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(短編集)

午前零時のサンドリヨン



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【この小説が収録されている参考書籍】
午前零時のサンドリヨン

午前零時のサンドリヨンの評価: 3.78/5点 レビュー 55件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.78pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全55件 21~40 2/3ページ
No.35:
(2pt)

手品とミステリーへの愛は深いが・・・

マジックも推理小説もボーイミーツガールも大好物、というわけで書店で手に取りました。

 作品の雰囲気を手軽に高めるための小道具としてマジシャンや手品を登場させるミステリー作品も多い中、丁寧に両者が融合されているように感じます。ヒロインが作中でトミー・ワンダーのテイムドカードやフラリッシュのジャクソン・ファイブを披露していたり、フーディーニやレナート・グリーンほか新旧様々な有名マジシャンの名が挙がったり、マジシャンの有名なエピソードをストーリーに組み込んでいたりと、どうやら巻末の解説文を見るに、単に作品を書くためにマジックを研究したというよりは作者は元からマジックに造詣が深かったようです。
 マジックの種明かしを一切せず、それでいてミステリーと手品をきちんと絡めている点からは、作者がマジックにもミステリーにも敬意を持って接していることが感じられます。その点に関しては、マジックの愛好家の方も楽しめるのではないでしょうか?

 一方他の方の書評にもある通り、各登場キャラクターたちが「浅い」ように感じられます。とくに主人公に関しては浅いを通り越し、呼んでて不愉快なくらい行動が軽率です。
 この作品は主人公の気弱な少年がワトソン役、ヒロインのクールなマジシャン美少女がホームズ役なので、主人公が幾分頼りなかったり、多少抜けているところがあるのはお約束の範疇でしょう。
 しかし、「被害者が可哀想だから」「真相が気になるから」などの浅薄な理由でクラスメートが抱える謎を引き受け、肝心の謎解き自体はヒロインに丸投げする主人公や、他者にも主人公にも謎解きにも興味がないような何処か冷淡な性格だった物語前半から一変、後半で急に事件解決に積極的になり、得意気に真相を語り出すヒロインへの感情移入はどうにも困難でした。この作品は4作からなる短編なので、これが4回繰り返されます。この手の青春モノにありがちな、「主人公が自分の何気ない一言をきっかけにヒロインと仲違いする」というお決まりのシーンも登場するのですが、その不仲の折にも彼女は特に理由なく謎解きに手を貸しています。
 ヒロインがホームズのように謎解きにスリルや快感を求めているとか、困っている他者を見捨てていられないほど博愛精神にあふれているだとか、ハーレム系ラノベの如く主人公に全幅の信頼や好意を寄せているといった描写も特にありません。嫌味な言い方をすれば「何の取り柄もない主人公がおせっかいや好奇心で人の事情に首を突っ込み、問題の解決をヒロインに押し付けつつ最終的には恋仲になる」という構造です。それとも僕の読み込みが浅かっただけで、彼らの行動原理はキチンと描写されていたのでしょうか?

 犯人の動機にリアリティがないミステリーは興醒めですが、主人公の行動の動機に共感できないのもこの手の作品として致命的でしょう。作品の設定やキャラクター像は好きだっただけに非常に残念でした。
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No.34:
(3pt)

マジシャンと魔法の間

2009年に出た単行本の文庫化。 「酉乃初」シリーズの初巻で、4本の短編が収められている。  自身がマジシャンということで、ヒロインも手品師に設定され、作中にはたくさんの奇術が登場する。  全体的なノリとしては、日常の謎系の物語に、奥手の高校生男女による初々しい恋をからめている。 ライトノベル志望から転向したというから、そのあたりの色合いが残っているのか?  トリックとしては不満の残るものが多い。 しかし、謎の提示の仕方と解き方はなかなか。
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No.33:
(5pt)

続編があったら読みたい。

推理小説としてはあまり面白いものでは無いと思いますが。
青春ものとして見たときは懐かしいような憧れのようなものを感じ気軽に読める一冊でした。
続編があれば読んでみたいです。
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No.32:
(4pt)

主人公の少女が可愛かった。

この作品を買ったとき表紙の絵を見て主人公の少女がマジックなどの知識を使い華麗に事件を解決する痛快なミステリを私は想像したがその期待は良い意味で裏切られた。
 表紙絵のきらびやかさに反してその内容はけっしてきらびやかなだけでなく人間の弱さやドロドロした感情が描かれたものだった。
 主人公はプロ並みの腕を持つ女子高生マジシャンで普段はその腕をアルバイト先のレストランバーで披露している。
 そんな彼女にもう一人の主人公で同じ高校に通うクラスメイトである男の子が出会うところから物語は始まる。
 この本は四つの連作短編からなっていていずれの話もその男の子の一人称で物語られる。
 二人の主人公の前にふりかかる事件はいずれも学校という社会の負の側面に由来している。
 具体的に言うといじめであったり生徒間の嫉妬などが事件を引き起こしていると思われる。
 二人の主人公はそれらの事件を解決しつつも自らも悩み苦しんでいく。
 特に主人公の女の子(名を酉乃初という)は自らがマジックをするのが人に認められたいからでそれは嘘の自分であり本当の自分はひ弱でさびしがり屋であると思っていてそんな本当の自分を誰もわかってはくれないことに悩んでいる。
 この作品を読み終えて私が思ったことは初のような少女はとても可愛いということだった。
 初という少女はマジックの腕が天才的で頭も非常にきれるのだがその心の核には上にあげたような悩みがあってそのギャップに萌えるとともに彼女が事件を解決するたびに彼女自身も含めて事件にかかわる生徒たちのドロドロとしたある意味醜悪ともいえる心が浄化され美しいものになっていくのが読んでいて快かった。
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No.31:
(5pt)

優しい甘さの小説です。

同じ青春ミステリーとジャンルづけされるであろう米澤氏の作品(さよなら妖精など)を読んで口の中がビターになった私にはちょうど良い読後感でした。
本屋さんで見かけて衝動買いしましたが買って良かったです。
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No.30:
(5pt)

とても面白かったです

とても面白かったです。
自分の学生の時のことを思いだしました。
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No.29:
(5pt)

すばらしいです。

自分が読んだ中ではかなり面白い方でした。
最後まで読むにあたって、苦痛になる様な時はありませんでした。
意外と緻密に伏線が張られており、見応えのある内容になっていると思います。
マジックなどの豆知識も豊富に盛られており、マジックとミステリ好きの自分には最高の一冊でした。
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No.28:
(5pt)

がんばれ!、沙呼先生

すみません、ず~っと「相沢沙紀」先生だと思っておりました・・。

 ミステリー・アンソロジー
・放課後探偵団(創元推理文庫)で、
「恋のおまじないのチンク・ア・チンク」を拝読して以降、本作に始まり、「ロートケプシェン、こっちにおいで」はもちろん、
マツリカさんシリーズ2作、そして今日は「ココロ・ファインダ」を注文させて頂きました。

 ヒロイン・酉乃初の魅力に、ゾッコン。
 私としては、ビブリア古書堂シリーズの栞子さん以上に、魅力的だと思います。
 もっと「相沢沙呼」という作家が、知られていきますように。
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No.27:
(2pt)

一般小説のライトノベル化

非常に個人的な感想になりますが、面白くなかったです。

最近多い、本格推理を読むのがしんどい時に手に取る、軽いミステリー作品です。
赤川次郎の流れを汲んだジャンルなのですが、この作品に限らず、最近のものは登場キャラクターの造形や、心情、会話に説得力が薄いと思いました。

マジックバーで働く、高校生の美少女。
彼女に好意を寄せる同級生の男の子。

この2人が主役で、男の子の1人称で物語が進みます。
しかし、この男の子の考えや、会話がどうも男を感じない。そこにまず違和感を感じ、相手の女の子も初めはクールな子かと思えば、かなり変わった不思議ちゃんで、共感出来る、出来ない以前に、非常に作り物めいた感じを受けました。
非常に漫画的な造形キャラクターだな、と。

ただ、これが漫画であれば、キャラクターの容姿や周りの情景も絵ではっきり表現されているので、読者はすんなり物語に入っていけます。
しかし、文字だけの小説である場合、読者は文章から自分でキャラクター達をある程度想像して読んでいくと思われます。少なくとも私はそうで、文章から受ける情景を、頭の中で映像に置き換えて読み進めます。

物語の舞台は現実にあるだろう普通の高校なのに、キャラクターが現実の高校生では考えない行動や会話を繰り返すため、どうしてもその違和感が強くなり、最後まで読み通すことが出来ませんでした。
私自身高校をとっくに卒業した身なので、現在の高校生のリアルなど分かりませんが、それでも思春期の男の子がここまで性を感じさせず、ヒロインの幼い行動、心情、いじめや幽霊騒ぎも含め、流石に幼稚過ぎると思いました。

文章は読みやすく、謎のロジックなども良く考えてあり、賞をとったのも分かる作品ですが、最近のこの手の作品におけるキャラクターの現実感のなさに落胆させられることが多く、厳しめにつけさせてもらいました。

選考委員の方の「苦さ」がない、という部分がこの本を読んで、一番説得力がありました。
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No.26:
(3pt)

面白かったですよ。でも普通。

ミステリ初心者にはいいのかもしれないけど、何か物足りない。既視感がある。
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No.25:
(4pt)

なかなか楽しく読めました

この方の本は初めて読みました。
雰囲気はガールズライトノベルですが、鮎川哲也賞受賞と銘打たれているだけあって、ミステリ要素はしっかりしています。
物語としてみると、人によって好き嫌いが分かれるかもしれません。
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No.24:
(5pt)

魅力たっぷりのヒロイン

語り手の「須川くん」は男子がこうありたいと願う「理想の僕」であり、大人になった私が読むとこそばゆ過ぎるし、ラノベに良く出てくる女の子っぽい「僕」キャラの典型です。

でも、好きですねぇ、こう言うの。
読んでいて、もう一度、あの頃に戻れればというロマンを感じます。

こんな男子も女子も実際にはいないことでしょう。
小説だからこそ、夢見るシチュエーションが楽しめます。

マジックが出来る少女。
それだけで魅力たっぷりです。
魔法使いに憧れていて寂しがり屋で嘘つき。そして恐るべき洞察力を備えた名探偵。

須川君が少しずつ心の成長をしていく姿も微笑ましい。

ストーリーはラブコメディそのものですが、文章と構成は実にしっかりしています。

早速次の作品を読みたくなりました。
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No.23:
(3pt)

非常に甘い「日常の謎」ミステリ風青春小説

鮎川賞作品としてかなり評判の良い本作は、とっても甘いミステリだった。
そう、ミステリの皮を被った青春小説、というのが本作の正体である。
語り手の主人公は男の子であり、彼が好きになった女の子が探偵役という設定。
そして全編に漂う、実に淡くほのかな思いが、何とも甘く切ない青春を思い出させる。
ああ、若いっていいよな、というふうに、おじさんには切実に思わせるのは、その描写もあいまっての効果である。

さて、本作をミステリとしてみた場合にはどうであるうか。
「日常の謎」派の作品ということになるし、謎に関わる悪意の存在もあるから、これはまぎれもなくミステリである。
しかし、どうも弱い。
本書を読んでいると、謎の解明なんてどうでもいいや、って感じになってしまう。
つまり、それだけ青春小説としての部分が面白すぎるということなのだ。

そして、本作はどうしても女の子の方が生き生きと描写されている。
女の子と比べて、男の子は影が薄いというか、個性がない。
何より、登場する人数が少ない。
これはちょっとバランスが悪いし、ミステリ味が弱いことと併せて、そこが少々残念であった。
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No.22:
(4pt)

マジック、ミステリー、青春

読みながらビブリアが頭に浮かんできました。
心に何かを抱えている女の子と、彼女に心惹かれた男の子の物語。
ボーイミーツガールという定番の連作集です。
ミステリー色を薄く、青春要素を強くした感じです。
マジックはこの作品の個性を際立たせる小道具として、うまく使われています。
分類としては、青春学園ドラマというのがぴったりきますが、結構良かったです。
この厚さの文庫本としては、若干値段が高い気がしますが。。。。
続編もあるようなので、文庫でもこの価格なら、文庫化を待たずに購入しようか検討中です。
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No.21:
(1pt)

ボーイ・ミーツ・ガール・マジック。

表紙の絵があまりにも素晴らしかったので、ずっと気になっていました。先日、文庫版が出たときは思わず買ってしまいそうになりましたが、「おちつけ、新人の作品なんだぞ」と思いとどまり、図書館で見つけてゲット。

やっぱり、ぬるくて痛々しい小説でした。若さとは痛々しいものですが、それで読者をイラつかせてどうする。主役の『僕』の一人称が軽くて煩わしくてお前もうちょっとしっかり生きろよと思う。あと、感動(?)をうながしたいのであろう感傷的な独り語りも、文章がヘタなので台無しです。日常の謎派に属するも、ミステリ的にも非常に弱い。

あと、これは個人的なことですが、『主人公の女がもしブスだったらどうなったのだろう問題』が起こりまくっていて心が凍てつきました。良かったな、女主人公よ。美人に生まれて。
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No.20:
(3pt)

起承転結,四編がスムーズに流れ,畳まれる

『第19回鮎川哲也賞』受賞作品で,09年10月の単行本の文庫化.これがデビュー作になります.
学園を舞台にした『日常の謎』系のミステリで,全四編が収められた連作中編集となっています.

いわゆるワトソン役の少年が,ホームズ役となる少女への一目惚れから物語は始まりますが,
思春期の葛藤や鬱屈,嫉妬やいじめも絡み,恋の物語でもあるものの,少し重たい雰囲気です.

とはいえ,四編という数もあってか,起承転結がハッキリ流れ,畳まれていくのが心地よく,
まさに『転』の編となる三編目では,少年と少女の関係,そして結末に大きく意識を引っ張り,
その最後の編で,各編だけではなく,全編を貫いた『大きな真実』に,ミステリ的に迫る様子は,
それまでの個々の伏線はもちろん,編自身もそれであったかのようで,うまくまとめられています.

ただ,語り部も兼ねる少年の一人称視点は,その口調や頼りない雰囲気が却って煩わしさともなり,
ほかにも,いい場面での印象的なセリフ回しは,『狙った感』が透けて見えて鼻白んでしまうかも….
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No.19:
(4pt)

学園生活をセンシティブな筆致で描く、連作ミステリ

謎があったら解明したくなるミステリ好きの主人公ポチこと須川くん。

不思議は不思議のまま楽しんだ方がいいというマジシャンのヒロイン酉乃初。

そんな対照的な二人が不思議な事件に巻き込まれ、主人公がヒロインに何とかお願いして謎を解明していきます。

何気ない会話や謎を手がかりにして不思議を解き明かしてきます。

この作品は須川くんの視点で物語が進行します。

須川くんの男子高校生の欲望丸出しの言葉で書かれているので、慣れるまではイラッとしました。

好きな女の子の反応や表情に一喜一憂する。

そんな思春期真っただ中の高校生らしさが出ているのですけどね。

酉乃の愛らしさや須川くんの彼女への想いが感じられます。

時には文章によってマジックが披露されたり、実在するマジシャンのエピソードを交えたりという趣向もあります。

ミステリあり、マジックあり、青春の青臭さや恋愛のもどかしさなど色々な要素で楽しめる作品でした。

しかし、主人公の須川くんには物語の後半でもイラッとさせられましたね。

口から出てくるのは綺麗事ばかりで、自分一人では何もできず、酉乃に頼ってばかりです。

そこらへんが気にならない方は、さらに楽しめるのではないかと思います。
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No.18:
(3pt)

マジックが苦手な私

マジックが苦手な私にとって、居心地の悪い小説だった

タネを明かさない、秘密のまま味わうのがマジックだといわれても、あな釈然としない感じが苦手なんです。
今作は謎を解明しないマジックと謎を解明するミステリーという不思議な違和感で居心地が悪い。
その感じは悪くはないんだが。
人物のキャラクターに対しても?ということが多いのも違和感を感じた原因だと思う。
話の途中でハツは偽善的だと唾まで吐きかけられる。
だけど次の話ではまるでなかったことのように振る舞っている。
そんなことされたら、私は立ち直れない。
ぽちとハツの二人に感じた違和感はそんな人物造形の細かなところにあるんだと思う。
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No.17:
(4pt)

マジック+青春ミステリ

日本推理作家協会編纂のアンソロジー「2011ザ・ベストミステリーズ」に収録の「原始人ランナウェイ」が良作であったために手に取った本書は、第19回(2009年度)鮎川哲也賞を受賞し、著者のデビュー作となった作品。

高校一年生の<僕>(ポチというニックネームで名字は「須川」)は、姉に連れて行ってもらったレストラン・バー「サンドリヨン」で、生まれて初めて「クロースアップマジック」を目にするが、マジシャンは驚いたことに、クラスメートの酉乃初であった。
学校と全く違う彼女の姿に、<僕>は心惹かれていく…。

本作品は、4つの短編で構成されている連作ミステリで、探偵役は酉乃初、ワトソン役が<僕(須川)>。
文体は、ラブ・コメ風と言った感じで、私のような中年のオジサンは、最初は物語に入っていけるか不安でしたが、賞を取るだけあって、巧みな物語構成に、第1編の半ば頃から、違和感は消えていました。

本作品は、「殺人」のような警察が捜査するような事件は起こらず、いわゆる「日常の謎」系。
巻末の選評を読むと、この回から、「日常の謎」分野の開拓者であるミステリ作家、北村薫が選考委員になっているとのことで、ある意味、象徴的な受賞作と言えるかもしれません。

私が21世紀の作品らしいな、と思ったのは、各編の題名です。
掲載作順に【トライアンフ】【カード・スタッフ】【プレディクタ】【ワイルド・カード】という用語が使われているのですが、作中では「用語の説明はありません」。でも、酉乃初が作中で演じる「マジック」の名前と推測は可能。
これが以前なら、マジックの解説本を探してみなければならなかったでしょうが、そこはネット検索で、ということなのでしょう。

実際、検索してみると、もちろん用語の意味はすぐに分かりましたが、マジックの実演動画が多数配信されていて、マジックへの興味が湧いてきてしまいました。
これって、著者の術に嵌ったってこと?
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4488024491
No.16:
(5pt)

ミステリはおまけ

これは純粋な恋愛小説です。
主人公がヒロインに恋をする。ただそれだけの物語です。

ミステリ部分なんて、奥手な主人公がヒロインと話す口実に仕方なく持ち出しているだけで、この物語では味付け程度の役割しか担っていません。

ミステリの分類としては日常の謎です。
鮎川哲也賞の中でも気負うことなく読める作品だと思います。
ただ、完成度は恐ろしく高い。
読み終えた後、思わずトライアンフを練習してしまうくらいに。
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