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悪魔の手毬唄
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【この小説が収録されている参考書籍】
悪魔の手毬唄の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.29pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全58件 1~20 1/3ページ
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40年ぶり以上の再読。 久しぶりに読む昭和ミステリーは、懐かしい物語の背景がグッと迫ってくる。 家と家の対立、地方の因習、外には出せぬ欲情と怨念。 あ~あ~、そうそう、これぞ昭和の本格派推理小説と思い読み進めると、 そこに、金田一探偵と磯川警部の登場で、私的には大満足。 物語の舞台設定を楽しむという読み方で、味わえば秀作と思うが、殺害後 わざわざこんな手間を掛けて、死体に細工する矛盾と不思議さを感じてしまう。 また、犯人の犯行動機が弱い気がする。ここまでの犯行をするのであれば、 もっと強い怒りになる火種がなければ納得できない。 何故なら、殺された娘たち自身には、全く罪がないのだから。。。。 追記)Amazon Videoで、石坂浩二主演の「悪魔の手毬唄」東宝1977年を 鑑賞。重厚な演出と大物俳優の熱演に感銘し、大満足。 原作にかなり忠実な構成でドラマは作られている。青地リカ役の岸恵子女史の 美しさは最高。でも、鬼首村の住人にしては都会的過ぎるなあ~ 市川崑監督の金田一シリーズ映画で、一番の出来だと思う。 | ||||
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鬼首(おにこべ)村の手毬唄連続殺人事件の犯人は誰か?という謎もさることながら、犯人がなぜ事件を起こしたか?という動機にやられました。なんや、やりきれない気持ちになりましたわ。 情景として凄くいんぱくとのあった場面が、ひとつ。昭和三十年八月十日の逢魔(おうま)が時、仙人峠で金田一耕助が、ひとりの老婆とすれ違うシーン。深く頭(こうべ)を垂れた老婆が、もぐもぐとこんな言葉をつぶやきます。 《「ごめんくださりませ。おりんでござりやす。お庄屋さんのところへもどってまいりました。なにぶんかわいがってやってつかあさい」》私が読んだ角川文庫本では p.62 この場面がなあ、ぞくぞくする怖さがあって忘れられんのですよ。横溝正史の金田一ものでも屈指の名場面や思います。 作品全編にわたって、登場人物たちがしゃべる岡山弁(でいいのか?)の言葉遣いも印象に残ります。地方の山村で起きた殺人事件、その土俗的、閉鎖的な雰囲気を醸し出すうえで効果的に働いているなあと感じました。 あと、私が読んだ角川文庫本の表紙カバーには、着物姿の人形が手毬(てまり)を持っている絵が描かれていて、これが風情があっていいんですね。やっぱ、杉本一文氏のイラスト、横溝正史作品の雰囲気としっくり来るわあて、改めてそう思いました。 | ||||
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横溝正史の金田一耕助ファンで表紙カバーは、これでないと | ||||
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何作か読ませてもらっていますが、この話が特に好き。 手鞠唄を使った殺人事件。 実写との結末は違っていましたが、これはこれで面白い。 内容を知っていてもまた読みたくなる作品です。 ただ、言い回しや方言が読みにくい部分があり、読むのに時間がかかるのが難点。 | ||||
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<ネタバレ注意> まず納得とともに再確認したのは、本作の同時期に書かれた他作品(短篇だけでなく、長篇も含めて)とは、完成度がまったく違うということ。 これはたまたま本書の出来が良かったのではなく、プロットへの気合や取組自体の気構えからして、全然別のモチベーションで管理されていた筈だ。(『悪魔の寵児』の感想を参照) クリスティなど一部の例外は、例え地味な殺人ひとつでも長篇を引っ張ることも可能だが、一般的には――特に雑誌や新聞へ連載する作品では――読者の興味を持続させる為にも、定期的に殺人をブッコんで連続殺人にし勝ちである。本作も過去を合せれば都合5人の男女が殺されるわけだが、興味を繋ぐためにここら辺で一人殺しとこwなどという安易なものはなく、明らかに書き始める前のプロット構築の時点で、綿密に設計されていたはずだ。【注1】 また戦前から著者が得意だった草双紙的な雰囲気には、都会よりも地方がよく似合っているというのがわたしの意見だが、同じ岡山ものでも、短篇に較べて長篇の本作は方言の記述が顕著な気がする。これは頁数の多さとも連動して、キャラそれぞれの造形の深みや田舎の人間関係の空気感も醸成していて、なんとも魅力が増しているように感じた。 ちなみに、鬼首村は幾つかの集落(字と云えばよいか)から構成されるが、そのひとつである桜集落は、そのまま著者が疎開していた集落の名称である。【注2】 このあたりは、あるいは近現代への興味の有無で感想も随分異なるかもしれないが、500頁近い分量にもまったく冗長さを感じなかった。 もちろん欠点はある。 金田一耕助がまま云われる防御率の低さ問題に関して、最後の解説の時点で、第一の殺人発覚時に彼が犯人を容疑者候補に揚げたことを明言しちゃっているので、確証はもちろんなかったにせよ、もう少し打てるなにかがなかったのかとつい考えてしまうし、おりんの初登場シーンは、そのイメージが鮮烈なだけに、それを演出するための犯人の努力&リスクが釣り合うものか疑問である。手毬唄モチーフの装飾を演出する理由だって一応説明されるものの、若干弱い気がするし、なにより犯人がある手紙を宛先人物に先んじて入手したというのも、一度ならともかく、二度となるとかなりキビシイ。 しかしそれらを引き算しても、戦後初期に抱いていて、その後消えつつあった?「探偵小説の鬼の血」を再度燃やすことに成功し、さらに文章の円熟味をも加えた著者最高峰の作品と云ってよいのではないだろうか。 【注1】おりんの死を早めたのは、放庵の返事がこなかったことへの落胆だから、犯人は彼女を含めて6人を殺したも同じだ。 【注2】その疎開生活の思い出を綴った「楽しかりし桜の日々」は『金田一耕助のモノローグ』という題名で電子書籍化されており、いつでも読める。 | ||||
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連続殺人事件が起こっているというのに、金田一耕助は神戸に行く。真相を解明するためとはいえ、あまりに無責任である。警察を信頼すぎだし、謎解きを警部に伝えておけば、見張りができたはずだし・・・殺された娘さんが不憫でならない。 悪いのは、非道な犯人だとは分かっている。物語上の脚色と理解したいが、タイミングの悪さに悪態をつきたい気分である。 | ||||
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「悪魔の手毬唄」は昭和32年8月から昭和34年1月まで探偵小説専門誌「宝石」に連載された横溝正史の長編推理小説。名探偵・金田一耕助シリーズの一つであり、手毬唄の歌詞に沿って行われる童謡殺人を描いている。横溝正史最後の傑作とも呼ばれ、たびたび映像化もされている本作。市川崑監督の映画でご存じの方も多いのではないだろうか。 昭和30年7月、金田一耕助は静養できる場所を求め、岡山県境にある鬼首村の温泉宿「亀の湯」を訪れた。ここを紹介してくれた磯川警部の話では、23年前に女主人・青池リカの夫である源治郎が殺害され、しかもその犯人は捕まらぬまま迷宮入りになっているのだという。 鬼首村には因縁浅からぬ由良家・仁礼家・別所家という3つの旧家があった。当時の仁礼家はぶどう栽培で大きく勢力を伸ばしており、それに危機感を覚えた由良家は恩田幾三という男が持ち込んだ新事業に手を出していた。恩田の話に疑惑を抱いた青池源治郎が直談判に乗り込んだ結果、その場で殺されてしまったのである。 亀の湯に滞在した金田一は、由良家・仁礼家・別所家にはそれぞれ同じ年に生まれた年頃の娘がおり、彼女たちと村の人気者である青池歌名雄との間に恋の鞘当てが繰り広げられていることを知る。ちょうどその頃、村の若者達の間では人気女優・大空ゆかりが里帰りするという噂で持ちきりとなっていた。実はゆかりの父は恩田幾三であり、詐欺師で人殺しの子供として幼少時は迫害を受けていたのだ。 庄屋一族の末裔である多々羅放庵と親しくなった金田一は、近々村に戻ってくる5番目の妻おりんに宛てた手紙の代筆を頼まれる。ところが、放庵はある日血痕を残して忽然と姿を消してしまう。それ以来、鬼首村ではおりんと思しき腰の曲がった老婆が目的されるたびに、次々と若い女性が殺される事件が巻き起こるのだった……。 連続殺人事件が村に伝わる手毬唄になぞらえて行われるという趣向は、ヴァン・ダインの「僧正殺人事件」や深沢七郎の「楢山節考」から着想を得たもので、「獄門島」や「犬神家の一族」の見立て殺人と同一系譜にあたる。これらの作品は比較されることも多いが、複雑な人間関係に基づくストーリーや登場人物の丁寧な心理描写など、「悪魔の手毬唄」の方が優れていると感じる部分も多い。 犯人の動機は真に迫るものであり、やむに已まれぬ事情があったわけだが、それがこの物語をより味わい深いものにしている。また、作品全体に漂う不気味さも過去の名作にひけをとらず、腰の曲がった老婆と山道ですれ違う場面や、囲炉裏で顔を焼かれ判別のつかない死体など、印象的なシーンが次々と登場した。 本作でもっとも印象深いのは、23年前の未解決事件を一人で追い続ける磯川警部の存在だろう。妻を亡くし独身の磯川警部が、亀の湯に通ううち未亡人リカに好意を寄せるようになるエピソードは微笑ましい。なんとか事件を解決したい警部は金田一の力を借りようと画策するわけだが、最初は何も伝えず現地に呼ぶ展開など、後に続く岡山編の典型となっている。 驚愕の真実が明らかになった後、ボロボロになった磯川警部と金田一は短い旅をするのだが、別れ際の金田一の台詞が切なくて素晴らしい余韻を残す。必読の一冊。 【鬼首村手毬唄】 うちの裏のせんざいに すずめが三匹とまって 一羽のすずめのいうことにゃ おらが在所の陣屋の殿様 狩り好き酒好き女好き わけて好きなが女でござる 女たれがよい枡屋の娘 枡屋器量よしじゃがうわばみ娘 枡ではかって漏斗で飲んで 日がないちにち酒浸り それでも足らぬとて返された 返された 二番目のすずめのいうことにゃ おらが在所の陣屋の殿様 狩り好き酒好き女好き わけて好きなが女でござる 女たれがよい秤屋の娘 秤屋器量よしじゃが爪長娘 大判小判を秤にかけて 日なし勘定に夜も日もくらし 寝るまもないとて返された 返された 三番目のすずめのいうことにゃ おらが在所の陣屋の殿様 狩り好き酒好き女好き わけて好きなが女でござる 女たれがよい錠前屋の娘 錠前屋器量よしじゃが小町でござる 小町娘の錠前が狂うた 錠前狂えば鍵あわぬ 鍵があわぬとて返された 返された ちょっと一貫貸しました <登場人物> 青池リカ … 鬼首村の温泉宿・亀の湯の女将。磯川警部の知人。 青池源治郎 … リカの夫。活弁士・青柳史郎。恩田に殺される。 青池歌名雄 … リカの息子。鬼首村青年団副団長。村のロメオ。 青池里子 … リカの娘。半身の赤痣を恥じて土蔵に閉じこもる。 お幹 … 亀の湯の女中。実家の屋号は笊屋。大空ゆかりを嫌う。 仁礼仁平 … 秤屋こと仁礼家の先代。ブドウ栽培で財を築く。 仁礼富貴子 … 仁平の長女。嘉平の姉。幼いときに亡くなる。 仁礼次子 … 仁平の次女。嘉平の妹。神戸に嫁いでいる。 仁礼咲枝 … 仁平の三女。嘉平の妹。鳥取に嫁いでいる。 仁礼嘉平 … 仁礼家の当主。鬼首村の主権者。 仁礼秀子 … 嘉平の亡妻。兵庫県の城崎から嫁に来た。 仁礼直平 … 嘉平の跡取り息子。えらもんという評判。 仁礼路子 … 直平の妻。 仁礼勝平 … 嘉平の次男。青年団団長。歌名雄と仲がよい。 仁礼文子 … 嘉平の末娘。由良泰子や大空ゆかりとは同級生。 由良卯太郎 … 枡屋こと由良家の先代。恩田幾三に騙される。 由良五百子 … 卯太郎の母。手毬唄の歌詞を知る数少ない人物。 由良敦子 … 卯太郎の妻。過去に仁礼嘉平と愛人関係にあった。 由良敏郎 … 卯太郎の息子。由良家当主。風采の上がらない男。 由良栄子 … 敏郎の妻。 由良泰子 … 卯太郎の娘。歌名雄の恋人。 別所蓼太 … 錠前屋という屋号の鍛冶屋。ゆかりの戸籍上の父。 別所松子 … 蓼太の妻。大空ゆかりの戸籍上の母。 別所辰蔵 … 蓼太の息子。仁礼家の葡萄酒工場長。飲んだくれ。 別所五郎 … 辰蔵の息子。青年団団員。歌名雄や勝平と仲良し。 別所春江 … 蓼太の娘。恩田の世話をやくうちに千恵子を産む。 別所千恵子 … 春江の娘。人気女優・大空ゆかりとなって帰郷。 恩田幾三 … 千恵子の父親。詐欺師。青池源治郎殺害の容疑者。 日下部是哉 … 大空ゆかりのマネージャー。 多々羅放庵 … 没落した庄屋の末裔。鬼首村の手毬唄を発掘。 栗林りん … 多々羅放庵の五番目の妻。通称おりん。 村崎きん … 鬼首村の百姓の老婆。 井筒いと … 総社町の旅館・井筒の女将。放庵やおりんの知人。 本多大先生 … 青池源治郎の遺体を検死した医者。現在は引退。 本多若先生 … 大先生の息子。本多医院の医者。 本多一子 … 本多先生の妻。 立花警部補 … 岡山県警の捜査主任。金田一をライバル視する。 乾刑事 … 岡山県警の刑事。 加藤刑事 … 岡山県警の刑事。 山本刑事 … 岡山県警の刑事。 木村巡査 … 鬼首村の駐在巡査。 磯川警部 … 岡山県警の古狸。23年前の事件を金田一に相談。 金田一耕助 … 静養できる田舎を探して磯川警部を訪ねた探偵。 | ||||
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推理ものとしてたいへんに面白く、手に汗握るはなしでした。 しかし、犯人や動機、被害者はとてもかわいそうで後味の悪い事件のはなしでした | ||||
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金田一耕助の最高傑作だと思う。手毬唄に合わせた見立て殺人。手の込んだ犯行現場。犯行の動機。この三つのバランスが良い。 「ボタンの掛け違い」が一人の女性の運命を狂わせ、それが20年後に新たな悲劇を生む…という偶然が必然となっていくのは、運命なのか? 映画版、テレビ版も観たが、やはり原作が一番。原作の奥深さがあるから、映像化の回数も多い。 岡山県に旅行に行きたくなった。 | ||||
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「見立て殺人」という点ではかの傑作『獄門島』と同じ。異なるのはあちらが川柳で、こちらは手鞠唄である点だ。物語の構造はかなり似ている。もちろん似ているのであって同一ではない。では本書の何が特徴かと言えば、「異なると見えて実は同一」という言葉で表現できる仕掛けにある。この仕掛けが本書では二通りのあり方で用いられ、それが「20年前の事件」と「現在の事件」とを繋ぐ役割を果たす。ならば仕掛けは実に単純なのだが、その背後に秘められた動機はと言えば、これもまた横溝作品によく見出せる「血の繋がり」にあるのだが、それがあるからこそ第三の犠牲者の、物語中では推測するしかない「思い」というものがなおさら悲哀を誘うのだ。 | ||||
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昔、このシリーズを夢中になって読んだものです。 やっぱり面白いですね! 個人的に岡山の長編は大好きで、凄惨な事件の中にいても金田一と磯川警部とのやりとりには癒されます。 改めて描写の素晴らしさに感心しました。 | ||||
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もはや古典と言える横溝の傑作ですね。 舞台となる地方の村が醸し出す雰囲気や地理的な要素もあいまって、まさに横溝ワールド全開です! 人物は相関図を作って読むことをお勧めします。 とにかく、必読! | ||||
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40年前に、横溝作品をむさぼるように読んだ記憶があります。 今、再び読み直して記憶がよみがえってきました。 | ||||
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横溝正史の本格和風ミステリが堪能出来る作品。目玉は、手毬唄の歌詞に見立てた連続殺人だけど、登場人物多数で複雑な人間関係の中、過去の殺人との因縁も絡み、様々な要素に目眩を覚えるほど、濃厚な作品だった。 この複雑怪奇な謎に挑む、金田一耕助は、ひょうひょうとした、いつもの味わいで、連続殺人を防げないのは、ご愛敬。今作では、クライマックスを前に、屋敷が炎上すると言う劇的な展開で、読み応え十分。醜い痣を持つ娘と母親のエピソードは、心を動かされるものがあった。 ストーリーは文句なしに面白いのだけど、過去の殺人の動機と、「見立て殺人」を行った理由は、少々解せなかった。時代を考えろと言われれば、それまでなんだけど。 | ||||
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岡山県の山村を舞台に金田一探偵が活躍します。同様な舞台設定の「八つ墓村」よりもおもしろいです。映画版(1977)のラストで金田一(石坂浩二)が磯川警部(若山富三郎)に問いかけるシーンがあり、なんか唐突だなーと不思議に思っていたのですが、原作を読んで、やっと解けました。おすすめです。 | ||||
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私が初めてこの本を読んだのはもう50年近く前、中学1年の冬休み。夢中で読破し、それから何度読んだかわかりません。 当時角川文庫で横溝作品が続々出てきて、その後何年も続き、ほぼ全部読みましたが、人気作家ゆえのちょっと俗っぽ過ぎる駄作もある。 ただ「悪魔の手毬唄」は、横溝さん初期の頃からの耽美的な香りと、良くも悪くも農村をリアルに描くことへの執着が老練な筆で見事に織り込まれ、推理、人物描写、扇情的なサービス部分も含めて、名作だとやはり思います。そもそも小説として、文章もストーリーもとても上手い。多数の登場人物がドロドロ人間ドラマを繰り広げますが、犯人も含めてどこかみんなに作者の温かい眼差しが感じられます。金田一がいつも後手後手、というのは推理長編の宿命ですよね。そうしなけりゃお話終わっちゃうもん。 ちなみに、この作品が好きすぎて、みなさんがおっしゃってる村のわかりにくい地理について、私なりに読み込んで地図を作りました。今でも黄ばんだ紙が本の裏表紙に貼ってあります。ほんとに正しいかは自信ないけど、自分にとっては大切な宝物です。 | ||||
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この作品に初めて接する方々のために、ネタバレの無いようにレビューしますが、とにかくこの犯罪の動機がエグ過ぎます。 原作はもちろん、東宝映画やTVドラマ映像を観る度に感情移入し、涙腺が刺激されてしまいます。 文庫本は500ページ近くありますが、あっという間に読了すること請け合いです。 オススメ。 | ||||
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この作品の初出は、1976年富士見書房(現KADOKAWA)WILD COMICS版。 それが何ゆえか講談社から2001年に復刻されているようである。 原作(横溝正史)から入った人は、その違和感に戸惑うことだろう。 「リリスって何じゃ?」「手毬唄違うし?」「桝屋とか屋号は?」「これが金田一さん?」等々・・・。 コミカライズする場合に、多少の脚色というかアレンジはあると思うが、 ここまで大胆に設定を変えている例はまれではなかろうか? 違和感は相当あるものの、総合的には面白かったのでこの評価とした。 | ||||
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横溝正史先生の作品に惹かれ,角川文庫さんの「金田一耕助ファイル」を順番に読んでいます.今回で12冊目になります. 時間軸として,過去に鬼首村で起きた殺人事件が貫き,空間軸として,現在その村に住む人たちの人間模様が広がる.いつものことながら,この縦軸と横軸の交わりがお見事で!私は最後まで犯人が分かりませんでした.なので最後まで楽しめました. ただ時間軸が短く空間軸が広いため,過去の殺人事件の際に登場した人物が数多く存命しており,そこに新たなる登場人物が乗っかってきます.一気に読破する方は問題ないと思いますが,私のように数冊の本を並行して読み,結果として一冊読み切るのに時間がかかってしまうタイプにとっては,人物相関図を作りながら読まないと,途中で誰が誰だか分からなくなってしまうと思います. 長編小説ですし,そういった手間も楽しむつもりで手にすれば,むしろゆっくりと探偵気分が味わえると思います. | ||||
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「悪魔」「手毬唄」の二語をとるとオカルトチックな民族物語に見えるが、内実は重厚に計算し尽くされた本格推理小説である。 本作の見所は大きくわけて三つ。 第一に、きわめてリアルな心情描写。 実の旦那に浮気をされて身篭った娘たちが別品と評判になる中、肝心の自分の娘は赤痣によって敬遠されている。その事実に自尊心を傷つけられた「亀の湯」のおかみ、リカ。彼女はこの復讐として次々と若い女たちを手にかけていく。 一見すると、三人もの娘を殺害したシリアルキラーそのものだが、その裏には村全体を巻きこんだ壮絶なドラマが隠されている。この作品はその内実を少しずつ明かしながら進んでいくのだが、これがとにかく「うまい」のだ。だから、飽きずにぐいぐい読み進めることができる。 第二に、多くの人物が見事に織りなすドロドロな人間関係。 横溝正史さんの作品を読むのはこれが初めてなのだが、本作を手にとって第一に感じたことは「登場人物多すぎだろう!」ということだ。相関図でも作らないと頭がパンクしそうになる。 それでも、この作品の持つおどろおどろしい面白さには敵わない。綿密に練られたストーリーと複雑な人間関係は、紐解いていくだけでも面白く、終わりごろには人物の相関もすらすら読み解けるようになっている。他でもない、横溝さんの技量がなせる技だ。 そして第三に、小気味いい台詞回し。 鬼首村という村落を題材としているため、台詞のほとんどにかなりの訛りがある。普通の場合、訛りはたんなる阻害物でしかないのだが、この作品ではむしろいいスパイスになっていて、村落の疎外感とか尋常ならざる雰囲気とかを華麗に演出している。なにより独特で面白い。 もう一度読み返してみたいと思える、とても情熱的な作品だった。 | ||||
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