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青い虚空



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【この小説が収録されている参考書籍】
青い虚空 (文春文庫)

青い虚空の評価: 7.00/10点 レビュー 4件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全4件 1~4 1/1ページ
No.4:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

2001年にここまで書いていた、やっぱりディーヴァーは凄い!

リンカーン・ライム・シリーズ外の作品。2001年という古い(ネットの世界では4世代ぐらい前?)作品だが、今でも十分通用するネットワーク・ミステリーである。
シリコンバレーで惨殺された女性はネット上でストーキングされていたようだった。その手口の高度さに気づいた警察は、容疑者を追跡するために刑務所に収容中の天才ハッカーであるジレットを呼び出し、捜査に協力させることにした。毒をもって毒を制する、ハッカー同士の戦いは現実世界での犯罪を誘発し、命を賭けた戦いが繰り広げられるのだった。
こういう作品はどこまでリアリティを持たせられるかが重要なポイントになるが、さすがに取材が徹底している上に想像力が半端ではないディーヴァーだけあって、今日か明日には実際のことになるのではと想像すると、背筋が寒くなるような怖さがある。ネットの世界、特にハッカーが中心となる物語だけに専門的なエピソードが多いのだが、重要人物にコンピュータやネットに詳しくない刑事が登場することで適切な解説が加えられているので、さほど苦労することなくストーリーを追うことが出来る。さらに、比較的初期の作品なので、ジェットコースター的展開、どんでん返しもそれほどあざとくなく、その点でも読みやすい。
リンカーン・ライム・シリーズ愛読者であるか否かを問わず、幅広いジャンルのミステリーファンが楽しめる作品としてオススメできる。

iisan
927253Y1
No.3:
(7pt)

専門性の追求が仇になったか

リンカーン・ライムが現代に甦ったシャーロック・ホームズ、即ちアナログ型探偵―最新鋭の分析機器で証拠の特性を探るという手法はあるが―だとすると、本作の主人公ワイアット・ジレットは電脳空間(本書では青い虚空(ブルー・ノーウェア)と呼んでいる)を自由に行き来するデジタル型探偵だ。
彼はかつてハッカーの中でも名を馳せたハッカー中のハッカーであったが、犯罪と紙一重のその行為で刑務所に入れられていた。そんな彼が相手をするのはかつて同じハッカーとして同様の実力を持っていた相手フェイトことジョン・パトリック・ホロウェイだ。

殺人鬼フェイトはかつては誰からも好かれる好青年だったが、悪質なハッカー行為をジレットに告発されて逮捕された経験を持つ。それを契機に彼はジョン・パトリック・ホロウェイという人格を捨て、オンラインゲーム「アクセス」の一戦士となって、現実の人間を殺戮し、ポイントを稼ぐようになる。
つまりもはや彼にとってはオフラインの日常とオンラインの日常の区別がつかなくなっており、現実の人間も作られたキャラクターだとみなしているのだ。また古いコンピュータに愛着を抱く点でもオタク中のオタクだと云っていい。物質主義社会にどっぷり漬かった人間だ。

しかしここに書かれている犯罪の完璧さに戦慄を覚える。なんせ容疑者発見の際に掛けた携帯電話がジャックされて犯人へ繋がり、援助が呼べなくなるのだ。さらには堅牢だと思われた学園のセキュリティシステムにも潜入し、得たい情報を得るとそれを元に身分証明書も作成し、身元照合に役立てるなど、また新聞や雑誌の記事で匿名化された取材対象者に対しても、取材した記者のパソコンへ侵入して個人情報を得るなど、もう何が安全でどうやったら個人情報が無事に守られ、平穏な生活が得られるのか不安になってしまう。
この作品を読むと、自分のパソコンが既に誰かに侵入されていると考えても不思議ではなくなってくる。いや逆に安全なパソコンなんて存在しないのではないだろうか?

そんな世界中のパソコンに侵入し、情報を自由自在に操るフェイト。さらに彼はソーシャル・エンジニアリングの名手。ソーシャル・エンジニアリングとはいわば本当の自分を隠し、実在する人間、もしくは架空の人間を演じて成りきってしまう技術だ。彼は少年時代に演じることで周囲の注目を集めることを知り、ソーシャル・エンジニアリングの名手となった。これはもう史上最高のシリアルキラーといっても云いだろう。

しかしハッカーという仕事ほど私生活を、家庭を犠牲にするものはない。なにしろ常にウェブにアクセスし、世界中に広がる電脳空間を彷徨い続けるのだから。主人公のジレットは39時間ぶっ通しでアクセスしていたという記録を持っている。しかも彼らにとってその行為は甘美な毒であり、強烈な中毒性を備えているから、離れようとは思わないのだ。逆に少しでも離れてしまうと禁断症状のようにさもキーボードがあるかのように宙を指で叩く仕草をしてしまう。これはもうほとんど病気だ。

そして物語巧者ディーヴァーは今回もあれよあれよとどんでん返しを畳み掛ける。
特に今回は匿名性がまかり通った電脳空間での戦いであるがゆえに、本名とハンドルネームの二重の仕掛けとソーシャル・エンジニアリングという他者を偽る技術が三重四重のどんでん返しを生み出している。後半は読んでて誰が誰だか解らなくなってくるくらいだ。

しかし残念ながら今回の物語はパソコンの専門用語がどんどん出てくるし、特にハッカー、クラッカー連中のスラングが頻出しているのでなかなか理解するのに時間がかかってしまった。つまりページターナーであるディーヴァーの巧みな物語展開に上手く乗ることが出来なかった。
これは私だけでなく多くの読者がそうだろう。常にその道のプロを描くことで物語にリアルをもたらし、その上で読者の予想の常に斜め上を行くサスペンスを提供するディーヴァーだが、今回はそのリアルさがかえって仇になったようだ。

さて次はどのような物語で我々を酔わせてくれるのだろうか。まだまだ未読作品があることがこの上もない愉しみとさせてくれる作家だ。

Tetchy
WHOKS60S
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

青い虚空の感想

ハッカー同士が対決するミステリー小説となります。
主犯を手助けする謎の共犯者。彼は誰なのか?味方の中に潜んでいるのか?
と推測しながら読みましたが、その正体が判明した時には驚いてしまいました。

松千代
5ZZMYCZT
No.1:3人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

青い虚空の感想

面白いと同時にとても怖い話だと思いました。
アメリカの盗聴や防諜については、昨年とても話題になりましたが、パソコンを使うものとしては個人情報はすでに色んなところに流れているかもと思っていたほうがよさそうですね。

専門用語が多く、ハッカーの言うところの一般人としては用語解説はありがたかったですし、コンピュータを通じてのやりとりは緊迫感があって非常に面白かったのですが、エンターテイメント好きの作者ゆえか犯人の動機や人物描写があまりにも極端で少し現実味に欠ける気がしました。
ハッカーを描くのなら、外国を平気で盗聴するような国家とかの巨悪相手の物語にしてほしかったなと。

主人公のジレットには共感できるのですが、この作者の十八番と言えるどんでん返しが多すぎて、そこまで一杯いれなくてもと思ってしまいました。



▼以下、ネタバレ感想

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たこやき
VQDQXTP1

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