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わらの女



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わらの女の評価: 7.75/10点 レビュー 4件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.75pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(8pt)

無駄のないスリムな犯罪小説

いつの間にか主人公を応援している自分がいました。

わたろう
0BCEGGR4
No.1:
(8pt)

わらの女の感想

一応、物語の背景を多少は理解しておいた方が良いでしょう。この小説が発表されたのは1956年。大戦後のドイツのハンブルグで暮らすヒルデガルデ・マエナーは34歳の独身女性。爆撃で両親も友人もすべて失くし未来には何の希望も見いだせない毎日。翻訳の仕事で生活費を
稼いでいるが、何も考えずにいられるのは一ヶ月のうちわずか10日ほど。食べるものや家賃の支払にに頭を悩ます日々のヒルデガルデ・マエナーには毎週金曜日に新聞に載る求縁広告が楽しみでした。
そうです、彼女は現在の暮らしにウンザリし玉の輿を狙っていたのです。こんな背景を綴りながらヒルデガルデの行為を正当化するように作者は描いていきます。この辺はロジックがしっかりしていて
納得されられます。歳いった身寄りのない大富豪の妻の座を得る行動もブレのない彼女の信念と行動が読んでいるこちらの理解を得られるように上手く書かれています。身寄りのない独身のドイツ女性。そして身寄りのない老齢の大富豪。二人の対決が見ものです。大富豪であるがゆえ、人を人とも思わない態度が常で召使のジャマイカ人や豪華なボートの船長までも大声で罵倒するのが大富豪カール・リッチモンドのやり方です。こんな男に取り入るのはどうするのか。そこが巧妙で、誰もが彼の云うがままになっている現実に目をつけて、わざと彼に楯突くような態度に出ます。カンカンに怒るリッチモンドですが自然と彼女に歓心を寄せていき、最後には二人は結婚となります。こう書くとハッピーエンドのように思われますが、この二人の結婚にはある人物のお膳立てがありました。その人物の細かい指示に基づいた行動でリッチモンドはヒルデガルデとの結婚に踏み切ったと云えるでしょう。前半はこの結婚までに至るプロセスが描かれていますが、後半からは事態が一変します。これまで書かれてなかったミステリの常識を覆すアルレーのこの本ですが、当時は大変なショックをミステリファンに与えたことでしょう。今読めばこのラストはそれほどの驚きはないでしょう。それでもこの本の価値が下がることはありません。あの当時にこの内容で書かれたミステリ。その事実が燦然と輝いています。

ニコラス刑事
25MT9OHA

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