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天使の牙から
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天使の牙からの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点5.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1~3 1/1ページ
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二人の主人公がいる。 一人目のワイアットは、子供向けのテレビ番組の司会として一世を風靡したこともあるのだが、今は癌に侵されて余命幾許も無い。 死を待つのみの虚脱した日々の中に飛び込んできたのは親友のソフィーからの電話。 強っての頼みで、失踪したソフィーの兄を探すためにアメリカから遥々オーストリアへ向かうことになったワイアットは死神と出会う。 死神はワイアットのことが気に入っているらしく、どうやら直ぐに命を獲るつもりはないようなのだが・・・ 二人目のアーレンはハリウッドの女優なのだが、人気絶頂の時に引退してウィーンで気侭な一人暮らしを送っている。 アーレンは偶然知り合った報道写真家ジーヴィッチと恋に落ちるのだが、その頃から彼女の周囲では不幸なことが起こり始める。 愛犬が死に、最愛の母の日記から実は自分が忌み嫌われていたことを知らされ、親友のローズは暴行されて重症に。 更に恋人のジーヴィッチからは彼がエイズだと聞かされ・・・ 二人の主人公はアメリカのショー・ビジネス界という繋がりから知人ではあるのだが、交互に現れるそれぞれを主役とした各章は九割ほど読み進めるまでは殆ど絡まない。 ワイアットの章は、夢に現れた死神の言葉を理解しないと身体に傷を付けられ、やがては死に至ってしまうという謎が主軸になっていて、ホラーとミステリーが融合したような雰囲気があるのだが、アーレンの章は隠遁生活を送っているハリウッド女優とタフな報道カメラマンのロマンスとなっており、まるで二つの小説を併読しているような感覚にさせられる。 最後の最後になって漸く二人の物語が絡む部分からの急転直下ぶりこそはキャロル一流の技巧で、目を凝らしているのに見破れない華麗なマジック・ショーが展開されたような印象を受け、「またやられた」という快感。 本作で扱われる死神のキャラクターが堕天使と関連付けられているので、聖書に馴染みがないとピンと来ない部分もあるかも知ないが、信仰を持たない人こそは「愉しんでる奴には敵わない」という確信を必要としているのかも知れない。 | ||||
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久しぶりに小説を読んだせいか、面白い小説を読んだという充実感があった。 ジョナサン・キャロルの作品を紹介する際、よく”驚愕の結末”あるいは”戦慄の結末”が強調される。 「死者の書」や「我らが影の声」については確かにその”驚愕の結末”なるものが作品の魅力になっていると思う。 しかし「天使の牙から」については違う。 死という絶対的な脅威、恐怖への科学的でも哲学的でもない素晴らしい対決方法を提示したところだと思う。だから巻末の解説はちょっと見当違いじゃないだろうか。 いずれにしろ、彼の作品の魅力は愛嬌のある表現、描写にもある。 これらを読むだけでも幸せである。 | ||||
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ダークファンタジーの旗手ジョナサン・キャロルの作品の中で一番好きな物を選べと言われたら、私は迷わずにこの「天使の牙から」を選ぶだろう。 登場人物がいい。こんなに大人で、厚みがあって、いかしているキャラクターは他の小説じゃなかなか見当たらない。フィンキー・リンキーとこワイアット・レナードはゲイで、白血病で死と直面している、かつての子ども番組のスター。自分の人生だけで大変なのに、女友達とのかつての約束(「相手の願いを1つだけ犯罪でない限り何でもして叶える」)のために、アメリカからオーストラリアに旅立つのだ、彼女を謎めいた失踪をした兄を一緒に探すために。どうです、いかしているでしょう。 そして、語られる物語は、リアルな日常の中に侵入する悪夢のような!非現実だ。スティーブン・キングもそうだが、キャロルも善なるものと悪なるものの戦いを描かせると絶品だ。私達はここで、これほどまでにというほどの悪意と不幸と絶望を読むだろう。そして、それだけにラストの救い(といっていいのだろうか?)が輝きを増すのである。そこで、私達は「死神」と戦って勝つ方法を、あるいはそのヒントをつかむだろう。 とにかく、一度読んで、「愛と死の錬金術師」の技に見惚れてください。 | ||||
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