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アラビアの夜の種族
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アラビアの夜の種族の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.72pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全67件 61~67 4/4ページ
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第55回日本推理作家協会賞受賞作。 僕は古川日出男は好きじゃない。ルビ無しには読むこともできない難解な熟語の多用と、いやにガキ臭い登場人物のセリフ。そのちぐはぐなギャップがどうも肌に合わない。 しかし、この「The Arabian Nightbreeds」という途方もなく壮大な物語を、初めて日本語という形で継いだ仕事には、心の底から敬意を表し、賞賛する気持ちだ。 氏と本書の英語版底本との邂逅は、あとがきを読んでもらうといいだろう。 夜の種族の語り部だけが伝えることを許された、三人の主人公を内包する物語、『災厄<わざわい>の書』。その物語に耽溺した者は呆け、複製した者は姿を消す。呪われた物語は辿られながら。舞台である砂漠に踏み入るは青白い英雄ポナパルト。物語は語られるとともにそこに生誕し、一つの都市は、国は消えていく。 語る者と語られる者。書く者と読む者。夢見る者と夢見られる者。物語は内に、外に、触れ合う指のように、絡まり、繋がってゆく。 夜が朝<あした>に代わり、朝<あした>が夜に代わる。 また、夜は語られる。 | ||||
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各方面の書評家から大絶賛を受けていたので読むのを楽しみにしていた本だったのだが、完全に私の好みの範疇から外れていて残念だった。 四重の入れ子構造はよくできているし、また入れ子の喩えで言えば内側から二つ目の話、つまりナポレオン艦隊のエジプト進軍、それを迎え撃つエジプト知事イスマーイール・ベイとその美貌の僕アイユーブの物語は、歴史物として十二分におもしろいのだが、いかんせん仏軍内部崩壊を目的に夜ごとつむぎ出される幻の物語『災厄の書』の方が、もう。安っぽすぎる。ちょっぴり気取ったルビ・当て字はまあいいとしても、物語の大半を占める『災厄の書』の人物たちのセリフが、そのシナリオが、いまいちだったように思う。要するに、外枠としてある物語構造に組み入れて足る出来とはいえないのだ。それにしても、これくらい迫力をもって歴史を描ける人だというのに、もったいない!! | ||||
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刊行してからさほど時間がたっていないのにもかかわらず、この本については、すでにさまざまな風聞があるようだ。 いわく、アラブ的な風俗・ディテールをよく再現している。 いわく、「物語」に翻弄される快感がある。 いわく、ルビを多用した、装飾過剰な文章の面白さ。 いわく、ナポレオンのエジプト遠征などの「史実」と虚構が交差する、という「仕立て」への興味。 いわく、「ファンタジー」としてよくできている。 云々。 その上、いまさらなにをつけくわえる事がありましょうか。 ただただ、そのすべてを首肯するだけでございます。 | ||||
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夢か現か。『ドラクエ』か『マイト&マジック』か共通する世界観。そして『ウィザードリィ』級の暗黒波動が読み手の想像力を最大限に喚起する至福の読書体験と言ってもいいか。意図的に作者が企んだロールプレイング風調味料が実にしっくりマッチしているアラビアン・ナイト・ブリード。作中作が幾重にも絢爛たる旧世界アラブ社会の闇の奥をグイグイ抉り、直球とばかりは言えない悪魔的な作為の書。構築された作者の世界観に飲み込まれたら最後、溺れようが息継ぎできないまま流され漂うあなた任せ状態。もうどうにでもして。こういう目くるめく読書体験はメジャーデビュー作品『13』当時から作者が濃厚に所有していた作家的資質によるところ大である。言ってみれば大法螺吹きの系譜。オーソドックスな作りながらツボは確実に押さえる手練れぶりであるなあ。 無理矢理設定を読者に叩き込む冒頭さえ乗り切ればOK。乗れなきゃそのままダンジョンから出ちゃえばいいのだからこれほど簡単なことはない。でしょ(^_^;)。これまでゲームのロープレで納得いかなかった点を、しっかり古川日出男流に料理しているところがミソ。腑に落ちる。目から鱗。戦士やら魔法使いが入り乱れてダンジョン攻略に血道を上げる様が理路整然と描かれればそりゃ納得しますがな。モンスター倒せば金が貰えるなんてゲーム作者の都合だけじゃんと思っていたけれど…ふむふむ、なるほど、そう来たか。古川日出男かなりのゲーマーと見た。ドラクエでいう大ボスとの遭遇編でヒートアップする夜の種族の物語。魔法戦士ってやっぱ凄いのね(^_^;)。これって冒険小説のカテゴリーに無理矢理引き込んじゃちう。『このミス』上位は確実かと(しっかり入ってますねえ)。 古川日出男ってこの作品で大ブレークしたかというと、実はそうでもなかったりするのだな(^_^;)。業界ウケはいいようですが、如何せん角川書店経由だから書店でのタマ数が少ないのだ。億単位の広告費でも掛けて積極果敢に売り出せば、元は取れるほどには売れるかもしれないのに、平積みにも数えるほどの冊数しか書店では並んでいませんでした。営業が緩いのかな。ともあれ、じわじわと売れてゆく…そんな本であって欲しいものである。ゆっくり読めば3週間は楽しめること請け合い。ささ、あなたも今宵、浮世離れした活字でのダンジョン探検に浸りませんか。ハリウッドで実写版で映画化されれば、こりゃウルトラ級の超大作間違いなし。おっと、その前に英訳されなきゃ無理か。 | ||||
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いい大人がハリーポッターを呼んで「感動した~」などと嘯いている輩が実に多い。これこそ本当に大人が呼んで楽しめるファンタジーである。(別にハリーポッターが嫌いなわけじゃないよ。指輪も好きだし)作者が作中で盛んに翻訳したとアピールしているが、別にそんなことはどっちでもいい(極論)良質なファンタジーであり、高水準のエンターテイメントでもある、この作品をぜひ読んでほしい。(なんか帯に書いてある賛辞の声みたい…)イスラームの風俗もよくわかる、良書である。ぜひ鈴木董先生に呼んでもらいたい(笑) | ||||
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物語の中の物語。とにかく長い。ナポレオンのエジプト進行を防ぐために、読む者を不幸にしてしまうという奇書をフランス語に訳すというのがそもそもの出だしだが、この大枠となる設定がうまく生かされておらず、最後の結末はよくわからなかった。中心となるアラビアンナイトのような冒険話は今までのSFやファンタジー作品のアイデアを集めたものという感じ。中盤は楽しめるものの、登場人物の性格が単純で、話の筋もある程度読めてしまうところがあったりする。全体として壮大な舞台設定をしたのに、消化しきれずに最後は小さくまとめてしまった印象がした。 | ||||
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650ページもの分量も気にならず、一気に最後まで読ませます。緊張感あふれるエジプトの現実世界と、剣と魔法に支配された物語の中の世界が交互に登場し、別々の主人公によって織り成される物語が混ざり合い、係わり合い、最後には(エジプトの現実世界も含めて!)収斂していきます。この、「物語が交互にあらわれる」=「途中で話が打ち切られる」というのが構成的にうまくはまっていて、まさに本の魔力にとりつかれたがごとく、先へ先へと読み進めていくことになります。物語の部分は、もちろん剣あり魔法あり、魔物と宝物でいっぱいの地下迷宮やそこでの中ボス・ラスボス(?)との戦闘など、何でもありなファンタジーの力を存分に発揮させています。物語部分全編にいえることですが、語り部の話し方(=物語部分の文章の書かれ方)がまさに昔の「ものがたり」風になっているので、地下迷宮に住まう変人たちの生活の様子などは現実には決してありそうもないことながら、いきいきと(そしてほほえましく)感じられます。反対に現実世界は淡々と無機質に語られ、それがいっそう二つの世界の対比を浮かび上がらせます。ただエンディングが多少予定調和的だったり、疑問が解けないところがあったりしますので、★4つとしました。 | ||||
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