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弁護士ダニエル・ローリンズ



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【この小説が収録されている参考書籍】
弁護士ダニエル・ローリンズ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

弁護士ダニエル・ローリンズの評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(8pt)

人種差別と、女性蔑視と、二日酔いと。戦い続ける生きのいいヒロイン!

現役の女性弁護士でもある作者の本邦初訳で、MWA最優秀長編賞にノミネートされた作品。型破りではあるが憎めない、生きのいい女性弁護士が奮闘する社会派リーガル・ミステリーである。
ユタ州ソルトレイクシティで刑事弁護士を開業しているダニエルに持ち込まれたのは、知的障害者の黒人少年・テディが麻薬密売を行ったとして逮捕された案件だった。本人に会ってみれば「幼児レベル」の知性しか無く、しかも未成年であるため、容易に不起訴に持ち込めると思ったのだが、なぜか検察も判事も成年犯罪として扱うことにこだわっていた。テディは当日の行動を理路整然と説明することが出来ず、しかもテディに同行したという3人の白人少年たちの証言まであった。圧倒的に不利な状況にもかかわらず、弱者が人権を踏みにじられるのが許せないダニエルは、テディを守るために自分が持てる力のすべてを発揮して権力への戦いを挑むのだった・・・。
ヒロインのキャラクター設定が最高に面白い。自分が浮気したことが原因で別れた元夫に(夫と一緒に暮らしている息子にも)執着し、元夫の再婚話が進むと酒浸りになり(毎回のように二日酔いで法廷に出て、判事や検察に嫌がられている)、ほとんどストーカー行為を繰り返すという、性格破綻者レベルのダメ人間なのだが、一旦、理不尽なことに直面すると何ものをも恐れぬ火の玉となる激しい女性でもある。さらに、ダニエルを支えてくれる調査員、友人などのキャラクターも秀逸で、シリーズ化を期待したい。また、悪人側になる判事や検察もキャラ立ちしていて、波乱万丈なストーリー展開が無理なく頭に入って来る。
作者はアフガニスタン出身の人権派弁護士ということもあって、アメリカ社会の様々な差別に対する強烈な批判がビシビシ伝わって来る。がしかし、ヒロインの魅力を十分に引き出したユーモアのあるエンターテイメント作品でもある。
社会派のリーガル作品ではあるが、予備知識なしで十分に楽しめるエンタメ作品として多くの人にオススメしたい。

iisan
927253Y1

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