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霧の塔の殺人
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霧の塔の殺人の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.67pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全2件 1~2 1/1ページ
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2009年に出た単行本の文庫化。 岩手県警・藤田警部補シリーズの第三弾。今回は一方井記者が主人公格。 事件はおどろおどろしくていい。トリックはイマイチ。 そして、この本の目指している方向性がよく分からない。地方の若者の労働実態、非正規雇用のつらさなどがつらつらと語られ、それはそれで大変な問題だとは思うものの、ミステリとして必要な要素なのか疑問に思う。 このひとの本はどうも後半になると予想外の展開を見せるようだ(悪い意味で)。 | ||||
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作者のこのシリーズ3作目。 舞台は、前2作と同じ、作者の出身地岩手。 岩手県釜石市から車で1時間弱の小金牛村、そこへ行くにはいくつかの峠を越えなければならない。その峠の1つ、霧深い雲上峠で、切断された男の生首が発見される。被害者が地元の実業家。地元の名士に残酷な殺害に小さな村は大きく揺れる。さらには、岩手県選出の国会議員への殺害予告がされ、警察内部のごたごたもあり、捜査は難航する。そして、新たな惨劇が・・・。 物語は全国紙の釜石支局勤務の千葉県出身新聞記者が中心となって進み、前2作にも登場した藤田警部補が捜査の指揮(妨害あり)というか担当する。 作者は横溝正史ミステリ大賞を受賞したことで、やはり読者は「横溝テイスト」をどうしても期待してしまう。なにより、ストーリー展開は、まさに横溝正史風といって間違いないのだ。しかし、受ける印象はまったく違う。別に、横溝正史の名前のついている賞を受賞したからと言って、それに縛られることはもちろんないのだが、ストーリー展開が十分横溝風なので、横溝ファンとしては、つい残念に思ってしまうのだ。 作者が3作通じてこだわった1つは、小説の舞台が作者の出身地である岩手だということだ。 東京の人間からすれば、やはり岩手の小村となると、かなり遠い地方という印象はあるものの、横溝正史が書いた時代とはちがって、いくら都心ではないといっても、今時、おどろおどろしい雰囲気がでる場所などそうあるわけがない。それでも、期待したほどは地方色が感じられないと思うのは私だけだろうか?また、それ以上に、この小説から受ける印象は、連続殺人事件がおきているとはとても思えない、まるでずっと日光がさし続けているような、翳りのない平板な明るさだ。そこが、横溝正史小説から受ける、暗闇に何かが隠れているような、怪しく、不安で、わくわくするような怖さや面白さとの違いだと感じる。 また、作者の社会問題に対する考えも、新聞記者のみならず、村の人間たちからかなり饒舌に語られる。地方の雇用問題や過疎化など、今の日本が抱える問題をこれでもか、とストーリー内で語るのだ。もちろん、大事なストーリーに絡んではいるのだが、しかし、あまり語られすぎるのも、徐々に辟易してくる。言われなくても、わかっている問題については、ミステリー小説内でとうとうと語られずとも、話全体から読者は感じるものなのだから。 ただ、非常に丁寧に書かれていて、話の組み立ても非常にしっかりしている。インパクトこそないものの、地道な好感のもてる文章だと思う。 震災後の岩手を舞台に作者は書き続けるのだろうか?期待したいと思います。 | ||||
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