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マリオネットK さんのレビュー一覧

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レビュー数10

全10件 1~10 1/1ページ

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No.10: 6人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

『十角館』と双璧をなす、『館シリーズ』の代表作

世間一般の評価でも私個人の評価でも、『十角館の殺人』と並ぶ、シリーズの最高傑作でしょうか。
単純なインパクトや新本格ブームへの貢献度などといった面では十角館より落ちるものの、作品の完成度やドラマ性という面ではこちらが遥かに優れていると言っていいでしょう。

この度10年ぶり、3度目ぐらいの読み直しをしましたが、細部の伏線や説明がしっかりしている作品ということを再認識し、メイントリックそのものはトンデモですが非常に整合性が取れてかつ、フェアな作品に仕上がっていると感じました。

また、108個の時計が時を刻む”時計館”を舞台に、仮面の殺人鬼が出没し、中に閉じ込められたメンバーを次々と殺害していく描写・展開に非常に緊迫感があり、本格ミステリ作品だけでなく、ホラー・サスペンス作品も数多く手がける綾辻氏でありますが、彼の作品の中でホラー・サスペンス作品という観点で見てもこれが№1なのではと思ってしまいます。

あまり魅力がない探偵と言われがちな島田も、この作品あたりから段々キャラクターの一人歩きが見られるように感じますね。

新装改訂版では上下巻に分かれるなど少しボリュームのある作品ですが、読みやすく展開も終始ダレることがないので初心者にもおススメできる一作だと思います。
(最低、先に『十角館』『迷路館』は読んでから読むべきでしょうが)

▼以下、ネタバレ感想
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時計館の殺人<新装改訂版>(上) (講談社文庫)
綾辻行人時計館の殺人 についてのレビュー
No.9: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

人類史上最大のミステリーと地球史上最大のトリック

自分の中で史上最高の推理小説はこのサイトでも総合1位のクリスティの『そして誰もいなくなった』なのですが、それに対し史上”最大”の推理小説と言いたいのがこのサイトで総合2位のこの作品です。
もちろん大長編という意味ではなく、そのストーリーとミステリーとトリックの壮大さという意味での”最大”です。
こんなことを考えつく作者の想像(創造)力がまさに宇宙スケールだと感じました。

自分は本来SFというジャンルをミステリの枠に含めるのにはどうしても抵抗がある人間なのですが、この作品に関しては紛れもなくSFを題材とした本格ミステリです。
あるいはこの偉大すぎる作品のせいで、一部でSFがミステリと混同されてしまっている面もあるのかもしれないと思いました。

小説の体裁、構成としては賛否もあるようで、事実私も一部読んでいて退屈な場面はありましたが、自分の中で10点をつけたくなる作品とは粗や欠点のない「完璧」な作品ではなく、もはや点数化できないほどの驚きや感動を与えてくれた作品なのだなと改めて感じさせられた一冊です。


▼以下、ネタバレ感想
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星を継ぐもの【新版】 (創元SF文庫)
ジェイムズ・P・ホーガン星を継ぐもの についてのレビュー
No.8: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

題名の意味を理解した時鳥肌が立った

『学生アリスシリーズ』第三弾にして最高傑作とも名高い作品。
前二作同様クローズドサークルものですが、今回は半ば世間を捨てた芸術家たちの住む孤立集落という舞台設定や
川を挟んで二箇所で同時進行する殺人事件。それに伴いアリスとマリア交互の視点で進行する物語という構成も面白いです。

前作の最後に傷心の状態で推理研を去ってしまったマリアの再登場がまず嬉しかったですね。
随所に見える先輩の江神さんを頼りにしてなついている彼女の様子が非常に可愛いです。
でも、今回は川の向こうでアリスも江神さん抜きでがんばっていたので、彼の活躍も知ってあげてほしいと思いましたね(笑)

純粋な話の面白さ、キャラクターの魅力、真相の衝撃、物語の構成。
個人的に完璧に近い作品だと思うのですが、唯一惜しいと感じるのが、今作に限らずこのシリーズ通して言える点として、犯人を指摘する根拠が物証ではなくロジックに基づく消去法のみ、という所です。
これは否定されたら決定打に欠けるというか、それこそ他の人が「なんらかのトリック」を使った可能性もあるんじゃない?などと思ってしまい、納得行きかねる所があります。単に好みの問題とも言えるでしょうが。


▼以下、ネタバレ感想
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双頭の悪魔 (創元推理文庫)
有栖川有栖双頭の悪魔 についてのレビュー
No.7: 2人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

奇跡を見た一冊

主人公たちがみんなで断食を始めるなど、奇抜な展開でこそあるものの、終盤に至るまで正直あまり面白いと思えず
「なんでこんな高評価なんだろう……?シリーズ物で前作があるみたいだけどそっちから読んでたらもっと楽しめるのか?」
などと正直疑問に思いながら読んでいたのですが、トリックが判明した瞬間、思わず何枚も前のページをめくりながら「すげぇえええええ!」と叫びたくなるほどの衝撃でした。

▼以下、ネタバレ感想
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しあわせの書―迷探偵ヨギガンジーの心霊術 (新潮文庫)
No.6: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

史上最高の推理小説

私の中で(世間一般でも?)史上最高の推理小説です。

この作品に影響を受けたり、オマージュとしているミステリは無数にあり、もはやミステリを読むなら「読んでいるのが前提」というレベルの作品でしょう。

その素晴らしさは第一に推理小説の超人気ジャンル「クローズド・サークル」を生み出したということ。
(厳密には同じクリスティでも『オリエント急行殺人事件』の方が先ですが、このジャンルの土台を完成させ、世間一般に広めたのがこの作品であることは疑いの余地なしでしょう)

第二にこれだけ人が死ぬ作品ながら、翻訳版で300ページ足らずと極めてコンパクトにまとまっており、無駄や退屈する間など微塵もないハイテンポな展開ということ。
次のページが非常に気になり、それまで推理小説を読んだことのない人間にも読みやすく、離さない作りとなっています。
内容的には倍、あるいは3倍のページ数でもおかしくない(むしろそれが妥当)なのですが、あえて短くまとめたことで、本当に世界一人に読まれた推理小説となったのではないかと思います。

見立て殺人作品という観点でも史上最高だと思います。

小学生時代、どこかかっこつけて(無理して)本を読んでいたのが否めなかった私ですが。この作品は100%純粋に面白くて面白くて仕方なかったのを今でも覚えています。

自分の中で同じく10点評価の『十角館の殺人』や『インシテミル』などもこの作品のオマージュであり、その偉大さも含めもはやこの作品は何点つけても足りないというか、点数をつけること自体が失礼、ナンセンスと思える領域かもしれません。


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そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
No.5: 3人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

本格推理とデスゲームの奇跡的融合

あえて上手いこと言おうとか、気の利いた表現を使おうとはせず率直な感想を。
この作品はめちゃくちゃ面白いと思いました。

小説なんて別に気取って読むものじゃなく「娯楽」です。
そして娯楽としてこの作品は最高峰です。

普段ミステリはおろか本なんかろくに読まない小中学生から、ミステリマニアまで楽しめる作品だと思います。
個人的には10年に一冊の傑作です。

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インシテミル
米澤穂信インシテミル についてのレビュー
No.4: 5人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

ホラーテイストながらこの上なく本格な極上ミステリ

タイトルの示すとおり、ホラーテイストでオカルティックな雰囲気漂う作品ですが、謎解きとしてはこの上なく正当で質の高い本格ミステリです。

作品冒頭の登場人物紹介や地図を見ててっきり「江戸時代あたりが舞台の作品なのか?」と思いましたが、戦前から戦後~そして現代に至るまでを描いたかなり壮大なストーリーとなります。
分量もあり、読み応えたっぷりですが、決して中だるみを感じません。
時代時代ごとの独特の雰囲気を伴う殺人事件発生と、現代での怒涛の謎解きは、まさに全編がクライマックスと言っても過言ではない面白さでした。



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首無の如き祟るもの (講談社文庫)
三津田信三首無の如き祟るもの についてのレビュー
No.3: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

小説という文化の素晴らしさ、可能性を改めて感じた一冊

この話を読み終えた時「やっぱ小説っていいよなぁ」と感じました。
終盤に明かされる衝撃ももちろん大きいですが、物語も終始面白いですし、人生前向きに生きたくなる勇気も与えてくれた作品でした。
私が誰かと初めて読書の話題をする際は絶対に名前が出てくる一冊ですね。

自分は丁度この作品を読んだ時丁度「クローズドサークル物以外のミステリーあんま読む気しないな」とかなり趣向が偏っていた時期だったんですが、そんな私の狭い価値観をぶっ壊してくれた一冊でもあります。

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葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)
No.2: 4人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

物理トリックの最高峰でしょうか?

とにかく凄いトリックが見たい!
って人にはトリックで驚くためだけにも読む価値アリでしょう。

ちなみにクローズドサークルに分類されてますが別にクローズドサークルではないですよね?
殺人が起こってから警察が普通に捜査に来てるし、探偵の御手洗なんか後半からの途中参加だし。

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改訂完全版 斜め屋敷の犯罪 (講談社文庫)
島田荘司斜め屋敷の犯罪 についてのレビュー
No.1: 6人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

初心者からマニアまで?

今更語ることも無いような人気作ですが、なんと言ってもこの本はとても読みやすい点でミステリ初心者向きだと思います。
その一方でミステリをある程度知っているからこそニヤリと出来る部分も多いので、ミステリにはまった友人などに勧める際、どのタイミングで読ませるべきか悩ましい作品とも思います。
とりあえず最低限「そして誰もいなくなった」だけは読んでいて、作品は読んでないまでもコナン・ドイル、モーリス・ルブラン、エラリィ・クイーンなどがミステリの古典の大御所ですよ、ということだけは理解していれば十分でしょうか?
自分がこれを最初に読んだ時は小学生でクイーンやヴァン・ダインの作品は全然読んでいなかったのですが、「そして誰もいなくなった」は読んでいたのと、名探偵コナンのおかげで、大御所作家の名前だけはある程度知っていたので無事楽しむことができました(笑)

新装改定版のあとがきで作者の綾辻氏も述べていましたが、女性が無条件で食事担当になってるあたりとかは時代を感じますね。
新本格ブームの火付け役とされているこの作品ももはや「古典」の域に入りつつあるのかもしれません。

▼以下、ネタバレ感想
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十角館の殺人 (講談社文庫)
綾辻行人十角館の殺人 についてのレビュー