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レディ・ジョーカー



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レディ・ジョーカーの評価: 7.80/10点 レビュー 5件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.80pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全2件 1~2 1/1ページ
No.2:5人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

レディ・ジョーカーの感想

「グリコ・森永事件」から着想を得て書かれた作品らしい。
中心に添えられるのは「企業テロ」なのですが、そこに同和問題や企業と総会屋の癒着問題や仕手筋による株価操作など企業を取り巻く様々な社会問題が取り上げられます。
当然そこに警察やマスコミも絡んでくるわけで兎に角登場人物が多いです。
そしてそれら多数の登場人物の視点に頻繁に切り替えられながら物語は展開していきます。
最初はこの視点の切替の多さに戸惑うのですが、その分登場人物一人一人を非常に丁寧にそして深く描けておりそこにまず感心します。

レディージョーカーとは犯人たちの呼称なのですが、社会から「ババ」を掴まされた男たちの反逆という背景をよく表せていると思います。
彼らは20億円もの大金をせしめる訳ですが、そこに歓喜はなく、読む方にも爽快感や痛快感はまるでないです。全編どこか息苦しいのです。
題材から一見サスペンスものと思っていたのですが、読み進める内に違うなーって思えてきます。
社会悪、組織悪・・・この作品には悪が充満しています。
悪とは何か、本当の敵は何なのか、そして人間の尊厳とは何なのか。
そんな高尚な文学的要素を兼ね備えた・・・というより、もう文学作品と言ってしまってもいいのかも。
想像していた作品とはまるで違いました。

一個人の存在など組織の前では単なる歯車の一部にしか過ぎない。
しかし大企業の社長誘拐という未曾有の大事件を核としたこの大作、2人の人間の個人の尊厳をかけた戦いという想定外のラストを迎えます。
「合田VS半田」
警察という巨大な組織から外れ(いい意味で言えば)「孵化」した2人の戦いに置き換えられるのです。
読み手にも意味不明なほど、物語前半から執拗に互いを意識しあっていた2人。
水と油、裏と表。性格は全く正反対な印象を受けますが、組織に従順ではない、どこか反骨心を持っていたという点では同じ。
どこかお互いに感じる何かがあったのだろう。
このラスト、後からじわじわきた。
最後の最後に、何となくだが作者がこの作品を通じて一番何が言いたかったのか分かったような気がした。

競馬のシーンがよく登場しますが、G1馬だけでなく条件戦に登場する馬に至るまでが実在した馬です。
競馬歴25年の私にとっては懐かしいことしかり。
高村薫さんは女性ながらに相当の競馬好きなのだろうか。
競馬好きでないのだとしたらこの取材力は半端ない。

梁山泊
MTNH2G0O
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

レディ・ジョーカーの感想

エンターテインメント小説、人間ドラマの極北。作者が女性ならではの、きもいホモ描写や男目線ではちょっと有り得ない心理描写等もあり、これらは大きな減点要素ですが、それでも決して満点は揺るがない、犯罪小説の輝ける金字塔、いや日本文学史に残る傑作です。文庫化する際の大幅改稿が有名な作家ですが、本作は個人的には単行本の方が断然良いと思います。単行本はちっこい文字で上下2段ぎっしり、それが上下巻900頁の弩級作品ですが、未読の方は是非。

ルーハーボーイ
7R65EL2S

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