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柳生十兵衛秘剣考 水月之抄



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【この小説が収録されている参考書籍】
柳生十兵衛秘剣考 水月之抄 (創元推理文庫)

柳生十兵衛秘剣考 水月之抄の評価: 6.00/10点 レビュー 1件。 Dランク
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(6pt)

「柳生十兵衛秘剣考 水月之抄」の感想

男装の女剣士・毛利玄達と柳生十兵衛が、諸国を回りながら過去の剣豪たちの逸話や秘伝に付いての考察を行うと言う話で、3話の連作短編です。
「柳生十兵衛秘剣考」の続編になりますが、今回も玄達と十兵衛の掛け合いも面白く、剣術小説としても興味深い話になっています。

「一刀流“夢想剣”」
伊東一刀斎にまつわる逸話に関しての話です。
玄達と十兵衛が、一刀斎の後を継いだ小野次郎右衛門の墓前で偶然に出会った老人が、一刀流の継承を争った、次郎右衛門と善鬼の決闘に立ち会っていた同門の一人だったことから、一刀斎の経歴に異説が多いのはなぜか・・・と言う事を探っていくという話です。
この一刀流の継承を争った決闘は、私でも知っている有名な話ですが、その後の一刀斎については、何の話も残って居らず、その後どうなったのかという事も含めて、大胆な仮説を十兵衛が立てるという流れです。
剣術の流派の世界には、こういうこともあったのだろう・・・と思わせるような興味深い推理でした。

「新陰流“水月”」
一羽流の諸岡一羽の元で同門だった、根岸兎角と岩間小熊の「常盤橋の決闘」の話だそうですが、私はこの話は全く知りませんでした。
岩間小熊が根岸兎角を「常盤橋の決闘」で破ったことから、小熊は兎角が創設した微塵流道場の師範として迎えられますが、ある日、小熊は湯殿の中で血まみれで発見されます。
中からかんぬきが掛けられていたことから、密室の殺人と言うことになりますが、「実は、微塵流道場の者が、根岸兎角の敵討ちとして、丸腰で裸同然の小熊を殺害した」ということで、その後、微塵流道場の門弟が狙われることになります。
たまたまそういう現場に出くわした玄達と十兵衛が、その抗争に巻き込まれてしまい、密室殺人の謎を十兵衛が推理しますが、なぜ密室で殺人が起こったのかと言うところが面白い話になっています。

「二階堂流“心の一方”」
二階堂平法の松山主水(もんど)の謎にまつわる話です。
ちなみに、二階堂平法とは、初伝を「一文字」、中伝を「八文字」、奥伝を「十文字」とし、これら「一」「八」「十」の各文字を組み合わせた「平」の字をもって平法と称した・・・と言うことですが、私はこの話を中学生の頃に読んだ、白土三平のマンガ・「真田剣流」と「風魔」で知りました。
また、タイトルにある「心の一方」とは、瞬間催眠術のような秘術だということらしいです。
玄達は、「心の一方」の前では、どんな剣豪でもかなわないのではと考えますが、十兵衛は主水の奇怪な行動からある仮説を立てる・・・と言う話です
後日談ですが、松山主水は「荘林十兵衛」という人物によって、簡単に暗殺されてしまいます。
このような秘術を持った人物が、なぜ簡単に暗殺されてしまうのかと言う事も納得させられてしまう話になっていますが、この後日談を知らない人にとっては、中途半端な終わり方になっているので、ちょっと不親切な話ではないでしょうか。

トラ
WFY887SY

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