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悪魔の手毬唄



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悪魔の手毬唄の評価: 4.29/5点 レビュー 68件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.29pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全5件 1~5 1/1ページ
No.5:
(3pt)

駄作ではないが、犯行の動機に説得力がない

犯人が殺人を犯す動機が弱いのは、横溝正史の長編によくある欠点である。『八つ墓村』でも、犯行の動機は、読者を納得させるのに足るものではなかった。『獄門島』では、三姉妹を殺す動機はともあれ、死体を俳句に見立ててるための道具に使う動機は薄弱だ。本作でも、小説の最後に金田一が殺人の動機を推測しているが、説得力がない。(他方、『犬神家の一族』と「悪魔が来りて笛を吹く」は、動機に説得力がある。)

 本作では、昔の手鞠歌の歌詞に沿って、三人の若い女が殺されるという見立て殺人が行われる。見立て殺人をするのは、犯人にとって、単に人を殺すよりずっと多くの手がかりを残すことになるので、単なる殺人よりずっと危険なのだが、『獄門島』と同様、この小説でも、危険を顧みずにわざわざ手鞠歌の歌詞に沿って道具立てをする理由は薄弱である。娘たちを殺してさっさと逃げた方が捕まる可能性は低かっただろう。

 老婆に化けることも不要だ。手がかりを増やすだけである。

 お庄屋さん(多々羅放庵)と三人の娘を殺すだけなら、捕まらなかった可能性が大きかったと思う。何しろ、犯人が犯行に及んだ動機が金田一や刑事たちにはさっぱり分からないのだから。

 おそらく、横溝正史は手鞠歌の歌詞に沿った殺人が行われるというプロットを先に思いついて、あとから、それに合う犯人の置かれた状況と動機を考えたに違いないが、うまい動機を思いつかなかったのだろう。

 殺人の行われる鬼首村(おにこべむら)の地理(登場人物の住居、葡萄酒工場、人食い沼、六道の辻の位置関係など)は、犯人の目星を付けるのに不可欠なのに、地図が付いていないので、よく分からない。推理小説では地図を付けるのは珍しいことではないのだから、付けるべきだった。小説中で、言葉による説明は所々でなされるのだが、不十分である。
 また、登場人物が非常に多いので、翻訳ミステリーに大抵付いているような、主要な人物の一覧表があると分かりやすかっただろう。

 この小説には、読んでいて、気分が悪くなる場面がある。最初の犠牲者由良泰子が殺されて、口に漏斗を突っ込まれて、水に浸けられているのが発見されるのだが、その場面で金田一が笑う。
     「獄門島の事件をおもいだしますなあ。あっはっは」
      のどのおくでひくく笑うと、……。
笑うようなところではない。金田一の人間性が疑われる。

 本作では、著者が、登場人物の心理を考えていないのではないかと思う場面がいくつもあった。
 娘の泰子を殺された日の夜、お通夜の場に母親の由良敦子が出てきて弔問客の相手をし、また、金田一と磯川警部に長々と青池歌名雄、由良泰子、仁礼文子の関係について説明するのだが、娘を無残に殺され、ひどい格好にさせられていたのだから、母親は気が動転していて、弔問客の相手ができるわけがない。

 青池里子が死んだ晩、母親のリカが弔問客の相手をするのも奇妙だ。寝込んでいて当然だろう。

 さらに、大団円では、娘を殺された咲枝、恩田と関係を持った別所春江、恩田の娘である別所千恵子、仁礼嘉平だけでなく、恩田の被害者ではない本多医院の大先生まで参加させて、金田一が一連の殺人の謎を解き明かし、殺人犯に目星を付けた理由や、犯人の動機などを説明するのは異常だ。咲枝、別所春江、千恵子の心を踏みにじるものである。筆者は嫌な気持ちになった。

 映画の『悪魔の手毬唄』では、上述の読者を不愉快にさせる場面がうまく回避されている。娘を殺された由良敦子が通夜で弔問客の相手をする場面はないし、娘が死んだ夜、青池リカは茫然自失の状態になっている。大団円で関係者を集めて謎解きをするシーンもない。さすがによくできている。

 『悪魔の手毬唄』は、駄作だとは思わないが、犯行の動機が薄弱であり、他にもいくつかの欠点がある。
悪魔の手毬唄 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:悪魔の手毬唄 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304024
No.4:
(3pt)

パロディとしてなら面白い

ストーリーは原作本とは異なる箇所が多く、この作品を知らない人が後で原作本を読むと、その違いに驚くかも知れない。
悪魔の手毬唄 (講談社漫画文庫)Amazon書評・レビュー:悪魔の手毬唄 (講談社漫画文庫)より
4063600378
No.3:
(3pt)

登場人物多すぎ

映画は見てませんが、登場人物が30人位出てきて家系も複雑なので読み進めるにつれわけがわからなくなります。犯人の動線も地理がわかりずらくピンとこないので推理が楽しくないです。自分の頭が悪いだけかもしれませんが、推理のじゃまをしない程度の簡単な相関図と家の地図を掲載してくれたらよかったのに。。映画を先に見ている人はイメージが頭にストンと入ってくるのかと思いますが文字だけだと厳しかったです。これらを理解していればおもしろい作品になると思います。
悪魔の手毬唄 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:悪魔の手毬唄 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304024
No.2:
(3pt)

期待するほどでは

本書も何度も映画化やテレビドラマ化されていて評判が高いですが一読した限りではそれほど完成度が高いとは思えませんでした。毎度おなじみの終盤での事件の種明かしは説得力がありさすが安定の横溝節だなと感心しました。しかしそこの至るストーリー構成があまりに冗漫緩慢でとても500頁近い分量が必要な長篇小説とは思いませんでした。せいぜいその半分くらいで十分でしょう。金田一耕助が温泉に常宿しているせいか毎晩飲食をたのしみながらの事件の解明でなんだかのんびりのんきな雰囲気が常に漂っていて違和感がありました。ラストの事件の真相の発表のときも金田一耕助は気持ちよげにビールを飲んでましたね。横溝先生が本書を発表したのは55歳のころで作家としてまだまだ老け込む年齢ではないはずですが本書以降際立った作品を輩出しなかったところを見るとさすがの大作家もその才能が衰え枯渇していたのかもしれません。
悪魔の手毬唄 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:悪魔の手毬唄 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
4041304024
No.1:
(3pt)

今読むと笑いが取れそう?

つのだじろう氏の作画なので、恐怖新聞のイメージが強いです。
 原作では昭和30年の事件ですが、本作では昭和50年の事になっており、金田一も上下揃いの丸眼鏡口髭と原作のイメージはありません。
 昭和50年と云えば、丁度日本全体でオカルトブームだった頃ですが、その所為か泰子・文子・千恵子の狙われた3人組がトップレスの衣装で歌を歌うアイドルグループになってたり、犯人を問い詰めるのにイタコの力を借りるとか警察巻き込んでやるし、今の時代で読むと却って笑える展開になってます。
 しかし、私は原作重視なので星3つです。
悪魔の手毬唄 (講談社漫画文庫)Amazon書評・レビュー:悪魔の手毬唄 (講談社漫画文庫)より
4063600378

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