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語り女たち
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語り女たちの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.83pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全12件 1~12 1/1ページ
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17人の女性が語る幻想譚を収録 心にさざなみを起こすような珠玉の短編集でした 日常と異界が融解します | ||||
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舞台装置としては良い物を用意したと思います。 海辺の部屋に毎回違う女が現れて不思議な話をしていく。 惹かれました。 ただ、肝心のお話が、いずれも小ざっぱりとしすぎていて、入り込めませんでした。 小川洋子のような雰囲気を期待してしまったのですが、読後感が軽く残念でした。 | ||||
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語るのはシャハラザードではなく、17人の女性たち。 短編集なので、気の向くままに読めるのも良い。 こんな男性とのやりとり、ステキだなぁと思う「笑顔」、 読んだ後も余韻の残る不思議な「眠れる森」、 国語の教科書を思い出す美しい文章と 父親とのやりとりが印象的な「夏の日々」などなど。 心に残るものが多い。 いつでも、彼の文章、 そして登場人物には清純な印象を受ける。 年齢を感じさせない、かわいらしい魅力的な女性のお話を聞きたい方はお試しあれ。 | ||||
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文章には音も匂いも色も美醜もないが、音を感じ、匂いを感じ、美しいと思わせるそんな言葉に出会うことが本当にまれにある。 海辺の街に小部屋を借りて、潮騒の音の届く窓辺に横になって訪れた女性の物語を聴く……そんな現実と虚構の狭間にある薄い世界で、17人の女性の物語を聴くことができます。 一つ一つの物語は違った色があり、香りのあるもので、読んでいて色々と考えて(感じて)しまいます。 一編の長さはかなり短く、女性が物語を語る形式なので読んでいて疲れません。 所々に入る挿し絵も美しく、物語のタイトルはちょっとトーンが落としてあるなど装丁も含めて実に「美しい」作品です。 北村薫さんの作品は「スキップ」のような長編作品も良いのですが、こういった短編にもキラリと光る美しさがあります。 | ||||
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北村薫著書の作品。 雑誌等で掲載されていたものをまとめたものです。 ある男性のもとに女性たちが語りにくるという話ですが、 女性たちの話は全て独立した話ですのでオムニバス形式に近いです。 一気に読んでもよいですし少しづつ読むのもよいです。 どれが一番かというよりも全ての話に特徴があって引き込まれます。 見たことないような漢字を使っていたり、自分が知ってる童話が少し変わってたりと 知っているようで知らない、日常ありそうで非日常の世界が描かれています。 長編のを読んでみたいと思わせる著者でした。 | ||||
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2004年に出た単行本の文庫化。 17篇の短編が収められている。 『アラビアン・ナイト』の形式をもじり、「女」が次々と不思議な話を語っていく。ただし、「女」はひとりではなく、色々な「語り女」が登場する。 話の内容はさまざま。「メロス」を茶化したようなものから、不気味な人形の話、柔らかで幸せな結末を迎えるものと、それぞれに味わいが異なる。不思議だったり異常だったりする話ばかりで、いかにも北村氏っぽい一冊であった。 17篇のうち、面白かったのは三分の一ほど。 | ||||
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17編の短編集。 語るは女性。日常生活でありながら不思議な世界へいざなう。 物語はスパッと確信を切り取られ、 無駄なくそつなく物語を楽しませてくれる。 | ||||
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北村流の透明感のある文章で綴られる現代の千夜一夜物語。17編の短編で構成されていますが、それぞれのお話が独自の季節感と色をもっており、印象的です(挿入されているカラーの美しい挿し絵がそれらを強調しています)。一見平凡な語り女たちが紡ぐ、平凡な日常の中で生まれた奇妙な出来事の物語。それら幻想世界の出来事を「さもありなん」として受け止める男。僕たちもいつのまにか、語り女たちの物語に引き込まれ幻想世界をさまようことになるでしょう。さわやかな読後感。1話1話が元気をくれる現代のアラビアンナイト。好きな音楽を聴きながらのティータイムや眠れない夜にゆっくりと読みたい作品です。 | ||||
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新しい本が出れば必ず読む、大好きな作家たちがいます。北村薫さんはその中でも、いつも次が待たれる作家です。さて読もうとして、緑の活字を目にした途端、次の朝 、家族が皆出掛けるまで待つべきだと判断しました。それほど、一人でゆったりと、大事に読みたいと思わせる本でした。読み終わりたくなくて、一言一言、大事に活字を追いました。ゆったりと心ゆくまで、読書というものの醍醐味を、こんなに味わわせてもらえる本は、滅多に出会えませんから。もとより、ほんの短い掌篇小説が、特別好きであること。小さな世界に閉じこめられた、とてつもない宇宙が自分に入り込んで来る瞬間が、たまらなく好きであること。 『語り女たち』は、まさにそうした、私の楽しみを充分に、溢れるほどに得心させてくれました。17の話のどれもが、他と一線を画して、静かに密やかに光る世界でした。謎、ノスタルジー、愛、異界・・・・・・。現実の小さなささくれのような不可思議な話に、頷き、首を傾げ、思いを彷徨わせ、17世界に遊ぶことができました。美しい言葉。表現された世界が、疑いようもなくそこにある凛とした構成。北村さんの世界に遊ぶ時、好きな人の胸に顔を埋めるような安心感と陶酔があります。 「歩く駱駝」「笑顔」「海の上のボサノヴァ」「夏の日々」「ラスク様」が、私のベスト5です。(本当は全部) 表紙の見返しページの、北、村、薫、の文字のデザイン、私は、雪の結晶のように見ました。万華鏡に映し出された文字の方が、相応しいかもしれませんね。 挿絵の豊かさといい、紙質の上等さといい、なにより黒と見まがうセピアの活字の洒脱さ、プロローグ、エピローグにあたる“彼”の言葉だけ、鮮やかな色の活字であること・・・・・・読み手にこんなに心地よさを与えて、尚、完璧な小宇宙を構成することのできる北村さんに、拍手と感謝を贈りたいと思います。 | ||||
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海辺に暮らす男のもとに、ひとり、またひとりと女が訪れて、不思議な話を語っていく。あたかも、アラビアンナイトの寝物語のように。さわさわと風が鳴る田んぼ道を、すっと光の帯を引きながら、蛍が飛び、消えていくような趣。17の話はそれぞれに優しく、なつかしく、ひやりとさせられる恐さがあるかと思えば、身に沁みるような静けさも湛えている。ふっと、八木重吉の調べ美しい詩を思い出した。 この明るさのなかへ ひとつの素朴な琴をおけば 秋の美しさに耐えかね 琴はしずかに鳴りいだすだろう17の話のなかでも殊に気に入ったのが、お年寄りの介護を仕事にしている若い女が語る「梅の木」という話。ハッとする鮮やかさと、胸にあふれてくるあたたかさがあった。続いて、「緑の虫」「眠れる森」「夏の日々」「水虎」の話に惹かれた。謡口早苗(うたぐち さなえ)さんの本文イラストが、またいいんだな。描かれた絵といい、色遣いといい、話にしっくりと溶け込んでいる。「北」「村」「薫」の三文字を万華鏡のようにかたどった本の見開きのデザイン、これも洒落ていた。作品もさることながら、本のたたずまいも素敵だと感じた一冊である。 | ||||
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作者の長所が発揮された良作。「よくもこれだけきれいな言葉を紡げるな」と感心させられる美しい文章が、幻想的なストーリーとマッチしている。また、この手の本には珍しく、カラーの挿絵が数点使用されており、これも作品の奥行きを広げている。作品はもちろんだが、装てん、挿絵を含め、これぞ「プロ」の仕事だと思う。主人公「彼」が海辺に小部屋を借り、アラビアの王にならって語り女を募り、彼女たちの不思議な体験談を聴くというストーリー。それぞれ10ページ前後の小作品が、17編。はでなアクションや殺人はないが、「癒し系ミステリー」とでもいうのだろうか、不思議な読書観を醸し出す作品である。本作品は、第131回直木賞にノミネートされたが、惜しくも受賞は逃した。 | ||||
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「男は海辺の街に小部屋を借りた。潮騒の常に響く窓辺に寝椅子を引き寄せ横になり、訪れた客の話を聞こうという趣向だ。」 男は、昨日と変わらぬはずの今日を生きる女たちに、その日常に俄かに沸き起こったさざ波のような事件の体験談を聞かせて欲しいと全国の新聞・雑誌に広告を載せたのです。男のもとを訪れるのは17人の語り女(かたりめ)たち。彼女たちが口にする物語はいずれもが異彩を放ちます。心胆を寒からしめるような日常の亀裂。心と心とがそっと寄り添うような、そして誰かの手のぬくもりを愛しく感じさせるような触れ合い。人間の賢(さか)しらな理知などに触れられることを頑なに拒む闇と幻想の世界。 北村薫の文章はどれも品位に満ち、日本語の持つ凛とした瑞々しさを感じさせるものです。私が共に生きてきた、そしてこののちも共に生きていく「言の葉」を心の底から強く慈しみたいという心持ちにさせてくれるのです。彼の紡ぐ日本語の美しさはある種、官能的であるとすら形容してもよいと思います。 今回の書でも浮世の憂さをひととき忘れ、不思議な浮遊感を味わうことが出来ました。北村薫らしい文章のまにまに漂いながら、恍惚とした喜びにひたれたのです。 200頁に満たないこの物語集を短時間で読みきるのはたやすいことでしょう。ですが、掌編のひとつひとつが読んだ後に心にしっとりと広がり、そして心の床に落ち着いていくにはそれなりの時間を必要とするかもしれません。一気呵成に読み通すのは、あまりにももったいないという気分にさせられる物語ばかりなのですから。 | ||||
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