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absinthe さんのレビュー一覧
absintheさんのページへレビュー数79件
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ラヴクラフトのファンなのに、7巻はオススメにできないです。
あくまで私の予想ですが、(amazonにも似たことが書いてあります。) この創元文庫の全集は年代順などで整理しないで、まず面白い作品から先に使ってしまったので、7巻にこういう作品が残ったのでしょう。 未発表とか書簡とかそういうのばかりです。 ラヴクラフトにお墓までついていきたいというほどのファンでなければ本巻は不要と思います。 |
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タイラーロックシリーズと、シグマフォースシリーズはどちらも大好きで、いつも発売日に入手しています。
今回も純粋に面白かったです。また、後半ホロっとさせられもしました。 タイラーロックシリーズは、なんとなくシグマフォースシリーズの2番煎じのように脳内整理されていましたが、なかなかどうして面白くなってきました。 少なくとも全3作の中では一番です。 著者は技術オタクのようで、最先端のテクノロジーに造詣が深いようです。毎回、新しい技術(しかもだいたいが実在のテクノロジー)がてんこ盛りで飽きさせません。 クライマックスはとてもよかった。こういう小説にありがちで、クライマックスで二手に分かれて、カットバックでそれぞれのアクションがあるけれどどちらの見せ場も良かった。 期待以上でした。満足です。こういう作家が、日本にも現れるといいのだけれども。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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古代エジプトの王墓を暴くのですが、王墓がなぜかかなり離れたところにあり、それは何故だ?と謎に迫っていく作品です。
独特で不思議な作品です。 歴史×ミステリー×トレジャーハンター物が大好きな私ですが、この手の類型は確かに無かったような気がします。 現実味のレベルが箇所ごとにまちまちで、ある観点からはとても詳細でリアルなのに他の部分では妙に幻想的というか・・・ たとえて言うと、前半では本格的な検視官もののミステリーかと思わせて、後半で幽霊が登場して主人公と対話するような。 または顔だけゴルゴ13で首から下がのび太くんとか。 このちぐはぐ感が個人的に好みに合わなかったのですが、ひょっとするとこれが新しい小説の個性ということかもしれず、何だか思わぬ拾いものをしたかのような気もして、 むげに否定してはいけない気もするのですが。 ネタバレの無い感想は難しいですね。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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いまならジェームズロリンズや、クライブカッスラーが書きそうな娯楽作品を、こんな時代に日本で書いていた人がいたとは。しかも、現代の感覚で読んでも面白い。
娯楽作品として、現実離れはしていても、荒唐無稽に振り切る寸前でうまく止めており、そのバランス感覚が面白いです。 著者が空手の高段位者ということもあって、格闘シーンもかっこいいです。 少し時代を感じさせるなぁと思うのは一点、携帯電話さえあれば済むところで登場人物がいつも電話ボックスに駆け込むところ。それもまたおもしろいですが。 |
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absintheにとって、世界の海戦史でも最も興味があるのはミッドウェイ海戦でした。
戦い自体が劇的で勝敗もはっきりしています。必ずしも日本が負けるべくして負けたわけではなく、日本にも十分に勝機はあったのですが準備のミスや小さな判断ミスにより大敗北をしてしまいます。 日本が負けてしまったのは残念なのですが、米軍の命をかけた奮闘もあり、敵ながらあっぱれな戦いを見せています。 そして太平洋での米軍との戦闘で、ほぼこれによってその後の日本連合艦隊の運命が決定づけられたため、ターニングポイントと呼ばれることすらあります。 本著作ですが(森村誠一さんの著作全般に言えることですが)どうも人間関係に偶然の出会いが多すぎて、またかよ・・・と本を放り出したくなることがたびたびありました。 淡々と叙述しても十分に劇的な戦いなので、さらに盛り上げようと凝った仕掛けをする必要は無かったように思います。 ミッドウェー海戦の概要を全く知らない読者には面白いかもしれませんが、余計なドラマで作り物感が強められてしまいました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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本作はノンフィクションなので、どうしてもフィクションのミステリーを望む方には不向きです。
アンティキテラというのは島の名前で、その島のそばの海で昔の歯車が発見されたところから全てが始まります。 2000年近くも前に作られたというこの謎の歯車。誰が何の目的で作ったのでしょう? もしも鉄の歯車であったらとっくに海水に溶けていたはずが、歯車が青銅であったがために遺物として残ることができたという歴史の偶然、 潜水夫が歯車を見つけるまで、見つけた歯車がいかに博物館に渡ったか、そしてアマチュア学者たちが博物館の許可を取り付け解析に取り掛かる・・・ どのエピソードも驚きに満ちています。 また、歯車の意味を確かめるため、起こりうる天文現象との対応を推理していくのですが、これはミステリーに十分通じるところがあります。 本書は、考古学的に遺物を調査するという範囲にとどまらず、解き明かそうとした人物たちの半生にも目を向けます。 歴史事実の裏に隠されたドラマがまたすごいのです。 発見者として名を残したいというエゴ、意地の張り合い、そういった熱い人間の思いが伝わってくるのです。 そういったところをあまさずに書いたところはすごいと思います。 私的に難を上げると、むしろドラマにスポットを当てすぎた嫌いがあります。 |
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チャーチル暗殺を命じられたドイツ軍特殊工作部隊のお話です。でも、設定だけ見て凡百の戦争冒険アクションと混同してはいけません。
シュタイナー中佐(主人公は)ユダヤ人少女を助けたばかりに上官と対立し、反逆者の罪を追わされます。この過程からして格好よく、上官に投げつけるセリフもきっちり心に残っています。長いものに巻かれることができず、人間としての誇りにこだわる硬骨漢なのです。 これだけ読むと単細胞の熱血漢を連想するかもしれませんが、彼の行動は万全の準備をしたチェスプレーヤーの如く、常に冷静です。 冷静沈着にして豪胆。古き良き騎士道精神を残した冷徹な熱血漢という感じです。 懲罰として自殺に等しい作戦を命じられた主人公は、限られた時間で絶望的な状況を克服しなければなりません。主人公に絶対の信頼を寄せ、彼のためなら命を捨てることも厭わない忠実な部下たちが献身的にサポートします。その関係もまた感動的です。これだけ壮大な設定を与えられながら、アクションはむしろ控えめでケレン味はなく質実剛健な仕上がりです。 とにかく主人公と周辺の登場人物がみなカッコイイのです。 読んでから20年も経つのに人物の印象が鮮明です。 限られた時間の中で、登場人物たちはみなぎりぎりの選択をします。彼らが見せる各瞬間の選択がどれもこれも背景を連想させて、人物にとてつもない厚みを与えています。 結末は悲しいです。でも本書に他の結末はありえなかったでしょう。 映画にもなりましたが、映画の方はイマイチでした。 -------------------------------------------------- 戦争アクションで、殺した敵兵の服をちょいと拝借して・・というくだりを軽く扱いすぎている小説も散見されますが、重大な陸戦条約違反です。 本書は、その重大さがきちんと描かれていますが、そういった細部の扱いが甘い小説は、本書の後に読むと全部物足りなくなってしまいます。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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歴史×冒険×ミステリーときたら、残念ながら避けることはできません。
手に取った時は、どうしてハヤカワや扶桑社が訳さなかったのかなぁと思ったのですが、やっぱりわけがあったのですね。 出だしからしてちょっと虚脱・・・ ダンブラウンやジェームズロリンズやに勝てとは言いませんが、主人公もヒロインも目新しくないし、危機に陥り方もワンパターンだし、歴史蘊蓄もネットでチョロ見すれば解るような浅さだし。残念。 著者が軍隊経験者ということもあってか、アクションだけなら面白いところもあります。でもわざわざこの本で読まなくても・・と思います。 知識はずいぶんと粗が目立ちます。たとえば年代測定ですが、ナイロンのように石油から作ったものではできないですね。石油は1億年くらい昔から地中に埋まっていたのだから、数万年前と判断されても不思議はありません。 まぁ、肝心のストーリーもキャラクターもアレですから、個別の知識をそれぞれ反証してもしょうがないですが。 |
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歴史ミステリー+アクションの王道というと、インディ―ジョーンズのような冒険家が主人公になりがちですが、本書ではそれが、くたびれた元反体制活動家で、今はただの飲んだくれという設定です。それが、失われたロシアの十字架をめぐって陰謀に巻き込まれていくとなると、冒険家となって宝物をめぐって敵と戦い・・・という風に単純に行きそうなのですが、そういうわけでもないのです。
単純なトレジャーハンター物を期待して購入しましたが、良い意味で裏切られました。 著者が書こうとした意図が半ばで解ると、ずいぶんと奇妙に見えたそれぞれ人物の設定は、どれも深く設計された完成度の高い作品だったことが分かります。 登場人物の設定は、それぞれ「ある国のある集団」のわかりやすい隠喩となっており、物語は国際情勢とその歴史を人間の生い立ちで隠喩しながら進行します。 シリアスな設定の「ヘタリア」みたいなものです。話を面白くようとして設定を少しでも変更すると全部が壊れてしまうといえるほど、ガラス細工のような精密さで書かれています。 しかもアクションや手に汗握る緊迫のシーンもそれなりに用意され、サービス満点です。 ウクライナとロシアの関係を知っているともっと面白いと思いますが、知らなくても楽しむには問題ありません。 ニュースを通してみるウクライナとロシアは、力で圧倒する貪欲な強者ロシアと圧倒されるウクライナという図式が強調されてしまいます。 本書の中では、昔堅気で民族の誇りを取り戻そうとするウクライナ人の夫と、未練を捨て切れず復縁したいロシア人妻になぞらえており、民族の感情としては領土拡大欲などという一言では説明のつかぬご当地の事情がよくわかります。 |
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本書はシリーズものの1冊ですが、ここまで骨にこだわったシリーズは珍しいと思います。
主人公は骨を調べるエキスパートです。その設定が生かされるので、骨から重要な事実が明かされていきます。 シリーズ全編が骨にからむミステリーで、日本語タイトルもほとんどが「・・・の骨」で統一されています。 シリーズ全部を読んだわけではないのですが、私が読んだ中では一番面白い作品でした。 とても面白い小説ですし、意外性もあります。また、ミステリーとしても正統派のように思います。 大げさなアクションはなく、はじめは淡々と進んで行きながら、後半はぐいぐいと引き込まれます。 キャラクターの個性も立っていて飽きさせません。 主人公は教授でもあるのですが、学識もあるし、仕事にも拘りがあって、大学教授によくありがちな愛嬌のある欠点もあります。 教授の個性や癖が物語の方向ともうまくつながっていて、よく考えて書かれているなぁと思いました。 骨を調べる方法論を学生たちに解説しながら作業を進めていく場面は、クスリと笑わせながら楽しい蘊蓄もくどくなら無い程度に披露されます。 実に読みどころが多い作品です。 本作のタネはわりと解りやすいかもしれません。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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ジェームズロリンズは、いつも期待して買ってきます。シグマフォースシリーズは全部大好きです。
しかしながら、さすがのシリーズも回を追うごとに迫力を失っている気がします。個人的にはそれでも好きなのですが。 今回は歴史の話題も冒頭だけですし、テンプル騎士団のお話がちょっとだけで、それ以外はただのアクションになってしまいました。 かつての勢いを取り戻してほしいです。 |
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ノンフィクションなので、ミステリーに推薦するのは筋違いかもしれませんが。
書店では、歴史に分類されそうにも思いますが、どちらかというと理系向きの本かもしれません。 解読されるアルキメデスの書物は数学の本ですし、テクノロジーの話題も多いです。文系の人にも絶対に面白いだろうと思います。 写本の多くは写字生が練習がわりに過去の名著を書きうつすことで行われたようです。ある修道僧?が、おそらくギリシャ語の練習がわりにと書き写したと思われる練習帳の一つが見つかったのだそうです。当時、羊皮紙というのは大変に高価なものであったがために、消しては新しく上書きされていくのが普通らしいのですが、なんと別の内容が書かれていたはずの羊皮紙をよく見ると、以前に書きうつされて消されてしまったアルキメデスの写本の跡が浮かび上がっていたらしいのです。 たちまち過去の練習帳に高価な値がつき、最先端のテクノロジーが導入されて解読が始まります。この導入部だけでも、すでに凡百のミステリーを凌駕しています。 解読には、最新機器のほか担当者たちのたゆまぬ努力が積み上げられていきます。暴かれていく書物の内容も面白ければ、解析に用いられるテクノロジーも面白いです。 そして、輪をかけて面白いのはこの写本が生き残ってきた数奇な運命です。ナチスの手によって焼かれそうになるものの、それをどうやって切り抜けてきたのか、そういった歴史の偶然の面白さまで味わえます。まさに一冊で数冊分の読み応えです。 星の数が9なのは、本書がノンフィクションであって、みなさんの期待するミステリーではないからですが、私の主観では10の価値があります。 導入ばかりおもしろそうで内容空虚なミステリーを、何冊も読まされてがっかりしてきた方にぜひ。 偽物では味わえない本物のミステリーをぜひどうぞ。 |
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パニック×ミステリー×歴史 というジャンルに目のない私としては、外せない作品です。シグマフォースシリーズの愛読者なら外してはいけない逸品だと信じて読みましたが・・・
人類史や考古学の重箱の隅マニアには面白くもないストーリーですが、新たな視点を提供してくれました。 ここでは、政治的駆け引きに主眼が置かれています。登場人物の行動を束縛するのは、すべてが当事者各国の国益です。「シグマフォースシリーズ」を期待していましたが、どちらかというと、「レッドオクトーバーを追え」(潜水艦アクションと思わせて、実は政治問題を扱った秀逸な長編大作)の政治的駆け引きを増大させた作品です。 期待とは違っていましたが、失望は無く、大いに勉強させられました。 |
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面白かった。
肉親が東欧出身ということがたまたまあって、周辺の地理が個人的に身近なものであったため、大変に興味を持ちまたその歴史も面白かったです。 主人公とそれが追う人物と、その人物が追う人物の3つの時系列になって、やや複雑な構成です。どうしてこんな構成の小説にしたのか?それは単に複雑にしたかっただけという指摘があるのですが著者の意図はもっと深いと思われます。東欧のソ連支配時代「前」と「後」と「解放後」の3時代を地理を移動させずつ全部書きたかったのです。 謎や種明かしの印象は、「お粗末」という指摘にうなずけるところもあるのですが、私はとにかくこの周辺の動乱の時代に、生活している人々が何を見て何を感じてきたか知りたくてしょうがなかったので、ただただ感心して最後まで楽しめました。オチは私にはすでに関心が無かったので、オチの粗末さには(他人の評価を見るまで)気付きもしませんでした。 小説にオチは大切ですが。個人的な小説の舞台との距離がそれを上回ることもあるのだなと思いました。 オススメはしません。私の高評価は、単に私の個人的理由です。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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良い意味で、期待と違っていました。
宣伝から受ける印象では、なんだか懲りすぎのトリックで内容が無いミステリーか、もっと軽い小説をイメージしていましたが・・・ 売れっ子であるというだけで、東野圭吾さんを食わず嫌いしていました。もっと早くから読んでいるべきでした。 ドラマとして面白いです。最後まで飽きさせず、人物も一貫してポリシーを持っていて、犯人も探偵も頭脳明晰。 事件は意外にもシンプルで懲りすぎた設定はありません。 しかも最後にはさらにどんでん返し・・・・ しかもホロっとさせて感動もさせます。 評判がいいのには、わけがあったのですね。 東野圭吾さんの他の作品も買い込んできました。読むのが楽しみです。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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