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孤独の歌声
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孤独の歌声の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.44pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全50件 21~40 2/3ページ
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この作品は孤独な者たちが紡ぐバトンリレーだ。それぞれの登場人物が違う事情の孤独を抱えている。これが実に見事に描かれている。とにかくリーダビリティが尋常じゃない! 物語にぐいぐい引き込まれてゆく。加えて、狡猾な文章ならびに会話が一層エンターテイメント性を高めているだろう。 しかし、5星は与えられない。私はエグい描写が苦手、というのがあるが、前半で読むのを止めたくなる描写が目につく。これが単に面白いといえない要因である。さらに、テーマ性の希薄さが見て取れる。「孤独」を見事に表しているが、心に残らない。あくまでエンターテイメントであり、深い人間性を呈示するものではなかった。残念だ。 | ||||
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天童荒太の作品では、良い人しか出てこないような印象がある。もちろん、犯人はいるのだが、犯人には犯行に至った経緯があり、一概には責められない。犯人もまた被害者の側面を持っている。そんな作者の声を感じる。これが他のミステリとは違うように思える。 本作品はノンフィクションだと言われても違和感のない作品だ。特に犯人が被害者の身体の一部を持ちあるいて弄ぶところが恐ろしい。知っている地名が頻出するので、そういう意味でも不気味だった。 二つの事件が一点で交差して、そこから犯人にいかにたどり着くか、主人公の女性刑事の視点と行動が非常に面白かったし、主人公とバイト青年の交流も他人とは無縁でいられない社会の中での孤独を強調していて印象深かった。 | ||||
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気にはなっていながら暗いイメージがあり手が出なかったのですが、「あふれた愛」を読み、興味を持ち遅ればせながら読ませていただきました。犯行時の描写がきつく、まるでハンニバル。 なのに、何故かどんどん引き込まれてゆく。久しぶりに熱を帯びて読ませていただいたサイコミステリー。内容も濃く、早く結末を知りたい気持ちと、読み終わりたくない気持の葛藤の連続で、もったいぶって読み終わりました。人間の心理、孤独というものを改めて考えさせられ素直に面白い本だと思えました。内容は重いのですが一読してみてはいかがでしょうか。 孤独という意味合いも人それぞれ抱えているのだと思いました。人を見る目が少しやさしくなる気がします。がんばりましょうって。。誰かによりかかってもいいんだからと。。 | ||||
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この題名から、「孤独」というものを考える作品のように思われがちですが、そんな説教じみた内容ではありません。異常な性癖を持つサイコキラーの残虐な犯罪とその背景、事件を明らかにしてゆく女性警官と青年のからみなど、秀逸なサイコホラーのエンターテイメントとして、楽しめる作品です。ややグロテスクでサディステックな描写が多いので、ご注意を。 | ||||
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「誰もいなかったら、まったく、滑稽よ朝山巡査・・・」という台詞から火スペの域を出ないような作品なのだろうか?と眉をひそめましたが、最終的には本のページをめくる手が止まらなくなるほど、この本の深みに引きずり込まれてしまいました。風希と潤平の、男女の関係を超越したもっと崇高な連帯感、それも本当の意味での孤独を抱えた人間にしかわからない微妙で繊細なつながり、のようなものに魅力を感じました。彼らの錯綜した感情は、わかる範囲でですが、とても共感できるものがありました。あとサイコ・シリアル・キラーの男は吉良吉影っぽいですね。一番興味を惹かれたのはこの男の、歪んだ至上の愛を求める心でした、「魂も抱き合えていると感じるほどのセックス」・・・彼ほどイノセントで残酷な男はいないと思った。メディアや音楽業界に対する著者の批判も見て取れた。終わり方がちょっとご都合主義なかんじで個人的にはうすら寒い気もするが、エンターテイメントの宿命だとも思った。(どうでもいいですが、潤平の「(宮沢賢治+ドアーズ+ロバート・ジョンソン)×フォーク」的な音楽って偏狭な日本の音楽シーンで受け入れられるはずないと思います) | ||||
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孤独とは何か、家族とは何か?とても考えさせられます。犯人の病的な描写は読んでいて 気持ち悪くなりました。 ただみなさんのレビューを読んでいると、本作はまだまだ完成度が低いようなので、 ほかの作品も読んでみたいと思いました。 | ||||
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最近、この作家にはまっています。 この人は、 負の心理、というか、 闇の心理、というか、 そういうものを描くのが非常にうまい。 ただ暴力的にその心の闇を描くのではなく、 説得力のある、 そして、だれにでもありうる問題として提起される。 少女時代の誘拐事件のトラウマを抱えたまま、 刑事となった女。 何よりも自分のために歌い続けながら、 コンビ二でのバイト中に事件に巻き込まれる男。 異常な環境での成育によって、 歪んだ家族の愛を信じている犯人の男。 孤独である3人が、 出会い、すれ違いながら、 物語は展開していく。 連続女性誘拐殺人事件と、 連続コンビニ強盗事件。 この事件もまた、 “孤独”というものが、 キーワードともいえる。 深夜のコンビニを訪れる人たち。 事件はこの特殊なシュチュエーションが、 可能にしたともいえる。 謎解きよりも、 それぞれの心の動きが、 時に共感、 時に反発を生みながら、 読み進ませる。 ラストに、 この孤独の3人が同じ場にいる。 絶望的なクライマックスでありながら、 異様な共感に似たものが、 その空間に流れる。 それは、 ともすれば否定されてしまい異常さでもあるが、 なぜか、 説得力があったりする。 それがなぜか、理解できるのがふしぎだった。 | ||||
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猟奇殺人という、ミステリーではありふれた題材だけがメインだとしたら、 ここまでは面白く読めなかったかと思います。 同じ女性として、被害者の気持ちを考えるとつらくなる描写も多かったですが、 すべての登場人物を丁寧に描いていて、リアルでした。 それぞれにトラウマを抱えた三人が最後に集結する部分は、 少しうまく出来過ぎている感もありましたが、 わざとらしさはなく、主人公達の執念のようなものが伝わってきました。 いつも思うのですが、天童さんの作品には、 悪役にもそれなりの言い分があって、次第に納得させてしまううまさがあります。 本当にうまい!やられましたと言う感じです。 | ||||
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まず主な登場人物は3人です。 深夜のコンビニでアルバイトをし、歌を作る青年。 コンビニ強盗を担当しながらも管轄外の連続殺人犯を執拗に追いかける婦人警官。 そして連続殺人犯の男。 その3人がそれぞれ忘れがたい過去を持ち、街の片隅で孤独な生活を送っている。 私が思うに主題はそれぞれの孤独のあり方かな・・・と。 人と交わらない生活は淋しいけど、それと引き換えに自分だけの世界を築ける。 でも人間は独りでは生きていけない。 そんな葛藤みたいなものがあったように思った。 私自身、あまり人と付き合うのが好きでないというか、独りが好きな性質なので共感する部分がかなりあった。 でもやっぱり外の世界とも繋がっていたいという気持ちもあり・・・ 派手なところは無いけど、私はなかなか面白いと思いました。 また他の作品も読んでみたいなと思いました。 「永遠の仔」は姉が、あんまり・・・みたいに言ってたんだけど、どうなんだろう〜 | ||||
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「永遠の仔」や「あふれた愛」「家族狩り」と比べるとすべてにおいて荒削りで、自分の内に書きたいテーマはあるのだけど、それを作者自身がまだ把握しききれてなくて、懸命に模索している途上って感じがしました。そんな風に模索する時期があってこそ、「永遠の仔」の天童荒太へと繋がっていくのだと思いながらこれを読むと、ストーリーとはまた別のところでたのしみが広がります。 | ||||
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「家族狩り」や「永遠の仔」のように重苦しいテーマが 感じられない分、サスペンスものとしてさらりと読めます。 同時期に貴志祐介さんの「黒い家」を読んでいたのですが、 猟奇的な殺人もの、ということで似ているかも。 この作品を楽しまれた方は「黒い家」も読んでみると楽しめると 思います。 天童作品にしては短いので、すぐに読み終えることが出来ますが、 私のように長い天童作品が好きな方には物足りないかも しれません。 | ||||
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ストーリーは宮部みゆきの模倣犯みたいな連続殺人ものです。模倣犯は文庫で5冊もあるのに、こちらは1冊で完結なので、お手軽ですね。内容も最後まで飽きさせない内容で楽しめました。 ほかに「家族狩り」「永遠の仔」も読みましたが、「孤独の歌声」が一番いいかな・・・上記二作は、暗い・重い・長〜〜〜い、の三拍子で、読んでいて息がつまりそうになりました。皆さんが絶賛されてるほど好きじゃないです。 あと、気になるのが、作者特有の言葉づかい。「〜のおりに」ってよく出てくるんだけど、あんまり使わないよ。気になって仕方ないです。四国地方の方言?途中から文中に何回出てくるかカウントしたりして(笑)普通「〜の際に」や「〜の時に」だよね。。。あと「きっと〜」っていうのも多用されていますが、これも違う言い方がある様な。校正でひっかからなかったのかなぁ? 文体も好みじゃないので、この人の作品はもう読まないと思います。 失礼なことばかり書いて、すみません・・・ | ||||
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天童荒太が描く作品には,根底に流れるひとつの大きなテーマがある.それは家族だ.中学時代の過ちを克服できず,自分を許すことの出来ない風希,故郷の土地で大切なものを失ってしまった潤平,そして誰よりも家族を欲し,猟奇的犯罪に手を染めた松田(犯人).この三人の主人公の中で,著者が一番書きたかったのは松田ではないだろうか? 彼の犯行は絶対に許されるべきものではないが,彼が偏狭的なまでに求めた理想の家族像は,批判されるべきものではない.誰しもが欲し、そして多くの人があきらめている究極の家族を彼は求め続けた.己の手を血に染めてまで・・・ これほど暗く冷たく哀愁漂う作品なのに,読み終えた後の読後感は心地よい.今後も著者の綴る「家族」を読んでいきたい. | ||||
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家族狩りの原点とも呼べる作品。多少血生臭い場面は出てくるものの、本当の孤独の意味を教えられた気がした。自分のバトンを受け取ってくれる存在はいるのか。それは身近にいるのかもしれないし、これから出会うのかもしれない。人は皆、リレーしているのかも…そう思うと、切ないけど、綺麗な風景のように思えた。作品のタイトルが暗そうだから、読むことを躊躇している人!読んだ方がいいですよ。これは思っているより寂しい話ではないし、ただのミステリーでもないから。 | ||||
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「永遠の仔」「家族狩り」を読み終えた後に、手をのばしました。まず、「孤独の歌声」というタイトル自体が、人を誘う不思議な魅力を備えているように感じられました。。。でも、作品はミステリー。天童氏ならではのカメラの切り替えで、3人の登場人物を次々おいかけていく作風でも、読み手を引っ張りつづけることができるのは、作者の技量によるものだと感じます。ストーリーだけでなく、筆力にも感嘆せずにはいられません。(最近特に、”金をドブにすてた”ようなモノばかり読んじゃったので)内容については、イカれちゃった犯人の行動が、生理的に受け付けられなくて嫌悪感を感じ、「犯人の登場シーンになると、気持ち悪い」と脱落しそうになりかけました。。。最後まで読めたのは、やはり、「孤独の歌声」を聴きたいから。コンビニ店員潤平と刑事風希の、孤独の音楽が聞こえるような気がしました。(犯人のは、聞こえてこなかった・・・)一人でいたいと思うことは我儘ということではないと、慰められ、改めてタイトルの絶妙さに感嘆。タイトルに負けない内容だし、内容に負けないタイトルでした。 | ||||
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とにかく面白い。息をもつかせぬ展開で、一気に読んでしまった。人は心にそれぞれの孤独を抱えながら生きている。だが、一人で生きようとする人間ほど、心の中では人との関係やぬくもりを求めているのではないだろうか。悲惨な事件を扱った作品ではあったが、「孤独」という言葉が、心に強く響く作品でもあった。 | ||||
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一見、サイコサスペンスのような作りをしていますが、この小説のテーマは孤独の人間心理を深く描いた作品だと思います。確かにストーリーの流れラストの展開は「羊たちの沈黙」を彷彿とさせますが、この小説の醍醐味は、その過程で描かれる3人の人間の孤独の心理。彼等、犯人はともかく、女刑事の風希とコンビに店員潤平の屈折した気持ちが理解できる人は多多いると思います。そういった人達にはとても共感できる小説でしょう。 プロット的にもよく構成されており、伏線の張り方もうまく、なんと言っても文体が読みやすく、テンポよく読めるのもポイント大。 後に続く「家族狩り」「永遠の仔」の基盤となる人物映写がここでも見事に描かれている傑作でしょう。 | ||||
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天童荒太さんの作品で一番初めに読みました。この本が素晴らしかったので、家族狩りの5冊も読みましたが、作品としてはこちらの方が好きです。犯人が被害者の女性から切り取った体の一部を持ち歩いている描写と女性を虐待している描写があまりにも不愉快だったので、星は4つとさせていただきました。しかし、ヒロインの警察官とコンビ二で働く歌手志望の青年の心の交流はうつくしく、孤独な魂が共鳴しあっているのが、この残酷な事件のなかで心を暖かくしてくれます。この本は孤独はこわくない、孤独は悪いことではない、ひとりでもいいのだ、ということを教えてくれます。裏テーマとして、次の作品にも続いていく「家族」があり、ミステリーとしてだけでなく、孤独とは何か、一人でいるとはなにか、ということを考えているひとにお薦めしたい1冊です。 | ||||
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「永遠の仔」を読んで以来の天童荒太作品でした。この作品の方が先に出版されたものですが、子供の時に受けた親からの傷が狂気を生み心に傷をもった、そして孤独を感じている登場人物達とのかかわりが面白かった。登場人物それぞれは他人とのかかわりに於いて、「彼」が母親から受けた抑圧の影響から他者に自分を理解して欲しいという中で、他人の全てを理解できないという前提立ちつつ、それでも信じられる一瞬があれば良いという「おれ」と「わたし」。昔ほど他者との関係、付き合い方が論じられなくなってきたが、そうであるからか余計に自分と重ね合わせてしまった。面白い作品でした。 | ||||
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第6回 日本推理サスペンス大賞優秀作 受賞作「家族狩り」「永遠の仔」と傑作を発表し続ける作者の原点といえる作品。後の作品にも通じる「家族」という作者のメインテーマを併せ持った、すぐれたサスペンス作品である。 | ||||
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