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ねじの回転



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ねじの回転の評価: 3.77/5点 レビュー 53件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.77pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全53件 41~53 3/3ページ
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No.13:
(4pt)

大人はわかってくれない

1898年のヘンリー・ジェイムズの作品。この様な幽霊といった不可解な物を描く作品は、娯楽作としてアイデアの一つとしてこの世界に現象させるタイプと人間心理の発露として描くタイプがある。スティーヴン・キングやエリアーデの作品やどっち付かずの不出来で不可解性が変に魅力になってしまっている作品ももちろんある。本作は短い作品ながらその境界を曖昧な物として最後まで行き着く。主人公の女家庭教師から見た、幼い子供の不可解さ。それを早熟だと相手を自分本位の見解で決め付けた視点と、噛み合わない幼い子供自身の実は無邪気なだけの見解のすれ違いを書いている様でもある。自分の常識では測れない不可解な物をモンスターとして決め付ける大人の傲慢さであり、人が大人になって得る物と失われる物を描いているのであり、その無意識的なジレンマに悩む女性の心理を描いた物でもある。前述した事に当て嵌めれば大人が作り出した幻影、強迫観念と自分の器に合わせて認識しようとする臆病で自分本位な意識の馴れ合いが生み出した幻である。もう一つの見方は子供が主体であり、子供の精神力、それがかつてこの世に生きていた人間の影響力に寄る物か、子供自身の感情の発露に寄る物なのか、実体として表れたとも取れる。そして一番単純な見方が、幽霊自体が主体でありそのかつて生きていた者の残存思念が残っていて子供達を悪徳に引き込むという物であり、しかし商品説明でよく書いてある様な悪徳非難やその恐怖を描いた単純な作品では無い。むしろ逆である。本作で作者が言いたい事はなんであろうか。決められた所に嵌っていくボルトとナットの関係の様にねじを締める様な大人の子供に対する教育の是非を問うているのか、また大人と子供の関係に限らず、善悪の基準が決められている社会に人間を押し込む事に異義を唱えているのだろうか。その全ての個々の思念が渦巻く様に回転して幻想を生み出す事を描いている様だ。「ちび黒サンボ」の虎のバターの様に渦巻いて出来上がった物が豊穣の糧であったらいいのにね。そうはならないのだな。
ねじの回転 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:ねじの回転 (新潮文庫)より
4102041028
No.12:
(3pt)

古典ですが、

かなり古い小説なのですが、今でも充分通用する、「恐怖」を題材にした小説です。
小説の冒頭の仕掛け(いわゆる、ツカミです)はかなり良いです、これからどんな展開が待ち受けているのか、とてもワクワクしますし、伏線と思われる単語も出てきて、素晴らしく摑まれます。が、やはり古典なのか、ちょっと展開がゆっくりに感じました。今現代の時間感覚からすると、です。小説内での時間の流れ、描写(心理的なものであれ、写実的なものであれ)も決して悪くは無いのですが。
比較的どうとでも取れるように意識的に、つまり読者の先を読む予測を外さないけれど、少しずらすセンスが良いです。
ただ、スティーブン・キングのような作家を、エンターテイメントと「恐怖」を融合させて読ませる作家さんを読んでしまった後では、少し見劣りするかもしれません、ちゃんと小説も進歩しているのだ、と確信しました。古典に興味のある方にオススメ致します。
ねじの回転 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:ねじの回転 (新潮文庫)より
4102041028
No.11:
(5pt)

引き込まれます。

本書は1898年に発表されたヘンリー・ジェイムズの代表作。
英国郊外の古い屋敷で、若い女家庭教師が両親を失った幼い兄妹の世話をする事になるが、
そこで彼女は邪悪な男女二人の幽霊と遭遇してしまう。
その幽霊達は幼い兄妹たちにも現われているようなのだが、子供たちはそれについて何も知らないかのように振舞っている。子供たちは表面的には純真でとても良い子なのだが、陰では邪悪な幽霊たちとグルになっているらしい。そして次第に家庭教師を心理的に追いつめていく様が実に見事に描かれている。
幽霊を目撃するのはいつも家庭教師だけであり、彼女の妄想かもしれないと思ったりしながら、そして様々な謎を残したまま物語は最後まで進行していく。
翻訳に関しては所々直訳っぽい言い回しが見られたりして関心しなかったが、それを差し引いても十分楽しめる作品。また比較的短くて一気に読めるのも良い。
ねじの回転 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:ねじの回転 (新潮文庫)より
4102041028
No.10:
(5pt)

古典的幽霊噺の名作集。

英国文学界の重鎮ジェイムズのホラー作家としての側面を代表する怪奇小説集。表題作『ねじの回転』は、実際にあった出来事に材を取り、その解釈を巡って多くの論争を呼び起こした曰くつきの一篇です。女家庭教師が勤めた田舎の古屋敷で遭遇する不可解な出来事の数々。何故、善良そうな男の子が学校を停学されたのか?彼女の前に姿を現す幽霊は何を語ろうとするのか?謎を残したまま物語は佳境に突入し、ある結末に達します。作者はわざと細部を曖昧に描写しています。その点の是非について賛否両論が叫ばれていますが、私としては謎が必ず解決を見なければならないミステリーとは違って、この種のジャンルでは読み手に解釈を委ねる手法も許されるのであり、テクニックのひとつとして充分に効果を上げていると思いますし、その不可解な迷宮性の故に永遠の名作足りえているのだと思います。
その他四篇の幽霊噺は、一人の男性を巡っての姉妹の確執・幽霊屋敷を舞台にした父娘の愛情の物語・旧家の人間関係に絡む狂気の話・作家の死後の意思が体感される物語と、何れも思わずぞっと総毛立つ心地のする逸品揃いです。
私にとっての幽霊噺の醍醐味は、生者には決して理解の及ばない死者の存在感であり、本書はその意味で最高の一級品だと思います。
ねじの回転 -心霊小説傑作選- (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:ねじの回転 -心霊小説傑作選- (創元SF文庫)より
4488596010
No.9:
(3pt)

「ねじの回転」は拍子抜け

怪奇小説の古典「ねじの回転」。風評で期待が大きすぎたせいか、読後、拍子抜けした。
発表当時からいつの時代までかは、読者に相当のショックを与えたに違いないが、今から見ると「古い」と言うしかないのでは…。
何より、読者はヴィクトリア朝風の道徳観を持っていなければならない。身分違いの若い男女が通じていた=地獄に落ちるほどのアンモラルだと感じなければ、この作品全体の意味がないのではないか。または、子どもはこうであるべきという狭いカテゴリからはずれただけで悪魔に魅入られたと感じるような価値観の持ち主でないと。
こうした当時の価値観については、併録の「デイジー・ミラー」(これは普通の悲恋もの)で詳細に描写されている。この2編をこの順番で持ってきたのは、なかなかよく考えられていると思った。
幕切れだけはさすが古典の見事さだが、特に目新しさはないと感じた。だけど、タイトルは謎めいていて、良題だと思う。
ねじの回転デイジー・ミラー (岩波文庫)Amazon書評・レビュー:ねじの回転デイジー・ミラー (岩波文庫)より
4003231392
No.8:
(3pt)

わからなすぎる

気持ち悪い。
というのは、怖いからではなく
説明がなく、汲み取れなく、想像力もわかず
とにかくスッキリしないところが気持ち悪い。
ホラーっぽい「怖さ」を味わうためにはおすすめできないけれど
「わからなさ」や「読後の???」という不可解さはかなりです。
一度読んで読み方が悪かったか?と思い
その後すぐにもう一回読んだが、???のまま。
読者の中でねじはぐるぐる回転し、一向に留まりません。
そこがネライだったのなら作者様は大成功!
ねじの回転 -心霊小説傑作選- (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:ねじの回転 -心霊小説傑作選- (創元SF文庫)より
4488596010
No.7:
(3pt)

最後まで読ませるが

現代的に捉えれば、二十歳の田舎出の新米家庭教師の女性が、放校になった十歳に満たない男の子と甘やかされて育てられた8歳の女の子に翻弄されて、雇い主に良く見られたいプレッシャーからノイローゼになって見えた幽霊の話だともとれる。お話のとおり、屋敷に住みついた幽霊から子供達を守るために奮戦する健気な若い女性教師のお話とすると、放校になった悪い子はやはり救えなかったのかな? 勧善懲悪という当時の価値観に沿った本です。「ねじの回転」の他にヘンリージェイムスの短編4作が載せられている。
ねじの回転 -心霊小説傑作選- (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:ねじの回転 -心霊小説傑作選- (創元SF文庫)より
4488596010
No.6:
(5pt)

古くて新しい怖さ

ホラー小説にもその時代のスタイルというのがあって、読者は自分がよく読む時代のスタイルに知らず知らず慣れているのだと思う。ヘンリー・ジェームズの小説は書かれた時代がビクトリア時代というだけあって、とても古風なスタイルだ。たとえば悪い言葉とか邪悪な行いと書いてあるだけで、具体的なものが何も書かれない。きっとそれがその時代の流儀だったのだろうけれど、現代の読者が読むと具体的な表現がないことが新鮮に感じられるのじゃないか。読者はどうしても自分の想像力を使って読み進むことになる。古風なだけでなく、この「ねじの回転」はそこに書かれていないことが妙に気になる小説だ。どうして物語はあそこで終わるのか。幽霊は本当にいたのか。以前、イギリス、フランス、ドイツ、ロシアなどのホラー小説全集を読んだことがあって、その国の文化がホラーの質に影響していることに驚いたことがある。そのときのイギリスのホラーの印象は、全体に漂う冷たい湿気、そして物語の凄みが表面に出ずにずっと奥にあることだ。この小説もそういう雰囲気があり、ぞくぞくする。「ねじの回転」は実は何十年も前に読んだことがある。今回、新しい訳が出たと聞いて再読した。原文は難解と言われているらしいが、新しい日本語訳は現代的でさくさくととても読みやすかった。
ねじの回転 -心霊小説傑作選- (創元SF文庫)Amazon書評・レビュー:ねじの回転 -心霊小説傑作選- (創元SF文庫)より
4488596010
No.5:
(5pt)

究極の「恐怖」

知的に洗練された人々が根源的な悪と、悪がもたらす恐怖について耳を傾ける、という設定になっています。名門の幼い兄妹を支配し、徹底的に堕落させる目的をもった亡霊たち。死んで後もこのような非人間的欲望をもつ亡霊の真っ暗で陰鬱な情熱、底知れぬ奈落が子供たちの前に口を空けています。亡霊を見ることができるのは幼い当人たちと、彼らを守ろうとするうら若い家庭教師だけです。精神を研ぎ澄まし、霊的な戦いを挑む家庭教師には頼むもは自分自身だけです。語り手は旧家の暖炉の前で、すでに亡き人となった家庭教師の手紙を読み上げます。語り手自身もこの事件について何も知らないのですから、いろんな憶測をもつこともできるし、家庭教師自身の妄想とさえ言えるのです。デボラ・カー主演の映画「回転」の方も、視覚や聴覚に訴えて「やたらめったら」怖かったです。
ねじの回転 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:ねじの回転 (新潮文庫)より
4102041028
No.4:
(5pt)

恐怖の深層

人間が本能的に持っている「恐怖」というものを極めて「心理学的」に解釈した傑作。当代一流の心理描写を極めたヘンリー・ジェイムズらしい作品である。深読みすればオカルトとか超常現象のあり様が垣間見える。この作品を読んだのが暇な貧乏学生の時だったので、ついついそんなことを考えてしまいました。分量は少ないですが、内容は濃密。理解に苦しむケースもあるでしょう。文学的には素晴らしい作品ですが、そんじょそこらのホラー小説と思って読むと……痛い目を見ますぞ。
ねじの回転 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:ねじの回転 (新潮文庫)より
4102041028
No.3:
(5pt)

名作を新訳で

有名な作品であり改めて紹介するまでもないでしょう。「ねじの回転」の邦訳は今までは新潮文庫版が入手しやすかったのですが、何分昔の訳であり、半分くらいしか日本語になっていないような翻訳でしたので(また、無闇に擬態語、擬音語が多い訳でもある)、この清新、正確な行方訳の出現は歓迎されます。但し、生硬な新潮文庫版の方が、幽霊の出現シーンは恐ろしかった気もします。もっとも、これは行方訳が「です、ます」調で訳したためもあるのでしょう。勉強になったのは訳者の解説。本当に幽霊が出現したのか、それともヒロインの妄想かという有名な議論があるのですが、「妄想説」はフロイトの精神分析論に立脚しているという指摘です。フロイトの精神分析論も今では覆滅されました。文学の解釈!も時代の制約を受けるものだということがよくわかります。
ねじの回転デイジー・ミラー (岩波文庫)Amazon書評・レビュー:ねじの回転デイジー・ミラー (岩波文庫)より
4003231392
No.2:
(4pt)

ねじの回転

どうやら恐るべき亡霊にとりつかれた魂を救おうという話らしい。ところが恐るべき亡霊の恐ろしさが一向に伝わってこない。亡霊の恐ろしさを表す描写は極端に少なく、話者が抱く恐怖感だけが克明に伝えられるため、読者としてはその恐怖感を共有しにくい。やがて物語も半分を過ぎた頃、急速な変化が訪れ、ここから一挙に緊迫感が高まる。恐るべきものは霊の存在自体よりも、その存在に影響される人間の心理だった。途中で投げ出したくなるほど退屈な前半部分は後半の緊張感を味わうためのスパイスだったのだと得心した。同じように途中で投げ出したくなった方がいたら、騙されたと思って最後まで読んでみて!
ねじの回転 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:ねじの回転 (新潮文庫)より
4102041028
No.1:
(5pt)

hysteria???

今は亡き先任家庭教師と召使に呪われた大きな館へ。新任女性家庭教師は幼い兄妹を彼等の呪いから守ろうと奮戦する。…ここである疑問がふと湧く:館の誰も幽霊を見ていない/見えていない、しかし女性家庭教師だけが遭遇している。何故?ある意味、恐ろしい本である。物語自体も女性家庭教師からある紳士へそしてある女性へと手に手へと渡っている為、信憑性に欠く部分もある。しかし、こういった設定がヘンリージェイムスのすごい所であり、この本を一筋縄では行かなくしていて更に面白くしている。この本は是非、原文で読んで欲しい本。お勧め。
ねじの回転 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:ねじの回転 (新潮文庫)より
4102041028

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