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マリオネットK さんのレビュー一覧
マリオネットKさんのページへレビュー数41件
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国名シリーズ二作目。
そこそこ評価は高め(少なくとも一作目の『ローマ帽子の謎』よりは)の作品ですが、後のクイーンの傑作と呼ばれる作品を先に読んでいるためか、今作は正直納得できない部分や粗が目立ちました(他の人の感想を見てもそういう声が多いみたいですね) 麻薬組織や暗号云々は正直無駄に話を間延びさせただけな感がありました。 あとどうでもいいですが、私の読んだのはかなり古い訳版だったので、黒人が登場すると当たり前のように地の文で再三にわたり「黒ん坊」呼ばわりして、作中キャラも「黒ちゃん」とか呼んだり、黒人の口調だけ訛らせたり、差別意識を隠そうとしない(意識すらしていないが正しいか)のに苦笑しました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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元々法廷ミステリがあまり得意でない私が読むのには少し早かったかもしれないと感じた作品です。
恥ずかしながら内容が難しく、頭に入ってこない部分が多々ありました。 海外翻訳にありがちな、人物の名前が一致しないのもそうですし、各人の相関関係や立ち居地も理解しにくかったです。 そして作中の展開そのものも、私の理解力が乏しいせいでしょうが 「今主人公はどれぐらい不利な立場にあるのか」「結局これは主人公側にとっていい展開なのか」 この辺がよく理解し辛い法廷の流れが続きました。 その反面、真犯人と真相はすぐに予想がつきました。なので結末も特に驚くことはなかったですね。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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今作で4作品目になる『S&Mシリーズ』ですが、1作目の『すべてがFになる』のインパクトだけ図抜けていて、ここまでその後の作品は特筆することのない、小ぶりなミステリ作品としか思えません。それこそシリーズ作品でなかったらなんらかの賞に応募しても最終選考以前で落選しているんじゃないかと思ってしまいます。
大学を舞台に密室殺人が起こるというプロットは2作目の『冷たい密室と博士たち』とかぶってますし(本当に密室トリックしか興味が沸かなかったその作品よりは今作の方がまだ楽しく読めましたけど)犯人もかなり見え見えでした。 そしてやっぱり主人公2人のキャラが好きになれないです。犀川のことあるごとに世間の不合理さを指摘するような思想にイラっときます。しかもその内容が正直知性を感じるよりは、斜に構えた10代の世間への文句と大差ないレベルに思えてしまいます。事件に首突っ込んでは毎回危険な目に逢う萌絵も何時までたっても好きになれないです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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最初に”この映画の製作において動物への危害は加えられていません”という注意書きがありますが、実際には犬猫を遊びで殺すクズどもが登場する作品です。
この作品で一番重要な部分は本来そこじゃないんでしょうが、自分のような、作り話の中で人間は何人死のうとかまわないけど、犬や猫が殺されるのは作り話の中でも嫌だという人は要注意です。 私は途中から話の本筋よりも、「この遊びで犬猫を殺している奴らが出来るだけ酷い死に方で死にますように」と祈りながら読んでしまいました。 その点抜きにしても最初はユーモラスな雰囲気の話かと思いきやどんどん重い結末に向かっていき、あんまり読んでいて楽しい作品ではありませんでしたね。 途中までは「これはミステリなのか?」と思いながら読んでいましたが、真相部分に触れると、それまで多くの伏線が張られていたことがわかり、その点は関心しました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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推理作家の枠にとどまらないからくりを作品に施し、読者を驚かせ楽しませてくれる泡坂氏の代表作ということで期待して読んだのですが
ミステリとしての出来の面でも、単純に話の面白さの面でも、正直評価されているほどとは思えませんでした。 作者のからくりに対する愛が溢れているのはいいのですが、本筋を完全に離れたレベルで垂れ流される薀蓄が正直読んでて疲れます。 もっと自然に話の流れの中に説明を組み込んでくれればまだいいのですが、明らかに不自然な流れで延々と講義になるのはやめてほしいです。 途中主人公たちが記念館に話を聞きにいったパートなんか完全に謎解きおよびストーリーの構成としては不自然な上に無駄。作者が趣味について語りたいから入れただけって感じでうんざりでした。 あと舞子の嵌められて警察を追われることになった過去の決着がつかなかったり、敏夫のボクサー崩れという設定の意味や研究会に来ることになった経緯などが不明だったり 肝心の主人公二人の設定に意味がなかったり、決着がついてないのは話の構成としてどうなのかなと思いました。 本来は続き物シリーズにする予定で、その辺は続編でじっくり掘り下げて解決する予定だったんでしょうかね? ▼以下、ネタバレ感想 |
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・本格ミステリ大賞(第5回 (2005)小説部門 大賞)
・週刊文春ミステリーベスト10 2004年版(2位) ・本格ミステリベスト10 2005年版(1位) ・このミステリーがすごい! ベスト10 2005年版(1位) という堂々たる受賞暦を持ちながら、どうもみなさんの評価は芳しくない模様なこの作品。 かくいう自分もあまり面白いと思えなかった口です。 元来このシリーズは比較的短めでテンポ良く話が進む作品が多いだけに、シリーズ10作目に当たる500ページ超のこの作品はさぞスケールが大きく盛りだくさんな大作だろうと嫌でも期待してしまったのですが、実際にメインの首斬り殺人が起こるまでが長く、その後第二の殺人が起こるわけでもなく、間延び感がありました。 それにも関わらず、人物描写も特に丁寧とも思えず、ラストはカタルシスもなくあっさり終わってしまい、総じて見ると小粒な事件という印象です。 読み返せば序盤から沢山伏線が張られていたことが判るようですが、正直わざわざもう一度読み返す気がおきません。 300ページくらいにコンパクトにまとまっていればまた評価も違った気がするのですが。 文庫版のあとがきの対談で貴志裕介氏がその出来の良さを解説してくれているように、本格ミステリのプロットとしてはよく出来た作品なのかもしれませんが、単純に話としてあまり面白くないのが我々一般読者に評価されない要因でしょうか。 あるいはなまじ賞などを取っているからこそ「期待はずれ」と辛い評価を貰うことになってしまうのかもしれませんね。 あと『なめくじに聞いてみろ』とかけた結果なのでしょうが、タイトルや表紙がおどろおどろしい割には内容に合っていないのも読者の期待を裏切ってしまったかもしれません。 最初からもうちょっと芸術性や論理性を前面に押し出したタイトルであれば誤解も生じなかったのではないでしょうか。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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安楽椅子探偵ものの古典の名作短編集。
表題作の何気ない短い文章から推理(推測?)が進み、展開していくストーリーは印象深かったのですが 正直どの話もニッキイの理屈がイマイチ納得できないものばかりに感じ、あまり面白いと思えませんでした。 シャーロック・ホームズの人物観察からの推理がこじつけとしか思えないのに近いものを感じます。 それ抜きにしても短編でありながら読みづらく、正直表題作以外はどんな話だったか殆ど印象に残りませんでした。 なので個別感想は書けないです。 |
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長らく、世界初のクローズドサークル作品はクリスティの『オリエント急行殺人事件』だと思っていたのですが、クイーンの『シャム双生児の謎』の発表の方がその一年前であることを知りました。
さらに調べたところ、やはりクリスティのこの作品が、それよりさらに前の”世界初のクローズドサークル作品”であるとの情報を得て、クローズドサークルファンとしてはぜひ読まねばと購読したのですが…… まず第一の感想として「クローズドサークルじゃないじゃん!」でした。 雪に閉ざされた小さな山奥の村"シタフォード”を舞台にした物語ということで、なるほどそこで殺人が起こるのかと思いきや、実際の殺人はそのシタフォードのふもとにある町で起こります。 そこは全く閉ざされた空間ではないので普通に警官が来て捜査はするし、容疑者は厳密に言えば無数にいるし、裁判まで作中で起こります。 その殺人に対する容疑をかけられた男の婚約者の女性が本作の探偵役となり、恋人の無実を晴らすためにシタフォードに情報収集に向かうという展開になるので 「なるほど、ここで第二の殺人が起きて、さらに吹雪か何かでシタフォードが完全に外部と隔離されて、今度こそクローズドサークルになるんだな!」 などと期待したのですが、中々次の殺人も起きなければ、村から出られなくなるような事態も起きてくれません。 もう真犯人は誰なのかという本来の謎やストーリーそっちのけで「クローズドサークルになれ……クローズドサークルになれ……」と祈りながら読み続けていたのですが、結局最後までクローズドサークルにはなってくれませんでした。 というわけで勝手に”世界初のクローズドサークル作品”と期待した私が悪く、作品に罪はないのですが、ガッカリさせられた気分になりました。 ただ、この作品は読者目線での容疑者となる人たちが閉ざされた空間にいるために、その外で起きた殺人に一見不可能状況が起きているという、”逆”クローズドサークルとでも言いますか、クローズドサークルというジャンルが確立する前の作品でありながら、ある意味クローズドサークルの変則系とも言える形と言えるかもしれません。 ”開かれた空間”と”閉じた空間”二つの舞台で進行する物語と言う形式は、ひょっとしたら『十角館の殺人』や『殺しの双曲線』などといった日本のクローズドサークル作品の有名作に『そして誰もいなくなった』と同じぐらい影響を与えているかもしれないなどと思いました。 なので考えようによってはこれもクローズドサークルの亜種の一つとみなしてクローズドサークルタグを付けようか……とも思いましたが、やはり私のように騙された気分になり、作品を先入観なく見れなくなる人がいるといけないのでつけないことにします。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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『ミス・マープルシリーズ』では最高傑作との声が多く、ひいては戦後のクリスティ作品では最高傑作扱いかもしれない本作ですが、個人的にはあんまり面白くありませんでした。
新聞広告に殺人が予告され、その日時と場所に、野次馬気分や探偵ごっこのつもりで村人たちが集まったはいいが本当にそこで殺人が起こって……という導入部分は期待したのですが、てっきりその後も『ABC殺人事件』のように次々と第二、第三の殺人予告みたいな、緊迫感溢れる展開を予想していたのに、予告殺人は冒頭のそれ一件だけで、あとは淡々とした展開だったのが残念です。物語も終盤になって第二、第三の殺人が起き、話そのものに緊迫感は出るのですが、犯罪計画全体を見るとお粗末感が出てしまうものでした。 何より個人的にはもう作中序盤の最初の事件が起きた時点で犯人におおよそ見当がついてしまったのが最大の難点ですかね(動機は最後の最後までわかりませんでしたが……) この作品は主役のマープルが老婆なのをはじめ、多くの年老いた女性が登場し、それまでの彼女たちの歩んできた人生というものがキャラクターに現れ、物語に影響を及ぼしていた作品でした。そして同時にジュリア、フィリッパ、ミッチーという3人の若い娘も登場し、彼女たちに対しては各々その後の人生をいろいろ想像したくなるような女性たちでした。 この作品の発表年にクリスティ女史は60歳を迎え、老境に差し掛かって自身の人生を振り返っていろいろ思うところがあった時期だから書けた作品かもしれないですね。 (もっともこの作品が決して彼女の晩年の作品と言うわけではなく、この後もクリスティはかなりの数の作品を発表していますが) |
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『点と線』とともに鉄道ダイヤトリックの先駆け的作品であり、さらに鉄道ダイヤ関連はあくまでトリックの一部に過ぎず、メインは死体を入れた二つのトランクを利用した綿密なアリバイトリックであり、当時としては非常に練りこまれた作品だと思います。
しかし、正直読みにくくて状況を理解するのに精一杯。ストーリーや推理を楽しむ余裕がほとんどありませんでした。 それに加えてよく判らない衒学要素まで加わってくるのでますますもって読みにくいです。 注釈も無駄に多くて、いちいち読んでいたらかえって話の筋がよくわからなくなるし、国内作品なのに、悪い意味で海外翻訳物を読んでいるみたいな気分になりました。 実際当時にしてもこの辺の読みにくさのせいで一般層の支持は『点と線』に差を開けられてしまったのではないかと思いました。 同作者でも『りら荘事件』などは凄く読みやすかったのですが、この時はまだ書きかれていなかったんですかね。 そんなわけでせっかくのトリックの謎解きも「なんとかしてなんとかしたんだね」というような感想を抱いてしまいました。 これはよく理解して、考えて読もうとしなかった私が悪いと言えばそれまでですが。 しっかり再読すればまた評価は変るかもしれません。 |
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『探偵ガリレオシリーズ』第二弾。
前作に引き続き個々の話が独立した五つの事件で構成される短編集ですが、題名の「予知夢」の通り、殺人が第三者によって予知されていたなどという超常現象、オカルトめいた謎が事件に絡み、それを探偵役である「ガリレオ」こと天才物理学者湯川が論理的・科学的に解き明かしていくという一貫したテーマが設けられている作品です。 前作が文字通り「物理トリック」と言うべき、物理的専門知識を活かした科学実験のようなトリックを用いた作品が中心だったのに対して、今回はそういった科学実験的トリックの要素は薄めで、オカルトめいた現象を論理的に解釈する推理に焦点が当てられ、前作との差別化がなされている印象です。 個人的には音楽CDのアルバム同様、ただ単にいろんな話を詰め込んだだけの短編集より、統一されたカラーの作品を揃えている短編集の方が好感は持てますが、それゆえにワンパターン化して後半は飽きてくるような所もありました。 話個々の出来としては、全体的に安定しているとは思いますが、所詮短編向きの小ネタの集まりという印象で、特別面白いとは感じない作品でした。 しかし、非常に読みやすいので電車の移動などの「ちょっと空いた時間」などに読むにはもってこいの一冊だと思います。 以下、個別ネタバレ感想です。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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地名+殺人事件の内田氏の定番のパターンに、彼に最も縁のある都道府県である長野の名がとうとう登場しました。
浅見光彦シリーズ第100作目としてまさに満を持した感があります(どれを100作目とするかは諸説ありますが) 舞台が長野県ですので「信濃のコロンボ」との競演作でもあります。 長野オリンピックの際の十数億にも及ぶ多額の用途不明金に関わる、失われたはずの資料をめぐっての殺人事件という、まさに長野県全体、長野県民全体に関わる内容なのですが、なんと言ってもこの作品で一番印象に残るのは、メインキャラとして登場する県知事でしょう。 ・名詞折り曲げ騒動 ・ガラス張りの知事室 ・脱ダム宣言 と、どこからどう見ても田○康○氏がモデル……というより、もはや実質本人を登場させているとしか思えないです。 長野県民や、当時の長野県知事の話題などを興味深く見ていた人などはそれだけで惹かれる内容ではあるのですが、いかんせん肝心のミステリ部分が退屈すぎました。 もう少し面白い話だったら「これを読むのは長野県民の義務!」とでもタイトルに付けたい所だったのですけどね。 どうでもいいですが、あとがきで述べられていた、県知事選挙で「内田康夫」と投票する人がいたり、内田先生の奥さんに「当選おめでとうございます」と言った人がいたというエピソードには笑いました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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リアル人狼ゲームシリーズの第三弾です。
第一作、第二作との直接的なストーリーの繋がりはありませんが、複雑化するルールの把握のためにも前二作を読んでから読むのが推奨されます。 今回はさらに配役が増え、「村人」でも「人狼」でもない、第三の立場である「狐」が登場します。 「狐」はたった一人の勢力で村人に紛れ、夜に「人狼」に襲われても死なないけれど、「村人」の役職の一つである「預言者」の調べられると死んでしまい、自身が預言者に調べられる前に、「村人」「人狼」どちらかが全滅した場合一人勝ちという特殊な立ち居地です。 しかし今作で主人公となる「狐」を割り振られた少女は一緒にゲームに参加している一人の少年に一方的に強い愛情を抱き、なんとか彼と生き残りたいと考えます。 一方で「人狼」側は本来「人狼」同士はお互いの正体を知り、協力してゲームを進めているのに対し、「人狼」のうちの一人が名乗りでないという、異例の状況で ゲームは進行していき、物語は「狐」パートと「人狼」パートが同時平行で進んでいきます。 前作とも前々作とも異なる切り口で物語を進めているのは面白いのですが、正直ルールの複雑化に読者以前に作者もやや持て余し気味感を感じました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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90年代に絶大な人気を誇り、ティーン層を中心にミステリの普及に大きく貢献した『金田一少年の事件簿シリーズ』のノベライズ版第一弾。
原作漫画の第一話の舞台である、孤島のホテル「オペラ座館」を再び訪れた金田一一たちが、そこで再び連続殺人事件に遭遇するという内容ですが、漫画版第一話の謎解き部分のネタバレがあったり、予備知識が特に必要という内容ではないです。 しかしオーナーの顔の傷や、娘の墓など、漫画では結局明かされなかった謎がこの作品で明らかになるので、原作ファンはその辺りも注目ですね。 ミステリ作品としてはお世辞にもレベルが高いとは言えません。 この本は原作者の天樹征丸氏がまだ小説自体を書き慣れていなかったということもあり、まず文章が拙いですし、犯人の正体もトリックもある程度ミステリを読んでいる人間には、もうほぼ全てが容易に予想がつく内容です。 ミステリファンに今更勧められるという作品でははっきり言ってありません。 仮にこの内容を無名の作家がオリジナルキャラクターで書いてどこかの賞に応募しても、一次選考通るかどうかだと思います。 ただ、ミステリとしては基本の基本を押さえていることもあり、まさに原作の『金田一少年シリーズ』などの推理漫画で、ミステリに興味を持ってくれた小学校高学年~中学生ぐらいの子供の推理小説への橋渡しには十分その役割を果たしてくれる(た)、作品ではないかなと感じました。 本を読み慣れた人ならおそらく2時間とかからず読める文章量なので、手軽に「クローズドサークル連続殺人もの」を読みたいという人にもおすすめできるかもしれません。 ただ良くも悪くもジュブナイルに毛の生えた程度の内容にも関わらず、やたら性的な描写を入れるのは止めてほしかったですね。 生々しい動機については物語の核心に影響するので仕方ないですが、嬉しくもない無駄なお色気シーンや、一がコンドームを持っているシーンとかは、まさに薄っぺらな「子供騙し」感を覚えてしまいました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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東野圭吾氏の最初期の作品です。
この時代から長編にしてはコンパクトな分量で読みやすさは抜群な作風は健在です。 その多くはないページ数の中で、雪の山荘での密室殺人という定番の本格ミステリシチュエーションに加え、暗号解読・宝探し要素も加わるなど中々豪華な内容になっています。 ただ全ての要素が正直中途半端といった感じで、密室トリックも暗号解読も既存の作品のアイディアのあまり上手くは無い流用という印象でした。 また見出しの通り、「雪の山荘」+「マザーグース」などという題材は抜群にワクワクさせてくれるものだったのに、自分の好みのクローズドサークルでも見立て殺人でもなかったというのが、個人的にはガッカリでした。 登場人物もみんなあまりキャラが立っていないわりに、マイナスイメージだけははっきり伝わってくる感じでなんかちょっと嫌でしたね。 総合して、駆け出し時代の作品としては及第点という感想でしょうか。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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弟の失踪と死の謎を追い、彼が生前滞在したという地図にない村を目指した青年は、突如鴉の大群に襲われ意識を失う。
目を覚ますと彼は目的の村の、一つの屋敷に匿われていた。 その村は現代日本でありながら、深い山奥で外界から隔離され、村内で神と崇められる「大鏡様」が絶対的な権力を持つ、封建的な時代がそのまま残ったような場所だった。 青年は村で弟の情報を求めるが、そこで連続殺人事件が発生する…… ある程度の規模を持った村という本来クローズドサークルの舞台としては不適合な状況ながら、警察の捜査や法律などが一切介入しない治外法権的な設定から、紛れも無いクローズドサークル的な作品となっています。 麻耶氏らしい驚きのトリックやどんでん返しが仕込まれている作品ですが、この作品の真相や結末は「フェアかアンフェアか」「非現実性をフィクションと割り切って楽しめるか」の観点で、ミステリとして見ると個人的にはちょっと「許容範囲外」です。 ちょっと納得がいかないし、無理がありすぎると思いました。 話の雰囲気そのものは嫌いじゃないのですが、オチに全く救いが無く、後味が悪いこともあり、楽しく読めたとも言い難いです。 この作者の作品の傾向は判っていたので最初からハッピーエンドなんてのは期待していなかったはずなのですが、話の真相やトリックに納得がいかないとせめて大団円で終わらせてほしいという心理が沸いてしまうのでしょうか。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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