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沼地のある森を抜けて



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【この小説が収録されている参考書籍】
沼地のある森を抜けて
沼地のある森を抜けて (新潮文庫)

沼地のある森を抜けての評価: 3.76/5点 レビュー 45件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.76pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全28件 21~28 2/2ページ
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No.8:
(5pt)

物語の強さ

ぬか床という、あまりファンタジックではない、むしろ生活臭の溢れた
とても日常的なものに、別世界を植え付けてしまった、
その作家の発想にまず驚かされます。
物語は、規則正しくきれいには進みません。一瞬、物語の尻尾を見失いそうに
なることさえある。でも、だから私は夢中になりました。
生物学的な堅苦しい解説も、意外にも全体から浮いていなかった。
生命を見すえている梨木さんならではの、流れや結末もすばらしかった。
物語りに振り回され、追いかけることができるのは、
私にとってはとても豊かな時間なのです。
沼地のある森を抜けてAmazon書評・レビュー:沼地のある森を抜けてより
4104299057
No.7:
(4pt)

不可視の世界を核にしている小説

帯のない状態で手に取り、ちょっと変わったところのある、
理科系の頭脳を持つ生活者の小説だと思って読んでいた。でも違った。
「西の魔女が死んだ」もそうだったけど、不可思議なことを含む世界の小説なのだった。
ファンタジーの系譜。
代々伝わるぬか床を託され世話することになった上淵久美。
しかし、そのぬか床からは人が生じてくるのだった。
酵母の研究者である「男の性も女の性も選ばない」風野さん。
ぬか床を先祖の土地に返すため、彼と島に渡り、
延々と続く、そして画期的な飛躍も含む大きな生命の営みに触れる‥‥。
挿入される、細胞の内部そのものの中での新たな生殖活動の飛翔の物語。
読んでいて、自分の言葉に翻訳できない(知識がない)もどかしさは感じるものの、
土着的な不思議さを発酵レベルで語りきってあり、
世界を見る目をもうひとつ増やしてくれる小説である。
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No.6:
(4pt)

大人の女性にオススメ

「ファンタジーなの?児童小説なの?」ってタイトルですが、どう見ても子供向けではありません。むしろ現代小説っぽい雰囲気。ただし大半の女性作家と違い、梨木さんの作品は全体的に恋愛要素が薄いです。
冒頭で独身だった叔母が急死し、主人公の女性はとある遺品「ぬか床」を引き継ぎます。
ぬか床が悲鳴を上げたり、ぬか床から卵が出てきたり、ぬか床から幽霊みたいなのが出てきたりと、とにかく摩訶不思議な事ばかりが起こります。荒唐無稽な話なのに、書き手と登場人物と人間関係が至って現実的なので、不思議と地に足が着いた感覚のまま読み進められます。
がっつくように読む感じではないですが、梨木さんの持ち味でもある(と思う)嫌味のない文章のせいか、読んでいると心が穏やかになれます。
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No.5:
(4pt)

迷いと混沌のぬかみそ 生命哲学思想の発酵ミス? 

 梨木果歩ワールドを期待して読んだらがっくり来るかもしれない。いつからこんな頼りないあやふやなファンタジーもどきになってしまったのだろうと。だって、今までならば生きる事への暖かいまなざしや厳しい信念、時を越えて繋がり続ける思い、目に見えぬ情緒や葛藤へのこだわりが決して後ろ向きではなく、抱えて生きていくものへの優しさを秘めていたのに・・・。
 
 今回は何だ? 何が言いたいのだ? どうしてぬかみそから悲鳴はうめき声や卵なのだ? そのファンタジー性を理解しようとしても、人間関係から生きる事への姿勢を探り取ろうとしてもわからなかった。雰囲気だけで読み進める事ができるとはいっても、これでは・・・って感じ。
 あえて言うなら、筆者自身、物語世界のぬか床をかき回し損ねたか、入れた材料が悪かったのか、水出ししていない、過発酵の、色の悪い、味に深みが無い、そういう漬物を羅列された感じ。恩田陸の「常世系」亜流。・・・次回に期待。
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No.4:
(4pt)

生命の起源を紐解いてみましょう

ぬか床から人が生まれてくる・・・。はじめはなんておかしな話だろうと思っていたけど、だんだんとスケールが大きくなって、いつのまにか生命の神秘を紐解くような壮大な物語になっていました。細胞が死ぬほど願っているのは、ただ一つ、増殖。全宇宙ではじめにうまれたたった一つの細胞。その細胞のすさまじいほどの孤独が、遺伝子に取り込まれて延々と伝わった。この“圧倒的な孤独”が本当に“生命の起源”だとしたら・・・。こんなことを私に考えさせてしまうこの作品の大きさ!梨木さんらしいほのぼのしたやわらかさに、今回は遺伝子や科学の神秘が織り交ぜられた作品。梨木ワールドの進化を感じました。
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No.3:
(4pt)

でも、なんか少ししっくりこない

 読んでいて、「ぐるりのこと」で提示していた「他者と自己、その境界」のテーマだな、と思いました。ちょっと、SFで異世界で、エコロジーで、神話のように壮大で…。いつもと雰囲気が違って、梨木氏の新挑戦だと感じました。 ただ、私は、「からくりからくさ」のあの日常が好きなので、なんだか、少し、登場人物が少ないような、かかわりが希薄なような、物足りない感じがしました。キーパーソンである風野さんという人がなんとも私としては想像しにくかったせいもあるかもしれません。(今回は、前半のちょっと怪奇小説じみた部分が好きです)。 とはいえ、いつも梨木作品を首を長くして待ちわびてきましたし、この本も一気に読んでしまいました。これからも楽しみにしています。
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No.2:
(5pt)

ますます惹かれる

このお話を読んで梨木さんのことがますます好きになりました。新境地というか、新しい場所にたどり着いた感じ。「からくりからくさ」のいのちのテーマともリンクする柔らかく包容力のある意識が感じ取れます。今回謎解きの要素も多くて、中盤以降読むのが止まらない面白さです。序盤が緩やかなぶん、より変化が楽しめます。
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No.1:
(4pt)

物語の力

 うめく「ぬか床」から始まり、生命の物語までもっていく壮大な流れが心地よい。いくつものエピソードが重層的に絡み合い、この中のどの材料を使っても小説が一本書けそうだ。 たとえば「ぬか床」に始まる怪異は内田百閒のような日常の傍にある奇譚として、曾祖父母へさかのぼる親族の縁は『からくりからくさ』のような「血」の物語として、菌を中心にした遺伝子の話は瀬名秀明のような理科系ホラーとして。 しかしすべては惜しげもなく一つの物語に編みこまれ、語られる。この物語の強さ、梨木さんの「語り部」としてのものすごさを感じる。この人の見るもの感じるものの豊かさ。同時代に生まれてよかったと思う。 また、『ぐるりのこと』で提示されていた様々な問題に対する、現時点での解答がこの小説に結晶している。
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