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absinthe さんのレビュー一覧

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レビュー数18

全18件 1~18 1/1ページ

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No.18:
(6pt)

正義の雷鳴―第14空母戦闘群1の感想

absintheには面白かったです。印象では★9くらいでしょうか。
スピード感とスリルは満点なのですが、アメリカ人が戦争を描くとどうしてもこうなってしまうという、良くも悪くもお手本のようになっています。
北朝鮮が、いきなり米国軍艦を日本海の公海上で拿捕して、半島まで曳航してしまいます。時間が限られる中、空母戦闘群による絶望的な救出作戦が始まります。戦闘場面はかなりの迫力で、こういうのが好きな人ならそれだけでも読む価値ありだと思います。政治的思惑よりもより、戦闘場面の迫力に重きを置いた作品です。戦闘機はバンバン撃ち落とされるし、SEALSや海兵隊も登場して地上戦まで起こるサービスぶりです。1990年代の作品なので、F14トムキャットやA6イントルーダーが健在で、そういった航空機が敵と戦うので好きな人には堪らない逸品になるでしょう。absintheは、キースダグラスを読むのは初めてでした。古本屋で一揃いセットになっているのを衝動買いしてしまいましたが、幸運な拾いものでした。

とても楽しい本作にも難はあります。やたらと登場人物が多いのに違いが書き分けられていないのも感情移入を阻害しています。一人の人物を追いかけるのが好きな人には向いていないでしょうね。(absintheにも少し苦痛でした。)主人公は戦闘機パイロットで、500ページの中で最初の200ページは主人公でした。しかし続く200ページで場面が地上戦になってからほとんど出てこなくなり、クライマックスの地上、空中の乱戦にもう一度登場しますが、せっかく親しみを持ち始めた人物がこうやって隠されると、そこで続きを読む手が止まってしまうのですよね。人物に深みはありません。殺すとはどういうことか悩み始めたり、自分の腕が信頼できなくなってパイロットを辞めようかとまで思う人物まで現れますが、一過性の堰熱のように治ってしまいます。これは、スピードとスリルを楽しむためのものであって、戦争とは何か深く考えさせようとしたものではないのでしょうね。

民主党嫌いの作者が書いた共和党万歳のプロバガンダとも言えそうなのりで、吐くほどではないと思いますが戦争賛美に嫌悪感情を持つ人は閲覧注意ともいえます。軍事用語が苦手な人は避けた方がいいでしょう。巻末に用語辞典がついていますが、これを見なければ意味がわからない人では外国語を読むのと変わりません。全編軍事用語ばかりなのに文中の解説は最小限です。

最後の方で北朝鮮の本当の思惑が明かされます。後で明かされることですが、作戦は最初にアメリカが考えていたよりもずっと危険な賭けだったのです。北朝鮮にとって、勝てるはずの無いはずだったアメリカを敵に回した挑発行為。その思惑は何だったのか?それが唯一のミステリー要素でしょうか。

正義の雷鳴―第14空母戦闘群〈1〉 (光人社NF文庫)
No.17:
(6pt)

すべての旗に背いて ロビン・モナークの感想

元CIA職員が正義の泥棒になったという感じです。主人公のロビンはロビンフッドにでも因んだのでしょうか?
巻き上げたお金はこっそり貧しい人たちに……という設定がちょっと古めかしいというか、時代を一回りしてかえって新鮮というか、評価は簡単ではありません。
私が何度か旅行したモルドヴァが出てくるので、それだけを理由に買って読んでみたのですが、思わぬ拾いものだった気もします。

アクションは面白いです。盗みに入るシーン、誰かに見つかってごまかすシーンなどは読みごたえがありました。また、マフィアとかかわりになり、困難な盗みを強制されてしまうのですが、そういった設定も面白かったです。ラストはハリウッド的爽快な終わり方でころも好感が持てます。流行りの今風の小説らしく、場面転換は早く次々と新しい舞台に移ります。でも、各国の描写は何だか平たいです。これだとどこの国を描写してもあまり変わらないかもしれません。

こういった所謂冒険ものは新しい主人公像を求めています。女に対して優しいか、潔癖か、だらしないか、風貌は優男かマッチョか、その他欠点は、特殊能力は……、考え付く限りの組み合わせが試されていて、新しい人物像がなかなか生み出せないのが現状です。特にハードボイルドタッチの場合は寡黙な男が多いので、どうしてもどこかの小説とキャラクタが被ることになります。義賊という設定はそれほど斬新とはいえませんが、最近は確かにそういうのが少なかったようにも思います。なんだか同じ主人公の今後の活躍には期待してみたいです。主人公像は、Jディーヴァーの追撃の森に出てきたハートを思い浮かべました。(本作の主人公ロビンの方がずっと純朴でかつ女に弱いですが。)
現在はよほど変わった特徴を持たせないとなかなか記憶に残りにくいのです。どこぞの映画では足の代わりに機関銃をつけた女なども登場して、そこまでしなければ新味が出せないのか!と驚いたのを覚えています。作家も苦労することでしょうねぇ。

義賊となったロビンモナークの今後の活躍に期待します。

すべての旗に背いて ロビン・モナーク 上 (竹書房文庫)
No.16: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

深海のYrrの感想

どんな小説なのか表題からわからず、そういう意味でこういうナンセンスな表題はそれだけで面白いです。書店でチラリと見かけてどんな内容だろうと想像しながら手には取らず前を横切っていて、想像だけたくましくしていた本です。
ストーリーは要約すると、大人しかった海洋生物たちが人類に対してまるで悪意を持ったかのように攻撃を始めるのですが、人類はなにが起こったのか理解できず、科学者を集めて究明と解決に乗り出すというものです。人類による環境破壊を攻撃と解釈した何者かがいるのかもしれません。ところで人類は情けなくも足並みがそろわず、国家間や役所間の壁に阻まれなかなか手を合わせることができません。その間にも次の災厄が……。といった話です。災厄の場面は、読みごたえがありました。
環境問題あり、深海の謎の知性とのコンタクト有り、アイデアてんこ盛りです。しかも後半はアクションもあり、クライマックスには戦闘まで起こります。上中下の長大なストーリーですが最後までほぼ楽しく読めます。
海洋生物の描写にはこだわりがあったようです。人類への攻撃に加担する様々な海洋生物は、その特徴や能力が生かされるのですが、へぇそんな生物もいるんだぁと本小説で初めて知った事実も多く、勉強にはなりました。
同著者の作風は全般にそうですが、将来にも交わることのない様々な人物が現れては消えていきます。誰が主要人物なのか解らないうちは、新たな人物が登場するたびにまたかぁと思って手が止まってしまうのですよね。上巻が特に苦痛でした。でも上巻さえ抜けてしまえばあとで挫折することは無いと思います。

全体は、明らかに詰め込みすぎで、テーマをそれぞれ別の小説にしたらそれぞれ良作になった予感もします。

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深海のYrr〔新版〕 1 (ハヤカワ文庫NV)
フランク・シェッツィング深海のYrr についてのレビュー
No.15:
(6pt)

QED 六歌仙の暗号 の感想

本作は前作と違って、うんちくと事件推理の関係が改善されて好感が持てました。
歴史的背景のうんちくが妥当かどうかはよくわからないのですが、面白かったです。

QED 六歌仙の暗号 (講談社文庫)
高田崇史QED 六歌仙の暗号  についてのレビュー
No.14: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

荒鷲の要塞の感想

本作は読者を楽しませるためのどんでん返しで最後まで楽しく読めます。映画にもなった有名作品ですが、アクションは控えめなほうだと思います。
absintheは、本書より先に映像作品を見てしまったので結末は知っていました……がそれでも興味の大半が失われるようなことは無かったです。
要塞からの脱出もハラハラの連続で最後まで飽きがこない作品です。

タイプとしてはabsintheの大好きなタイプの作品ですが、absintheは主人公がストーリーを引っ張っていく話が好きで、ストーリーが登場人物を引っ張りまわす話ではありません。本作は残念ながら後者に感じられました。
主人公の意図があまりに読者に隠されていると、主人公を応援するのが難しくなってしまいます。

荒鷲の要塞 (ハヤカワ文庫 NV 162)
アリステア・マクリーン荒鷲の要塞 についてのレビュー
No.13:
(6pt)

キリストのクローン 真実の感想

本書は、「新生 上下巻」、「真実」「覚醒 上下巻」の5冊からなる超長編の真ん中の1冊です。
誕生したクリストファーは少しずつ超能力を発揮し始めます。ある日、人類は未知の天体が地球に接近してくることに気付きます。天体はぶつかるのでしょうか?
落ちてくる天体にニガヨモギと名付けるセンスはどうかと思いますが、本書は名前の由来をカルビンとホッブスの登場キャラクターに因んでつけたと説明して、ネタバレ回避を狙っています。この後、前作を上回る天変地異と災厄が人類をこれでもかと苦しめます。まるで黙示録のように……

absinthe は全5巻でこの巻だけが好きです。でも、この1冊だけ読んでもさっぱり解らないでしょうね。
人類を襲う大災害の描写がとても面白くて緊張感が続きます。


▼以下、ネタバレ感想
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キリストのクローン/真実 (創元推理文庫)
No.12:
(4pt)

キリストのクローン 新生の感想

本書は、「新生 上下巻」、「真実」「覚醒 上下巻」の5冊からなる超長編の最初の2冊です。
キリストの遺骸を包んだとされるトリノの聖骸布を科学的に調査するところから始まります。
本書が書かれたのは、年代測定をした結果聖骸布は偽物であると判定された後で、小説内でも科学者たちは偽物であると判定しますが、その結果に疑いを持つ一人の科学者が極秘に聖骸布から取り出した細胞の培養を始めてしまいます。その結果誕生したのはだれでしょう……? まぁ題名から想像はつくでしょうけど。名前はクリストファーと名付けられます。
荒唐無稽な設定に見えますが、小説の設定が現在の科学と矛盾する場合には、登場する科学者がちゃんと疑問を呈して放置されないので描写がとても説得力を持っています。
嘆きの壁の様子や、普段目にすることのないユダヤ教の礼拝の様子なども丁寧に書かれて面白いです。また、科学者が聖骸布を観測するところなどは埃を持ち込んで結果を台無しにしないように最大限気をつけている様子も描写されて緊迫感もあります。

キリストのクローン/新生 上 (創元推理文庫)
No.11:
(4pt)

骨の祭壇の感想

カーアクションありサスペンスありそして何よりもスピード感があります。
そして歴史に埋もれたミステリーあり、登場人物の過去にも謎が多く、読み進めてびっくりの展開もてんこ盛り。
ケネディーやマリリンモンローの隠された秘密が明かされ、登場人物も謎の遺物をめぐる陰謀にはまっていきます・・・・・

タイプから言えば、absinthe の断然好きなタイプ。ならば大満足か?というと・・・何だか不満も多い作品です。
緻密な設定が好きな人にはあまり好かれない作品でしょう。登場人物がマフィアの首領の関係者だったりと設定がちょっと荒唐無稽です。
冒険ものやサスペンスを読みなれた人にお勧めできるか?というと、それにしては底抜け切れずアクションはこじんまりとしています。

もちろん、同じ著者が他にも作品を書いたなら、absintheは断然読んでみたいと思います。
次回作に期待といったところでしょうか。

骨の祭壇(上) (新潮文庫)
フィリップ・カーター骨の祭壇 についてのレビュー
No.10:
(4pt)

アルカトラズ幻想の感想

普通に面白いです。ですが、万人に勧められるという本ではないかな・・と思います。新境地に挑戦した意欲作だとは思います。全部で4章からなる作品ですが、それぞれが、まるで違うお話のようで、全く異なるテーマで書かれたかのように見えながら、最後にはばらばらの伏線が一気にまとまっていきます。登場人物の一人だけがかろうじて全体を支えており、読んでいる間は目が点になります。しかも、第二章は小説ですらなく全体が一つの論文です。
第一章はある殺人事件
第二章「重力論文」という名前の論文
第三章アルカトラズ島
第四章・・・はネタバレで
最後の最後でばらばらな伏線が一つながりにまとまっていく快感は特別で、何だか銃弾で撃たれて飛び散っていくガラス瓶を、フィルム逆回しで観察しているかのようです。
残念なことに、最後のオチのための仕掛けに凝りすぎてしまった感が強く、進め方が強引過ぎる気がしました。

何か、新境地に挑戦した変わったものが読んでみたい方にはお勧めかもしれません。

▼以下、ネタバレ感想
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アルカトラズ幻想
島田荘司アルカトラズ幻想 についてのレビュー
No.9:
(4pt)

TENGUの感想

おしいです。
スケール感や謎の出し方、どれも大好きなパターンでした。
不満は、ストーリーが動き出すまでにやや時間がかかったことでしょうか。
もう一つの不満は、ネタに関係するのでここまで。

次回作に期待です。


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TENGU (祥伝社文庫 し 8-4)
柴田哲孝TENGU についてのレビュー
No.8:
(5pt)

闇に囁くもの

ラブクラフトの面白さは、恐怖の存在をしっかり描写せず、恐怖の本体をほとんど全部壁の向こうに隠れたままにしておいて、その声とか気配とかそういったもので創造させるところにあります。でも、本作品は割とはっきり相手を見せてしまいます。

書かれた時代の分を差し引いて評価しないと高評価はしにくいですよね。


▼以下、ネタバレ感想
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ラヴクラフト全集 (1) (創元推理文庫 (523‐1))
No.7:
(4pt)

神話の遺伝子の感想

こういった肩に力の入らない小説は大好きで、電車で読むには良いでしょう。
トレジャーハンター物ですが、あまり史実を追求していませんし、科学に関しても突っ込みどころ満載です。

サービス満点でケレン見たっぷりの作品です。そして粗がずいぶん目立ちます。
いくらアクション中心の娯楽作品でもこれはちょっとと思うところがありますが、史実、科学、世界観のレベルが統一されています。




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神話の遺伝子 (マグノリアブックス)
ジェレミー・ロビンソン神話の遺伝子 についてのレビュー
No.6:
(5pt)

イエスの古文書の感想

イエスの兄弟が書いたと思われる古文書が見つかります。
新たな福音書として正式に聖書に追記されることになって教会の認定も受けましたが、しかし福音書の真贋は?
というお話です。

ハラハラドキドキの歴史冒険ものトレジャーハンターを期待していたのですが、そうではありませんでした。
聖書に深い興味があったら面白いのかもしれませんが、私には少し地味すぎる小説でした。派手さも無くスケール感に乏しいこじんまりとした作品でした。
でも、聖書に関する蘊蓄は(私には本当かどうか判断できないですが)面白かったです。


▼以下、ネタバレ感想
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イエスの古文書〈下〉 (扶桑社ミステリー)
No.5:
(6pt)

ギルドの系譜の感想

ジェームズロリンズは、いつも期待して買ってきます。シグマフォースシリーズは全部大好きです。
しかしながら、さすがのシリーズも回を追うごとに迫力を失っている気がします。個人的にはそれでも好きなのですが。
今回は歴史の話題も冒頭だけですし、テンプル騎士団のお話がちょっとだけで、それ以外はただのアクションになってしまいました。

かつての勢いを取り戻してほしいです。

ギルドの系譜 上 (竹書房文庫)
ジェームズ・ロリンズギルドの系譜 についてのレビュー
No.4:
(6pt)

万物理論の感想

読み始めは、JPホーガンのような路線を想像したのですが、むしろPKディックでした。

私には好みでした。ストライクゾーンど真ん中なのですが、好き嫌いは分かれるかもしれません。
本筋と関係ないエピソードに行を使いすぎて、読むのが苦痛なページもありました。
アイデアてんこ盛りです。PKディックなら、本書のアイデアだけで7~8編ぐらいの小説書いてそうな気がします。(もっとか?)

ただ、未来の話にする必然性はあったのかな?と素朴に思いました。
もちろん、未来のテクノロジーなしに成立しないエピソードも盛りだくさんなのですが、本書には万物理論と関係那深いエピソードと、関係無いエピソードがそれぞれ沢山あって、肝心の万物理論に直結するエピソードは今現在を舞台にしても十分に通用する話です。
それぞれ別の小説にしてしまったほうが、テーマとしては読者の記憶に残ったと思います。
見慣れた世界と異なる世界の話が混ざってしまうと、読者はどこかおとぎ話的に受け止めてしまうので、インパクトは弱まってしまうのですよね。

万物理論 (創元SF文庫)
グレッグ・イーガン万物理論 についてのレビュー
No.3:
(4pt)

ミステリーでわかる百人一首

個人的には面白かったですが、かなり偏った趣向で、オススメするのには少し難があります。でも勉強にはなりました。
学習本の類で、マンガでわかる会計入門とかドラマで学ぶロシア文学とか、そういった延長の気がします。
ミステリーでわかる百人一首という感じです。残念なのは、主人公から延々と披露される百人一首の知識が、ミステリーとはあまり関係ないことです。
評価を見ると、ミステリー部分がつまらないと評価されているようですが、おそらく作者本人の感覚でも本筋が百人一首の方で、ミステリーはおまけなのでしょう。

となると、百人一首の解説の正しさこそが本書の価値になるのかもしれませんが、私には百人一首にも日本史にも詳しくないので、”本筋”がどこまで正しいのかは私には評価する能力がありません。

QED 百人一首の呪 (講談社文庫)
高田崇史QED 百人一首の呪  についてのレビュー
No.2:
(6pt)

世界受容の感想

全滅領域、監視機構、に続くシリーズ第3段です。
全滅領域の雰囲気を受け継いで、A、B、Cと登場人物、時刻の異なる3つの視点を、ロンド形式のようにぐるぐる回ります。

一つのシーンで、パズルのピースが一つ示され、他の異なるシーンのパズルピースと意外なところでつながっていく、そういったスリルがあります。
ばらばらに見えたそれぞれの話には、それぞれ隠された背景があり、背景同士がまたつながっていきます。
読み進めていくとだんだんパズルが完成していくのですが、完成した絵がまた難解という・・・
300+500+500ページの大作なのに、なぜエリアXが出来たのかという説明は1ページあまり。
得体のしれないもの、の話に見えて、得体のしれないものに振り回されていた人間たちの話だったのですが。
謎が解けてすっきりという感覚を味わうのならあまりお勧めではありませんが、謎が謎のままであり続ける雰囲気が好きな人なら、損の無い大作です。
島、灯台、穴、葦原、など、数えるほどしか舞台がでてこないのに、これだけ読ませてしまうという技量は。
現れる動物たち植物たちのしぐさまで見えるかのように活写されています。表現能力の低い作家だったらとうに力尽きて倒れていたでしょう。

でも、全体的にちょっと難解ですね。


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世界受容 (ハヤカワ文庫NV)
ジェフ・ヴァンダミア世界受容 についてのレビュー
No.1: 1人の方が下記のレビューは「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(4pt)

ミステリーじゃないよこれは

科学×ミステリ―×パニック
という組み合わせに目がないので、本の帯だけみて衝動買いしました。
マイケルクライトンやクランシー、はたまたシグマフォースシリーズの愛読者であるから、こういうのが出たら見過ごすことは絶対にできないのです。
シグマフォースシリーズで鍛えられているから、荒唐無稽も結構オッケイ
こんな私にはたまらなく面白いはずですが・・・・

もちろん、面白いところ、見どころはそれなりにありました。
知りたい秘密の目前で、うまく焦らされる焦燥感の味あわせ方、引き込ませ方はそれなりに面白いです。
でも、後半のダレ具合とラストのちゃぶ台返しの脱力といったら・・・
そういう意外性ってあり?


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人類暗号 〔上〕
フレドリック・T・オルソン人類暗号 についてのレビュー