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血の季節
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血の季節の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.92pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全13件 1~13 1/1ページ
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素晴らしい読み物でした | ||||
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ホラー? ミステリー? 日本産吸血鬼小説の名作ということで読んでみたところ、推理小説とも幻想小説ともつかない奇妙な感覚の一冊でした。 幼女惨殺事件の犯人が生い立ちを回想するという体裁で、戦前の外国公使館で体験した奇妙な出来事が語られるという構成。吸血鬼の仕業と見せかけて実は……というスタイルのミステリでは間違いなく代表作に挙げられる出来栄えなのでは。犯人の妄想なのか、それとも吸血鬼が実在したのか、合理的な解決で決着はついたものの、最後の最後で解釈の余地を残した構成がニクイのであります。 戦前の回想の描写が素晴らしい一方、現代(昭和末)との落差が何とも激しくて、過去の体験と犯人が犯した幼女惨殺があまり繋がってないような。昭和末の時点で精神科医による犯罪者の精神鑑定をミステリとしてあつかった小説は珍しかったのではないでしょうか。 ただ、警察を混乱させたマジックミラーのハプニングのくだりが分かりづらかったのですが……鏡に映らなかったということ? | ||||
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犯人の回想(昭和20年)をメインに、現在(昭和50年代)が挟まる形で物語が進行していきます。この作品自体が1982年刊行である上、その回想が戦前なので文体にクセがあります。 21世紀に読むと読み始めた段階で話のオチはわかってしまう(吸血鬼モノに目新しさがない)ので、犯人の独白である戦前の雰囲気を楽しみたい方はどうぞ。 | ||||
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状態はきれい。装幀も中身も。 好きな作家ですがもう亡くなった方なので古本でしか探せないと思っただけに復刻版が嬉しいです。 女性作家らしい繊細な表現ながら、感情的ではなくさらりとしていて、話の終着点も余韻がありながら結末をつけている所が好きです。 | ||||
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難しい言葉を多用して、いかにも小説に精通しているようにレビューを書くのは好きではありませんので、敢えてフラットにレビューを書かせていただきます。 この作品は、かなり好き嫌いが別れる作品だと思います。 まず文章の読みにくさ、癖の強さ。 わざとなのでしょうが、平仮名が多く、文体もどこか古臭い堅苦しい言い回しばかり。 純文学のような系統の文章を好まれる方なら、受け入れ易いのかもしれません。 しかしそうでない人、どちらかというとフラットな文章を好まれる方は、ダメだと思います。 難しい言葉や言い回しを多用し、いかにも秀逸な書き方・複雑な展開に見せかけることは、作家さんにとって容易いと思うのです。 しかし私は個人的に、いかに読者にスッと違和感なく読ませることが出来るか、誰もがわかる言葉ばかりでもあっと驚く展開・感動を描写出来るかこそが、作家としての技量でもあるだろうと。 そして展開も、ぶっちゃけ「・・・で?」って感じです。 ミステリーやサスペンスに、少しだけホラー要素を盛り込んだ作品は大好きなのですが、何故でしょう?吸血鬼というテーマだからか、ものすごく陳腐な展開に思えました。 かなり序盤から先の展開は読めますし、何より登場人物に全く魅力がない。 本当に「小説の登場人物」です。躍動感がない。 初めて読む作家さんでしたが、今後間違ってこの作家さんの作品を買わないよう、覚えておこうと思ってしまうほどでした。 文庫にしては珍しく裏表紙まで装飾があり、見た目に力を入れた本だなと思いますが、完璧に表紙負けですね。 | ||||
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純然たるホラーであり、殺人者の人生の物語です。 古い翻訳文のような独特の文体に、吸血鬼モノの格調があります。 犯人が最初からわかっているミステリーである一方、吸血鬼か否か? が謎解きの鍵ですね。 こういう本があったとは、読んで得した気分です。 | ||||
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30数年ぶりの再読である。まったく古びた印象はなく、ホラー系翻訳ミステリの新作 といっても通用すると思った。発表当時の世評は必ずしも高くなかったように記憶しているが、 再版の声が高かったとのこと、読み巧者のみが知る隠れた名作であったのだろう。 「弁護側の証人」と同様に、メインテーマの見せ方が露骨でない点(本作では、じわじわ高まる恐怖)と、 それ以外の描写が魅力的な点(特に戦前の読書体験と洋館での交友の回想)が素晴らしい。 先行作品の影響などは気にせず、予備知識なく読んでほしい貴重な遺作かつ洒落た逸品である。 | ||||
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吸血鬼関連の物語はあまり好きでなく、表題から推定できなかったことを、情けなく思っています | ||||
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元版(早川書房1982年刊)以来、何度か読み返しているが、やはり素晴らしい。かつて暗がりのベッドの中でゾクゾクしながら夢中で読んだ記憶が呼び覚まされる。 吸血鬼伝説という日本では成立し難い主題を敢えて選び、技巧の限りを尽くしたエレガントな恐怖ミステリの傑作であり、完成度では著者の代表作として著名な『弁護側の証人』(1963年)を凌駕するのではないか。 第二次大戦前を舞台に描かれる主人公の少年時代の甘美な回想、不穏な緊張感を漂わせる青年期、さらに現代の連続殺人事件が交錯する精緻なプロット、万華鏡のように相貌を変え、ミステリとホラーを越境する巧みな物語の構成に酩酊させられる。特に終盤の畳み掛ける展開は圧巻。 終生、ミステリを大人の贅沢で優雅な趣好品として捉えた著者の理想が高次元で達成された逸品だ。 | ||||
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小泉喜美子の短かすぎる生涯において『弁護側の証人』と並ぶ傑作長編。 吸血鬼伝承という日本文化には馴染み難い主題を血肉化し、作中のリアリティ、細部に至るまでの説得力を醸し出す離れ業を見事に演じている。 あまりにエレガントに演出された恐怖は、知的な大人の遊戯文学としてミステリを捉えていた著者らしい素晴らしい実践である。 さらなる再評価をされるべき恐怖ミステリの名品。 | ||||
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どこか儚い、昭和の雰囲気の色濃い和製ヴァンパイアモノ。 固有名詞としては、あえて`ドラキュラ`とするべきか。 少女殺害の犯人であり、主人公でもある男の過去が淡々と語られていくが、 読み進むにつれ、男に対しては憎しみよりもむしろ悲哀を覚えていく。 トリックや犯罪心理などの要素はあまりなく、物語性の方が高い作品。 辻褄合わせなど強引粗雑な箇所もあるが、それでも十分読み応えがあります。 「おもしろかった」「すごい作品だった」「考えさせられた」とは別の意味で。 著者お得意の「弁護側の証人」にも通ずる、ラストのドンデン返しは見事。 小泉喜美子さん。居そうで居ない、独特の世界観を構築できる良い作家さんでした。 | ||||
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何と表現すべきなんだろうか。本格ミステリ?幻想文学?、いや無理にジャンル分けする必要はないのかも。著者の長編ミステリでは最も幻想色の強いものだが、他の「弁護側の証人」や「ダイナマイト円舞曲」を読むと、これもまた意図してのものなのだと思う。 著者が50歳そこそこで逝去されたことは、かえすがえすも残念でならない。ほぼ10年おきに代表作となる「弁護側〜」、「ダイナマイト〜」、本書を書いた著者である。もし健在であれば、本書のあと、少なくとも三作は本書のレベルの長編を書いてくれたのではないかと思うと、その死は悔やみきれないものがある。 本書の内容を詳しく述べるのは控える。手に入りにくい作品であるが、読むことができたら、予備知識なしに読んでほしい。不思議な作品である。読後の感想はさまざまであろうが、私には非常に余韻の残るものであった。特にラストが良い。 エンタテインメントである。楽しく読める。しかし、読み飛ばすのがもったいない、間違いなく上質のミステリである。 | ||||
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何と表現すべきなんだろうか。 本格ミステリ?幻想文学?、いや無理にジャンル分けする必要はないのかも。 著者の長編ミステリでは最も幻想色の強いものだが、他の「弁護側の証人」や「ダイナマイト円舞曲」を読むと、これもまた意図してのものなのだと思う。 著者が50歳そこそこで逝去されたことは、かえすがえすも残念でならない。 ほぼ10年おきに代表作となる「弁護側〜」、「ダイナマイト〜」、本書を書いた著者である。 もし健在であれば、本書のあと、少なくとも三作は本書のレベルの長編を書いてくれたのではないかと思うと、その死は悔やみきれないものがある。 本書の内容を詳しく述べるのは控える。 手に入りにくい作品であるが、読むことができたら、予備知識なしに読んでほしい。 不思議な作品である。 読後の感想はさまざまであろうが、私には非常に余韻の残るものであった。 特にラストが良い。 エンタテインメントである。 楽しく読める。 しかし、読み飛ばすのがもったいない、間違いなく上質のミステリである。 | ||||
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