戦時中のミッションスクール。図書館の本の中にまぎれて、ひっそり置かれた美しいノート。

異界と現し世を自在に行き交い、読者を迷宮へ誘う極上の語り。「結ぶ」―問答無用で縫われ、丸められていくからだ。

降りしきる薔薇のはなびらで窒息することを夢見て、縊死した劇団員を描いた「薔薇忌」、水を汲んだ桶を覗きこむと、その人のために祈ってくれているなにものかが水に映るという「祷鬼」、現実のセックスでは不感症であるが、眠りの中で濃密な性の悦びを得られるという女を描い

18世紀ロンドン。外科医ダニエルの解剖教室からあるはずのない屍体が発見された。

18世紀英国。

インパール戦線から帰還した男は、銃で妻と情夫を撃ち、出所後、小豆相場で成功。北の果ての海に程近い「司祭館」に住みつく。

私の中に巣喰う狂気が、さまざまな夢を見させる―さらなる広がりと魅力を増した皆川博子の恐怖世界。

時は16世紀。スコットランドに生まれたアランは、17歳で戦士集団に加わり、アイルランドに渡る。

結合双生児として生まれたゲオルクとユリアンの波瀾に満ちた数奇な人生。

作家M・Mが常連の喫茶店の密やかな性戯を描いた「影を買う店」他、皆川博子、最大の「偏愛幻想/奇想」小説集、ついに刊行!

第二次大戦下のドイツ。

1934年、ドイツ。

ミステリと綺想の女王が紡ぎだす、禁忌と官能に満ちた世界 愛する男を慕って、女の黒髪が蠢きだす「文月の使者」、挿絵画家と若い人妻の戯れを濃密に映し出す「青火童女」、蛇屋に里子に出された少女の記憶を描く表題作他、密やかに紡がれる8編。

江戸川乱歩の造語である“奇妙な味”は、ミステリにもSFにも怪奇小説にも分類不能の、異様な読後感を残す小説を指す。

湖から屍蝋が上がった―。小さなバーのママと常連客は、そのニュースに激しく動揺する(「水底の祭り」)。

1915年、ドイツ。第一次世界大戦―。

一葉の写真、一枚の絵が呼びおこすひそやかな官能、秘密のかおり。言葉と映像―甘美で危険な交歓が紡ぐ作品集。

「庭は、寝がえりをうって、背をむけた。…庭にまで馬鹿にされるのは、いい気分ではない」(「風」)。

13世紀、フランス。“天啓”を受けた羊飼いの少年・エティエンヌの下へ集った数多の少年少女。

遊女屋の愛娘ゆうと旅役者の福之助が結ばれて十年の歳月が流れ、関西を巡業して廻る一座に様々な苦難がふりかかる。

遺書さえものこさずに自殺してしまった姉が、いたずらに鉛筆で紙に書き散らしていた“クライン・キャット”という謎めいた文字。

厳寒のオホーツク海で、映画づくりに精魂をかたむけるグループを襲った無惨な死。

蘭之助は阿蘭陀通詞(通訳)であった父譲りの才がありながら、戯作で生計をたてる気ままな身の上。

「疫病船」ほか、「獣舎のスキャット」「水底の祭り」など、単行本未収録作品4篇を含む恐怖ミステリ・全10篇。

オートバイに憑かれた、イギリス人の父親と異母弟たちに、突然呼び寄せられ、マン島の死のロード・レースに挑む安城はるな。

1789年7月14日、民衆がバスティーユ監獄を襲撃。パリで起きた争乱は、瞬く間にフランス全土へ広がった。

古野まほろと峰葉実香が初めてふたりで話したのは、とある夕暮れの教室だった。

クローン。国際法により禁じられている無性生殖による複製人間。

1965年、イスラエルのマサダ砦で発掘作業に携わっていた日本人青年・高村隼雄が、仲間のフランス人を殺して自殺した。

室町時代に真宗王国を築き、権勢を振るった本願寺の法主、蓮如は5人の妻に、27人の子を産ませた。

発想を中世以来の様式に求めながら、老と若、女と男、光と闇、そして夢と現実とのありうべからざる交錯と混沌とを、底光りのする言葉に紡ぎ出した新たなる幻想的連作綺譚5篇。

各務三郎が「ミステリマガジン」編集長時代を、皆川博子が少女時代の読書体験を、三谷幸喜が「作戦もの」の魅力を、法月綸太郎がアントニイ・バークリーの読み解きを、石上三登志がミステリの楽しみ方を、松岡和子が戯曲を翻訳する喜びを、和田誠が戦後のアメリカ文化を、はじ

室町時代に真宗王国を築き、権勢を振るった本願寺の法主、蓮如は5人の妻に、27人の子を産ませた。

推理作家が親友に古今東西の「殺し方」を話したその晩、人が殺された。驚きの方法で…(「冷たいのがお好き」)。

著者初の時代小説「十五歳の掟」を含む表題作江戸民衆の情念を炙り出した「朱紋様」の2冊に加えて単行本初収録の連作短篇を併録。

刊行後多くの賞賛を受け、第76回直木賞の候補にも選出された表題作ほか9篇。収録作全て文庫未収録至高の精華集、第2弾。

風が吹き荒さぶ中、闇を裂いてトラックがやってきた。運転する商人は葡萄酒を運んでいると主張する。

東海の強国駿河は、守護今川氏親の手で着々と覇道を進んでいた。

かつて『奇想天外』という雑誌があった。

ウサギママの経営するコーヒー屋。10年ぶりに訪れたマユ。

皆川博子が紡ぐ、妖艶かつ幻惑的な短編集 夫に執拗につきまとう女には驚くべき秘密 があった……(「恋人形」)ほか、福田隆義氏のイラスト、中川多理氏の人形と小説とのコラボレー ションも収録。

第一次世界大戦に敗れたドイツ。極端なインフレと共産主義との闘いで混迷するなか、退廃的な文化も爛熟を深めてゆく。

先生、ごめんなさい…。痛みと後悔に苦しむ少女が知らぬ“真実”(「痛み」)。

四十七士の美談の陰で、吉良上野介の孫、左兵衛は、諏訪高島城に幽閉され、「妖笛」(鉄の笛)で自害し果てた。

毎週金曜の夜、刑事のデイビッドは妻を連れ、ブロンクスの実家へママを訪れる。

検察が押収したわいせつ図画販売罪の証拠品、その中のフィルムの映像に妻と似た女性の姿を見つけた検察官の笹田は独自調査に乗り出すが、たどり着いたのは思いもよらない残酷な真相だった(表題作)。

――八時三〇分。

『薔薇の名前』で世界の読者を魅了したウンベルト・エーコが、ふたたび中世を舞台に放つ物語。

森の奥に囚われた盲目の王女・レイアは、父王の愛と美しいドレスや花、物語に囲まれて育てられた…はずだった。

イタリア統一、パリ・コミューン、ドレフュス事件…、そしてナチのホロコーストの根拠とされた史上最悪の偽書『シオン賢者の議定書』それらすべてにひとりの文書偽造家が関わっていたとしたら?世界的大ベストセラー『薔薇の名前』のウンベルト・エーコが描く憎しみと差別のメ

「握りつぶされた真実を告発すること」を目的とした新聞の創刊を目指し、パイロット版として「ヌメロ・ゼロ(ゼロ号)」の編集に取り組む記者たち。

迷宮構造をもつ文書館を備えた、中世北イタリアの僧院で「ヨハネの黙示録」に従った連続殺人事件が。

シェナンドアの谷に住む一族に生まれたデイヴィッドは、地球上のあらゆる生命が滅亡に向かっていることを知った。