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霧 ウラル



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【この小説が収録されている参考書籍】
霧 ウラル
霧 (小学館文庫 さ 13-3)
霧 (講談社文庫)

霧 ウラルの評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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No.1:
(8pt)

国境の町の女の強さと脆さ

雑誌連載を元に単行本化された長編小説。道東の町に育ち、恋をし、生き抜こうとする女の生き方を描いた、ちょっとハードボイルドなエンターテイメント作品である。
戦後の匂いが強く残る昭和35年の根室。地元の老舗水産会社の三姉妹の次女に生まれながら、親に反抗して芸者になった珠生は、常連客の運転手を務める相羽に心を惹かれ、相羽が主人の罪をかぶって服役し、娑婆に戻ったところで一緒になる。主人から独立した相羽は、地元の裏社会を仕切る大物へと成り上がり、珠生の姉が嫁いだ運輸会社の長男と組んで、彼を代議士にするために裏の仕事を引受けていた。男たちの世界には口を出せない珠生は、口数が少なく、感情の動きを見せない相羽に心を乱しながら、ヤクザの姐さんの役割りを果たしていた。運輸会社の男は選挙で当選するのだが、選挙資金として汚い金を集めていた相羽には、密かに危険が迫っていた・・・。
お嬢様育ちながら芸者になった珠生が悩み、傷付きながら自分の生き方を貫いてゆく物語という、従来の作者のテーマの範囲内の作品である。ただ、住む場所が花街やヤクザの世界というのが新鮮で、従来の作品のようなひたすら重いだけのテイストではない。本作のセールストークにあるように、「極道の妻」的な面白さがあって、本格的なミステリーではないが、ミステリー要素を含んだエンターテイメントとして十分に楽しめる。
桜木紫乃ファンはもちろん、これまでの桜木作品が重苦しくて苦手だったファンにもオススメだ。

iisan
927253Y1

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