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麗しのオルタンス
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麗しのオルタンスの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.86pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全7件 1~7 1/1ページ
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私は本シリーズの第二作「誘拐されたオルタンス」の方を先に読んでしまった上に、その巻末の円城塔氏の解説も読んでしまったために本作のストーリー紹介をする資格はないし、また、元々ストーリー紹介が全く無意味な作品なのだが、掛け値なしの傑作である。作者の本職は数学者兼詩人。ルイス・キャロルが高踏的ミステリを書いたと受け留めても良いし、円城氏と同様に"小説のあり方"を根本的に覆す実験小説を書いたと受け留めても良い出色のミステリ"風"小説である。円城氏の作品を"読んでも分らない"(実際、分らないのだが円城氏も当然自覚している。円城氏の小説作法については金子邦彦氏「カオスの紡ぐ夢の中で」参照)と言って敬遠する方にはお薦め出来ないが、円城氏の位相幾何学的構造や計算(機)理論を駆使した作品を愛好する方には垂涎の書であろう。 本シリーズは、本作を読んで「(特に物語構成に関して)何だか分らない」と感じ、第二作を読んで益々「サッパリ分らない」と感じた後で、円城氏の解説を読んで作者の技巧に驚愕し、両作を<再読>せざるを得ない仕掛けとなっているのである(是非、<再読>して下さい)。その技巧とは別に、フランス人らしいエスプリの効いた様々な揶揄、諧謔精神に富んだ人を喰った戯言、詩人らしい言葉遊び、ワザとらしい形而上学的論考、これまたワザとらしい哄笑を誘う性的描写、専門の数学を初めとする該博な知識のさりげない披露(衒学趣味ではない)等々、表面上は読んでいて楽しめるのも本作の特長である。訳者は健闘していると思うが、残念ながら数学的知識を欠いているために誤訳・放棄(例えば、「固定点定理→不動点定理」、<クノー数>(クノーとの近縁度。エルデシュ数の亜種)の説明放棄)が多少見られるのは致し方ない所か。 (作風はまるで異なるが)「その女アレックス」のピエール・ルメートルに続いて、驚異的技巧を持った瞠目すべきフランス人ミステリ作家が出現したという喜びを深く味わった。第三作(シリーズ最終作)もある由なので、その邦訳の出版を強く期待したい。 | ||||
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最近どういうわけか知らないが、本のレヴューはほとんど“検閲(?)”されて掲載されないので、できるだけ簡単簡潔かつ「当たり障り無く」書く。 本書は所謂ミステリとは毛色が異なるが、この語りに接することこそが小説を読む歓びであると思う。この作品には小説の自由がある。そして良質な小説は全てがミステリということもできよう。練達の訳文と息の長いセンテンス。それは練りに練られたものであって、二重三重の語りは騙りにつながる。 作者は実験的文学集団「ウリポ」の一員らしいが、なるほどと思った。こういうのが読まれれば小説は捨てたものではない。 | ||||
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表紙がかわいくて思わず買ってしまったというのが本当のところ、すごーく不満が残る話だった。 ミステリーファンにはこれはミステリーでないといっておこう。 ファンタジーでもないし、猫は出てくるけど猫小説でもない。 ユーモア小説か?それでもたいしたことない。登場人物はおもしろくなりそうだけど、結局おもしろくならない。 タイトルのオルタンスはパンツをはき忘れてミニスカートをはいちゃう美人だけど、彼女の魅力も今いち。 エロテイカにもならない。 意地で最後まで読んだけど、損した気分。 | ||||
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‘いかにも’な推理小説が苦手な私でも、面白く読めました。 中身は、「推理小説」といった形にとどまってません。 誰も死にませんし、トリックを明かすといった事もなく、、、 「メタ」的な要素が強く、その手の読み物が好きな人にも楽しめる一品となっております。 | ||||
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なんとも奇妙な小説。 間違ってもコージーミステリと思って読まないようにしてください。 一応、すじはありますが、語り手と筆者、編集者に読者!まで混じってやり取りされる注釈と凝った構成が楽しく読ませてくれます。 堅苦しいブンガクを前面に出すのではなく、楽しく読ませる仕掛けがたくさん仕掛けられているのがうれしい読み物です。 私の頭でついていけないところもあったのは事実ですが、それでも楽しく読めましたし、再読する楽しみもあるでしょう。 3部作らしいので、続編も是非、日本語訳を出して欲しいと思います。 | ||||
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この上なく楽しい なんて、まさにピッタリの帯文句 心躍ると言ってもいいくらい それがこの「麗しのオルタンス」 「ミステリ!なのか?」の 出版社の注意書きとおり これがミステリなのかと聞かれたら 死体はないわけで・・・ 一応(弱腰)金物屋が次々と襲われ 店内をめちゃくちゃにされるという 「金物屋の恐怖」事件を機軸に 話が展開する、ようなしないような しかし正直そんな事件なんてどうでもいいんです それよりなにより登場人物! 通りで女性を眺めるのが日課かつ趣味の食料品店の店主 音楽より、大きな音を出すのが好きなオルガン奏者 高貴な生まれ「らしい」猫アレクサンドル・ウラディミロヴィッチ そして一番の登場者 たまにパンツを穿き忘れる哲学科の美女オルタンス! それ以外にもブロニャール警部や 自称、夜の骨董屋らしい謎の人物モルガン など 一癖、二癖ある人物が目白押しなのです そしてこれらを語る主人公と 著者との合間、合間に入る言い合い さらにそれに対する編集者の注釈が 読者の視点をクルクル 万華鏡のように惑わしてくれるのです 例えるなら千一夜物語や不思議の国のアリス (作者が元数学者であるのも見逃せません) 読者をふりまわすような 頭の中をかきまわされるような感じ 振り落とされないように しっかりつかまってください 特に第三章まではノーベル文学賞並みなので じっと集中できる場所で読んでください オルタンスが穿き忘れるパンツの件までくれば もう大丈夫 あとはパンツを追って身をまかせてください ぐるぐる、ぐるぐる 「なんて楽しいコーヒーカップ!」 と、叫びだすこと必至です | ||||
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カバーには、こちらを睨む可愛げのない雄猫、外をいく軽装の若い女性が描かれています。この一匹と一人の主要登場人(?)物の恋愛模様が主軸となって物語が進むのですが、そこにわけのわからない事件が絡んできます。もちろん、十八禁な場面も交えて…と書くとどうみてもありきたりのどたばた喜劇にしか見えませんね。ところが、ちょっとでも本文を読むと、専門書まがいの注釈とメタフィクショナルな叙述の嵐に打たれるでしょう(訳者まで悪のりしてますし)。 「麗しのオルタンス」というタイトルも古風ですが(原題も古風です)、この手のメタフィクションの技法も推理小説ファンには懐かしさ爆発です。ブルバキの故郷を舞台にしたおかしな人たちのおかしくてハイブロウなアンチ・ミステリです。 これが売れて、オルタンスシリーズ残り二冊も訳出されるといいな。 | ||||
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