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白と黒



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白と黒の評価: 3.73/5点 レビュー 15件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.73pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全8件 1~8 1/1ページ
No.8:
(3pt)

ダストシュート、判るだろうかw

<旧表紙版で再読?>

 わたしが所持している本は、平成9年に<金田一耕助ファイル>シリーズの一冊として新装再販されたもので、当時は付箋を貼ったりマーカーを引いたりしていないから、購入してから読んだのかがどうもはっきりしない。記憶がアテにならないので……。
 とは言え、前に読んでいればなにかしら引っ掛かりがあってもよいのだが、それがまるでない。もしかすると買いっぱなしで今回初読かも……w

 本作を読んで、なんとも懐かしさに襲われ、ついで淋しく感じた。
 本作では、核家族の新しい住居形態として、都会通勤圏で絶賛増殖中だった新興団地が舞台となっている。わたしの幼少時代はもう少し後だが、よく似た団地で暮らした記憶を持っている。
 わたしが少年時代に住んでいた団地は、一棟40世帯ほどが住んでいたが、5階建てでもエレベータはなく、各階の横方向を繋ぐ廊下もない。ひとつの階段で繋がる1~5階までの10世帯がお隣さんの感覚だ。こどもたちにとっては、共有の階段がどーのというよりも、同学年で同性のこどもがいるかが重要ポイントだが、母親たちは、――味噌醤油の貸し借りまでは記憶にないものの――作り過ぎた食事や、里に帰った際の土産などは、お向かいさんや上下一階層くらいに差し入れしあうような付き合いが珍しくなかった。
 就学年齢以下のこどもや赤子は、必要に応じて、互いに預けあったりしていたようにも思う……。
 その中でも、自分たちの向かいの一世帯はTHEお隣さんで、その間にはガスメーターやダストシュートがあった。本作の日の出団地の設定とほぼ同じだw【注1】

 日の出団地――特に本作の舞台となる17、18号棟の住人たちは、半年前程度に知り合ったばかりで、そこそこ「ご近所さん」としてつき合いながら、過去の生活や現在の仕事についてはよく知らないといった状況が、著者の意識した設定である。
 この設定は、そもそも金田一耕助が住居を構えた緑ヶ丘町に云えることで、彼が長年居候していた「松月」の離れから世田谷に近い緑ヶ丘に転居したのは、作品内の理由はともかく、メタ的には、そんなポッと出の人間関係のもと発生する犯罪事件に彼を絡ませやすくするためだったと考えている。
 勝手な憶測に過ぎないが、本作の原型となった「渦の中の女」は昭和32年の作品だという。ビミョーなところだが、日の出団地ではなく緑ヶ丘町を舞台にしていたのではあるまいか?【注2】

 だから、本作を手に取った多くの読者は、まず当時新興の団地とあいかわらずよれよれ和服の金田一耕助の組み合わせに違和感を感じたと思うwが、この意味で、団地を舞台にした事件に金田一耕助が絡むのは必然だったのではないだろうか。

 ただし、怪文書が横行するプロット上の必要もあるが、本作の住人たちは割に活発な関係性を構築している。上述したように、わたし自身の記憶でも、当時の団地生活にはそれなりの「ご近所さん」つき合いがあった。
 残念ながら現代では「隣の人はなにする人ぞ」化がさらに進み、同じマンションに半年どころか十年以上住んでいても、隣人たちとはすれ違う際に軽く挨拶する程度で、履歴・来歴はまったく知らないというのが珍しくなくなった。表札も出さないから、名前すら知らない……。
 そんな薄い関係も、悪人が増えた現代社会では、やむなしの面もあるとは思うが、一方で淋しく感じた所以であるw

 ちなみに、冒頭・中間・結末で登場するS・Y先生は、明らかに正史・横溝だが、この表記スタイルははじめてであるうえに、「詩人」と記されている。一種の諧謔かと思ったが、このS・Y先生、推理小説における顔のない死体テーマについて、金田一耕助からレクされている。
 『黒猫亭事件』での先生のように、自ら熱く語ったりしていないところをみると、「著者」とは別人と考えるべきかw
 もしわたしの想像通り、団地が舞台に選ばれたのが、原型作品ではなく新聞連載時の昭和35年だったとしても、「上海氏の蒐集品」の執筆は、中島河太郎が想定したよりも5年ほど遡れるかもしれない。

 【注1】エレベータがついていない団地では、わざわざ下まで降りる必要のないダストシュートが便利だった。もちろん細かいゴミ分別などない時代の話でもあるが、わたしの記憶によれば、こどもが落ちる可能性(おそらくどこかの団地では現実に事故があったのだろう)から、いつの頃からか使用禁止になって、金属蓋が開閉できないように溶接されてしまった。そういった思い出を語り合える家族や友人がすでにいないのが悲しい……。

 【注2】そこまで手を出すつもりではなかったが、原型作品を集めた『金田一耕助の帰還』を入手して、確認するのも一興か……。
白と黒 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:白と黒 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
404130413X
No.7:
(3pt)

冗長で退屈な作品

団地でおこる殺人事件。金田一耕助が乗り込むが・・・

ストーリーは破綻なくうまくまとまっている。
ただ・・・
細すぎる。人物紹介、会話が「そこまで必要か?」と思うくらい細かい。勿論、良く言えば丁寧なのだが。
もっと、はしょってもいいのでは、と思いつつ読んでいた。

事件の犯人も(意外ではあるのだが)思ったほど盛り上がらない。ふ~んって感じ。
ただこれは「団地」のせいもあるかも。ドライな感じ。
やはり金田一さん物には岡山県のXX村でのおどろどろしさが欲しい。あっさりしてると言うべきか。

本陣、犬神、獄門等々は再度読むかもしれないが、この作品は一回で充分かな。
とは言え、最後まで読ませるのは流石。
白と黒 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:白と黒 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
404130413X
No.6:
(3pt)

実際の現代社会を反映しているかのような恐ろしい物語(ネタバレありません)

日刊紙連載だったため、くどく冗漫なところがある作品。
団地が舞台になっている。

都会の怪談。
おどろおどろしい不気味さを売りにしている作品より、
かえって、実際の現代社会を反映しているようで恐ろしさを感じさせる。

本作品の結末も非常に恐ろしいものだが、そう感じさせなくなっている実際の日本の社会は、
実は、もっと恐ろしいのかも、、、、
白と黒 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:白と黒 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
404130413X
No.5:
(3pt)

自選ベスト10

作者の自選ベスト10に入る大長編です。
元の短編「渦の中の女」の22倍の分量があるそうです。
それでいて骨格は変わっていません。真犯人も当然一緒です。

長編推理小説のストーリーとは何かを考えさせられます。氏の長編の代表作はは基本的には連続殺人事件です。大きな舞台設定の上で、大きな動機を持ち、大きなトリックを駆使して、犯人が計画殺人を遂行していく様を、翻弄されつつ追いかける金田一という構成です。ですからストーリーを紡ぐのは大体が犯人の事情だったりするわけです。現代的な団地に金田一を放り込んで、翻弄される彼を描きたかったのかもしれません。「焼けたコールタールで顔をつぶされた死体」を出したために、短編が大長編になってしまったのですが、木に竹を継いだような印象は否めません。連続殺人は起こりますが、物語としては弱いので、平板な印象を受けます。ちなみに犯人の悪意は他のベスト10の作品のどれにも引けは取りません。惜しむらくは、犯人には同情すべき事情がなく、全く共感できない点です。悪人なんだから当然かもしれませんが・・・。

金田一の情報網の一端や危なっかしいデカ、志村刑事が活躍します。S.Y先生が登場するのは元は「女シリーズ」(「金田一耕助の冒険」)だったからでしょう。
白と黒 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:白と黒 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
404130413X
No.4:
(3pt)

団地と金田一耕助は似合わないなあ・・・。

 ストーリーは、真ん中あたりがやや凡長で退屈するが、複数の謎解き要素を上手に交錯させていて、よく仕上がっている。
 ただ、金田一シリーズはやはり「地方の旧家の事件」にこそピッタリであると思う。この話の舞台となる近代的な団地には今ひとつ似合わない気がした。
白と黒 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:白と黒 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
404130413X
No.3:
(3pt)

団地と金田一耕助は似合わないなあ・・・。

ストーリーは、真ん中あたりがやや凡長で退屈するが、複数の謎解き要素を上手に交錯させていて、よく仕上がっている。
 ただ、金田一シリーズはやはり「地方の旧家の事件」にこそピッタリであると思う。この話の舞台となる近代的な団地には今ひとつ似合わない気がした。
白と黒 (1961年) (Toto mystery)Amazon書評・レビュー:白と黒 (1961年) (Toto mystery)より
B000JALU2S
No.2:
(3pt)

いつの時代でも、交錯する人間模様

この作品は、いわゆる「金田一物」より10年ほど進んだ時代の作品です。戦後のごたごたから復興が盛んになってきた時期の、
更に「東京」の新興巨大団地という都会での話。そして、それを象徴するかの様な背景・手口。
ひょんな事から事件に関わってしまった金田一耕介。しかし、年代・所変われど、その事件に真摯に
取り組む姿は変わらず、しかも、自分でもちょっと演出したり。それまでの、おどろおどろした雰囲気はないものの、
いつの時代も人間は周りの目は気になり、疑心難儀になり、男女の複雑な情事もあるんだと思わせ、
知らず知らずのうちに交錯しているものなんだなぁと感じました。
ただ、今までの印象から抜け出せないせいか、やはり金田一耕介はおどろおどろした田舎の事件の中に居る方がしっくりすると感じました。
白と黒 (角川文庫―金田一耕助ファイル)Amazon書評・レビュー:白と黒 (角川文庫―金田一耕助ファイル)より
404130413X
No.1:
(3pt)

いつの時代でも、交錯する人間模様

この作品は、いわゆる「金田一物」より10年ほど進んだ時代の作品です。戦後のごたごたから復興が盛んになってきた時期の、

更に「東京」の新興巨大団地という都会での話。そして、それを象徴するかの様な背景・手口。

ひょんな事から事件に関わってしまった金田一耕介。しかし、年代・所変われど、その事件に真摯に

取り組む姿は変わらず、しかも、自分でもちょっと演出したり。それまでの、おどろおどろした雰囲気はないものの、

いつの時代も人間は周りの目は気になり、疑心難儀になり、男女の複雑な情事もあるんだと思わせ、

知らず知らずのうちに交錯しているものなんだなぁと感じました。

ただ、今までの印象から抜け出せないせいか、やはり金田一耕介はおどろおどろした田舎の事件の中に居る方がしっくりすると感じました。
白と黒 (1961年) (Toto mystery)Amazon書評・レビュー:白と黒 (1961年) (Toto mystery)より
B000JALU2S

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