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ハーモニー



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ハーモニーの評価: 9.00/10点 レビュー 1件。 Aランク
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No.1:
(9pt)

ハーモニーの感想

傑作の『虐殺器官』に続き、2冊目となる。

前作同様に、はじめのうちは 非常に読みづらい。理解にも苦しむところもあり、また1行目から 何故かパソコンの機械語になっており、腰が引ける。

が、第三章くらいから、急に世界が見え、ストーリーも動き出した時には、もう一気読み。

有無を言わさぬ展開に圧倒される。

物語の設定は近未来で、21世紀初頭に起こった「大災渦」から数十年後の話し。

その時代、一種生命を最大限尊重する世の中が構築されてるなかで、すべての人間がチップを埋め込まれ健康状態から始まり生活すべてが管理され、例えばアルコールやカフェイン、タバコはもとより、健康に害を及ぼすとされているものが廃止されている様に、とにかく人命は個人のものというよりは社会の財産であるという認識が定着している。

その世の中で、管理されていないのが脳、つまり意識のみ。

で、この管理に反発する少女たちが 唯一の自由として自殺を企てるも失敗するところが序章となり、その後彼女たちを中心に物語は進んでいく。

完全なプロットのもと、今回のテーマは管理社会と生命。

近未来小説でよくあるロボット支配であるとか、宇宙人がという奇想天外なものではない。

生命を最重要視される社会にとって、ヒトが生きるとはとはなんなのか、意識や意志=感情や思考が失くなった時に果たしてヒトは生きていると言えるのであろうかという重厚なテーマが繰り広げられる。

とはいえ、なにも医学的、精神学的見地に偏っているわけではない。そこには、科学技術や戦争等の紛争や、政治などを絡み合わせた内容になっている。

また一見柔らかそうに感じられる表題も、考え抜かれたうえでの命名であることがおいおいわかってくるし、非常に読みづらい元凶のコンピューターの機械語が所々に挿っている理由などもキッチリと意味がなしている。

とにかく、すべてが考え抜かれた、SFであり、ミステリーでもあり、青春小説とも言える傑作である。  了

とも
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