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愛に乱暴



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【この小説が収録されている参考書籍】
愛に乱暴
愛に乱暴 上 (新潮文庫)
愛に乱暴 下 (新潮文庫)

愛に乱暴の評価: 7.00/10点 レビュー 1件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(7pt)

愛とは乱暴で狂気の沙汰である(非ミステリー)

子供がいない、平凡な主婦が夫の浮気を機に本人も気が付かない狂気の世界へ暴走する、ちょっとブラックな物語である。
結婚8年目で夫の実家の敷地に建つ離れに夫婦で住む桃子は、週に一度のカルチャー講師を勤めるほかは主婦に専念していた。そんな生活は、義父が脳梗塞で入院し、義母の手伝いをするようになったある日、一本の無言電話がかかってきたことで一変する。無言電話の向こうからかすかに聞こえてきたのは夫の声ではないか? 疑心暗鬼に陥った桃子の日常は徐々に変化し、平穏だと思っていた夫婦仲に生じた亀裂は広がるばかり。そして、いつもは使っていない部屋の畳と床下が気になり始めた桃子は床下を見たいという衝動が抑えきれなくなり、とうとうチェーンソーを買ってしまった。そして、夫の浮気相手と対面した桃子は・・・。
実は桃子も現在の夫とは不倫の末に前妻を追い出す形で結ばれた過去があり、その因果が巡る形で現状を迎えているのだった。何事にも優柔不断な夫との関係、義父母との関係というありがちな家族問題と愛情のもつれを、どう解きほぐして行くのか。2時間ドラマみたいな構図の物語だが、そこは吉田修一、思いがけない結末が用意されている。人を愛することは自分の妄想を愛すること、愛は狂気でしかないことがじわじわと伝わってくる寓話である。
途中、ミステリーになるかと思わせる部分もあるが肩すかしで、ブラックでユーモラスなヒューマンドラマとして楽しめる。ミステリー・ファン以外のエンターテイメント作品ファンにオススメしたい作品である。

iisan
927253Y1

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