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迷路荘の惨劇
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迷路荘の惨劇の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.09pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全20件 1~20 1/1ページ
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短篇と近い時期に読むことになったので、せっかくだから短長両作品の変化点を意識しながら読んでみた。【注1】 事件の遠因となる人間関係と第一の殺人事件まではほぼ共通ながら、現場の倉庫を馬車置き場と設定するとともに、馭者を金田一耕助の旧知の人物としている。 短篇では、第一の事件後すぐにクライマックスの騒ぎへ飛び、その所為で警察関係者は省かれていた。その点、本作では井原老刑事をはじめ富士署の刑事が登場して、関係者の訊き込みや秘密通路に洞窟の探検等々にぎやかに活躍することに加えて、名前だけながら、東京での協力として等々力警部も登場する。なんでもこれらの刑事が追加されたのは、中篇からとのこと。 中篇から本作への追加としては、馭者の譲治を含めて、短篇でチョイ役たちへの役割が大幅に増やされて、第二の殺人事件が構成されている。ただしこの追加された密室殺人は、現場で対抗心を燃やした井川老刑事とのやり取りで「金田一耕助っていやな野郎なのである」(P.302)なんて一文は楽しいけれども、なにしろトリックが明白すぎてつまらない。本文中にも金田一耕助の言葉として、「子供だましの密室のトリック」(P.443)と書かれているとおりである。あの程度のトリックなら、さすがに刑事に気づいてもらいたいw 金田一耕助シリーズでは、概ね彼と刑事たちの関係は良好であるが、彼を敵視する刑事もちらほら登場する。本作は長篇化されただけあって、昭和五年の事件に並々ならぬ執念を燃やす井川老刑事が、金田一耕助になかなか辛辣に対抗していて印象的。 「あんたの眼のまえでつぎからつぎへと事件が起こってるんですぜ。それにもかかわらずあんたただウロチョロするばかりで~あんたそれでも名探偵ですかい」(P.379)なんてのは、原作ファンの読者はまだしも、ドラマ視聴者の多くが思っているだろうことを見事に代弁していたw 一方、金田一耕助が呼ばれる理由となった謎の男(甲野信也/真野信也)を演じた人物が長短作品で異なっているのがステキだ。『金田一耕助の帰還』の解説では、「片腕の男に扮した人物が全て異なっている点」(P.435)と書かれているので、中篇でもさらに別の人物だったようだ。 短篇の最大の弱点は、迷路荘と謳いながらその要素が不足していたことだが、本作では洞窟探検の冒険要素が大幅に加わっている。読者によっては、またかと思ってしまうかもしれないが【注2】、特に二階堂黎人の『聖アウスラ修道院の惨劇』は本作からフィーチャーされたのではないかと憶測してみたが如何だろう。通常あの作品のフィーチャー元は、小栗虫太郎の「聖アレキセイ寺院の惨劇」とされるようだが、本作も「惨劇」が共通してるし、地下通路の構造を考慮すると……。 短篇から長篇では、新たに追加されたキャラも多いけれど、新旧で名前が変更されたキャラも多い。 種人(たねんど)に合わせて、一彦⇒一人(かずんど)、辰彦⇒辰人(たつんど)と変更したのは、より華族っぽくなったし、絲を糸に変えた理由も判るが、甲野⇒真野、朋子⇒陽子の変更の理由はわからないw 陽子は終盤、地下で襲われて意識不明となり一旦退場するのだが、事件が終了した後、耕助が最後に解説する前に、元気になった彼女が姿をみせ、地下での彼女の冒険が語られるという厚遇wを受けている。 しかし追加されたシーンで冒険サスペンス味は増えるものの、事件の解決に結びつくわけでもない。(すでに解決している) わざわざこのシーンが加えられた理由はなんだろう? 地下の暗闇を跳梁して殺人を繰り返す犯人というイメージは、まさしく『八つ墓村』なので、セルフオマージュして冒険浪漫要素を追加したかったという理由はあっただろうが、かなりとってつけ感が強いし、陽子と篠崎の秘書奥村の恋愛要素があるわけでもないので、やはり『八つ墓村』に較べると評価は下がるw 奥村と云えば、オリジナルの短篇には、めずらしく動転した耕助が「奥村はどうした!」と叫ぶシーンがあったが、この長篇版ではなくなっている。 もうひとつだけ。 地下迷宮要素が大幅に増えて、もっとも割を食ったのは犯人かもしれない。 犯人に対して、「~と、口にするとき、金田一耕助の口調には、きたないものでも吐き捨てるような嫌悪のひびき」(P.423)があると厳しい。短篇ではそこまで悪しざまには云われてなかったが、まぁ長篇では罪も増えてるから仕方がないか。 となると、やはりタマ子がかわいそう。 彼女は、「出目金みたいな眼をした、ちょっと可愛い女中でさあ」(P.102)とよくわからない描写をされているが、個人的には、のび太のママを思いだしてしまった。たしか玉代だったか? 彼女も独身時代は美少女に描かれていたり、方や眼鏡を外すと、目が数字の3のようになってたり、よくわからないんだよw 【注1】 短篇「迷路荘の怪人」が収録された『金田一耕助の帰還』の解説や、Wikipediaによると、短篇と長篇の間に中篇版もあったらしい。中篇版を読む術は知らないが、この短中長の作品は、著者の作劇法を研究するにはもってこいの作品であろう。目撃された片腕の男の正体が変更されているところなどは、如何にも著者が云うところの、コネコネクチャクチャ小説の実践なのだが、それにも力量が必要だと理解できるw 【注2】秘密通路探検の要素は、なんといっても『八つ墓村』が有名だが、それ以外にも、『不死蝶』や「廃園の鬼」で使用されている。 | ||||
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本書は「オール読物」昭和31年8月号に「迷路荘の怪人」という題で発表された中篇を、新たに長篇作品として加筆・修正を施し、東京文芸社から昭和50年5月に刊行された横溝正史の推理小説である。名探偵・金田一耕助シリーズの一つであり、時系列としては「犬神家の一族」の後、「女王蜂」の前にあたる。 昭和25年の秋、金田一耕助は戦後の新興財閥・篠崎慎吾から依頼され、富士山麓に建つ豪壮な洋館「名琅荘」を訪れる。元伯爵・古館辰人から譲り受けたこの屋敷は近々ホテルとして再出発する予定だったが、真野信也という左腕の無い男が、宿泊した部屋から忽然と姿を消す事件が起きたという。 名琅荘は随所に抜け穴があるため消えたこと自体は不思議ではないが、隠し扉を知っていたことや片腕が無いことから、二十年前に起きた惨殺事件や逃亡した容疑者との関連が強く疑われた。名琅荘の名残りを惜しんで由縁の人々が集まるなか、馬車の座上で古館辰人の絞殺死体が発見され、金田一は凄惨な連続殺人事件に巻き込まれていく……。 名琅荘の地下には広大な洞窟が広がっており、犯人が秘密の通路を跋扈して殺人を行うところは「八つ墓村」や「不死蝶」を彷彿とさせる。新興成金に屋敷ばかりか妻まで売り渡してしまう斜陽族の悲哀が描かれ、フルートが重要な小道具として事件と関わってくるあたりは「悪魔が来りて笛を吹く」を思い出した。また、本作には「黒猫亭事件」で重要な役割を果たし、金田一耕助の盟友でありパトロンでもある風間俊六も登場する。 多くの名作長編と共通する要素を持つ「迷路荘の惨劇」、個人的には非常に面白く読むことができた。名探偵である金田一以上に、お糸婆さんや井川老刑事といった個性的な登場人物がいい味を出しており、忍者屋敷のような迷路荘という舞台装置も話を盛り上げるのに効果を発揮していたと思う。 かなり残酷な描写も出てくるのだが、読後感が爽やかなのはさすが横溝正史といったところか。ストーリーもよく練られており、ラストシーンの金田一らしい計らいも実に粋でよかった。ただ、因果応報な結末を知った読者は、鼠がこの上もなく恐ろしい存在だと感じるだろう。 <登場人物> 古館種人 … 明治の元老。富士の裾野に名琅荘を建てる。 古館一人 … 種人伯の嫡子。妻の浮気を疑い凶行に走り惨死。 古館加奈子 … 一人伯の美しい後妻。日本刀で切り捨てられた。 古館辰人 … 一人伯と先妻の間に生まれたひとり息子。元伯爵。 糸女 … 種人伯の妾。名琅荘を取り仕切る老女。一人伯を軽蔑。 尾形静馬 … 加奈子の遠縁。一人伯に左腕を切断され行方不明。 速水譲治 … 名琅荘の御者。風間俊六が救った混血の戦災孤児。 お杉 … 名琅荘の女中。金田一が案内された和室を担当する。 戸田タマ子 … 名琅荘の女中。真野信也をダリヤの間へ通した。 真野信也 … 名琅荘に現れた左腕の無い男。密室から姿を消す。 天坊邦武 … 元子爵。古館辰人の母方の叔父。八字ひげ。 柳町善衛 … 元子爵。古館加奈子の実弟。有名なフルート奏者。 篠崎慎吾 … 名琅荘を譲り受けた敏腕実業家。風間俊六の盟友。 篠崎倭文子 … 慎吾の妻。古館辰人と離別した公卿華族の末裔。 篠崎陽子 … 慎吾の先妻の娘。抜け穴で父のライターを拾う。 奥村弘 … 慎吾の秘書。陽子と古館辰人の死体を発見する。 風間俊六 … 土建業・風間組の親分。金田一の同窓でパトロン。 森本医師 … 経験豊富な警察医。死体の検証などを担当する。 深尾看護婦 … 森本医師が信頼をおくベテラン看護婦。 田原警部補 … 所轄の若い捜査主任。金田一の噂を知っていた。 井川刑事 … 静岡県警の老刑事。二十年前の事件を執念で追う。 小山刑事 … 静岡県警の刑事。捜査のため東京へ派遣される。 江藤刑事 … 静岡県警の刑事。 久保田刑事 … 静岡県警の刑事。若くて威勢がいい。 金田一耕助 … 雀の巣の頭にくたびれた着物袴。ご存知名探偵。 | ||||
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とにかく、前半の尋問シーンが長くて読むのが辛くなってきたけど、屋敷の地下にある洞窟通路に入るシーンから面白くなってきて、夢中で読んでしまいました。 最後の数ページの真相には納得です。 | ||||
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中学生当時、TBS系の連載ドラマでこの作品に巡り会いました。 民放では、Gメン’75の次に放映されていましたが、懐かしくてDVDを購入し、現在でも時々楽しんでいます。 キャスティングが素晴らしく、原作とドラマ映像との比較もまた楽し。 レビューを見ますと、他の名作群に較べて多少低いようにも見受けられますが、個人的にはお気に入りです。 | ||||
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角川文庫の金田一耕助シリーズ第8弾.シリーズ第7弾の『夜歩く』を読んで直ぐに本書を手にした. 富士山麓に明治時代に建てられた屋敷《名琅荘》.最初の持ち主であった猜疑心の強い伯爵の意向や趣味を反映し,屋敷には迷路のように抜け穴が仕掛けられている.昭和に入ってから間もなく,この屋敷で忌まわしい殺人事件が起こる.そこから更に20年,終戦後になり,またしてもこの迷路屋敷を舞台にした連続殺人が起こる. 明治〜昭和初期〜終戦後と続く伯爵家の時間を軸にして,それぞれの時代に起こる出来事を複雑な糸にして絡ませる.縦軸と横軸の絡ませ方が実に見事だと思った.正直,本作品については,犯人が誰であってもどうでも良いと思うぐらい,この設定が素晴らしいと感じた. シリーズ第9弾も早く手にしたい. | ||||
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久しぶりの金田一耕助シリーズ読了。からくり屋敷であり、人工の洞窟を利用した地下通路といったまさしく迷路のような場所で、発生する事件をひとつづつ紐解くミステリー。登場人物が多く、誰が犯人かは当然最後まで分かりませんが、最後に動機が分かって、スッキリ。何日間かけて、小出しに読んでしまったから、前後の繋がりを忘れかけたので、本作品は一気に読むべし。 | ||||
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これそ横溝正史と言う作品。「八つ墓村」を初めとした多くの先行作品を彷彿とさせる、過去の惨劇が数十年を隔てて繰り返される構成。いつ崩落するかわからない朽ちた鍾乳洞内部での冒険。それぞれ秘密を持った登場人物の愛憎がせめぎ合い、不可解な連続殺人が起こるのだが、金田一耕助の頭脳が全てを解き明かすカタルシス。 本格推理として読んだ場合、読者が推理しながら読むのは難しい。少なくとも私には無理である。犯行のトリックなどはむしろ稚拙なのだが、関わっている人物関係が複雑な上計画的な犯行ばかりでないので、非常にわかり辛い連続殺人で、本当の黒幕を炙り出した金田一がどうやって推理したのか不思議なくらいである。そして黒幕を許してやる金田一の人情溢れるラストが光る。 一番悪いのはほぼ予想通りの人物だったが、ネズミに食い荒らされた死体、そして自らは生きたまま食われる、と言うのはそのまま映像にしたら本当にグロテスクだろうなと思い、活字で良かったとも思う。ともあれ横溝正史の魅力がギッシリ詰まった作品で、下手に推理しようとせず味わって読みたい。 | ||||
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地下迷路を擁するからくり屋敷で繰り広げられる血の惨劇。 横溝正史 著 角川文庫 『迷路荘の惨劇』 ~霧名亜夜斗の「この探偵小説が面白い!!!」~ 《あらすじ》 明治の元勲・古館種人が富士の裾野周辺に建てた豪邸・名狼荘(めいろうそう)。 そこは広大な敷地に水田や蜜柑山までそなえ、さらに屋敷内には無数の“どんでん返し”や、地下にも続く抜け穴が仕掛けられ、別名「迷路荘」(めいろそう)と呼ばれていた。 そこでは、昭和五年、二代目主人・古館一人が不倫の妻と情人に斬りかかるも、妻を殺した所で、情人・尾形静馬の返り討ちにあい落命するという事件があった。 そして、一方、片腕を失いつつ屋敷の深遠な地下迷路を逃げこんだ静馬は、その後も生き長らえているという・・・・・・ やがて、昭和二十五年秋、古館一人の子息で没落華族の辰人から「迷路荘」と、彼の美しい妻を譲り受けた新進実業家・篠崎慎吾は、辰人を含む二十年前の事件関係者を屋敷に集めて供養を企画、同時に屋敷を改装して、旅館とするお披露目会を催す。 金田一耕助は、協力者である風間俊六の紹介で、何か考えがある慎吾に招かれ、「迷路荘」に足を運ぶ。 だが、屋敷の周辺に怪しい“片腕の男”が出没する・・・そして事件が発生する・・・辰人が何者かに殺害されたのである!!! 《解 説》 名探偵・金田一耕助の活躍する長編探偵小説です。 本作で舞台となるのは、横溝作品でお馴染みの獄門島や八つ墓村のような、島や村といった閉鎖社会ではなく、地下迷路を擁する「迷路荘」と呼ばれる不気味な屋敷です。 地下迷路というだけでも、ミステリアスなのに、作中妖しげな“片腕の男”が神出鬼没に出没します。 さらに、遺体の発見状況も、不可解です 第一の殺人では、片腕がなぜか遺体に縛り付けられ、倉庫内の馬車の上で発見されます。 第二の殺人では、犯行現場は密室状態のバスルームで、被害者が使う気が無さそうだった入浴剤が、なぜか使われていました。 大小様々に散りばめられた伏線とヒント…… まさに“古き良き時代の探偵小説”そのものです。 王道的な、“名探偵による本格探偵小説”に関心のある方に、本作品を強く推薦いたします。 | ||||
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1971年から角川文庫版が出版され、ミステリブームに背中を押されて、中絶作の仕切り直しの「仮面舞踏会」や、中短編小説の長編化である本作によって、華麗に横溝正史は復活します。前作の「仮面舞踏会」の舞台は軽井沢周辺で多少の移動がありますが、本作はほぼ「迷路荘」に限定されていますので、いわゆる館物といってよいでしょう。洞窟と迷路になっている館の冒険というと涙香や乱歩、又は「八つ墓村」が思い浮かぶのですが、本作がややスケールダウンしている印象は否めません。館物らしく登場人物が限定されている閉塞感がします。しかし、「八つ墓村」や「獄門島」、「犬神家の一族」「悪魔が来りて笛を吹く」といった全盛期の作品のエッセンスが、そこかしこにちりばめられていて、さながら壮麗なセルフパロディと化しています。 私事ですが、この作品の登場人物のセリフ「女に泣かされることがあっても、女を泣かしてはいけない」を座右の銘として生きてきましたので、泣かされ放しの人生でした。orz | ||||
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30年以上前に金田一シリーズは一通り読んだはずで、これもおそらく読んだはずなんだけど、記憶にはない。 当時はまだ子どもで、子ども向けの江戸川乱歩シリーズからステップアップしたのが多分金田一シリーズだったと思う。Kindleでセールの時に懐かしく思い金田一シリーズをまとめて購入。 ミステリーなので詳しくは書かないが、手鞠歌、八墓村などの超メジャーとなった作品と比べても引けを取らない雰囲気。辺におどろおどろしくなく、私はこっちの方が好きかも。婆さん、老刑事などの登場人物も魅力的。 それにしても、当時子どもだった私はおもしろがって読んでいたはずなんだけど、女の怖さ、性的な魔性の魅力を理解していたはずもなくどんな気持ちで読んでたんだろ・・と。ちょっとスケベ心も持ってたのかな? ちなみに時系列的にはファイル9の女王蜂の後のようですね。刑事さんとのやりとりに出てきます。どちらを先に読んでも問題はないと思いますが。 | ||||
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迷路荘の話はドラマで1回だけ見ました。とても切ない事件ですが、最後は金田一の爽やかな終わり方だったので。星4つです | ||||
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昭和39年から実質的引退状態にあった作者が、再び筆を執るきっかけとなったのが 46年頃からはじまった「横溝正史ブーム」である。本作品は31年発表の200枚の中篇 『迷路荘の怪人』を800枚の長編として練り直し、50年に東京文芸社から刊行された。 明治の元勲・古館伯爵の手により富士山麓に建造された通称"迷路荘"こと名琅荘。 通称の由来は複雑怪奇な秘密設計になっているためで、抜け穴やからくり仕掛けが 随所に隠されている。昭和25年にこの豪邸の所有者になった篠崎慎吾から、不可解な 訪問者の謎を解いてほしいと招かれた金田一耕助。彼のいるところ事件あり。到着 日早々、同様に招かれていたかつての屋敷の持ち主・古館辰人が馬車に乗せられた 状態の絞殺死体となって発見される。妖しき伏魔殿で次々と惨殺される屋敷の人々。 一体犯人は誰なのか?事件の背後に見え隠れする20年前の屋敷で起きた惨劇の影。 熱心な横溝ファンからは好評とは言い難い本作だが、最後まで面白く読めた。物語の 舞台は最初から最後まで迷路荘で、犯人は初めから幾人かに絞られている。そこで 屋敷にいた人々から幾度も聴取するなど、推理要素を盛り込んでいるが、やや冗長な 印象も。個性ある登場人物、複雑な人間関係、抜け穴での激しい争闘などが見所か。 | ||||
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昭和39年から実質的引退状態にあった作者が、再び筆を執るきっかけとなったのが 46年頃からはじまった「横溝正史ブーム」である。本作品は31年発表の200枚の中篇 『迷路荘の怪人』を800枚の長編として練り直し、50年に東京文芸社から刊行された。 明治の元勲・古館伯爵の手により富士山麓に建造された通称"迷路荘"こと名琅荘。 通称の由来は複雑怪奇な秘密設計になっているためで、抜け穴やからくり仕掛けが 随所に隠されている。この豪邸に昭和25年、持ち主になった篠崎慎吾から不可解な 訪問者の謎を解いてほしいと招かれた金田一耕助。彼のいるところ事件あり。到着 日早々、同様に招かれていたかつての屋敷の持ち主・古館辰人が馬車に乗せられた 状態の絞殺死体となって発見される。妖しき伏魔殿で次々と惨殺される屋敷の人々。 一体犯人は誰なのか?事件の背後に見え隠れする20年前に屋敷で起きた惨劇の影。 熱心な横溝ファンからは好評とは言い難い本作だが、最後まで面白く読めた。物語の 舞台は最初から最後まで迷路荘で、犯人は初めから幾人かに絞られている。そこで 屋敷にいた人々から幾度も聴取するなど、推理要素を盛り込んでいるが、やや冗長な 印象も。個性ある登場人物、複雑な人間関係、抜け穴での激しい争闘などが見所か。 | ||||
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とある登場人物の死に方が凄まじくグロくて、横溝先生の上手な文から頭に突き刺さってくる。 古典をあまり読まない人に言ってみれば綾辻先生の横館シリーズの横溝版(クローズドサークルてはないが)で獄門島、本陣、八つ墓村、犬神家、手鞠歌、笛を吹くだけ読んどいたらいいやーとか思ってる人にも、これもよんでおく価値があると思う。 それにしても無なクソ悪い犯人だ | ||||
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『八つ墓村』の熱狂よ再び… といきたいところだが、少々カラ振り。 ところどころ面白いところもあるし、 サスペンスを感じるくだりもある。 だが、おしなべて冗長のように思う。 警察のドタバタはいらなかったかもしれない。 金田一耕助が真犯人を…… おっと、ここから先はネタバレになるので、 ぜひお読みいただきたい。 横溝正史にしては珍しいパターンで終わる。 | ||||
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久々に横溝金田一を、「迷路荘の惨劇」を読みました。 かなり前に一度読んだ記憶もあるし、動画でも何度か見た作品ではありました。 但し、やはり横溝正史、「横溝の前に横溝なし、横溝の後に横溝なし」という人も多い、巨匠。年代の古さも感じさせず、至福の数時間、久々に本格探偵小説にはまりました。本作の登場人物としては、名探偵金田一耕助以上に、静岡県警の古参老刑事の井川刑事がいい味を出しています。結構ボリュームがある長編ですが、戦後社会の暗躍等をモチーフに様々な傑作を世に送り続けた横溝巨匠の傑作の一作といって良いともいます。 それと杉本一文氏の名作カバーの復刻とのこと、やはりこれが横溝正史、期間限定ではなく、継続で販売してほしいですね。 | ||||
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約20年ぶりに読みました。犯人やトリックなんかは勿論全く忘れていたけど、面白かった事は覚えていて。やっぱり面白かった。迷路荘の惨劇はどちらかというと、評価のいい作品では無かったような気がしてたけど。複雑な人間関係やお糸さんの様なキャラクターの妙、忍者屋敷の様な迷路荘の舞台設定といい十分横溝節を堪能出来ました。金田一も良かった。角川で杉本一文氏のカバー復刻されていて、昔夢中で読んでたのを懐かしく思い出しました。カバーは期間限定じゃなくて、これが角川の横溝作品だと思います。更に他の横溝作品も復刊してください。お願いします。 | ||||
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没落貴族を扱った本作品ですが,アリバイを重視した内容になっていました.そのため,聴取の場面が他作品に比べて長めにとってあり,登場人物の動静を証言として知りながら読み進めることになります. 過去に洞窟に逃げ込み行方不明の人物や自然洞窟を利用した地下道など,同作者の『八つ墓村』を彷彿させるような印象を受けますが,ドロドロとした怨念の様なものが登場することは無く,冒険小説的な雰囲気に終始していました.結末で犯人が明らかになっても.その動機が(横溝作品にしては)さっぱりとしていて,他に落ちがあるのではないかと勘ぐってしまったくらいでした. 正に探偵小説というような内容であり,良くも悪くもリアリティに欠けているのが本作品の特徴だといえます.フィクションフィクションした内容を楽しめるかどうかによって,本作品を楽しめるかどうかが決まるといえるでしょう. | ||||
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陰惨怨念ドロドロを期待すると物足りないと思いますが、自分的にはこの作品の登場人物達の浪曲的な性格もまた楽しかったです。 特に、なかなか尻尾を掴ませないお茶目なお糸婆さんと ポンポンものを言う井川老刑事が絶品。 地下ダンジョンでのお化け屋敷的要素も楽しく、読後感も爽やかです。 | ||||
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広大な富士の裾野の近くに、あたりを睥睨するかのごとく建つ豪邸名琅荘。しかしその屋敷の至る所に「どんでん返し」や「抜け穴」仕掛けられ、その複雑な作りから別名迷路荘と言われている・・・ これだけでもどんな事件が飛び出てくるかワクワクするものですが、さらに20年前に起こった惨劇が一方で顔を覗かせつつ、他方でこの屋敷に集った食えぬ面々がよりいっそう事件を複雑怪奇にしていきます。 そして屋敷の仕掛け!アリバイもあってなきが如くでしょうか? 陰惨な事件の中でもここぞというときのしぐさが絶妙のお糸さんには惚れてしまいます。この名琅荘の主にして八十になんなんとする年齢とも思えないその機転。 金田一といい勝負? | ||||
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