三郎太、蘭次郎、幸四郎、林右衛門の四人は大旗本の次男、いわゆる部屋住みの身分で、半分無頼の悪仲間であった。

八朔の日、亥の刻。芝湊町の土蔵に、見知らぬ者の文で呼び出された男たちが、 密かに集まってきた。

「葉月十二日、巳の刻。

「皐月十五日に、船で陸奥に晦ましていただきたい」── かつて採薬使の役目に就いていた阿部将翁は、幕府の監視下に置かれていた。

日本橋「菖蒲屋」に奉公しているお春は、お店の土蔵にひとり閉じ込められていた。

万次と喜八は、浅草界隈を牛耳っている香具師・丑蔵の子分。

かつて、江戸随一と呼ばれた武家火消がいた。その名は、松永源吾。

東京を目指し、共に旅路を行く少女・双葉が攫われた。

【第166回直木賞受賞作】 どんな攻めをも、はね返す石垣。 どんな守りをも、打ち破る鉄砲。

生き延びろ。地獄を。

「世を、人の心を変えるのだ」「人をあきらめない。それが我々の戦いだ」 ――平安時代「童」と呼ばれる者たちがいた。

霙ふる師走のころ、夜討ちの陣吾と呼ばれ、裏の世界で畏れられている男が、平九郎の露店にやって来た。

「人も同じ、身分は違えども煙草の銘柄ほどのもの」煙管の吸い口を見つめ、平蔵は人の儚き生を思い、正義と悪との境を憂えていた――。

「その願い、全て俺が叶える」 業火の中で花魁と交わした約束――。

「大物喰いだ」 追い詰められた男の起死回生の一手。

「喰ってやる! 」 侍火消・松永源吾はひたむきに炎と闘う! 仲間を、友を、誰かを〝信じる〟ことが未来を紡ぐ。

英雄の若かりし日々を描く、零の物語――十六歳の新人火消松永源吾は、逸る心を抑えられずにいた。

昌幸、信之、幸村の真田父子と、徳川家康、織田有楽斎、南条元忠、後藤又兵衛、伊達政宗、毛利勝永らの思惑が交錯する大坂の陣――男たちの陰影が鮮やかに照らし出されるミステリアスな戦国万華鏡。

侍火消にして府下十傑に数えられる剣客、新庄の麒麟児と謳われた《ぼろ鳶組》頭取並鳥越新之助は、闇に堕ちたのか? 豪商一家惨殺及び火付けの下手人として手配された新之助は、一家の娘を人質に逃走を続け、火盗改、江戸の全火消の包囲を次々と打ち破っていく。

「八咫烏」の異名を取り、江戸一番の火消加賀鳶を率いる大音勘九郎を非道な罠が襲う。

京の淀藩常火消・野条弾馬は、己が目を疑った。

火事を起こし、その隙に皆殺しの押し込みを働く盗賊・千羽一家が江戸に入った。

悪夢、再び！ 水では消えない火、噴き出す炎、自然発火……。

主家を乗っ取り、将軍を暗殺し、東大寺大仏殿を焼き払う。悪名高き武将・松永久秀は、織田信長に二度目の謀叛を起こしていた。

今川義元の嫡男 今川彦五郎氏真はなぜ名家を没落させたのか 蹴鞠と歌を何より好んだ戦国武将が天下人に見せた正しき矜持とは? 直木賞作家 今村翔吾の凄みあふれる驚愕の歴史短編集 桶狭間での父義元の急死を受け、 彦五郎氏真は駿河今川氏の当主となった。

恩人の命令は、思いがけないものだった。 不当な理由で職場を解雇され、腹いせに罪を犯して逮捕された玲斗。

江戸は神田の袋物屋・三島屋は風変わりな百物語で知られている。語り手一人に聞き手も一人。

不思議な共同生活を送る彼女たちの目的とは。

１７音の奥に潜む誰も知らない物語。

小間物問屋『遠野屋』の主清之介は、生国嵯波の紅花産業に莫大な金を注ぎ込んできた。その紅餅を積んだ船が突然消えた。

かるた、書道、なぎなた、次は……生け花！ 目指せ、「花の甲子園」！ 花を愛する女子高生・春乃と大衆演劇の花形・山城貴音のコンビが頂点を狙う！ 「羽州ぼろ鳶組」で大注目の著者が贈る青春ドラマ！ 即興で花をいける。

なぜ、人と人は争わねばならないのか? 日本史上最大の危機である元寇に、没落御家人が御家復興のために立つ。

石田三成は、何を考えていたのか? そこに「戦国」の答えがある! 秀吉の配下となった八人の若者。

その夏、信じられないことばかり起きた。「ラプラスの魔女」シリーズ! AIによる監視システムが強化された日本。

５２ヘルツのクジラとは、他のクジラが聞き取れない高い周波数で鳴く世界で一頭だけのクジラ。何も届かない、何も届けられない。

湯治旅の帰途、若夫婦が雨で足止めになった老女との相部屋を引き受けた。

成長著しいIT企業「スピラリンクス」が初めて行う新卒採用。

将軍・徳川吉宗の命で、江戸城内で最強を誇る目付阪崎左兵衛尉を咎め、改易に追い込んだ惣目付の水城聡四郎。

誰も知らなかった湯川(ガリレオ)の秘密 南房総沖に、男の銃殺死体が浮かんだ。

本能寺の変より四年前。織田信長に叛旗を翻し有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起こる難事件に翻弄されていた。

善い人ばかりが住むと評判の長屋に、ひょんなことから錠前職人の加助が住み始めた。