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三たびの海峡



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【この小説が収録されている参考書籍】
三たびの海峡
三たびの海峡 (新潮文庫)

三たびの海峡の評価: 4.13/5点 レビュー 46件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.13pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全46件 41~46 3/3ページ
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No.6:
(4pt)

人々の日韓近現代史ドラマ

 結末部分が話がうますぎるというか、希望があふれすぎているような気がして違和感はあるものの、本当の歴史とは国レベルではなく、一人ひとりの人間の人生が絡み合っているのだということを感じられるスケールの大きな重厚な作品。植民地期の朝鮮でどんな出来事があったのかを知る人々が年々少なくなっていく現代に、おそらく綿密なインタビューを行った上で書かれたこの物語は非常に貴重だと思う。あとがきがないため、どのような過程と背景で書かれたのか気になる。
三たびの海峡 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:三たびの海峡 (新潮文庫)より
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No.5:
(5pt)

強制労働者の屈辱と悲哀の歴史

本作では「ボタ山(石炭の掘りカスが山状に堆積したもの)」が朝鮮人坑夫たちの恐怖と屈辱と悲哀の象徴として描かれている。
私の故郷の町にもボタ山があった。黒い表面を所々雑草が繁殖していた。汚らしいと思っていた。幼い私はそこに隠されていた歴史をまったく知らなかったのだ。
戦争には一寸の正義も存在していないと思う。
大戦で日本は原子爆弾とい未曾有の災厄に襲われた。しかし同時に他国におぞましい恐怖を振り撒きもしたのだ。
被害も加害もともに心に留めておくということこそ公正な態度だと思う。
自虐的であるということと自らを戒めるということとは決定的に違う。非は率直に認め、それを未来の糧にするという姿勢こそ人間的な知恵の現れである。
この手の作品を専ら「反日」という枠組みに短絡してしまうことは知的怠惰ではないか。
本作によって過去に対する深いまなざしを涵養された気がする。
三たびの海峡 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:三たびの海峡 (新潮文庫)より
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No.4:
(5pt)

悲惨な歴史を読んでほしい

強制連行、悲惨な状況下での過酷な労働、仲間の相次ぐ死。数十年の時を経てもなお残る無念の思い。架空の物語ではあるが、ここに書かれている朝鮮の人たちへの残酷なまでのむごい仕打ちは、実際にあったことだ。心に深く刻まれ決して消えることのない傷を、日本人は朝鮮の人たちにつけてしまった。胸が痛むと同時に、申し訳ない気持ちでいっぱいになった。この作品は日本人なら絶対に読むべきものだ。そして歴史をしっかり見据えてほしい。
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No.3:
(2pt)

構成力の欠陥

「主人公がどのような人生を送ってきたのか、そしてその体験に基づいた今の心境の変化」というミステリ的なプロットがが現在パートで、「強制連行されてきた主人公がこれからどうなっていくのか」という驚きに満ちた回想パートが、ある一点に向かって集約していく作りになっている。このような作品の構造と扱っている題材から、読者が想像するであろう教条的なオチに対して、どれだけ描かれている人間ドラマと結合できるかに本作の成功がかかっているとも言えなくもないのだが。作品の後半は、勧善懲悪的な人情ドラマが描かれると共に、強引に教条的な結論を提示して終わってしまう。あとは、作者の綿密な取材が浮いている気もするな。なんというか、結局のところ、おそらくこの構成の欠如は、本作が!雑誌連載等で、無軌道に執筆されたと想像するに難しくない。それと、後半の展開は、日本人がこの題材を扱う時に「真摯」であればあるほど、空回りしてしまうというひとつの例にも見て取れる。うーむ、ある文化圏に属する人間が、関わりのあった(ある)他文化を主観的に描くのは本当に難しい。直接的な表現に踏み込めば歴史・文化の解釈の差が生じるし、本作のようにあえて単なるメロドラマにした場合には、奇妙な寓意が生じるとでも言えばいいのか・・・。
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No.2:
(5pt)

勉強になりました

太平洋戦争中、数多くの韓国・朝鮮の人が日本へ強制連行されて過酷な強制労働に従事させらたことは、歴史で習った記憶がある。この小説には、学校教育ではさらりと流されてしまうような歴史が見事に描かれていると感じました。詳細な描写は、この作品の中にも生かされており、当時の時代風景が目に浮かぶようでした。以前、小説の舞台となる北九州に住んでいたこともあり、他の読者よりもこの小説にはまったかもしれません。日本と韓国・朝鮮との間の暗い、しかし決して忘れてはならない歴史を一人の韓国人主人公をめぐる出来事を通じて語りかける名作だと思います。また、最後の展開にも驚かされました。
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No.1:
(5pt)

日本と韓国の歴史に翻弄された主人公 韓国版「大地の子」

生きることで精一杯だったけど、平穏な日々を送っていた青年が、日本へ送られて強制労働に従事する。そこではじめて青年は韓国民族が置かれている状況を理解することになるのである。歴史の大きな波の中で、知識階級以外はなかなか歴史の大きな流れを実感できない。しかし、自分の一生を左右するような出来事に巻き込まれることにより、独自の歴史観が形成されるのだろう。主人公が経験する強制労働からの脱走、逃亡先での恋物語、過酷な労働を強いた炭坑経営者への恨みと復讐劇は読む者をグイグイ引き込んでいく。日本がアジア周辺国にもたらした戦争の悲劇を民衆の視点から描いた名作に間違いなし。
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