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マリオネットK さんのレビュー一覧
マリオネットKさんのページへレビュー数80件
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十字型という奇妙な形をした屋敷で発生する殺人事件。持ち主に不幸を招くという呪われたピエロ人形というオカルト要素。そしてそのピエロの視点から物語が描かれるという奇抜な構成。そんな設定を料理するのは安定して良作を量産し、どんでん返しにも定評のある東野圭吾氏。
という否が応でも期待せざるを得ない要素が揃っていた作品でしたが、やや期待はずれでした。 それなりに面白く、それなりに斬新で、それなりに良く出来ており、決して悪い作品ではないとは思うのですが、ハードルを上げすぎてしまいましたかね。 仮に東野圭吾氏の作品ではなく、知らない作者の作品を設定に惹かれて読んだならば「なかなかの掘り出し物だった」と満足していたかもしれません。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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物語の時系列、ナンバリング上は『病院坂の首括りの木』が金田一耕助最後の事件とされていますが、実際に執筆、発表がされたのはこの作品が金田一耕助シリーズ最後の作品にして、横溝作品の長編としても最後となる、実質的な”遺作”とも言える作品です。
物語の舞台、雰囲気は『獄門島』。展開、仕掛けは『八つ墓村』を髣髴させる部分が多く、まさにシリーズの集大成感があります。 しかし正直前半部分があまりに冗長です。 『獄門島』や『八つ墓村』などのシリーズ初期の大人気作は、読者を飽きさせない無駄のない構成、テンポの良さも名作たる理由の一つだったと思うのですが、今作は内容そのものがそれらの作品より決して濃いわけでもないのに、不要に引き伸ばされ、結果薄められているような印象でした。 後半になるとテンポがよくなり、緊迫感のある展開の連続でストーリーとしては面白かったですが、今度は本格ミステリとしてはかなりお粗末かつ物足りない真相、結末でした。 横溝氏はこの作品完成当時すでに78歳という高齢。そしてその翌年にはお亡くなりになられているという事実を踏まえると、これほどの長編を執筆したこと自体が驚異的であり、賞賛に値するのですが、あくまで作品としての評価はオマケしてこの点数ですかね。 とはいえリアルタイムで横溝作品を追いかけてきたファンにとっては、約10年の休筆の後に、このような往年の名作を彷彿とさせる作品を読めたのは、それだけで感無量の、横溝氏が亡くなってから生まれた自分のような読者には理解できない思いがあったのだろうなと感じました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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クリスティの『ABC殺人事件』、クイーンの『九尾の猫』などに代表されるミッシングリンクものの有名作の一つ。
当時は古き良き本格推理小説が戻ってきたような扱いで話題になったようですが、もう現在ではこれも古典の一つとなるでしょうか? 雪深いとある街を舞台に、下は8歳子供、上は老人まで、一見事故と思われていた死が、豚を意味する「HOG」を名乗る殺人犯の手によるものと、犯人自身より送られてきた手紙で判明する。 果たして犯人の正体と被害者を繋ぐものとは?殺人動機は?そして「HOG」とは何を意味するのか……? 真相は面白かったし、「HOG」の意味もなるほどと思いましたが、例にあげたクリスティやクイーンの有名作に比べると正直途中経過が退屈に感じた作品で、真相部分しか残らなかった感想です。 雪に閉ざされたそう広くない街で子供から老人まで無差別に殺害していく殺人鬼の恐怖みたいなのがもう少し煽られてもいいんじゃないかと思いましたね。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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誰でもおおまかにどんな話かは知っている超有名作の原作を今更読んでみました(正確には小学生時代にも児童書版は読みましたが)
まず中編と言うべき意外な短さなのに驚き。 それゆえに逆にいろいろ膨らます余地が多く、さまざまな媒体で独自解釈などされたリメイクが数多く存在するのかもしれないと思う作品です。 もう現代では「ジキルとハイド」という言葉が同一人物の二面性の代名詞になってしまっているわけですが、当時0から読んだ読者には「ハイド氏は何者なのか」という謎がまず話の主題となる。ある意味「一人二役トリック」のミステリー作品でもありますね(発表年を考えると当時はまずこれ自体が斬新なアイディアだったのでしょうね) ハイド氏の正体が判明してからはジキル博士の苦悩が描かれますが、元々自分から悪事への快感を目的にハイドとなっていた博士は、ある意味「自業自得」なのですが、それでも彼に共感と同情が沸いてしまうのは、人間誰しも悪の快楽に身を任せたいという欲求があることを、それこそなまじ普段は善人な人間であるほど理解できてしまうからでしょうね。 仮に元々悪事に全く抵抗のないハイドのような人間がこの話を読んでも何も感じないのではないかと思います。 |
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説明不要の超有名作の原作小説を今更読みました。
1989年発表の作品ということで、ミステリ史全体から見ればまだそこまで古い作品ということにはならないのかもしれませんが、まぁもう「古典」の領域ですね。 危険極まりない天才犯罪者に、獄中に逢いに行き犯罪捜査の助言を請うという現在では定番となった一つのパターンの草分け的存在として偉大な作品だと思いますが、今改めて読んで見ると、すでにあらすじを大体知っていたこともありますが、特に大きなどんでん返しがあるわけでもなく、正直冗長さが気になって退屈でした。 映画版をすでに見ている人がわざわざ読む必要はないかなという感想です。 |
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主人公は表向きは生徒に大人気で、同僚からも信望の厚い、有能な高校教師。
しかし彼の裏の顔は、自分にとって邪魔な者は躊躇なく、殺害して排除してしまうというサイコパスであった。 そんなこれ以上悪い奴はいないだろうというぐらいの「悪」が主人公なのですが 学校の問題をテキパキと解決する彼の手腕や、その傍ら読者目線でもうっとうしい存在を次々排除していく様には惹かれるとともに、共感が沸いてしまいます。 主人公「ハスミン」はまさに人間誰しもが多かれ少なかれ持っている黒い部分を代わりに開放してくれるようなダークヒーロー的存在と言えると思います。 そんなハスミンに感情移入しながら読める、前半は楽しかったのですが、後半からはまさにハスミンともどもいろいろ作品にボロが出たという感想です。 不用意な殺人の隠蔽のためにいきなりクラス全員皆殺しにしよう、という発想になるのは、展開としてはぶっ飛んでいて面白いですが、あまりの杜撰さにつっこまずにはいられません。 これまでの人生、常に入念な計画の元に事を運んできて、小学生の頃から決して尻尾を掴ませずに人を殺してきたハスミンはどこへ行っちゃったんですか。 何より、それまでは紛れもない悪であることは変わりないけれど、人間誰もが抱えている「邪魔な人間を殺せてしまえばいいのに」という葛藤を平然とやってのけるハスミンにシビれてあこがれていたのに「生徒を皆殺しにしよう!」と突然発想が飛躍されると、作中の言葉で言えばサイコパスがただのサイコになってしまいもはや共感も好感も沸かなかったです。 あと、続編を意識しているからでしょうか、放置されてるキャラとか伏線が多すぎだと思います。 非常にたくさんのキャラが出てくるんですが、良くも悪くもいろんな意味でハスミンが強すぎて一人勝ち状態でしたね。 以下ネタバレというか個々のキャラについての感想です ▼以下、ネタバレ感想 |
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孤島に避暑に向かった8人の男女。
しかし二日目の朝、一人の女性が心臓を持ちさられて惨殺された死体となって見つかり、それを口切りに一人、また一人と殺されていく…… という定番の孤島の連続殺人ものですが、それだけにとどまらず中々に個性を持った作品でした。 まず物語全体の雰囲気が、夏に島にバカンスに来ているとは思えないほど、タイトルの通り陰鬱で寒々しい印象を受けます。(それこそ殺人が起きる前の楽しく遊んでいるはずの所から)しかしどこか詩的で美しい、独特の世界が拡がっています。 また文章そのものも独特です。テーブルを「テエブル」とかコーヒーを「コオヒイ」などなぜか「ー」を使わずに表記するのにかなり違和感を覚えます。 かといって絶対に使わないわけではなくカレーは普通に「カレー」と表記していたりして作者の中でのルウルがよくわかりません。 そして女性作者ならでは……と言っていいのかわかりませんが島を訪れた表面上は和気藹々としていた8人の男女の奥に潜む三角関係や愛憎が事件に大きく関わり、恋愛要素が単なるミステリーのスパイスや動機付けにとどまらず、推理小説であると同時に恋愛小説でもある作品と感じました。 真相に関してはかなり無理がある&少しアンフェア感はありましたが、斬新ではあったと思います。 |
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タイトルを見た時点で「こんなの絶対面白いやん!」と期待してしまったのですが、迷路のような屋敷見取り図などが挿入されるわけでもなく、
そもそも屋敷そのものがそこまで迷路、迷路していたわけではないので、少し拍子抜けでした(中村青司の建てた「迷路館」ほどとは最初から期待していませんでしたけど) 迷路荘というよりは「隠し通路荘」とでも呼んだ方がイメージどおりですね。 屋敷に隠された抜け穴から通じる、天然洞窟を改造したような地下通路で展開される謎と冒険は『八つ墓村』を髣髴とさせます。 前半部分の聞き込み部分が冗長な割りには結局あんまり意味が無く、間延びしてしまっただけだな、と感じました。 全体的に凡作かなぁという感想でしたが、ラストの真相にはちょっと驚きました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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『S&Mシリーズ』の三作目。
前作の『冷たい密室と博士たち』が第一作の『すべてがFになる』に比べて、ストーリー、キャラクター、舞台、トリックの「すべてがショボくなる」で正直ガッカリさせられたのですが、今回は奇人が住まう、奇妙な館で、奇怪な殺人事件が起こるという私好みのストーリーで、天才数学者のキャラクターやそれに伴う禅問答的な会話(数学的な定義で持って話す本人的にはむしろ禅問答や哲学的なものとは対極的なつもりなのでしょうが)も面白い作品でした。 ただ他の方のレビューにもあるとおり、肝心のトリックがミステリを多く読んでいる人ならすぐにわかってしまうようなもので、私も館の見取り図と冒頭のやり取りを見た時点で殺人すら起こる前にすぐ見当がついてしまったため、さも超難問のように煽られているのに滑稽さがぬぐえませんでした。 まぁ今回は犀川や萌絵より自分の方が頭が良かったぞ!と優越感に浸れたのでよしとしましょう。 (ちなみに作中に出てくる数学の問題は一つも解けませんでした) ▼以下、ネタバレ感想 |
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乱歩御大の長編の中でも評価が高い一作。
この小説に登場する犯罪者『蜘蛛男』は ・大胆不敵にも犯罪予告を出し、警察や探偵に挑戦的な態度を取る ・犯罪行為に自身のポリシーや芸術性を求めている ・変装の名人であり、神出鬼没な存在である ・財力にも富んでおり、アジトを持ち手下なども従えている などとあの怪人二十面相との共通点の多い犯人です。 二十面相との最大の違いは、二十面相の目的はあくまで「盗み」であり、殺人は犯さない、血を見るのさえ極力嫌うある種紳士的でさえある犯罪者なのに対し、蜘蛛男は、自分の狙った美しい女性を猟奇的な手段で殺してみせることが目的の、残酷な殺人鬼である所です。 作品発表はこの作品が先なので、むしろ二十面相の方がこの蜘蛛男から猟奇性や変態性を取り除き、ジュブナイル小説向きに焼きなおした存在であると言えるのかもしれません。 『孤島の鬼』同様、二部構成のようなストーリーで、蜘蛛男の正体と不可能犯罪の謎を暴く本格ミステリ要素が強めの前半と さらなる大犯罪計画を企てたまま逃亡する蜘蛛男を追うサスペンス要素が強めの後半といった形の作品です。 蜘蛛男の正体は、推理小説を読みなれていない人ならば驚けるかもしれませんが、ある程度以上読んでいる人間にはバレバレです。 私も大人になってから読んだので、犯人の正体(それに伴う諸々のトリック)などは容易にわかってしまったので、『少年探偵団シリーズ』は卒業して次のステップに移行するぐらいの年齢の時に読めれば良かったな、と思う作品でした。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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トリックは現代の日本の推理小説をある程度読み漁ってる人ならなんとなく想像はつくかもしれません。
しかし発表が1972年ということを考えると、この発想、先見性は賞賛されるべきで、おそらく近年に至るまでの多くの類型トリックを用いている作品の先駆けとなった話だと思います。 (それだけにさらにその半世紀前に活躍してるクリスティとかの作品があらためてどれだけ凄いかと再認識するんですが) ただ正直に言ってこの作品はストーリーそのものが全然面白くなかったです。登場人物も魅力や感情移入以前にどんな人間か伝わってこないですし。 もしこのトリック、プロットでドラマや人物にも魅力があったら、日本ミステリ史に残る作品として、『点と線』とか『虚無への供物』とかと並んでオールタイムベストの上位常連になっててもおかしくなかった作品だと思います。 そういった意味で非常に「惜しい」作品だと思いました。 |
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とりあえずクローズドサークル物は手当たり次第読んでいる私ですが、これはあまり芳しい評価は得ていない様子の作品なので、あまり期待はせず読みました。
予想通りのB級ミステリといった感じの作品で、特別驚くような結末や、何か心に残るような内容があるわけではありませんが、手頃な分量で気軽に楽しめる話でした。 名作、傑作とはお世辞にも言えないですけれどクローズドサークル系、脱出物の作品が好きな人ならそこそこ面白いんじゃないかと思います。 トレーラーハウスという少し変った舞台設定であり、せいぜいワンルームマンション+α程度の狭い空間に9人も閉じ込められてしまうので、人口密度、閉塞感という点では、クローズドサークル作品の中でもトップクラスでしょうか。 しかもそんな狭い中で死人が出たばかりか、タイトル通りそこらじゅうに針やら壊れる椅子などいろんなトラップが仕掛けられており、さらに水やガスなどのインフラまで止められるので、主人公たちはかなりたまったものではない状況に陥ります。 仕掛けられたトラップの脅威や、閉じ込めた犯人側からの脅迫・挑戦的なメッセージなど、少しデスゲームっぽい雰囲気もある作風であり、その辺がエンタメ性を高めると同時にチープさにも拍車をかけています。 犯人が閉じ込めた人間たちに、過去の事件の検証を行わせる目的があったというのは、岡島二人氏の有名作『そして扉は閉ざされた』を彷彿させられましたが、この作者の代表作である『扉は閉ざされたまま』とちょっと紛らわしい、とかどうでもいい感想が沸きました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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前作『ジョーカー・ゲーム』の続編にあたる、スパイミステリー連作短編集の『D機関シリーズ』第二弾です。
現実のスパイ事情などはよく知りませんが、納得させられてしまう説得力とリアリティは前作から健在です。 ……ただ、前作の衝撃に比べると飽きもあるのかあまり面白くは感じませんでした。 今作はD機関に対してライバルや敵対関係にある存在の視点から見た話が中心なのですが、正直いずれも最初からD機関の相手が務まるような存在に見えず、結局どの話もオチは「D機関は凄い!」になるんだろうなぁという予想が出来て、ややワンパターンに感じてしまいました。 ※以下個別ネタバレ感想です ▼以下、ネタバレ感想 |
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『速水三兄妹シリーズ』第三弾にして、とりあえず完結編ということになるのでしょうか?
今回の題材はミッシング・リンクもので、クイーンの名作『九尾の猫』を意識したような作品となっています。 とはいえ前二作同様、作風はユーモアミステリなので「後期クイーン問題」などはどこ吹く風で、楽しく(?)推理が進んでいきます。 発表が1990年という事を考えると、パソコン通信などを取り扱ったミステリとしては当時としてはかなり前衛的な部類に入ったのではないかと思います。 ただ今読むと、ある意味古典作品以上に時代を感じてしまい、90年代のインターネット黎明期をよく知らない人などはイメージが沸かない部分もあるかもしれません。 恭三氏の将来のお嫁さん候補が出来たのは良かったですね。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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人間性の評判はあまり良くないが、面白いパーティを開くことで定評のあるシャイタナ氏。
ある晩彼は「殺人者4人」と「探偵4人」を招待した、奇妙なパーティを催すが、自らのお膳立て通りにトランプゲームの最中何者かに殺害されてしまう。 容疑者候補は4人と少ないながら、全員が過去に殺人を犯しながら法から逃れているという、ブリッジパーティよりインディアン島にでも招待されろよという面々であり、実際一人一人の過去の殺人も明かされるのも相まってかなり「濃い」面子です。 一方の探偵側の4人は、よく「クリスティオールスター」的な大げさな紹介をされたりしますが、実際の所主役のポワロ以外は、単に捜査に協力してくれる人たちという域を出ません。マープルが競演してたりしたら豪華だったのですが。 ブリッジというトランプゲームは日本ではメジャーでなく、かく言う私もこの作品を楽しむためにブリッジのルールを事前に勉強しました。ハヤカワ版ではあとがきの解説でルールを説明しているので、そこを先に読むのがいいかもしれません。 しかし概ねルールを理解しても、やはり実際に何度かゲームをプレーしてその雰囲気や基本定石そのものを理解しないと100%楽しめないのかな、とも思いました。 (ちなみに作中の推理の理論的には別にゲームのルールを理解していなくても十分理解可能、納得のいくものです) 決してつまらなくはなかったですが、いろんな面でもっと面白くすることも(読むことも)できた気がするのが惜しい作品ですね。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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ミッシングリンク殺人(未遂)が題材かと思えば密室消失ネタなどが出てきて、かといって本格かと言えば、バイオレンスな作風はハードボイルド寄り?
随所の笑えるようで笑えない展開はブラックユーモアというよりは、むしろそれと真逆の一見ユーモアに見える重い展開であったり……とにかく特定のジャンルのくくりで説明できない、この作者だけの世界が広がっていた作品です。 個人的な感想を一言で言うと、ミステリ作品の皮をかぶった「こういう独自の作品」でした。 この独特な空気と文章は、合う人はスラスラ流れるように一気読みでしょうし、合わない人は拒否反応を示すでしょうね。全編通して直接事件とは関係ない部分含め、暴力、暴力&暴力なので、この辺も爽快感を得る人と、嫌悪感を催す人が分かれるのではないかと思います。 自分としては合うのか合わないのかよくわからなかったというか、ある部分では合ったしある部分では合わなかったと感じたので、間を取ったような点数になりました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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タイトルから想像出来るとおりクローズドサークルものですが、この作品(シリーズ)の最大の特徴は「猫が主人公」なことです。
猫が探偵と言えば『三毛猫ホームズ』シリーズが有名ですが、この作品の場合はあの夏目漱石の『我輩は猫である』のように「猫視点」で人間の世界を見て事件の真相に迫ります。 猫が人間と会話したり細かい意思疎通を取れるわけではない一方、猫同士では人間レベルの会話をしていたりする荒唐無稽な設定であるのですが、随所に作者の猫好きが伝わってくる「猫あるある」ネタなどが盛り込まれ、猫好きの人は楽しめるのではないでしょうか。 (ちなみに自分は犬派ですが、犬も出てきますよ!) そのような特徴が面白い作品ではありますが、肝心の本格ミステリとしての内容は「普通」かな、という感想です。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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