■スポンサードリンク


冷たい家



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
冷たい家 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)

冷たい家の評価: 7.00/10点 レビュー 3件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

■スポンサードリンク


サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(7pt)

冷たい家の感想

ミニマリスト、IOTで管理された家、性犯罪、精神分析など、現代社会を盛り込んだ心理サスペンス。

冒頭から始まる近代的な家の設定に興味を沸きました。正方形の空間内には家財はほぼなく、テクノロジーによりドアの施錠や照明はもちろん、精神安定の音波発生や日々の健康管理のモニタリングなどが行われる家。突き詰めた便利さがある一方、監視された空間ともとれる不気味さが読書中不安な気持ちにさせます。
この家に過去に住んだエマと現在住むことになるジェーンの2つの物語が交互に展開されます。2-3ページ毎に切り替わるので読書の区切りがしやすく、物語の把握がしやすいのが良かったです。この交互に進む話の構成が面白く、過去と現在の異なる女性の物語なのに、同じようなストーリーが展開する作りに、何が起きているんだと先が気になりました。登場人物達が怪しさ満載であり、セリフから推測される出来事は嘘で真実とは限らない為、誰も信用できない不安感が凄かったです。
本作で個人的に魅力があったのは心理慮法士のキャロル。エマやジェーンが相談した悩みに対して的確な内容と言葉選びが凄く心理慮法士のプロを感じました。

『家』を用いて、何事も監視されたい・自己を表現したいという心理を、男女間と事件に結びつけて、クセのある物語に仕上がっているのが面白い。登場する人物達に対して読者が思い描く姿が二転三転するのは見事でした。

▼以下、ネタバレ感想

※ネタバレの感想はログイン後閲覧できます。[]ログインはこちら

egut
T4OQ1KM0
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

最後は「やられた!」

2017年、ニューヨークタイムズのトップを何週間か獲得し、映画化も決まったというベストセラー作品。登場人物は不気味だが、読後感はスッキリの都会派ミステリーである。
高名なミニマリストの建築家エドワードが建てた家は、最新テクノロジーを結集した美しい建物だったが、完璧主義者であるエドワードの目にかなった人物しか入居できず、しかも極めて厳格な規則があった。シングルマザーになるはずだったのが出産時に赤ちゃんを喪ってしまったジェーンは、その痛手を癒すべく引っ越しを計画し、エドワードの面接にパスして、この家に暮らし始めた。ある日、玄関に花が置かれていたことから、以前の入居者であるエマがこの家で亡くなったことを知り、その詳細に興味を持った。それと同時に、エドワードとの付き合いが始まり、ジェーンはエドワードにどんどん惹かれていくのだった。一方、過去の入居者であるエマも入居してからエドワードと付き合い始め、当時の恋人を捨ててエドワードになびいて行ったのだが、エドワードの妻と息子が事故死したことを知り、事故の真相を探ろうとする。
つまり、ジェーンはエマのことを、エマはエドワードの妻のことを通して、エドワードの秘密を知ろうとするというのが大きな流れで、さらに、エマは強盗にあって強姦されたという過去があり、ジェーンは健康な出産ができなかったことをトラウマとして抱えていて、それが二人の言動に大きく影響しているという、複雑な構成になっている。しかし、物語は、現在のジェーンの章と過去のエマの章が交互に出てきて、それぞれのエドワードに対する気持ちが揺れるのを丁寧に描写しているので、読み辛さはない。
そしてことの真相が明らかにされたとき、読者は「やられた!」という爽快なショックが味わえる。ミステリーとしての構成がしっかりしているし、サスペンスの盛り上がりもなかなかで、幅広いミステリーファンにオススメしたい。

iisan
927253Y1

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!