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長い長い殺人



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長い長い殺人の評価: 7.14/10点 レビュー 7件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.14pt

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(10pt)

長い長い殺人の感想

車に轢かれ引きずられ、瀕死のところをさらに殴打。
そんな惨殺死体が見つかった。
被害者の名前は森元隆一。
「私」は「あるじ」と共に現場へ向かうも調べるうちに不可思議な点が。
妻・森元法子の不審な行動。
八千万の保険金。
ネクタイピンの消失。
しかし法子にはアリバイがあり、「私」と「あるじ」は行き詰ってしまう。
一方、別の「彼ら」はそれぞれの「持ち主」とともに塚田和彦に関わっていく。
背後に別の女の影。
妻にかけられた高額の保険金。
しかし、彼も法子同様、状況的に「黒」でも物的証拠がなく「白」。
そんな二人が一本の線で繋がる。
彼らは保険金交換殺人を行ったのか。
それとも真犯人は別にいるのか。
マスコミは連日彼らを報道し、二人は時代の寵児へ。
刑事・探偵・目撃者など、十人の「財布」の視点から事件を読み解いていく―・・・。

財布視点という設定が非常に面白いです。
所謂「神の視点」とは異なり、あくまで財布なので見たり、財布に入れられたお札以外の物を確認したりすることは出来ません。
持ち歩かれた財布が、内ポケットやバッグの中から聞いた話という形になります。
財布を通して事件の真相を見ていくわけですが、それだけではなく、持ち主・財布の個性も綴られています。
財布の個性は工夫されており、形状・一人称・持ち主の呼び方などがそれぞれ異なります。
そのため、読み手だけではなく、財布自体も事件を気にしていたり、持ち主を心配していたりする様子が面白いです。
無機物だけれど上手く擬人化されており、財布の持ち主への愛情や思い入れには、感情移入できると思います。

いくつか不満点もあります。
犯人については、少々急展開すぎる気がします。
動機についてもあまり納得できません。
十人の財布が出てきますが、あまり必要なかったのではと思う財布もあります。
また、財布は「神の視点」でも「当事者」でもないので、スピード感はないかもしれません。

しかし、全編通して非常に面白かったです。
財布視点という設定だけでなく、財布・持ち主のキャラクターも活きていると思います。
事件そのものの真相も気になりますが、財布の持ち主は事件にどう関わるのか、持ち主はどんな人で事件のどこが明るみになるのか。
事件・財布・持ち主それぞれが気になって、一気に読み進めてしまいました。
とても面白い一冊でした。

▼以下、ネタバレ感想

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あんみつ
QVSFG7MB

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