いい。前のより、水沢の台詞がすごく少なく、精神の荒廃ぶりがとてもリアルに描けていると思う。私は真知子に感情移入し過ぎてしまい、水沢が自分の身近にいたらきっと真知子の様に愛してしまっただろうと思った。ラストは泣ける。連続殺人犯の死をこんなに悲しいと思ったことはない。水沢の遺体を見た時の戸部刑事の言葉がまた泣ける(この台詞も文庫の方が圧倒的に良い)。最初に出版された方のラストの1ページが削除されていたのも良い。あれは書かなくても読者は容易に想像できるから。 | ||||
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この著者の頭の中ってどうなっているのだろう、と思う位、緻密で重厚な作品。文章力もすごいと思った。改訂後の文庫本も読んだがそちらの方がいいと思った。岩田の殺人事件や一家心中事件、白骨死体、スコップや水筒など、とにかく伏線が色々あって、それらが16年後の事件に結び付いていく辺り、すごく面白い。ラストの戸部刑事の台詞(改訂版の方)や、真知子が書き加えたメモ(これも改訂版の方)などが泣ける。ただ残念なのは真知子が警察に「水沢を許して欲しい」と電話をかける場面は削除しないで欲しかったなー。日本の小説はめったに読まないけど、これは一番好きな本。 | ||||
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人から薦められて初めて読んだ長編の高村作品でしたが、これですっかりハマりました。 とにかく夢中になれる文章の力。特に最後の盛り上がりは、何度も何度も繰り返し読んでしまうほど魅せられました。 長編になればなるほど、作品の魅力が増す人だと思います。私のような高村薫初心者には特にオススメできる作品です。 | ||||
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人から薦められて初めて読んだ長編の高村作品でしたが、これですっかりハマりました。 とにかく夢中になれる文章の力。特に最後の盛り上がりは、何度も何度も繰り返し読んでしまうほど魅せられました。 長編になればなるほど、作品の魅力が増す人だと思います。私のような高村薫初心者には特にオススメできる作品です。 | ||||
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「レディジョーカー」を読んで感動した高村薫の、合田雄一郎警部補が出てくる第一作目、と友人が教えてくれて読んだ。第二作目が「照柿」、そして第三作目が「レディジョーカー」だそうだ。 壮大な構想力。アルプス北岳、登山、警察、社会に関する緻密で細密な描写。一体この作者の頭の構造はどれだけ精密にできているのだろうと感嘆する。自分の粗雑でスカスカな頭と比べるのも僭越だが、殆ど想像がつかないほどだ。 人間や、人間がつくる社会の表も裏も、綺麗さも汚さもすべて認識し、既成社会というものはどちらかというとエスタブリッシュメントの、或いは既得権益者の都合のよいようにできている故、それ以外の人間たちにとっては「裏」や「汚」面の方がより強くはびこっていて、往々にしてどうしようもない閉塞感を覚えていることをも認識した上で、それでも人間の良心、フェアネスに上位価値をおき、時に絶望的な状況に直面しながらもあきらめない人間達を描く。ミステリーやサスペンスの枠に収まりきれない、人間そのものを描いた骨太な小説だ。 どういう展開になるのだろう、と先を急ぐように読むのだが、単にエンターテイメントとして楽しめるのではなく、常に何か重いものを突きつけられているような気になる。そういう意味では人によって窮屈さを覚えるだろう。私の場合は、合田のように猛烈に仕事をしているか?と自分に問うと恥ずかしくなり、また、このように緻密な小説を書く高村薫のように仕事をしているか?と自省するとまた顔を上げられなくなる。これが私の居心地の悪さの正体らしい。合田や高村に負けないくらい頑張っている人は窮屈さも覚えず楽しめるのかもしれない。 | ||||
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「レディジョーカー」を読んで感動した高村薫の、合田雄一郎警部補が出てくる第一作目、と友人が教えてくれて読んだ。第二作目が「照柿」、そして第三作目が「レディジョーカー」だそうだ。 壮大な構想力。アルプス北岳、登山、警察、社会に関する緻密で細密な描写。一体この作者の頭の構造はどれだけ精密にできているのだろうと感嘆する。自分の粗雑でスカスカな頭と比べるのも僭越だが、殆ど想像がつかないほどだ。 人間や、人間がつくる社会の表も裏も、綺麗さも汚さもすべて認識し、既成社会というものはどちらかというとエスタブリッシュメントの、或いは既得権益者の都合のよいようにできている故、それ以外の人間たちにとっては「裏」や「汚」面の方がより強くはびこっていて、往々にしてどうしようもない閉塞感を覚えていることをも認識した上で、それでも人間の良心、フェアネスに上位価値をおき、時に絶望的な状況に直面しながらもあきらめない人間達を描く。ミステリーやサスペンスの枠に収まりきれない、人間そのものを描いた骨太な小説だ。 どういう展開になるのだろう、と先を急ぐように読むのだが、単にエンターテイメントとして楽しめるのではなく、常に何か重いものを突きつけられているような気になる。そういう意味では人によって窮屈さを覚えるだろう。私の場合は、合田のように猛烈に仕事をしているか?と自分に問うと恥ずかしくなり、また、このように緻密な小説を書く高村薫のように仕事をしているか?と自省するとまた顔を上げられなくなる。これが私の居心地の悪さの正体らしい。合田や高村に負けないくらい頑張っている人は窮屈さも覚えず楽しめるのかもしれない。 | ||||
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重たい題材。 徹底的だが冷静な人物描写。 何度も出てくる「山」というモチーフ。 それを退屈と感じさせない豪腕。 読んでいるうちに、合田雄一郎という人間が、 読者の目の前に立ち上がってくる。 謎解きミステリーとしても及第点だけれど、 それ以上に「これでもか」という作者の力技、文章の特徴が出ている。 それだけに読者との相性も人によってバラバラだろう。 だから良くも悪くも印象に残る作品。 高村薫はこれで直木賞を獲っているけれど、 それよりも「このミス」1位(93年)に納得。 | ||||
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作品に出てくる人間模様、そして犯人の心理の移り変わり。縺れた糸が最後にはちゃんと一本の糸になる。これは警察小説でもなく、推理小説でもなく、人間の心の闇とか葛藤を描いたものだと感じました。 高村薫は読む人を選びますし、作品に入り込むまでに時間がかかります。でも高村ワールドに入ると、とりこになってしまいます。 読み終わって余韻が残り、色々と考えてしまうのも特徴だと思います。 | ||||
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重たい題材。 徹底的だが冷静な人物描写。 何度も出てくる「山」というモチーフ。 それを退屈と感じさせない豪腕。 読んでいるうちに、合田雄一郎という人間が、 読者の目の前に立ち上がってくる。 謎解きミステリーとしても及第点だけれど、 それ以上に「これでもか」という作者の力技、文章の特徴が出ている。 それだけに読者との相性も人によってバラバラだろう。 だから良くも悪くも印象に残る作品。 高村薫はこれで直木賞を獲っているけれど、 それよりも「このミス」1位(93年)に納得。 | ||||
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作品に出てくる人間模様、そして犯人の心理の移り変わり。縺れた糸が最後にはちゃんと一本の糸になる。これは警察小説でもなく、推理小説でもなく、人間の心の闇とか葛藤を描いたものだと感じました。 高村薫は読む人を選びますし、作品に入り込むまでに時間がかかります。でも高村ワールドに入ると、とりこになってしまいます。 読み終わって余韻が残り、色々と考えてしまうのも特徴だと思います。 | ||||
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抜群のリアリティーを発散させながらヴィヴィッドに展開される「捜査会議」の描写に感じ入った。「キャリア」対「ノンキャリア」。捜査陣内の対立、感情、思惑からまりあい、強い色彩を伴って人間模様が浮かび上がってくる。憎いくらいに「人間」の実相に迫っていて、思わず膝を叩いた。 「ヒーロー」である前に、まず「労働者」としての「警察官」が立ち上がり、力感ある描写によって、「捜査会議」は、あたかも部屋の空気が匂い立ってくるようなリアルさで迫ってくる。 この捜査陣を振り回す、残虐無比な犯罪者だが、哀切極まりない「生」への情熱を抱えこんだ「マークス」という特異なキャラクターの青年を作者は見事な説得力をもって描き出す。 自分ではコントロールすることができないパワーに支配され、振り回される「マークス」の犯人としての特殊性は、一見、我々の日常からかけ離れたものにも思えるのだが、「青春」というものがまさに、自分ではコントロールすることができないパワーに支配され、振り回されるものである、とするなら、にわかに、「マークス」の行為は人ごとでなく感じられてくる。 だから、「マークス逃げろ!」とはらはらする一方で「合田頑張れ!」とも思う。誰もが自分の人生を自分でコントロールしようと汗を流すのだ。 被害者側の「歴史」「動機」に説得力の弱さはあるが、追う側にも、追われる側にも偏ることなく、ジリジリと緊迫感を高めながら、「マークス」の、「合田」の真摯な生の営みを誠実に描き出していく作者の筆力はただ事でない。とりわけ「マークス」を全身で受けとめ、支えつくす一人の、宗教的とも言える女性の在りようは、物語に一層の陰影と奥行きを与えて印象に残った。 | ||||
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