■スポンサードリンク


虹の谷の五月



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

虹の谷の五月の評価: 4.08/5点 レビュー 36件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.08pt


■スポンサードリンク


Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全36件 21~36 2/2ページ
<<12
No.16:
(4pt)

少年の目を通して社会の不条理を描写

第123回直木賞受賞作品。著者船戸与一は、発展途上国を舞台として貧しい人々に焦点を当てた小説を数多く世に出している。彼の作品には、ゲリラや反政府武装勢力関係者が多く登場する。本作品も、これまでの「船戸ワールド」と同様に発展途上国であるフィリピンの片田舎が舞台であり、長年フィリピンで活動してきたゲリラ組織「新人民軍」の元メンバーが登場する。舞台はセブ島で、日比混血児を意味するジャンピーノと皆から呼ばれているトシオ少年の目を通じて、日常生活とそこで起こる事件を描写している。日本とフィリピンの間には、戦前から今日に至るまで様々な人々の交流がある。混血児も多い。フィリピンの首都から遠く離れた村であるにもかかわらず、日本との関係が様々な形で描かれている。
 本書は、2000年5月に新刊として発行された作品を上下二冊で文庫化した上巻である。上巻の本書では、ジャンピーノ少年が13歳の時に巻き込まれた事件と、14歳の同少年が見た村の出来事の約半分が納められている。その後の展開は、下巻(虹の谷の五月(下) (集英社文庫))で描かれている。(2012/9/8)
虹の谷の五月〈上〉 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:虹の谷の五月〈上〉 (集英社文庫)より
4087475727
No.15:
(4pt)

日比混血児の成長物語

フィリピンのセブ島の片田舎に祖父と暮らす日比混血児トシオ少年は、虹の谷への道筋を知っている唯一の人物であった。虹の谷では、丸い虹を見ることができる。そこでは、新人民軍の元ゲリラ兵士ホセが一人で反政府活動を継続している。本作品は、13歳から15歳にかけてトシオ少年の目を通じて、フィリピン社会の矛盾が描写されている。闘鶏師であるトシオは、虹の谷への道を知っているが故に、様々な事件に遭遇する。それらの事件を通じて成長していく少年とその関係者の物語である。
 上巻(虹の谷の五月(上) (集英社文庫))に比べて、本書の下巻では、様々な事件が立て続けに発生し、ストーリー展開の早い構成となっている。第123回直木賞受賞作品。(2012/9/9)
虹の谷の五月〈下〉 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:虹の谷の五月〈下〉 (集英社文庫)より
4087475735
No.14:
(4pt)

バリリに行って来ましたよ。

セブ・シティからバスで1時間くらい。大きな教会と市場があり,「ちょっと栄えている田舎町」という感じ。闘鶏場は(たぶん)ありませんでした。ビリー・ジョーやドクトル・ナカノはいないけど,ペドロ・ビガイならいるような感じ。セブからは案外簡単に行けるので,船戸ファンの方は機会があればどうぞ。
虹の谷の五月Amazon書評・レビュー:虹の谷の五月より
4087744671
No.13:
(2pt)

退屈だった

出だしから何が起こっていくんだろうと期待して読み進めたが、
起こる事件や行動がどこかで読んだようなものばかりで、しかも先が読めてしまう展開が多くて途中でゲンナリとした。
これではマンガの方がリアリティもあるし、エンタメ度も圧倒的に勝る。

闘鶏場のシーンは迫力がある。それは銃撃戦の場面でも言えるが、
後者は結局そうなるのかよというような予定調和な結末なため、その場面が終わるとあっという間に描かれている世界が色褪せる。

また連載作品だったのかもしれないが、いちいち「クイーン、つまりシルビア・ガラン・デ・オオシタは」と何度もでてくるのが鼻に付く。
「ど、どこに」「な、なんだよ」「ミ、ミゲル」という主人公の話し方も同様。

なんだか作品に何度も出てくる鶏汁(これしか食べ物がないのか?)を、毎日毎日食べさせられているような気分だ。



虹の谷の五月〈上〉 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:虹の谷の五月〈上〉 (集英社文庫)より
4087475727
No.12:
(5pt)

次のページ捲ります。

船戸作品を読むと、どんどん先が読みたくなり、時間がたつのを忘れてしまいます。この虹の谷の五月もそんな作品でした。ゆっくりとしたペースで始まったストーリーが、中盤以降怒涛のスピード感で一気に読ませてしまいます。今のところ、船戸作品にはずれ無し。全作品を制覇するつもりです。
虹の谷の五月〈上〉 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:虹の谷の五月〈上〉 (集英社文庫)より
4087475727
No.11:
(5pt)

少年の成長をえがいた冒険小説

雨期には空に丸い虹が浮かぶという、虹の谷。
そこには一人、ゲリラとして社会と戦い続けている戦士がいた…。
主人公であるトシオは、フィリピン・ガルソボンガ地区に住む13歳の少年である。両親もなく、祖父と二人、軍鶏を育てることで生計を立て、その仕事に情熱を注いでいる素朴な少年だ。
その村で、トシオが特別である点はただ一つ。村から続く「虹の谷」へと至る道をただ一人知っているということ。そのためにトシオは、虹の谷で起こる様々な、欲望と血が流れる出来事へと巻き込まれていってしまう。
段々と歪み変わっていく村のなかで、虹の谷に住む戦士・ホセへの影響を受けながらも、出来事を通してトシオは子供から、大人へと成長していく。
誇りと希望を。15歳になったトシオの胸には、しっかりと、一人の男としての生き方が刻まれたのだ。
徹底した取材を元として、フィリピンの混迷した時代を背景に、そこで暮らす人々の生活感、人間臭さまでをもしっかりと描いたリアリティー溢れる描写。
理不尽で容赦ない時代の中で、トシオの成長が実に見事に表現された冒険小説でした。
直木賞受賞作。
虹の谷の五月Amazon書評・レビュー:虹の谷の五月より
4087744671
No.10:
(4pt)

「文明」と「辺境」の出会いの小説

「文明」がいかにして「辺境」の人々の生活のバランスを崩すかということが、登場人物を通してうまく表現されている。
NGOであろうがODAであろうが、その背後にあるのは巨大なマネーの力である。
そこを履き違えてしまうと、とんでもない事態を引き起こしてしまう。
「辺境」は「辺境」で完結した生活が営まれている。
それを「文明」の論理で、強引に変えようとしてはいけない。
虹の谷の五月〈上〉 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:虹の谷の五月〈上〉 (集英社文庫)より
4087475727
No.9:
(5pt)

繊細な情緒と迫力の戦闘シーンで読ませる、少年の成長物語

フィリピン・セブ島で、闘鶏を生業とする祖父と暮らすトシオ。13歳から15歳の五月の出来事を描く。
フィリピンに特に興味はないし、歴史もほとんど知らないけれど、とても楽しく読めた。そして「人民軍」「マルコス」「アキノ」などについてもっと知りたい気持ちになる。それだけ、物語の魅力が強烈だということだろう。
クイーンのホセに対するアンビヴァレンスな想い。戦い続けるホセの強靭な信念。周囲に惑わされることなく、正しさを理解しているトシオとメグの清廉さ。ラストのじっちゃんの行動。
人々の真摯な気持ちは、読み手の心を強く揺さぶる。トニアやラモンの弱さでさえも。
また、暗殺者や誘拐犯に立ち向かうホセの戦いぶりは見事で、情緒的なものだけでなく、手に汗握る戦闘シーンでも読ませる。かっこよすぎるよ、ホセ!
唯一ひっかかるのが、トシオと彼をとりまく「主人公側」の人々が、あまりに善人すぎるところ。「フランダースの犬」の主人公に対するのと同じイライラを感じてしまう。逆にそれ以外の人々は下劣で野卑な人間ばかり。「善」と「悪」とに二極していて、その構図はちょっと時代劇っぽい。
まあ、そんなこと、壮大な物語を前に、たいしたことじゃ全然ないんだけど。
下種のかんぐりで、その後のメグがどうなるのかが、気になる!
虹の谷の五月〈上〉 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:虹の谷の五月〈上〉 (集英社文庫)より
4087475727
No.8:
(2pt)

これで直木賞?

フィリピンにいたことがあるので読んでみましたが...。
事実関係も怪しいし(例えばセブ島にそんな原生林のジャングルが今でもある?フクバラハップにセブから参じた人いたの?とか)、フィリピン人の人間関係の持ち方とか会話のリズム(トリビアだか、親しい者通しがフルネームで呼びあうかー?等)も全然違うし。
また女の私には主人公などに感情移入できないし。
直木賞取ったからそう外れはないだろうと思ったけど、残り少ない人生を浪費してしまった、という感しか私にはなし。
フィリピンの人の感想を聞きてみたいわ。
虹の谷の五月〈上〉 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:虹の谷の五月〈上〉 (集英社文庫)より
4087475727
No.7:
(5pt)

少年の成長記

フィリピン・セブ島。田舎の小さな村に住む少年、ジャピーノ。 本名、トシオ・マナハン。日本人とのハーフであるという意味の「ジャピーノ」。村人はそう呼ぶ。日本のサラリーマンの父親は日本に帰り、母親はマニラで娼婦をして既に死んでいる。トシオは顔も知らない。祖父と二人でガルソボンガ地区に暮らす。丸い虹の浮かぶ、『虹の谷』へ行けるのは、トシオだけである。そこには一人の男がいる。話は、はじめてトシオが1から育てた軍鶏[シャモ]を闘鶏場へ連れて行く前夜から始まる。政情の不安定なフィリピンの状況を織り込みながら、その中で揺れる人々を脇役に「ジャピーノ13歳」「14歳」「15歳」
虹の谷の五月Amazon書評・レビュー:虹の谷の五月より
4087744671
No.6:
(4pt)

冒険小説としては、良いんですが・・・

現代フィリピンのセブ島を舞台にした、読み応えのある冒険小説である、こういう作品がよく売れているのはまことに喜ばしい、と書こうかなと思った。ところが、そうは簡単に喜べないことに気づいた。文庫本に加えられた解説を読むと、解説者が完全に勘違いしているからだ。解説の小田光雄は次のように書いている。この作品は、「高度資本主義社会と辺境との出会い」を描いたもので、主人公のトシオ少年が生まれ育つ村は、「家族数42のアジア的農村は手工業と農業を中心に営まれ、ほとんど商品経済は導入されていない」、と。しかし、フィリピンはパプア・ニューギニアの奥地ではないんだよ。まして、この小説の舞台となるセブ島は、「辺境」どころか、資本主義の論理が行き渡ったところ。自給自足の生活の村があるなんて、ちょっとありえない設定だ。日本人観光客がゴルフ、ダイビングへと訪れる南の島においても、ちょっと奥地に入りさえすれば、大いなる「辺境」が存在し、新人民軍の残党が活躍したりするのではないかというのは、楽しいロマンである。しかし、現実のフィリピン社会を描いたことにはならない。冒険小説としてはよく出来た作品であるが、異文化の人と社会を描いた小説とは言い難いのである。現地生活をよく知らない日本人作家の限界なのかもしれない。
虹の谷の五月〈下〉 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:虹の谷の五月〈下〉 (集英社文庫)より
4087475735
No.5:
(5pt)

少年の感性に惚れ惚れしますよ

船戸 与一の本を全て読もうと考えたのはこの本との出会いが、きっかけでした。人によっては「砂のクロニクル」がベストらしいのですが私にとっては、この本と「猛き箱舟」が素敵と思える本でした。ちなみに早く船戸本購入しないと続々と古本屋さんを頼らなければ購入出来ない様なので全て読みたい方、御急ぎ下さい。私は既に購入を迷っていた間に何冊か古本屋さんの御世話になりました。船戸本は世情とシンクロする本多数です。お早く。眠れなくなります。
虹の谷の五月〈上〉 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:虹の谷の五月〈上〉 (集英社文庫)より
4087475727
No.4:
(4pt)

虹は出るのか

フィリピン・セブ島ガルソボンガ地区に祖父といっしょに住んでいる日本人との混血児13歳のトシオの98年から2000年までの物語。現代フィリピン辺境では、人々は拝金主義にまみれている。新人民軍というゲリラでさえ、革命税といいながら、貧乏な家からも強制的に金を徴収する。たった244人の地区なのに地区長選挙に買収が横行する。街の警察所長も金で動く。その中で元抗日人民軍だった祖父の薫陶よろしく、トシオは純粋な少年に育っていた。虹の谷はまんまるい虹が出る谷だという。しかしそれは乾季の5月に出ない。この物語はしかし全て5月に起こったことしか扱っていない。よって上巻を読む限りではその虹は現れない。しかし私にはその虹がこのフィリピンの一地区の失われた「誇り」の様に思える。まるで知らない地域ではあるのだが、日本とは生活習慣も政治も違うのだが、だからこそ、少年の不正を許さない気持ち、エイズになった知りあいの女性へ村の男たちがしたことへの憤りがびしびしと伝わってくる。少年は誇り持った青年になるのか、ガルソボンガ地区は生まれ変わることが出来るのか、まんまるい虹を見ることは出来るのか、下巻に期待したい。
虹の谷の五月〈上〉 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:虹の谷の五月〈上〉 (集英社文庫)より
4087475727
No.3:
(3pt)

アジアの田舎社会は実はアジアの縮図

平成12年上半期直木賞作品。主人公ジャピーノ(日本人とフィリピン人の親とする男の子)ことトシオ・マナハンのフィリピンセブ島での成長記。日本に働きに出て一時帰国=凱旋した“クィーン”の出現によってトシオの周囲は俄然慌ただしくなる。〝まん丸い虹〟が出る虹の谷の行き方を知っているのは村でトシオのみ。虹の谷に住むたった一人のゲリラ、ホセ・マンガハスとの関係・メグとの淡い恋・ラモンとの葛藤等が時として謎、時として挿話的に語られながらいつしかトシオは自分でも気づかないうちに一人前の人間として成長してゆく。フィリピンの混沌とした世界を政治の絡みと、同じアジアの国日本との関係をふまえながら背景として置く事を物語の背骨としている。ここのところの理解を得られるか!得られないかがこの作品を楽しめる・楽しめない、のpointと思いましたが・・・・如何!
虹の谷の五月〈下〉 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:虹の谷の五月〈下〉 (集英社文庫)より
4087475735
No.2:
(5pt)

船戸流子育て論

船戸与一の小説を最後に読んだのは、かれこれ10年以上前のことだろうか?彼の描く世界は突然の死であり、それは主人公にも適用される。俺の中で、主人公=死という、彼の小説の構図が受入れられなくなり読むのを止めた。そして久々に「虹の谷の五月」を読んだ。そして一気に読み終えた。何よりも俺をほっとさせたのは、強く生きる人間の希望と誇りが切実に描かれていたことである。成長する少年のすがたを見事に描いた作品である。子育て論として、R. B. パーカーの「初秋」も良いが、船戸流子育てもワイルドで良いのではないのだろうか。俺的には「山猫の夏」のラポーゾと、この本の主人公が何故かだぶってしまった。船戸作品を読んでない方も、怒濤の勢いで読むべし。
虹の谷の五月〈上〉 (集英社文庫)Amazon書評・レビュー:虹の谷の五月〈上〉 (集英社文庫)より
4087475727
No.1:
(5pt)

ジャピーノの少年トシオの成長を、周囲の人の様々な死を通して描く直木賞受賞作

フィリピンのガルソボンガの村に、日本人画家と結婚して金持ちになったシルビアが帰ってきた。それが村に様々な軋みを起こす。シルビアの「日本に養女を迎えたい」という言葉に夢を託し翻弄される寒村の少女達。理想の国土を望む熱血漢のラモンとその恋人のトニア、トシオの育ての親で元抗日戦士のガブリエル爺さん、金まみれの首長チャペス、虹の谷に一人住む戦士ホセ・マンガハス。彼の母で老いて身動きの出来ないリベルタ婆さん。 小さな村で繰り広げられる首長の選挙戦で、ラモンは現役のチャペスに挑む。彼に想いを寄せるトニアとの恋は実を結ぶのか。人の心を動かす金の匂い。様々な人々の欲望が熱い大地に繰り広げるドラマを、船戸はいつに無く優しく描く。 同じ作者の『龍神町龍神三番地』については、その娯楽色をめぐって読者の評価は分かれたようだが、船戸の作品に共通して見られる黙示録的な終わり方は今回も変わらない。ただ、舞台が日本でないことと、貧しい村やマンガハスが住むジャングルの描写は話に広がりを生んでいる。過去の船戸作品に見られた、皆殺しがもたらす虚無感が幾分抑えられ、希望がかすかに見える点は受け容れられやすいだろう。 しかし、直木賞受賞作だからと気軽に手を出した人は、船戸が垣間見せる世界の真実にたじろぐのではないだろうか。そうは言っても、この本は彼の作品の中では『蝦夷地別件』や『猛き箱舟』『山猫の夏』『炎流れる彼方』ほどに衝撃的ではない。 この作品でも、過去に発表された中東を舞台にした作品同様、その地で何年か生活をしなければ絶対描けない汗や食べ物、流れる血の臭いは十二分に溢れている。受賞を期に、普通の日本人が、船戸の様々な作品を通じて世界を直視するようになれば幸いだ。彼の本で幸せな結末を望むのは無理だと分っていても、作品が出るたびに読んでしまうのは、何よりも船戸が見せる世界のリアリティのせいだろう。
虹の谷の五月Amazon書評・レビュー:虹の谷の五月より
4087744671

スポンサードリンク

  



<<12
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!