哲学者の密室

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種別
長編
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7,286回
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6
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26
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あらすじ

2002年04月01日 哲学者の密室 (創元推理文庫)

開口部を完璧に閉ざされたダッソー家で、厳重に施錠され、監視下にあった部屋で滞在客の死体が発見される。現場に遺されていたナチス親衛隊の短剣と死体の謎を追ううちに三十年前の三重密室殺人事件が浮かび上がる。現象学的本質直感によって密室ばかりか、その背後の「死の哲学」の謎をも解き明かしていく矢吹駆。二十世紀最高のミステリ。(「BOOK」データベースより)

評判

哲学者の密室の評価:

6.33/10点 レビュー 3件。 B ランク

書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点6.33pt

哲学者の密室の総合評価:

8.39/10点 レビュー 28件。

感想一覧

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Amazonレビュー

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No.25
(4pt)

ハイデガーのナチス礼賛を追求する矢吹駆

本書は、1160ページもある大作だ。読むだけでも重労働だ。
ユダヤ人が600万人も虐殺されたことと三重密室殺人が、戦争の時と現在にも起こるという事件に、現象学を学ぶナディアが謎解きをして、矢吹駆が真相を現象学的に解明する。

 矢吹駆は、著者の分身でもあり、自分の体験をも重ねる。連合赤軍のリンチ殺人事件の個人的な体験が深く根ざす。それをハイデガーの哲学で解明しようとする。

 ハイデガーの『死の哲学』を突き詰めていく。ハイデガーの入門書を読む限りは、『死の哲学』とは言えないと思えた。
 ハイデガーは、ナチス党員となり、大学の総長となり、ヒットラーを讃美しナチスになることを鼓舞した。そこに、ハイデガー哲学の限界をみる。そして、ハイデガーは、ユダヤ人の虐殺の収容所は知らなかったという説を、ユダヤ収容所の前で、一緒に所長と写真をとっていた。その写真が、ゆすりの原因となり、80歳を超えても、その写真を隠そうとして墜落死する。因果応報の世界でもある。

 そして、ハイデガーの教えを学んだ二人の男ハインリッヒ•ヴェルナーは親衛隊であり、ヘルマン•フーデンベルグはユダヤ人収容所の所長。そして、二人が愛した美しいユダヤ人のハンナ•グーデンベルグ。

 最初に死んだのはハンナ•グーデンベルグだった。そして、収容所からユダヤの囚人を脱走させたのがヴェルナーだった。知られていない影のユダヤ人の命を救った英雄でもあった。そして、大量虐殺と個人的な理由での殺人。その重さを問う。まさに、意欲的な作品だ。そして、矢吹駆の関わった事件に絡んでいく。

 矢吹駆は、『薔薇の女』でのアントワーヌの死に対して、
「死という鏡さえ与えられるなら、自分にも英雄のように真実の人生を、選ばれた人生を、特権的な人生を生きることができるだろう。青年の思考は、ほとんど必然的に観念的倒錯の罠に落ちてしまう。戦場のない社会で死の可能性に直面することができないなら、意図的に戦場のようなものを、死の危険に満ちた暴力的な環境を、なんとか捏造してしまえ。」

 「現代的なタイプの政治青年は、平和な日常生活に人工的な戦場をしつらえようとして、テロリズムの沼地に誘惑されてしまう」
と述懐する。

 「ハルバッハによれば、現存在の本来的自己は、死の可能性への先駆において実存する。死の可能性は無数にある生の可能性から、その人間にとって本当に大切な可能性、特別の可能性、人生の中心的な可能性を、はっきりと映し出す特別の鏡なんだ。死という鏡がなければ、人間は無数にある可能性のなかで道を失うだろう。他人の眼を気にしたり、常識に流されたり、日常の些事に追われたりして、本当の自分を生きることなどできはしない」

 「僕は、ハルバッハ哲学でアントワーヌを批判していた。死は追い越しえない可能性なのに、それを欺瞞的に追い越そうと望むことが観念的な倒錯を必然化し、自他にわたる抑圧と悪を生んでしまう。マチルドやアントワーヌを見て、たぶん僕は、そう感じたんだろう」

 ハイデガーの死の哲学を繰り返す。ハルバッハ(ハイデガー)の哲学は、なにも自殺を推奨しているわけではない。死の可能性に目覚めよと主張しているのだ。

 頽落した日常性が、どんなに死の可能性を覆いかくしていても、必然的なものとしての死は、滲みでるようにして日常的な人間の存在を染めはじめる。それが不安の由来なのだ。不安なわたしは、結果として死の可能性を凝視するようにしいられる。しかし、死は切迫しているにせよ将来のものであり、可能性としてしか人間にはあたえられていない。日本では有名らしい小説家(三島由紀夫)が伝統的な作法で、儀礼的な自殺を演じた。

 リトアニア出身で、ユダヤ人で囚人だったエマニュエル・ガドナスは、エマニュエル・レヴィナスがモデル。ガドナス哲学の出発点におかれている、〈ある:イリヤ〉の概念を産み出す。レヴィナスは、ハイデガーのナチス賛美を批判する。

 なぜ、イスラエルの諜報機関が、アイヒマンを追いかけ、裁判をして、死刑にしたかの背景も理解できた。

 宙吊りの死者。ジークフリートの密室。龍の密室。矢吹駆の推理は次から次へと発展していく。そこで見つめた大量死と殺人事件の謎とき。実に刺激的なノイズが見つかる。それにしても、人間はかくも残酷な行為ができるのかと唖然とするばかり。戦争の非人間性を強く感じる。
哲学者の密室 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 哲学者の密室 (創元推理文庫)より
4488415040
No.24
(4pt)

ハイデガーのナチス礼賛を追求する矢吹駆

本書は、1160ページもある大作だ。読むだけでも重労働だ。
ユダヤ人が600万人も虐殺されたことと三重密室殺人が、戦争の時と現在にも起こるという事件に、現象学を学ぶナディアが謎解きをして、矢吹駆が真相を現象学的に解明する。

 矢吹駆は、著者の分身でもあり、自分の体験をも重ねる。連合赤軍のリンチ殺人事件の個人的な体験が深く根ざす。それをハイデガーの哲学で解明しようとする。

 ハイデガーの『死の哲学』を突き詰めていく。ハイデガーの入門書を読む限りは、『死の哲学』とは言えないと思えた。
 ハイデガーは、ナチス党員となり、大学の総長となり、ヒットラーを讃美しナチスになることを鼓舞した。そこに、ハイデガー哲学の限界をみる。そして、ハイデガーは、ユダヤ人の虐殺の収容所は知らなかったという説を、ユダヤ収容所の前で、一緒に所長と写真をとっていた。その写真が、ゆすりの原因となり、80歳を超えても、その写真を隠そうとして墜落死する。因果応報の世界でもある。

 そして、ハイデガーの教えを学んだ二人の男ハインリッヒ•ヴェルナーは親衛隊であり、ヘルマン•フーデンベルグはユダヤ人収容所の所長。そして、二人が愛した美しいユダヤ人のハンナ•グーデンベルグ。

 最初に死んだのはハンナ•グーデンベルグだった。そして、収容所からユダヤの囚人を脱走させたのがヴェルナーだった。知られていない影のユダヤ人の命を救った英雄でもあった。そして、大量虐殺と個人的な理由での殺人。その重さを問う。まさに、意欲的な作品だ。そして、矢吹駆の関わった事件に絡んでいく。

 矢吹駆は、『薔薇の女』でのアントワーヌの死に対して、
「死という鏡さえ与えられるなら、自分にも英雄のように真実の人生を、選ばれた人生を、特権的な人生を生きることができるだろう。青年の思考は、ほとんど必然的に観念的倒錯の罠に落ちてしまう。戦場のない社会で死の可能性に直面することができないなら、意図的に戦場のようなものを、死の危険に満ちた暴力的な環境を、なんとか捏造してしまえ。」

 「現代的なタイプの政治青年は、平和な日常生活に人工的な戦場をしつらえようとして、テロリズムの沼地に誘惑されてしまう」
と述懐する。

 「ハルバッハによれば、現存在の本来的自己は、死の可能性への先駆において実存する。死の可能性は無数にある生の可能性から、その人間にとって本当に大切な可能性、特別の可能性、人生の中心的な可能性を、はっきりと映し出す特別の鏡なんだ。死という鏡がなければ、人間は無数にある可能性のなかで道を失うだろう。他人の眼を気にしたり、常識に流されたり、日常の些事に追われたりして、本当の自分を生きることなどできはしない」

 「僕は、ハルバッハ哲学でアントワーヌを批判していた。死は追い越しえない可能性なのに、それを欺瞞的に追い越そうと望むことが観念的な倒錯を必然化し、自他にわたる抑圧と悪を生んでしまう。マチルドやアントワーヌを見て、たぶん僕は、そう感じたんだろう」

 ハイデガーの死の哲学を繰り返す。ハルバッハ(ハイデガー)の哲学は、なにも自殺を推奨しているわけではない。死の可能性に目覚めよと主張しているのだ。

 頽落した日常性が、どんなに死の可能性を覆いかくしていても、必然的なものとしての死は、滲みでるようにして日常的な人間の存在を染めはじめる。それが不安の由来なのだ。不安なわたしは、結果として死の可能性を凝視するようにしいられる。しかし、死は切迫しているにせよ将来のものであり、可能性としてしか人間にはあたえられていない。日本では有名らしい小説家(三島由紀夫)が伝統的な作法で、儀礼的な自殺を演じた。

 リトアニア出身で、ユダヤ人で囚人だったエマニュエル・ガドナスは、エマニュエル・レヴィナスがモデル。ガドナス哲学の出発点におかれている、〈ある:イリヤ〉の概念を産み出す。レヴィナスは、ハイデガーのナチス賛美を批判する。

 なぜ、イスラエルの諜報機関が、アイヒマンを追いかけ、裁判をして、死刑にしたかの背景も理解できた。

 宙吊りの死者。ジークフリートの密室。龍の密室。矢吹駆の推理は次から次へと発展していく。そこで見つめた大量死と殺人事件の謎とき。実に刺激的なノイズが見つかる。それにしても、人間はかくも残酷な行為ができるのかと唖然とするばかり。戦争の非人間性を強く感じる。
哲学者の密室 Amazon書評・レビュー: 哲学者の密室より
4334922090
No.23
(5pt)

とても面白かった

とても面白かったです。
哲学者の密室 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 哲学者の密室 (創元推理文庫)より
4488415040
No.22
(5pt)

とても面白かった

とても面白かったです。
哲学者の密室 Amazon書評・レビュー: 哲学者の密室より
4334922090
No.21
(5pt)

ハイデガーに興味ある方必読です。

ギリシャ神話のミノタウロスの迷宮の話とハイデガー哲学が複雑に絡み合うそこからハイデガーにいくもの良し。ギリシア神話に行くのも良し様々なものの入り口になってくれます。
哲学者の密室 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 哲学者の密室 (創元推理文庫)より
4488415040

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