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ゴサインタン 神の座



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ゴサインタン 神の座の評価: 4.14/5点 レビュー 35件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.14pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全35件 1~20 1/2ページ
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No.35:
(4pt)

今を生きる我々の潜在的かつ本質的な悩みをあぶり出す

きっかけとなるイベントは、神秘的を通り越してやや違和感を感じなくもない。しかし、そこで示唆されている中身は、今を生きる我々にとって今一度反芻すべきもの。
日常を振り返る契機を与えてくれる一冊。
ゴサインタン―神の座 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:ゴサインタン―神の座 (文春文庫)より
4167605066
No.34:
(3pt)

タイトルの意味がわかりません

展開が早く読みやすくはあったけど、タイトルに使われている山がもっと象徴的に使われると思ったら、最後にちらっと出てきただけだった。ネパールに行ってこの山を命をかけて超えるなどの展開を期待していたけど...。
ゴサインタン―神の座 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:ゴサインタン―神の座 (文春文庫)より
4167605066
No.33:
(5pt)

ほっとする結末が良かった!

母親どうしが知り合いという縁で見合い結婚した夫は、私が思ってた以上に新興宗教にのめり込んでいて、仕事も長続きせず本部に生活も苦しいのに、飛行機で行ったりしていました。
義父母と同居していたので、家賃もかからないし、農家だったので、お米と野菜はありましたが、現金収入がなく先祖代々の田んぼを売食いしたそのお金の一部も宗教に貢いでいたみたいでした。
子供のミルクとオムツ代も私の実家に援助してもらってたら、平成5年の仕事帰りの事故で夫は、下半身不随の障がい者になりましたが、障がい者年金が出て生活は、楽になりました。
義父母も見送り、子供達も優しく育ち。
本を読んで感動したり、涙する気持ちの余裕が出来て、今は幸せですね。
最後にカルバナと名前を呼んでもらって、大切にされるだろうと思うと、良かったなと思いました。
ゴサインタン―神の座 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:ゴサインタン―神の座 (文春文庫)より
4167605066
No.32:
(4pt)

苛々させる快作

『聖域』の実藤と言い、今作の輝和といい、篠田節子氏は「イカさない男」を描くのが、なぜにこうも巧いのか。
結木輝和に感情移入できる部分は一切ないし、淑子のなすがままに全てを失っていく前半は、苛々しっぱなしだった。
その淑子も、日本に頑なに馴染もうとしないのが、生い立ちを知った後でも釈然としない。
日本での、結木家での環境が、決して悪いほうではなかったのに、カミサマであった神性が仇になってしまったのか。
託宣や病気の治癒を施された人々にとっては「良い神様」であったが、輝和にしたら、結木家を潰した「悪い神様」であるのに、淑子に委ねるままに、ズルズルと全てを失った彼に、同情する気になれないし、なぜに策を講じないのか?と、繰り返しになるが、苛々が募るばかり。
……というのが物語の「前半」である。これが全体の1/2を占めるので、正直に言って、投げ出そうかとも思ったのだが、篠田氏の巧みな文体、構成によって「後半」に導かれてしまう。
「後半」は、輝和が淑子を探してネパールを旅する物語になるが、ようやく話が活気を帯びてくる。
それにしても、なぜ全てを失う前に、ネパールについて少しも調べようとしなかったのか?これが本当に疑問。失うという過程が重要だったにしても、あまりに無知に過ぎる(それでいて、グルカ兵や傭兵産業の人々の存在を知っていたかのように、自然に受け止める場面などが引っ掛ける)。
前・後半を通して、納得できない場面も多いが、それでも★4にしたのは、篠田氏の優れたストリーテラーぶりに依拠した部分が大きい。
日本でもネパールでも、輝和からも淑子/カルバナからも、存在の確かさを伝えるような匂いが立ち昇ってくる。それを物語の醍醐味とするなら、やはり快作である。
日本では騙されっぱなしの輝和が、ネパールでは全く騙されなかったのは意外、というか、救い/優しさだと思った。
ゴサインタン―神の座 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:ゴサインタン―神の座 (文春文庫)より
4167605066
No.31:
(5pt)

読者自身が完成させる小説。

レビューの評価が割れていて驚きました。人によって感じ方はさまざまであることを改めて痛感します。私にとっては生涯で五本の指に入る傑作です。
今まで何度となく繰り返し読んでいますが、読む度ごとにさまざまな面を見せます。恋愛小説だったり、社会派小説だったり、ちょっとしたホラーやファンタジーに映ったりするのです。それだけこの作品がさまざまな要素を内包しているということでしょう。
初めて読んだ時、ラストの場面は「これで終わりなの?」ともの足りなさをおぼえました。でも今は、その後の物語は読み手それぞれが作り上げてほしいという作者の意図であると解釈しています。
総じていうと、作品世界の展開や解釈をそれぞれの読み手に任せられている懐の深さが、この作品の魅力であると考えます。
ゴサインタン―神の座 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:ゴサインタン―神の座 (文春文庫)より
4167605066
No.30:
(5pt)

大ファンの篠田作品の中でも最高!!

40歳を前に未だ独身の豪農の跡取り、結木輝和は、友人の徳山が企画した出稼ぎネパール人との合同お見合いパーティーに出席し、カルバナ・タミと結婚する。

しかし“淑子”と日本名で名付けられたカルバナは一向に日本語を覚えず、日本の風習も食べ物も受け付けないまま時間だけが過ぎていく。

そのうち、淑子の奇異な行動や言動が目立ち始め、輝和の両親が相次いで不可解な死を遂げる。

そしてそれと反比例するかのように、淑子の不思議な力と結木家の財産に惹き付けられた地域の人々によって、淑子は“教祖”として崇められ、逆に輝和は全財産を失ってしまう。

恐れ、絶望…揺れ動き、さまよいながら、失踪した妻を探して輝和が辿り着いた場所は神の山ゴサインタンの麓。

そこで輝和を待ち受けていた結末とは…

あまりの衝撃的な展開に、時間を忘れて夢中で読み耽り、650ページの大作が本当にあっという間!!

感動のラストシーンは、心が震えてどうしようもなく、何度も読み返しました!!

大ファンの篠田節子さんの作品の中でも、これは文句なしでナンバーワン!!

篠田節子“ゴサインタン 神の座”

とにかく全ての人に読んでほしい、本当に最高の作品でした!!
ゴサインタン―神の座 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:ゴサインタン―神の座 (文春文庫)より
4167605066
No.29:
(1pt)

神の座 ゴサインタン

私のよく行く小料理屋の仲居さんにネパール人がいましたが素晴らしかった。これまでその店で6人の仲居さんを見ましたがネパール人が図抜けてました。小柄で浅黒かったけど、とにかく気が利くんですよ。ネパールに変な印象を持たないようにしましょう。
ゴサインタン―神の座 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:ゴサインタン―神の座 (文春文庫)より
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No.28:
(3pt)

没落と再生の物語

日本とネパールの農村を舞台にした、ひとりの男性の没落と再生の物語。
旧家の後を継いだ主人公の輝和はネパール人の妻を娶りますが、奇行癖のある妻は宗教の教祖に奉られ、ご託宣に従って輝和は無一文に。やがて失踪した妻を探して輝和はネパールに旅立ち、神の山ゴサインタンの麓で生きる意味を悟る、というあらすじ。
豊かさとは何か、というテーマを終始問いかける壮大な物語でもあります。ただ、妻を殴る、浮気する、妻の言いなりになって財産を切り崩す、といった輝和の優柔不断な性格にはやきもきさせられますが…。
ゴサインタン―神の座 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:ゴサインタン―神の座 (文春文庫)より
4167605066
No.27:
(4pt)

ネパールの神秘に守られて。

結木輝和という資産家で農家の息子が、
ネパールの女性 カルバナ・タミと、
結婚するところから、はじまる。
淑子と名づける。猫。父親、母親。
が次々に死んでいく。
そして、結木家の歴史、新興宗教の始まり、
それにまつわるいろいろなもの。
不思議とアップテンポに進んでいく。
淑子の失踪。ネパールへの旅。

淑子に巡り会える。
輝和が進むべき道は、
実に、おもしろかった。
中国ではなく、ネパールであるということがすごい。
中国でこの物語を作るとしたら、
シーサンパンナくらいになるのであろうか。
ゴサインタン―神の座 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:ゴサインタン―神の座 (文春文庫)より
4167605066
No.26:
(4pt)

思ったことを殴り書きします。これだけいろいろ書かせる作品ってことかなぁ…

腐れ縁なのか偶然の一致なのか、2,3年前にネパールに2回行ったことのある私が最近「少女売買」「私は売られてきた」を読み、こんな悲惨な人生(ネパールの寒村から騙されてインドの売春窟に売られ、1日100人の相手をさせられ10代でエイズになって死んでいく少女たち)を送るくらいなら、日本のモテない男と結婚したほうがマシじゃね?そういうビジネスないのか?と思っていた矢先に手にしたのがこの小説。…20年前からやってたのか。しかし聞いたことなかった、中国フィリピン、ロシア女性とのこういう話なら知ってたが。

輝和のキャラ設定おかしくないか?こいつの出来た母親が、遠回しにお見合いの意味で自分を慕う弟子たちに息子を紹介すると、彼女たちは最初は乗り気でも顔を見て断るんだろ、輝和の。相当不細工ってことだよな。背も平均身長より低いって書いてあった(自分的には現愛知県知事の大村秀章氏がメガネを外したような顔をイメージしてた…失礼!)でもこいつそんなにコミュニケーション能力低くないよね。卑屈でもない。結構いろいろ思い切ったこともやってる(ネパール行く前でもね)それでも40回もお見合いやって成立しないっておかしくないか?しかも5~6回付き合ったことあるって言って、素人童貞だと。それ付き合ったって言えるの?カルバナと結婚して既婚者になった余裕があるからって、高校時代の憧れの女性・淑子と再会したときに普通に話しかけれてるし、そのときの同席してた淑子の女友達の反応も普通だ。顔見て必ず断られる男への反応じゃない。中年になったら顔どうでもいいの?だったらそもそも見合いのひとつも成立してるよね、相手なんか誰だってよかったんだからさ、輝和は。おそらく兎に角、ネパール人の嫁を持つという展開に強引に持ってきたかったんだろうね。そういうことにしとくわ。

これは著者がそういう風に思わせたかったんだろうけど、読者が輝和に嫌悪感抱かせるような描写してるよね。猫への愛情以外、ゴミみたいな男で全く共感できんかった(猫への愛情は非常に共感できた。冒頭のシーンで泣いたもん。自分の飼ってた愛猫思い出して。あれだけでよかったよ)…カルバナの能力でそうさせられてたのかも知れないけど、カルバナに結木家ぶっ壊されてく過程で何もしなさ過ぎ。普段地域のまとめ役みたいなのを面倒でもやってたのに、何でそこで何もしない?億劫?馬鹿かおまえは?と。どんな怠け者でもそこは動くだろって場面で動かない。あり得ない。まぁカルバナの超能力のゆえってことにしとくかね。何でさっさと離婚しないんだ?というのもあったね。もうここは本人がそう思ってるからしないんだ、としか理解のしようがなかったけれど。微に入り細に入りカルナバが結木家ぶっ壊していく描写が延々と続いていい加減ウンザリもした。もういい、さっさと潰せと。そう思わせたいがための描写だったと思うけど。しかしそれにしても執拗だった。

カルバナ(淑子)も何だか最後までイラつく女だったなぁ。そう思わせるように描写してたんだろうけど、何なんだこいつは?と。ほとんど動物やん。それも野生動物。こちら側に慣れさせるのは無理、上手く関係築こうと思うなら、こっちから野生の世界に入っていくしかない。結局最後、そうしたけど。でも何であれでOKになるんだ?知らない男、しかも40回お見合いして1回も成立しないような不細工にいきなり求婚されて(みんな最後のほうじゃ忘れてるかもしれないけど、そういう設定なんだよ…) 嘘だろ。あれでハッピーエンド…って、ネパールなんかで、しかも究極の僻地での暮らし考えたらとてもじゃないけど自分には無理だわ。過酷だよ。すぐ歯はボロボロになってしわしわの見た目老人のようになって死ぬよ。まさに暗闇を一瞬走るパルスみたいな人生だな。ま、どこでもそうだけどさ、人の一生なんて。でもあんなとこで終えたくはない、自分は。空気感が全然違うしね、日本と。まぁカトマンズとその近郊にしか行ったことないからわからんけどね、チリメがどんなとこか。ヒマラヤの麓だから良いとこかもしれない。

あの神がかったのって何だったんだろうね。すぐに思い出したのは、中山ミキとか、出口直とかだね。あと沖縄のユタ。あんな風になる人って本当にいるのかね。実際見たことも会ったこともないからね。あのとき思ったのは、何で金取らねえんだと。金取ったら怒るか、能力なくなるかしたんだろうけど、なくなるなら早くなくなって良かったんだけどな、多分怒って、その後は結局言いなりだったかもな。先祖が汚いことして大金持ちになってたら全部はき出せ?そんなこと言ったら世界中にいる金持ち、ロックフェラー、ロスチャイルドから日本の小金持ちまで全員輝和と同じことしなきゃならなくなるよ。それが正解なのか?ま、そこは主題じゃないんだろうけど。

…いろいろ書いたけど、まだ何か書き足りないような気もするけど、読み終わって、こんだけ書き込みたくなった作品だったってことだな。結局何が言いたかったのかよくわからんかったけど、何かは、感じた。確かに。でも読み終わってスッキリしなかったんで、星4つにしました。
ゴサインタン―神の座 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:ゴサインタン―神の座 (文春文庫)より
4167605066
No.25:
(3pt)

考えさせられる、でもなんかスッキリしないです

篠田節子さんの作品はちょっと気味悪いので、苦手な作品と面白い作品とあります。これはその中間くらい、前半が苦手で、後半は面白かったです。でも物語としては前半の方が<読ませる>ストーリー展開で、後半はちょっと納得できない箇所もあって、スッキリしませんでした。
ゴサインタン―神の座 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:ゴサインタン―神の座 (文春文庫)より
4167605066
No.24:
(5pt)

結婚と人生の神秘

ネパールからの花嫁は確かに妻として自分のものになった。しかしお互いの意思の疎通、コミュニケーションがままならないまま、不幸な出来事が頻発する。妻は神がかり、自分の父母は死に至り、家や土地資産も全て失ってしまう。結婚の楽観と希望の夢は悲運と悪夢の現実となる。

結婚とは男にとって女という未知を受け入れることでもある。多かれ少なかれコミュニケーションのすれ違いは起き、未知は受け入れざるを得ない。その未知というものの神秘さに愛情と幻想が生まれるのではないか。愛とはその神秘への憧れではないか。

ほとんどお互いの意思の疎通さえできないまま姿を消したネパール人の妻を追って、主人公の男は本当に全てを投げ捨て、崇高な愛と神秘に対峙する。妻という所有物の未知なる神秘さへの愛情と憧れがこうした行動を引き起こしたのだ。それは結婚と人生の神秘そのものだろう。
ゴサインタン―神の座 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:ゴサインタン―神の座 (文春文庫)より
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No.23:
(3pt)

輝和の人生

主人公輝和は典型的日本男性であり,加えて資産家であり,十分な教養を持っている.幾度もの見合いの末ネパール人女性カルバナタミ淑子を実質カネで買う.当然,輝和は淑子を忖度しないわけであるが,淑子自身もメンヘラであり,輝和は人生のどん底へと落ちる.淑子は宗教の教祖となり,資産数千万円を信者へ譲渡する.結婚している限り輝和のカネは淑子のカネであるから問題ないのである.フローべールのボヴァリー婦人を思い出すシナリオだが,宗教色が非常に強く,様々な文化が絡み合い,生きることの意味,堕落の必然性が問われる.
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4167605066
No.22:
(4pt)

ネパールからの花嫁

農家の嫁不足解消の為に途上国の外国人の花嫁をもらう話だけだと思っていたら意外や意外、ネパール国内の事情や日本の農家の現実が具体的に書かれていて興味深かった。
ゴサインタン―神の座 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:ゴサインタン―神の座 (文春文庫)より
4167605066
No.21:
(4pt)

ハッピーエンドだと思う

主人公の40男、結木輝和はネパールから 花嫁を買う。
妻に初恋の人 淑子の名を勝手につけ、彼女のバックグランドも知ろう
ともせず、母親のいいなり。 それらを第3者から指摘されると
反発する。 しかも輝和は尾崎淑子と浮気をし、妻に暴力を振るう
という鬼畜ぶり

妻が神がかりとなり、抗われない力により名家の令息が没落させら
れていく様が凄まじい。 
この作品は日本の農家の現状やかつての小作農の悲惨さ、
日本人の宗教観なども辛らつに書かれている。
またネパール女性の悲惨な境遇にも触れられていて、
それらがオカルト要素をからめて圧倒的筆力で迫ってくる。
私が読んだハードカバー版2段組400ページ近かったが、
途中でクラクラしてきたぐらいだった。

そんな中でも輝和と徳山の友情はほっとするもがあった
全てを失った主人公だが、彼の成長の物語と捉えればいい
のではないか。
ラストは本当に泣けた
ゴサインタン―神の座 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:ゴサインタン―神の座 (文春文庫)より
4167605066
No.20:
(5pt)

ガサインタン(神の座)。

ガサインタン(神の座)。
これでもか、これでもかとたたみかける不幸と悲惨な状態。

いいかげんに、よしにしてくれと思うけど容赦が無い。
ひょっとしたら男性が読むのを拒否しているのかと思った。

結末まで来たら、なんだ、そんなことかとがっくりきた。
目的のためには手段は選ばないという言葉がある。

故郷に帰るという意図を掴めないまま、終わりまで来た。
国際交流ってこういうことかと納得した。
ゴサインタン―神の座 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:ゴサインタン―神の座 (文春文庫)より
4167605066
No.19:
(4pt)

オリエント的な唯一絶対神の存在を意識せざるを得ない心境へ傾いていく様

ネパールから売られてきた女性が日本の旧家に嫁ぐ序盤では心苦しい思いに囚われ、彼女が超常現象を起こしながら主人公の人生を解体していく中盤ではイマイチ物語にのめりこむことができなかった(自分は非現実的な設定に少し冷めてしまうきらいがある)。しかし、それまでだらしなかった主人公が「妻」を追ってネパールの山奥へ歩を進めて行く終盤では、道の世界を切り拓く展開に胸を躍らせ、主人公の成長を感じ、そして無垢な女性が振り返る場面に胸を熱くした。奇抜だとは思うけれど総じて面白い物語だった。

どう足掻いても修正が利かない人生の転落を経験し、そこを突き抜けたところに新たな自分と生活を見出す。個々の超常現象の描写は脇に置いておくにしても、オリエント的な唯一絶対神の存在を意識せざるを得ない心境へ傾いていく様がよく描かれていると思った。
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No.18:
(5pt)

テーマは再生

いつものように出張の機内で読むために買い置きの蔵書の中から何気なく本書を選んで鞄に放り込んだ。
そして行きの機内で読み始めたらすぐにその面白さの虜になり出先の宿でも寝る間を惜しんで貪るように読んだ。
読了したのはちょうど帰りの機内で、眼下の雲海を眺めつつ茫然と感動の余韻に浸った。

小説の面白さは自分たちの普段の暮らしでは経験し得ない出来事や心理状態を疑似体験させてくれることにある。
しかし、先の展開が全く予測もつかないようなスリルを味あわせてくれる作品には滅多にお目にかかれない。
篠田節子氏の場合はまず選ぶ題材からして斬新だ。それに読み手の予測をはるかに越えて疾走するストーリー展開にはどこか男性的とも言える破壊力がある。
「一体この先どうなってしまうんだろう」という純粋な興奮でページを繰る手が止まらなくなる。

本書には一般人にはなかなか馴染みの無い題材がふんだんに盛り込まれている。
豪農の跡取り息子(主人公)の怠惰な毎日、外国人女性たちとの集団見合い、カルト教団にすがり極貧生活をする人々、常軌を逸した財産の放逐、そしてネパール未開奥地での危険な彷徨。
これだけ濃いネタが揃えば普通は読んでいて胸やけしてしまいそうなものだが、著者にかかるとそれらが完璧な調和で組み上げられ一つの壮大なドラマに仕上がる。
全く見事としか言いようがない。

読了後に雲を眺めながら本書のテーマについて考えてみた。
社会的地位も財産も失い完全に原点に返った主人公が最後に辿りつく幸福の境地。
感動のラストシーンで著者が描き出したかったのは、人間としての真の再生ではないだろうか。

現在、篠田節子氏は自分の中で最も好きな女性作家のひとり。
学芸大学卒業後に市役所に勤められたという実直なキャリアからは綿密な事前調査を厭わない著者の優れた適正をイメージすることは出来たとしても、本書で遺憾なく発揮された図抜けた想像力や漲る感性の源泉をそこに求めることは難しい。
これまで自分が読んだ彼女の9作品のうち本書は「夏の厄災」と並ぶベスト2だ。
次は「弥勒」をぜひ読んでみたいけど、楽しみはまだ先に取っておくとするか。
ゴサインタン―神の座 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:ゴサインタン―神の座 (文春文庫)より
4167605066
No.17:
(2pt)

設定は面白かったのですが。

設定は面白いと思うのですが、主人公の転落は超常現象によって引き起こされる部分が大なので、どうも感情移入できませんでした。 篠田さんはホラーも得意とされているようですが、この本はどっちつかずな作品なのではないでしょうか? 設定を活かして、違うかたちでの転落の様を描いた方がよりえげつないものになったかもしれません。

・・・アジアの女性にとって昔は日本は様々な意味で魅力に溢れた存在だったようですが、今や昔であるようですね。 なんとも寂しい時代となりました。
ゴサインタン―神の座 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:ゴサインタン―神の座 (文春文庫)より
4167605066
No.16:
(1pt)

宗教小説か、オカルト小説か

主人公の裕福だった男が俗で、ネパールという貧しい国から来た妻が聖だという図式がきわめて退屈。宗教の要素を使わないと『女たちのジハード』程度の小説しか書けない作家であり、何やら新興宗教の宣伝用小説か、あっちの世界へいっちゃったオカルト小説、のどちらかでしかない。カント的に言うならば、これは小説という俗の世界にあるべきものではなくて、これを読んで感動するような人は、それこそどこかの宗教に入信すればいいだけの話である。
ゴサインタン―神の座 (文春文庫)Amazon書評・レビュー:ゴサインタン―神の座 (文春文庫)より
4167605066

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