■スポンサードリンク


ニューヨーク1954



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
ニューヨーク1954 (ハヤカワ文庫NV)

ニューヨーク1954の評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

■スポンサードリンク


サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

拾い物(失礼!)の警官ハードボイルド

2016年のエドガー賞候補作、ネロ・ウルフ賞受賞作。「冷戦下のニューヨークを舞台にした歴史ノワールの会心作」というセールストークに少しだけ期待して読み始めたのだが、いい意味で期待を裏切る傑作ハードボイルド作品である。
マッカーシーによる赤狩り旋風が吹き荒れていた1954年、NY市警の刑事キャシディは拷問を受けて殺された男性ダンサーの捜査を担当することなった。現場となった被害者の自宅を訪れると、安アパートの住人には似つかわしくない高級な家具や衣類があり、被害者はどうやらゆすりを働いていたようだった。ダンサーがキャシディの父親がプロデュースする演劇に関わっていたことから、劇場のロッカーを調べると何の変哲も無い50セント硬貨が隠されていた他に、めぼしいものは見つからなかった。相棒のオーソーとともに本格的に捜査を進めようとしたキャシディだったが、FBIからの指示で捜査から外されてしまう。納得がいかないキャシディとオーソーは、様々な妨害にあいながらも独自に捜査を続行し、マッカーシー、FBI、CIA、ソ連の情報部が絡んだ醜悪な現実に直面するのだった。
殺人事件の捜査のはずがスパイ摘発の政治闘争になり、さらに主人公の家族を巻き込んだ脅迫事件になり、米ソの情報戦とスキャンダルになり、そんなカオスを真っ正直に切り開いて行くハードボイルドな警官の物語で幕を閉じる。550ページを越える長編だが、波乱に満ちた展開で飽きさせることが無い。本作がデビュー作で、アメリカではすでに次作が発売されているというので楽しみに待ちたい。
物語は複雑だが表現が映像的で、ストーリー展開もシンプルなので読みやすい。歴史ノワールというより、ハードボイルドとして読むことをオススメする。

iisan
927253Y1

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!