誘拐されたオルタンス
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本作は<オルタンス>シリーズの第二作の由だが、私は第一作を未読なので、作者の作品は初読という事になる。作者の本職が数学者、解説役が(私の好きな)あの円城塔氏という事もあるが、出色のミステリ"風"小説である。ルイス・キャロルが高踏的ミステリを書いたと受け留めても良いし、円城氏と同様に"小説のあり方"を根本的に覆す実験小説を書いたと受け留めても良い傑作である。円城氏の作品を"読んでも分らない"(実際、分らないのだが円城氏も当然自覚している。円城氏の小説作法については金子邦彦氏「カオスの紡ぐ夢の中で」参照)と言って敬遠する方にはお薦め出来ないが、円城氏の位相幾何学的構造や計算(機)理論を駆使した作品を愛好する方には垂涎の書であろう。 本作のストーリー紹介をする事は全くの失礼・無意味(何を書いても、これから読む方の楽しみを奪ってしまう)であるので控えるが、冒頭から、作者が諧謔精神を十全に発揮して"ある企み"を持って本作を書き進めている様子が良く伝わって来る。私もかなり注意深く読み進めて行ったのだが、オカシイ点には幾つか気付いた(作者の狙いの一部が「***」である事もボンヤリ浮かんだ)ものの、作者の全体構想が全く掴めず、結局は五里霧中状態でラストに到達してしまった。本編を読んだだけでも作者のエスプリが効いていて充分楽しめる内容になっている(古典ミステリに対するオマージュとオチョクリが混在している)が、円城氏の解説を読んで驚嘆した。本作はこの解説を読んでから<再読>して、作者の驚くべき技巧を倍化して楽しめる仕掛けとなっている。訳者は健闘していると思うが、残念ながら数学的知識を欠いているために誤訳が多少見られるのは致し方ない所か。 作者はフランス人作家である。私がここ数年読んだミステリの中で本当に感心したのは(作風はまるで異なるが)「その女アレックス」と本作だけである。フランス人ミステリ作家は時々突拍子もない傑作を発表するものだと改めて思った。先に本シリーズの第一作を読むか、それとも本作を<再読>するか迷っている状況である。 | ||||
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