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対岸の彼女
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対岸の彼女の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.24pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全290件 161~180 9/15ページ
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自分の10代の頃を思い出すと、それはドラマや漫画とはあまりにかけ離れた世界でした。青春などというのは大人が勝手につけた名前で、実際は残酷で苦しくてみっともなかった。そして私も主人公達と同じような女子特有の閉塞感に辟易していました。あの頃に戻りたいかと聞かれれば、断固として「No!」と答えるでしょう。この本を読んで行くと、一気に当時の閉塞感の中に引っ張り込まれます。そして、彼女達と同じように苦しみ、感情を共にします。気がつくと泣きながら読んでいました。読み終わる頃には彼女達は自分の友人のような感覚になってしまい、「ナナコちゃん、今でも元気なんだろうか?」とか、「わたしも葵ちゃんの会社で働きたいなぁ…」と思ってしまいます。ここまで読者を引っ張り込む作品もそうはないでしょう。うーん、直木賞すごいなぁ…ドラマや漫画ではまず描かれない、地味で普通で、悩みを抱えている女の子にスポットライトを当ててくれた角田氏に感謝です。これは私の青春のバイブルです。 | ||||
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小説からちょい離れ、気が向いた時にパッと読み出せるエッセーなどが多かった頃がありました。そんな頃、ふと読んだ一冊がこの作品。読み始めてどんどんのめり込んだのを覚えています。二人の女性の人生、複雑な感情がこんなにも的確に文章で表現されている…凄いと思いました。のめり込んだ分、ラストが“あれ??”という印象ですが、それでもおもしろかったことには変わりなし!です。久しぶりに小説の楽しさを味わうことができた一冊です。この作品をきっかけに角田作品を手にとるようになりました。 | ||||
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これから社会に出ようとする私には、本当に勉強になる1冊。専業主婦の現実、キャリアウーマンの現実、結婚と育児の現実。すべての現実と希望を学べた | ||||
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ある女流棋士が、大変高い評価をし、人生を変えた一冊として紹介していました。僕は彼女が新聞に連載していたエッセイが好きで、どうすれば彼女のような女性の人生が変わるのか知りたくて、この小説を手に取りました。 (私って、いったいいつまで私のまんまなんだろう。)こういう書き出しで始まるお話に、ああ、人生の転換願望の主婦の、結局幸せは足元にありました、という「青い鳥」話かなとも思いましたが、決してそうではありません。一人娘を育てて、やや専業主婦に倦んできた女性(小夜子)と、波乱の高校生活の末、大学卒業後、実業家になった女性(葵)の、それぞれの生き様の話ですが、小夜子の現在と葵の過去が交互になっている、いわゆる変則的な交互小説です。 女性は、男性より格段に自己実現願望がつよい面がありますが、作者はそのような小夜子を、決して否定はしていません。野放図で、やや自虐的な葵という存在を反面教師としつつ、彼女の生い立ちを叙情的に披露することで、彼女達を肯定しています。結局、既婚、未婚、あるいは出産したのか否か、という、ある面女性のステータスとも思われるような人生の経緯とは、その人個人の特性にはなんの関係も無いのだ、人はそれぞれの岸辺に佇んでおり、その人以外にはなれないのだということを、香山リカよりも何年も早く、こんなすばらしい小説にしてくれていたのですね。 小夜子が清掃に向かう部屋の住人、葵の親友ナナコの家族。いろんな人たちが私たちに絡んでくる。それでこそ、僕らの人生に彩りができるのですね。 | ||||
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幼い子供を持つ平凡な専業主婦とバリバリのキャリアウーマン。 そんな二人が理解しあえることが出来るのか? 一見正反対な二人だが、どちらも人間関係で暗い過去や コンプレックスを抱えて生きている。 葵の「一人でいるのが怖くなるような沢山の友達よりも、一人で いても怖くないと思わせてくれる何かと出会う事の方がうんと大事」 (本文より抜粋) という言葉が心に響いた。 結局頼れるのは自分だけ。 いついなくなるか分からない友達よりも 自分にとってゆるぎないものを得た方がずっと心強い。 彼女の辛い過去を思うとこの台詞は一層重みが増す。 「なんのために私たちは年を重ねるんだろう」― 「また出会うためだ。出会う事を選ぶためだ。 選んだ場所に自分の足であるいていくためだ。」 (本文より抜粋) 人との出会いは時に人を傷つける。年を重ねれば重ねるほど、人付き合いが より億劫になって殻にこもってしまう人も多いのではないか。 その一方で、より人生を豊かにするのも、出会いなのだ。 日々彼女たちのような真逆な立場の人と接する機会の多い私には 共感できる部分が多く、何だかひとごとでないような気がしました。 傷つく事を恐れず、出会いを大切にしていきたい。 そんな気持ちにさせる本でした。 | ||||
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対岸で傍観していたと思えば、いつの間に彼女と同じ岸に立っている。川という隔たりは橋をかければ意味を為さなくなる。小さな旅行会社を営む葵の高校時代と、結婚して子もちの小夜子が葵の会社で働きに出始めた現在が交互に綴られ、やがて一点で交わっていく。女が作るグループに入れない二人。女の子は、はたから見ても親友だったグループが進級してクラスが変わると、まったく関わりも持たなくなることがある。グループの構成員もコロコロ変わり。グループ内のハブもあったりして。大変。みんなそんな気持ちからどうやって大人になるんだろう。本当に信頼できる女友達って出来るの?傍にある、素朴な人間関係のなぞ。「女はドロドロしてる」と言われる所以がここに。 | ||||
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面白かったです。 事件後に二人が再会してタクシーで移動する場面は泣いてしまいそうでした。 情景描写もうまくてスムーズに頭に入ってきます。 若さゆえの退廃的な感覚をこの年齢の方が器用に表現されているので驚きました。 | ||||
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ああ、これは読んでよかったと思えた本。 30代〜40代の女性には、共感できるところがたくさんあると思います。 家事はゼロ掛け算。 すべてきちんとできていてゼロ。 どんなに頑張っも、ゼロに何をかけてもゼロになる。 私たちは、何のために歳を重ねるんだろう。 ・・・その答えを、主人公は最後に見出していく。 男性には退屈なだけかもしれないが 女性には生きるヒントが得られるかもしれない。 家庭をもつ女性も、仕事に生きる女性も。 人との関わりについて考えさせられた。 この本には、友情という言葉が、まったく出てこない。 しつこいほど、女同士の関わりについて語っているというのに。 そこがまた、面白いところかもしれない。 | ||||
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登場人物と同世代の私。私は葵と近いところがあり、小夜子みたいな友人がいるので、とても身近に感じられました。 | ||||
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すでにこれだけの読者に支持されている名作ですから、 改めてレビューなど書かずもがなと思いましたが、 やはりこの感動を伝えずにはおれません。 人との関わりに必要以上に神経をすり減らす社会、 特に女性にとっては生き方の選択肢が増えたために 悩みも深くなる一方の現代で、生きることへの 精一杯のエールをもらったような気がしました。 物語の最後で、もう一度葵を訪ねる小夜子の勇気に拍手。 そして、ナナコのようなピュアな友人の存在をありありと 信じさせてくれた著者に感謝です。 | ||||
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この人の本始めて読んだんだけど、結構好きですね。 心に残ったのは、3歳の娘を連れて公園にいってみるものの、母親も娘もうまく友達が作れなくて悩んでる主人公に 「私たちの世代ってひとりぼっち恐怖症だと思わない?」 「ひとりぼっち恐怖症?」 「そ。お友だちがいないと世界が終わるって感じない? 友達の多い子は明るい子、友達のいない子は暗い子、暗い子はいけない子。 そんなふうに、誰かに思い込まされているんだよね。私もずっとそう。ずっとそう思ってた。世代とかじゃないのかな、世界共通の概念かなあ。」 と女社長が話すシーン。 ほんとそうだよね。頭からそう思い込んでしまってみんな余計自分を追い詰めてる気がする。 私も、もし自分のこがうまく友達を作れなくても、がっかりしたりいらいらしない心の余裕が欲しい。 | ||||
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読後、1年経った今も印象深いのは、2人の少女が、海辺の民宿で働いた日々です。 2人にとって、最高にキラキラ輝いた素敵な時だったと思います。 この部分以外は、どちらかと言えば、辛い暗い灰色のトーンですので、余計に印象的でした 友情がピークを迎えた時。この思い出があれば、つらくても生きていけそうです。葵はちょっと痛い感じの女になってましたが・・。(私個人の感想です。) 晩年にも少女のような、鮮烈な友情を経験したいものですが、それは難しいことは、 小説の後半にも描かれています。1度で十分。 | ||||
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「女」という生き物は、「親友」を作りたがる。学生時代「親友」と呼べる人間は確かにいた。たまたま席が隣だったから、なんとなく話しかけてくれたから、という理由で、「親友」となった。別に吟味に吟味を重ねたわけじゃない。でも、いつもともに行動し、悩みを打ち明け、彼女となら何でもできそうな気がしていた。そんな関係はいつまでも続くように思えるが、学校を卒業し、違う道を進むと、いつの間にかぱったりと途絶える。 その後の「女」は「妻」となり、「母」となり、「親友」と呼べる人はそばにいない。「○○さんの奥さん」「△△くんのお母さん」となって、取り巻く人間関係は「女」個人を見てはくれない。また、独身であっても、「仕事」を通じてしか知り合う人はなく、そこに「親友」はなかなか現れない。 本書は、角田光代の直木賞受賞作。女性同士の微妙な人間関係を見事に描いた書といって良いであろう。結婚して一児の母となった小夜子は、公園での母同士のお付き合いもままならず、夫と姑だけの人間関係の中で悶々とした日々を送っている。一発奮起して飛び込んだ小さな会社で出会った、同い年の社長・葵。小さなことは笑い飛ばす、フレンドリーな彼女には、学生時代、世間を賑わせた過去があった。 子を持つ小夜子と「対岸」にいる独身葵。二人の間に起こる幸せとすれ違い。30代以上の女性なら、誰もが経験しそうな二人の関係。小夜子の前進により、希望の持てるラストになっているのが気持ち良い。とかく感情に流され、白黒はっきりさせないと済まない女性にとっては、小夜子の選んだ道は「大人」の選択といえるだろう。 読後、自分の周りの「友人」との関係をしみじみ考えさせられた。 | ||||
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ナナコの「何もこわくなんかない。こんなところにあたしの大事なものはない。 いやなら関わらなければいい」というのがとても気になった。 単純明快で、潔いけれど「関わらなければ」いいことと 「それでも、関わらなければならない」事があると思う。 | ||||
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直木賞受賞作。 女子高生2人の友情に満ちた日々と、そのうちの1人の現在とを時間を交錯しながら描いていく物語。 過去の方の物語では、いじめられていた葵の憂鬱さやナナコの自由気ままな一匹狼的強さや、そしてその裏に抱えていたモノや、 2人の強く熱く、そして悲しい友情が大切に描かれている。 そう、角田光代という人は、本当に大切に一瞬一瞬を描く人だなぁと思う。 あの頃の、キラキラして美しくそして醜い日々をこんなに大切に描ける人がいるだろうか。 そして、葵は現在では女社長として会社を起している。 現在の場面では、新しく入社してきた同年代の主婦小夜子の目線から、葵とその周り人々、小夜子との交流が語られる。 結局私たちは、あのころも今も、同じように美しく、そして醜いのだと気づかされ、 そんな私たちを愛おしいと思わせる作品だ。 | ||||
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初めて角田光代さんの小説を読みました。 まさに、喰わず嫌い、でした。 なんとなくふにゃふにゃの小説を思っていたのですが、 かっちりとした、読み進むにつれて 自分の胸の中に何かが生まれる小説です。 揺さぶられて頭がグラッとするような描写。 描かれているのはどこにでもいそうな2人の女性、 2人の女子高生。 だけど、誰もが感じたことのあるなんとも表現できない 感情が巧みに切り取られて、目を背けたいのに、 ほらっと皿に載せられて、見せつけられているようです。 また別の作品を読みたいと思います。 さすが直木賞受賞作。 | ||||
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どんな立場でも悩みってつきないよなぁ〜。特に人間関係は……と感じる一冊でした。結婚してる立場からは独身で仕事をバリバリしてる人がよく見えて、独身の人からはそのまた逆で見えたり…。実際その立場になるとイヤな面もいっぱいあるんだけど、イイとこばっか見えて羨ましがったりするんだよなぁ〜…って思いながら読んでました。結婚まだしてませんが、主婦気分が味わえる一冊だと思いました(笑) | ||||
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どんな人間が読んでも感動出来る小説の代表のような小説だと思いました。ただの感動じゃない。じっくりと深い感動。 ただ、小夜子という主婦は大人しいくせに頑固で私はあまり好きになれなかった・・。「私ではない誰かだったら」という想いは私も何度も味わったことがあるので、共感出来ます。結構小夜子に似た女性の方が多いんじゃないでしょうか。何かを変えたい、と、望んでいる人はたくさんいると思います。 その答えは人との出会いのなかにある、というではないでしょうか。 | ||||
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人は他人のひととなりを彼・彼女が発言する日々の言葉や行動で わかったつもりになっていきます。 そして、自分を正当化するために、相手の批判をくりかえしたりします。 本当の自分について理解されることなく、すれ違う日々がお互いに続きます。 人との付き合いが苦手でうとましくさえ思い、限られた世界で不安を抱えながら 存在していた小夜子が仕事をしようと一念発起し、出会った女性が対岸にいる 葵でした。 葵にとっても小夜子は高校生の時に途中で喪失した思いを彷彿させ、彼女なりの 踏み込み方で近づいていきます。 小夜子にとって、葵にとって、双方の生活や大切にしているものは理解ができず、 共感性が低いものです。 それぞれの行動の背景すら、理解ができません。 一回決裂したその関係。後に小夜子が前に進むことで、2人の関係は変化し次に進む予感を感じて、この物語は終わります。 人との距離の置き方は難しいと思います。 だからといって、価値観ややりかたを簡単に変えていけるものではありません。 自分が傷つくからといって出会うことをやめず、傷つかない方法を覚えながら 人との出会いを大切にして、新しい世界に踏み込んでいく。 そうありたいと思いました。 理解しようと努力し、背景を思い、共感する。 この姿勢で行きていきたいと思うのです。 | ||||
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角田さんの本を初めて読んだ。 正直「○○賞受賞作品」とか、そういうものを軽くバカにしていた。そういう本に限ってつまらなかったり、小難しい事をこんな繊細な気持ち誰にも分からないだろう、とばかりに書いてあったりすると思い込んでいたから。 でも、これはどちらも違った。 もしこの本を買うかどうか悩んでるとしたら「ぜひ買った方がいい」と勧めたい。 この物語は2つの視点から描かれている。 専業主婦の小夜子は公園デビューも上手く出来ず、子供を遊ばせてやれないという思いから 保育園に預けるため働き始める。 姑にはイヤミを言われ、夫にもあまり良くは思われていない。 家事をできるだけ完璧にしようと心掛けるが、それは夫にとっては「頑張ってる事」ではなく「当たり前」の事なのだと気付く。 職場の人間関係や仕事の内容に少し辟易とし「こんな思いをしてまで働いている意味ってあるのだろうか」と思いながらも、少しずつ自分がそこで働いている価値を見出していく一方で 夫には「お前がいなきゃ支障が出るような仕事でもないんだろ?」と軽んじられ、傷付く小夜子。 小夜子の目には、社長である葵は明るく自由な独身女性に映る。 もう一つの視点は高校生時代の葵。 いじめられた中学時代から逃げるように、横浜から群馬へ引っ越す。 もういじめられることのないように、目立たないよう周りに合わせ、時には卑怯に生活する。 そんな中で出会う、少し変わり者ぽいクラスメイトのナナコ。 少女時代のピュアさと複雑な感情を抱きながら2人にある出来事が起きる… 一見タイプの違う小夜子と葵は、正反対のようで分かりあう事ができ、 そしてやはり「分かりあえない」… 途中、切なさや虚しさで涙が出た。 この物語の展開は実際に読んで知った方が幸せだと思う。 ミステリやサスペンスのようなどんでん返しではないが、それに匹敵する、或いはそれ以上の展開だと思う。 | ||||
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